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2006年6月 2日 (金)

セ・リーグはどうしてもプレーオフをやらなければならないのか?

セ、パ両リーグは5月29日にコミッショナー事務局でポストシーズンゲーム検討会を開いたが、セ側から両リーグ同一形式でのプレーオフ開催および交流戦の減少が提案され、パ側は難色を示し、即答を避けた。パは6月5日の理事会でセの提案について話し合いの場を持ち、6月12日再度話し合うが、すんなりとは決まりそうもない。

そもそもはセ・リーグが3月7日の理事会で来季からのプレーオフ開催を決めたのが発端だが、セのプレーオフ案は具体的な方式が全くまとまっておらず、その後二ヶ月を経たもののいまだどのような方式でポストシーズンゲームを開催するのかの案も出ぬまま、公式戦試合数をどうするとか、リーグ優勝の提議をどうするかという次元で、既にプレーオフ制度を確立しているパ・リーグに協調を求めている。3月9日付当ブログでの発言セ・リーグもプレーオフ導入でも書いたようにセ・リーグがパ・リーグ独自の制度に追従するということ自体が画期的だと思われるが、「迷走」という感じがしてならない。そこでそもそもセ・リーグにプレーオフ制度は必要なのかという点に立ち返って、ポストシーズンゲームの未来を考えてみた。

そもそも、3月7日のセ・リーグ理事会でセ・リーグも来季はプレーオフを実施することだけが決まった時から、敗戦処理。なりにいろいろと考えていたのだが、どうもセ・リーグ流プレーオフ案が浮かばないのである。

最も安直なのは、現行のパ・リーグのプレーオフと同等のものを同時進行することである。しかしそれだと、レギュラーシーズンで三位だったチーム同士の日本シリーズという可能性も皆無ではなく、いくら意外性が売りの短期決戦制度であるプレーオフであっても、三位同士の日本シリーズとなると、さすがにファンが引いてしまうだろう。それは仮にセ・リーグが主張しているように「レギュラーシーズンの1位をあくまでも優勝チームとする」などの理論を押し通しても、ファンの納得を得られるものとは思いがたい。

実際にはパ・リーグの過去二年間のプレーオフの闘いぶりを観ればわかるように、いかに短期決戦といえどもレギュラーシーズンでリーグ1位争いに絡めなかった三位チームが勢いだけで勝ち上がれるような生やさしい制度ではないことは明らかなのだが、それでも可能性が無いわけではない。

そう考えると、現行のパ・リーグの「ひょっとしたら三位のチームでも日本シリーズに進出できるかもしれないプレーオフ制度」がリーグの優勝チームを決める制度として成立している拠り所は、日本シリーズで相手となるセ・リーグのチャンピオンが真っ当な1位チームであるということなのである。何年かに一回、三位のチームが日本シリーズを果たしてしまった時にその相手がセ・リーグの優勝チームであることで、皮肉にも日本シリーズの存在意義、威厳が保たれる訳である。

さらに言えば、セ・リーグがいかなる制度のプレーオフを実行しようと、レギュラーシーズン1位のチーム以外が日本シリーズに進出した場合にそのチームとは別にリーグ優勝チームが存在すると言うことは日本シリーズという日本プロ野球界最大のイベントにとって自殺行為となるのである。それは即ち、日本シリーズがオープン戦と変わりなくなってしまうからだ。

今年、2006年は二年に一度の日米野球が開催される年であるが、今年開催されるとしたら、NPB、MLBともにどんなに素晴らしいメンバーを揃えたとしても、WBCのアメリカ対日本戦を上回る盛り上がりにはならないであろう。あの試合は例の誤審騒動があったが、日米の野球史で初の双方オールプロによるガチンコ対決であったからだ。WBCでの対戦はアメリカで行われ、今秋日米野球が開催されるとしたら日本で行われるという違いはあるものの、主催者やメディアが「夢の対決!」、「日米再戦!」等と煽れば煽るほど、虚しさが出るかもしれない。しかもそれが日米野球という、観る側も初めから半分お祭りだとわかっているイベントであればまだしも、それと同じ現象が日本シリーズで起きたとしたら、それはもはや日本シリーズではない。

それでもセ・リーグはプレーオフ開催に固執するのだろうか?

パ・リーグが現行のプレーオフを開催した過去二年、日本シリーズでセ・リーグの優勝チームは敗退している。その原因としてパ・リーグが日本シリーズ進出を賭けてプレーオフで熱い戦いを繰り広げている時にセ・リーグの優勝チームは消化試合を続けているか、公式戦を終了しているかで調整が難しいという点が挙げられており、その対策の一環としてプレーオフが必要なのだという意見もある。しかしそれは、公式戦の試合数をパ・リーグより多くし、なおかつ開幕をパ・リーグより一週間遅らせているセ・リーグとしては週の六連戦を極力減らし、日程をゆったりと後ろにずらすことでかなり解消できると思われ、必ずしもプレーオフ開催にこだわる理由にはなっていないのではと思える。

そもそもひとつのリーグに六球団しかない現状で、プレーオフ制度を実施することに無理があるのである。現行のパの方式を含め、どのような制度であろうと多かれ少なかれ不公平感の残るものになるであろう。強いて言えばかつてパ・リーグが採用していた前後期の二シーズン制なら不公平感がないが、それでも後期に優勝したチームの方がそのままの勢いで戦えるという論拠で不公平感を唱えるものが出てくるであろう。そしてそれには過去に前後期性による二シーズン制ならびにプレーオフ制度が消滅した理由のひとつである、前後期とも同一チームが優勝してしまうという危険性がある。

となると残された道は、三位チームを無視し、二チーム限定のプレーオフを如何に盛り上がる方式で開催するかと言うことになろう。

セ・リーグは公式戦の数を減らしたくない。それは即ち、対タイガース戦、対ジャイアンツ戦の主催試合を減らしたくないということを意味するだろう。それでなおあかつプレーオフを開催し、タイトな日程にめげずレギュラーシーズン二位のチームが勝ち上がって日本シリーズに出場しても、そのチームは真の優勝チームではありません-とお墨付きが着いたチームだったとしたら、いったい何のためのペナントレースで、何のためのプレーオフで、何のための日本シリーズなのだろうか?

それならまだ公式戦の数を増やし、パ・リーグのプレーオフと並行してセ・リーグの優勝争いが白熱するようなペナントレースの方式を考えた方がまだ現実的ではないだろうか。

パ・リーグはセ・リーグとの人気格差に悩み、数々の制度を取り入れては失敗し、また別の取り組みをと繰り返してきた。一昨年の球界再編騒動をきっかけに長年の悲願であったセ・リーグとの交流戦が実現したが、それは逆にセ・リーグの安定収入源を脅かし、セ・リーグはその一部の変換と、パ・リーグが既に導入しているポストシーズンゲームで巻き返しを図ろうとしている。それぞれのリーグの優勝争いがファンの耳目を集め、その先にある日本シリーズにより多くのファンの耳目を集められれば、野球人気の再浮上につながることは間違いないが、その方法を巡り、双方の思惑が反しているのが現状。6月12日に会議で再度話し合うそうだが、さらなる迷走が続くように思えてならない。

この発言を読まれた方で、独自のプレーオフ案をお持ちの方は是非コメントをお寄せ下さい。敗戦処理。はいまだに全然浮かびません<苦笑>

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