セ・リーグもプレーオフ導入
7日に行われたセ・リーグの理事会でセ・リーグも来季、2007年度からプレーオフ制度を導入する方針を決めた。具体的な方式は未定。
ついに来たかという感じですね。
これまでジャイアンツ、タイガースという二大全国区球団の存在を背景にパ・リーグに対する人気面での圧倒的格差を見せつけていたセ・リーグがパ・リーグに遅れること三年、ついにプレーオフ導入に踏み切った。
セ・リーグに人気面での格差を付けられているパ・リーグはこれまで盛んに独自の打開策を打ってきた。1973年に導入した二シーズン制。1975年に導入した指名打者制を始め、予告先発制、マンデーパ・リーグなど様々な策を施し、何とか人気上昇を試みた。その間セ・リーグはこういった施策の必要性を殆ど感じることなく、またパ・リーグの人気上昇を脅威に感じることなどもなく、運営を続けてきた。たぶんセ・リーグの側から観れば、一連のパ・リーグによる施策は邪道というか、奇策に映っただけであろう。そう考えると、7日の理事会後に豊蔵一セ・リーグ会長が語った「長い間、シーズンで優勝を争う伝統を守ってきた。ただパのプレーオフが効果あったのも事実。伝統は伝統として、変革すべきは変革したい」という、今まで変えなかった禁を破ると言うことよりも、セ・リーグがパ・リーグの真似をすると言うことの方がある意味衝撃的だ。
セ・リーグはなぜプレーオフを開催しなければならないのか?
パ・リーグが現状のプレーオフを導入した過去二年間、セ・リーグの優勝チームは日本シリーズで敗れている。パ・リーグの上位チームが日本シリーズ進出を賭けて熱い戦いをしている間、2004年のセ・リーグ優勝チームのドラゴンズは消化試合をこなし、2005年のタイガースは消化試合すら終わってしまったためただ練習をするしかなかった。パ・リーグの日本シリーズ進出チームが勢いを付けたまま日本シリーズに臨めるのに対し、セ・リーグの優勝チームが間延びしてしまうという違いがあったが、セ・リーグもプレーオフを導入すれば、この問題は解消される。
* 敗戦処理。はその事が日本シリーズの直接的な敗因になったとは思っていない。
もう一つは交流戦の導入により、それまでセ・リーグ各球団にとってドル箱であった対ジャイアンツ、対タイガース主催試合が減少したことによる収入減の代替策という狙いもあるはずだ。それを裏付けるのはプレーオフ導入の前提条件の一つに「現状の公式戦146試合の維持」を挙げていることである。これをもしパ・リーグと同じ公式戦136試合とした場合、各球団は主催試合が5試合減る。対ジャイアンツ戦、対タイガース戦がまた1試合ずつ減ってしまうことになり、経営面でさらなる打撃になるからだ。プレーオフがどういう方式になるか全くの白紙である状況だが、プレーオフによる利益は出場球団のみになることが予測され、全体の利益とはならないだろうからである。
ただ後者の公式戦減少(主催試合の減少)という問題は今後避けて通れない問題になるのではないかと思われる。
まず第一に、「現状の公式戦146試合の維持」+プレーオフとなると、過密日程が懸念され、選手会が無条件に飲むとは考えにくい。そして昨秋開催されたアジアシリーズや今回のWBC、さらには五輪野球など、国際大会を今後重視するようになればなるほど、国際大会のための日程確保が必要になるため、公式戦を減らさざるを得ない時期がいずれやってくるであろうと言うことだ。
先に触れたように公式戦の減少は、興行収入の機会の減少を意味し、それは即ち各球団の経営状況を直面する。国際大会で日本野球の素晴らしさが認識され、野球人口の増加など、底辺の拡大につながってくれれば幸いだが、そんな長期展望を立てられないほど経営状況が厳しい球団もあるだろう。
セ・リーグから観て成功に思えるパ・リーグのプレーオフ制度にもファンの間で賛否両論があることは周知の事実である。パ・リーグでは三年目を迎えるプレーオフ制度でアドバンテージの見直しなどマイナーチェンジを断行するが、これが功を奏するかはまだわからないし、2007年のプレーオフに関しては両リーグを交えた見直しという議論もでることが予想されるからである。正式導入まで一筋縄ではいかないような気がする。
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