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2006年2月 1日 (水)

真の観客動員力がある球団はどこか?

日本のプロ野球は一昨年の球団合併発表からの再編騒動によって、大きな改革の必要性が露呈されましたが、「改革元年」と言われた昨年、つまり2005年度には交流戦が実施されたことと、以前まではおおざっぱな概数で発表されていた観客動員数が実数で発表されたことくらいしか、眼に見える「改革」は無かったような気もします。

まあしかし、観客動員の実数発表がなされたことで、新たなデータがとれるのではないかと考えました。それは「真の観客動員力のある球団はどこか?」ということです。

まずは昨シーズンの公式戦終了後に発表された球団別の主催試合観客動員数を列記してみます。一試合平均の観客動員数が多い順に並べます。平均で比較するのは、セ・リーグとパ・リーグで公式戦の数が異なるからです。

2005年度主催試合一試合平均観客動員数順位

順位 球団                     観客動員数 主催試合数 一試合平均
1.タイガース                  3,132,224    73        42,907
2.ジャイアンツ               2,922,093    73        40,029
3.ドラゴンズ                  2,284,400    73        31,293
4.ホークス                     2,115,977    68        31,117
5.ファイターズ                1,365,643    68        20,083
6.バファローズ              1,356,156    68        19,943
7.マリーンズ                  1,334,014    68        19,618
8.スワローズ                  1,307,731    73        17,914
9.ライオンズ                   1,103,148    68        16,223
10.カープ                        1,050,119    73        14,385
11.ゴールデンイーグルス     977,104    68        14,369
12.ベイスターズ                 976,004    73        13,370

タイガースがトップに来ることは予想できましたが、ジャイアンツは思ったほど悪くないですね。セ・リーグの老舗三球団が上位トップ3を独占しているのはさすがとしか言いようがありません。そしてそれに続くのがパ・リーグで地元に根付いた球団経営を旗印にしている南北の両雄、ホークスとファイターズというのもむべなるかなという感じです。しかし逆に下位三球団も、新規参入のゴールデンイーグルスも含め、地域密着を旗印にしている球団なのですね。はっきりと雌雄を決した感じです。

6位には合併効果か、合併したバファローズが入ってきています。旧ブルーウェーブの2004年度の水増し発表における主催試合一試合平均での順位が10位だったことを考えれば宮内さんの思うつぼだったということでしょうか。(ちなみに旧バファローズの2004年度の主催試合平均観客動員数の順位は11位)

二年前の2004年度の観客動員数が水増しされた概算のものであるのは周知の事実ですから、2004年度の数値と2005年度の数値を比較しても意味はありませんが、新規参入のゴールデンイーグルスを除く11球団で10球団が前年比で減少。カープだけが微増という結果になっています。

今年、2006年も実数発表が徹底されれば、初めて本当の前年比が出せる訳ですね。

と、ここまでは実は昨年、アットニフティの掲示板、ベースボールフォーラムで会員専用の掲示板である「野球界を斬る!」に同旨のことを書き込んで、反応もいただいたのですが、よくよく考えてみたら、公表されている観客動員数というものは、主催試合にどれだけお客さんが入ったかというデータで、そのお客さんは必ずしもその試合を主催する側のチームのファンとは限りません。具体例を出すと失礼かもしれませんが、神宮球場でのスワローズ主催の対タイガース戦に40,000人の観客動員があって、そのうちの8割が仮にタイガースファンであったとしても、40,000人という数がスワローズ球団の観客動員としてカウントされる訳です。もちろん、ビジターチームのファンの方が多い場合だけでなく、例えば千葉マリンスタジアムでのマリーンズ主催の対ファイターズ戦で20,000人の観客動員があってそのうちの2割のファイターズファンがあったとしても20,000人という数がマリーンズ球団の観客動員としてカウントされます。もちろんマリーンズのファンは同じカードでマリーンズがビジターになる札幌ドームでのファイターズ対マリーンズ戦にもカウントされますから、いわゆるいってこい になるでしょうから、主催試合の観客動員数をそのチームの人気のバロメーターにしても、さほど誤差は出ないとも思えますが。

まずは2005年度のジャイアンツ主催試合(東京ドームに限定)の対戦カードごとの一試合平均観客動員数を調べました。多い順にカード別に並べましたので見て下さい。

対戦相手            一試合平均動員
対タイガース戦           44,397人
対ホークス戦            44,379人
対ファイターズ戦          43,997人
対ライオンズ戦           43,794人
対マリーンズ戦           43,734人
対ベイスターズ戦         42,669人
対ドラゴンズ戦           42,432人
対ゴールデンイーグルス戦 41,924人
対カープ戦              41,862人
対スワローズ戦          36,475人
対バファローズ戦         36,385人

セ・リーグ同士の対戦と対パ・リーグ戦では対戦試合数が異なるので単純に比較するわけにはいかないでしょうが、仮にジャイアンツファンの入場数がどのカードでも固定されているとすると、相手チームのファンの数の差がカード別の観客動員数の差のバロメーターになるのではないかと推測できます。

このカード別の観客動員数をあまり想い出したくはないですが<苦笑>、偏差値に置き換えてみます。平均値からどれだけ離れているかを示す数値で、偏差値が50だと平均的でそれより高いと数値も上がっていきます。

対戦相手             偏差値
対タイガース戦           58.64
対ホークス戦            58.58
対ファイターズ戦          57.20
対ライオンズ戦           56.46
対マリーンズ戦           56.24
対ベイスターズ戦         52.40
対ドラゴンズ戦           51.54
対ゴールデンイーグルス戦 49.71
対カープ戦              49.49
対スワローズ戦          30.03
対バファローズ戦         29.70

ジャイアンツ自体のファンがカードにかかわらず詰めかけるため、最も平均動員数の高いタイガース戦でさえ突出した数値になりません。これが例えば主催試合観客動員数最下位のベイスターズで調べると、一試合平均の観客動員数が最も多かった対タイガース戦の観客動員数が20,985人で、逆に最も少ない対カープ戦が9,099人になりますので対タイガース戦の偏差値は73.85、対カープ戦は38.50と突出した数値がでます。この場合ベイスターズにとってタイガースファンは美味しい存在といえます。このように偏差値の高い数値がでる相手球団ほど観客動員力があるという仮説が成り立つのではと考えました。

そこでこのカード別一試合平均観客動員数をジャイアンツだけでなく、十二球団全て調べ、各対戦球団ごとの偏差値を合計すれば、観客動員力のある球団の順位を推定できるのではないかということです。観客動員力のある順に並べてみました。

順位 対戦相手           偏差値合計
1. 対タイガース          711.36
2. 対ジャイアンツ         698.75
3. 対ホークス            580.90
4. 対ファイターズ          565.97
5. 対マリーンズ           544.52
6. 対ゴールデンイーグルス 532.81
7. 対ライオンズ           524.80
8. 対ドラゴンズ            519.67
9. 対カープ               505.79
10. 対ベイスターズ        492.73
11. 対スワローズ         486.17
12. 対バファローズ        436.54

さすがにタイガースとジャイアンツが上位に来ます。パ・リーグが交流戦の開催を切望し続け、セ・リーグが長年拒んできたという図式を見事にクローズアップしています。三位のホークスと四位のファイターズは意外な感じです。これは他球団がホークスやファイターズを相手にした時に観客動員が増えるというデータですが、この両チームは地域密着を旗印にしており、それゆえにこのチームのファンは地元には圧倒的にいるかもしれませんが対戦相手の本拠地にはそれほどいないということが予想できるからです。ともに福岡、札幌ですから地元のファンが対戦相手の本拠地まで応援に行くのも一苦労なはずです。特に後発のファイターズの場合、SHINJOの存在が大きいのでしょう。

また主催試合観客動員数でベイスターズの次に少ない11位のゴールデンイーグルスは偏差値合計では6位と検討しています。新規参入球団の物珍しさと選手構成が各球団からの寄せ集め<失礼>でビジターでも各地にファンが散在しているということなのでしょう。それと、確実に勝てそうなので本拠地のチームのファンがいつもより多く詰めかけるのかもしれません。

偏差値合計最下位のバファローズは新規参入球団とは逆に動員力がなかったとのことですね。清原と中村の加入で2006年度はどれだけ動員力が上がるか見ものです。

ブービー賞のスワローズも頭の痛いところでしょう。今年から「東京ヤクルトスワローズ」と名称変更するとのことですが、どれだけファンにアピールが伝わるか。もう一度ジャイアンツの対戦カード別の観客動員数を見て下さい。同じ東京のチーム同士で両方のファンが観戦するには最も好条件であるはずなのですが、それでも観客が入らないということは深刻だと思います。

セ・リーグの各チームにとっては交流戦の導入で稼ぎ頭だったジャイアンツ戦(やタイガース戦)が減り、その分減収になったようで、これまで堅実な経営で辛うじて黒字経営を成り立たせていたカープが赤字に転落し、数年前から赤字に転落したベイスターズはさらに傷が深くなったようです。特定人気球団の動員力に依存する球団経営が曲がり角に来ていることだけは確かなようですね。

※ 観客動員数は日刊スポーツ及び「2006ベースボール・レコードブック」(ベースボール・マガジン社刊)を基に集計しました。

※ レイアウトを一部手直ししました。(200814日修正)

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