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2006年6月27日 (火)

巨人を壊しているのは誰だ?

ジャイアンツは一体どうしちゃったのですかね?開幕からの、あの何をやってもうまくいっていたチームが。さすがにあの勢いがいつまでも続くとは誰も思わなかっただろうけれど、逆にここまで急激に落ち込むとも誰も想像しまい。

絶不調の原因は故障者の続出だろうけれど、このところの負け方を観ていると、どうもそれだけでは無いように思える。

では、巨人を壊しているのは誰だ?

24日の対ドラゴンズ戦。0対5から5対5に追いつき延長戦になり、迎えた十回裏、ジャイアンツのマウンドには守護神豊田清が上がった。十回表にジャイアンツが勝ち越した訳ではない。同点のままなのに豊田投入。連敗を止めたい原辰徳監督の執念の継投とも思えた。豊田は期待に応えこの回を無失点に抑えて味方の援護を待つが、同点のまま続投した2イニング目にサヨナラ負けを喫した。

原監督は、どういうつもりで同点の十回裏に守護神の豊田をマウンドに送ったのだろうか?

ルールで延長は十二回まで。豊田に最長3イニングを投げさせるつもりだったのだろうか?これと似たような起用を、原監督は今月1日の札幌ドームでのファイターズ戦でも行っている。8対8の同点の十一回裏に豊田を投入。この時もジャイアンツは五連敗中だった。九回表二死から同点に追いついた試合で、十一回裏からの2イニングを託した。結果は豊田が十一回裏を無失点に切り抜けた後、十二回表に小久保裕紀の勝ち越し2ランが出て、その裏を豊田で逃げ切って大逆転勝ち。豊田投入が見事に奏功した。原監督は二匹目のドジョウを狙ったのかもしれない。

しかし、ちょっと待ってもらいたい。守護神の仕事は、リードした最終回にマウンドに上がり、相手に反撃を許さずに逃げ切ること。豊田の場合、基本的に1イニング限定。しかも豊田はこの道のスペシャリストである。数年前から毎年、平均してこの難易度の高い仕事を着実にこなしている。当代では小林雅英、岩瀬仁紀と並ぶ、息の長いコンスタントに安定した守護神だ。その豊田に、チームが勝てるかどうかわからない試合に、2イニングなり3イニングなりを抑え続けてくれとマウンドに託すのは守護神-クローザーという職種の投手の特性を理解していないといわざるを得ない。それならまだ、1点をリードして七回裏から「今日はラスト3イニングを抑えてくれ」と、マウンドに上げる方がまだ理にかなっている。ハードではあるが、ゴールが見えているからである。同点の延長戦での登板は、自分が何回投げればよいのかわからないのだ。

それならば同点の十回裏に誰を出せば好かったのかというと、久保裕也または林昌範でいくしかなかっただろう。(ここまでの継投は先発:工藤公康、西村健太朗、高橋尚成)こう書くと、冗談じゃない!久保なんて次の日にリリーフで試合をぶちこわしているじゃないか!という反論が聞こえてきそうだ。たしかに最近の久保は不安定だ。事実26付けで一軍登録を抹消された。要するに二軍落ちだ。そんな状態の久保を24日の試合の同点の十回裏に投入したところで結果は見えている。それでも仕方ないのだ。何故なら今のジャイアンツでは豊田で負けてはいけないのだ。守護神である豊田はいわば最後の砦で、豊田にまで調子を崩されたらもはや救いようがないのだ。リードしていたのなら話は別だが、同点で豊田を出してはいけないのだ。サヨナラ負けを覚悟して久保(あるいは他の投手-例えば木佐貫洋でも良いのだが、)を出すというのが、最もベターな選択肢だったのだ。

まだシーズンは半分残っている。今の時点で決してしてはならないのは投手に関しては、

豊田の無駄遣いと、工藤の登板間隔を縮めての先発-この2点である。

ここまで書いて敗戦処理。の言いたいことはおわかりでしょう。ずばり、巨人を壊しているのは他ならぬ原監督、張本人である。上の例は典型例として最近の例を出したまでだ。

敗戦処理。に言わせれば原監督の異常は急変ではなく、好スタートを切った開幕早々からその兆候は出ていた。

4月9日の対ドラゴンズ戦。4対3で迎えた七回表無死一、二塁で四番のイ・スンヨプに送りバントのサイン。開幕から近年のジャイアンツでは珍しい好スタートを切り、この試合もこの時点で1点リード。なぜ四番打者に送りバントさせる必要があるのかさっぱりわからない。「今年のジャイアンツは、ここ一番にはこういう野球もしますよ」という見本市、采配展示会のつもりだったのか?

一発の破壊力という不確定要素に依存せず、四番打者といえども打線の中の一人、次の打者につないでいく姿勢を見せる野球。それこそスモールベースボールの辰徳バージョンのつもりなのかもしれないが、それでも四番にバントとは流れを止めかねないリスクを計算しているのか。この試合のテレビ中継をリアルタイムで観ていた敗戦処理。の目に映ったのは、とてもバントなど出来そうもない腰の引けたイ・スンヨプのフォームで、実際見逃しとファウルで強攻策に切り替えざるを得なかった。

4月の開幕ダッシュ時の攻撃面はいわゆるスモールベースボール的なものではなく、結局はこのイ・スンヨプや小久保がここという時に大きいのを放ち、集中打を浴びせると言った野球だった。単なる重量打線ではなく、矢野謙次、亀井義行といった若手がラインアップに加わることで機動力も加わった。実はスモールベースボールではなく、敢えてキャッチフレーズを掲げるとしたら長嶋茂雄元監督が謳っていたスピード&チャージがぴったりだろう。

他にも原監督の珍采配は続く。

先発投手として安定感に欠けていたゲーリー・グローバーをなかなか見限らずに先発投手としてチャンスを与えたのは他に候補が少なかったのと、四球が少なく投球のテンポが速いので、打線の援護に恵まれるという利点があったので調子をつかんでくれればと起用し続けたのはわかる。だがついに初回の3点を守れず四回裏に連打を浴びてKOされた5月13日の対ライオンズ戦では二番手で登板した先発型の野間口貴彦が火に油を注ぐ状況にしてしまったら、次の日に先発予定の野口茂樹を登録する代わりに二軍に落とされたのは先発投手の役目を果たせなかったグローバーではなく不慣れな中継ぎに回された野間口の方だった。そして野口はその一回だけの先発の後、左肘痛で登録抹消…。

また6月9日の対マリーンズ戦では阿部慎之助が腰を痛め欠場。代役の村田善則も試合中に背中を痛め、八回裏に残る登録捕手、原俊介にマスクをかぶらせたが、実はこの原、捕手とは名ばかりでファームでも出場はもっぱら一塁かDH。数年前から打力を伸ばすために打撃に専念できるよう、ほとんど実戦でマスクをかぶっていないのだ。案の定捕逸、悪送球、許盗塁と素人同然であることを露呈した。他にいないのだから仕方ないのだが、翌日村田とともに登録抹消。本職の捕手二人と入れ替えになった。これまた不慣れなことをやらされたあげくの降格だが、誰かを登録するためには誰かを抹消しなければならないので原の抹消は仕方ないにしても、この時の素人同然の原のリードになじめずにボコボコに打たれた鴨志田も原監督曰く「論外」とのことで抹消。懲罰的人事なのだろうがちぐはぐ。

負けが混んできた交流戦終盤にはさらに激化。

17日の対ゴールデンイーグルス戦で先発ローテーションの一角を守り続けてきた内海哲也を中継ぎで投入し、接戦をものにしたのはよかったが、その結果先発投手が足りなくなり、当初の内海予定日と見られた19日の対バファローズ戦には今季一軍未体験の木佐貫を登録して即先発させるが4回KO。翌20日の対ゴールデンイーグルス戦には先発西村から二番手に高橋尚をロングリリーフ起用という執念を見せたが敗れる。やることなすこと裏目だ。そもそも高橋尚は入団以来ほとんど先発一本でやってきた投手だ。チームの一大事に付け焼き刃が奏功するほど勝負の世界は甘くない。どうしても総力戦の体裁を採るのであれば、先発高橋尚で二番手西村にロングリリーフの方が理にかなっていると思うのは敗戦処理。だけだろうか。ちなみに高橋尚は前述した24日の対ドラゴンズ戦で再びリリーフに回り2イニングを無失点に抑えたが、この負荷がきっと次回先発登板時に思わぬ形で出るような気がしてならない。杞憂に終わってくれればよいが。

この間、イ・スンヨプの本塁打の際に小関竜也が三塁ベースを踏み忘れるとか、木村拓也が何でもないフライを落球して決勝のタイムリーエラーになってしまうとか、本塁打王争いをしている主砲がなりふり構わずセーフティ・バントを見せたのに相手野手どころか味方の鈴木尚広まで意表を突かれて二死なのに三塁から動けなかったとか、ゴロになったごく普通のレフトへの安打を後逸する斉藤宜之とか、二塁走者でセンター前の小飛球というジャッジしやすい状況のはずなのにハーフウェイから戻れなかったジョー・ディロンとか、二死だからゴロを捕ったら一塁に投げればよいのに走者を挟殺しようとして、あげく走塁妨害を採られたディロンなど信じられないプレーのオンパレードだが、すべては悪循環。しかしディロン以外は、起きた時の衝撃はでかいが、再発はまずあり得ないプレー。やはり指揮官が浮き足立っていることの方が敗戦処理。にとっては重大だ。

阿部、小久保、高橋由伸-この三選手の中からせめて二人でも戻ってくればだいぶ違ってくるだろうとは思うが、それ以外に今のジャイアンツに治療薬が見あたらない。むしろ心配なのはこれまで書いてきたような原監督の独り相撲ぶりだ。

敗戦処理。はどちらかというと原信者だ。それは2002年の印象が強いからだ。結果的には圧勝に終わったような感のある2002年の原ジャイアンツだったが、実態はそうではなく松井秀喜以外のレギュラークラスがとっかえひっかえ故障にあえぎ、原監督は長嶋監督時代に日の目を見なかった若手を抜擢することでうまくカバーしていった。斉藤宜之、福井敬治、鈴木尚広、川中基嗣らがフレッシュにレギュラーの穴を一時的に埋めた。投手陣においても六年ぶりの高校卒ドラフト1位となった真田裕貴を7月から先発ローテーションに抜擢するなど、「長嶋野球の継承」と言いながら全く逆の路線を行く姿に、ジャイアンツ古来の王道野球をこの先数年間にかけて繰り広げてくれるのではと期待したからだ。

翌年は松井の抜けた穴を埋めようと獲得したロベルト・ペタジーニが清原和博とポジションがだぶったことによるチーム編成の失敗に始まり、波に乗れぬうちにタイガースの独走を許し早々と優勝争いから脱落。その翌年の方針を巡ってオーナーらと対立し辞任という形になったが、後任の堀内恒夫前監督がどう考えても長期政権を担えるとは思えなかったので復帰は早いと睨んでいたが昨季終了後、早々と実現。2003年を教訓に「ジャイアンツの失われた(少なくとも)三年」を取り戻してくれると期待したのだが<苦笑>

誰か原辰徳をとめられる人物はいないのか?

近藤昭仁ヘッドコーチはこういう時のために呼ばれたのではないのか?

尾花高夫投手総合コーチは原監督の行き当たりばったりの投手起用に荷担しているのか?投手陣を預かる身としてどういうスタンスでいるのか?かつて権藤博さんは仰木彬さんの計画性のない投手起用に反対したが受け入れられることがほとんど無いので自分から辞めていき、反面教師として中継ぎローテーション制などを考え出してベイスターズの監督就任時に実践した。敗戦処理。は尾花コーチが心配でならない。ホークスやスワローズ、マリーンズで指導者としての評価が高い名コーチが、これほどまでに無節操で無計画な投手起用に賛成しているとは思えない。

ディロンの打撃や、あるいは外野守備を及第点として一軍に推薦する吉村禎章二軍監督は大丈夫なのだろうか?久保の代わりに登録されるのは福田聡志の予定らしいが、本当に復調しているのだろうか?17日のイースタンの対ファイターズ戦ではろくにストライクが入らず、ファイターズの拙攻に助けられて辛うじてセーブを挙げたという印象だったがその後復調したのか。

原監督に効く精神安定剤は高橋由や阿部の復帰だろう。原監督がじたばたすればするほどチームが沈んでいっていることにそろそろ目覚めて欲しい。首位のドラゴンズは相当遠くなったけど、まだまだ逆転Vが絶望という数字ではない。今より悪くなくなれば、縮められないゲーム差では決してない。これ以上原監督が巨人を壊さなければ。

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