« 「生」観戦した野球場(10)-福岡ドーム | トップページ | 6/15・G-Bs戦最終回、代打清原実現せず-中村監督が配慮した清原の「格」と「舞台」。 »

2006年6月17日 (土)

長嶋茂雄氏を監督の候補にするとかいう以前の問題として-どうする、どうなる、北京五輪・野球日本代表?

15日に全日本野球会議が開催され、北京五輪に向けてのフリーディスカッションなどが行われた模様だ。先日、長船騏郎日本代表編成委員会委員長が私見と断ったものの長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督を北京五輪の野球日本代表チーム監督の筆頭候補と考えていることを表明して話題になっていたが、敗戦処理。に言わせれば監督を誰にするかということももちろん重要な課題のひとつだが、現段階では他に優先順位の高い問題点というか、興味のあることがある。それは…

16日の日刊スポーツによるとこの日のフリーディスカッションでは全日本野球連盟・松田昌士会長は「最強チームをつくるためにプロアマ一緒になって議論する会議を持とう、という話になった。最強チームをつくるために話し合っていく」と語った。フムフムそれはいいことだ。で、前回のアテネ五輪ではオールプロで編成したものの一球団から二名ずつという枠を設けたが次回の北京では監督になった人の意向を反映させて最強メンバーを結成するという話らしい。ナルホド。会議には根来泰周プロ野球コミッショナーも出席していたそうだが、最強メンバー結成って、そんな簡単にコトが進む話なのでしょうか、根来コミッショナー殿?

まだ日程が発表されていないものの、ペナントレースの優勝争いが白熱するであろう8月~9月に五輪の野球大会が開催されるのは確実。アテネ五輪の時にはペナントレースを戦う各球団の選手拠出による影響を公平に保つために各球団二名ずつという、いわば妥協案で「日本代表」を選んだが、それは残念ながら「ドリームチーム」と呼べる陣容ではなかった。オープン戦の時期に開催したWBCでさえ、「何でこの選手が出ていないの?」という顔ぶれだっただけに、8月~9月の時期に「ドリームチーム」を組むということが、いかに困難なことかは、想像に難くない。

北京五輪で真の「ドリームチーム」を組むためにはそれこそ五輪期間中の公式戦中断も視野に入れねばなるまい。ただしそれは即ちプロ野球界にとっては興行数の減少、それもかき入れ時に興行が減るという球団経営上かなりのリスクを負うことになるのだ。来年の日本シリーズがどんな形で行われるかも決まっていない現状で、再来年の夏の五輪と公式戦との調整が簡単に決まるはずもない。

しかしそれを最初に決めておかないと、どのようなレベルのプロが集まるかが決まらない。どんなレベルの選手を率いるかも決まらずに日本代表監督を養成される監督候補者にも失礼な話だ。そしてアマチュア球界の一部には、今なおオリンピックはアマのものという考えがあり、オールプロも結構だが「ドリームチーム」でなく「各球団二名ずつ」というように公平さを重視したチームをつくるくらいならアマチュアに戻して欲しい、あるいはプロアマ混合チームにして欲しいという意見が根強いという。

たしかに五輪と、今年初めて開催されたWBCでプロの一流メンバーが国際大会に参加する機会が増えたといえど、プロが出場する国際大会はこの二つと、せいぜい五輪のアジア予選である。それ以外にもプロが参加可能な国際大会があるにはあるのだが、ペナントレース優先の考えのもと、参加していないのが現状だ。そういう意味では日本の野球界で最も国際化が遅れているのがプロ野球界だという皮肉な見方も出来る。

長船委員長がなまじ長嶋茂雄氏の名前を挙げたばかりに監督人事にばかり注目が集まりそうだが、本質的にはそれ以前の段階でクリアしていなければならない課題が何も決まっていないのが現状だ。監督を決めて監督の意向を聞き、それからそのメンバーを集めるために所属団体の競技日程(プロ野球から最強のメンバーを集めるとしたら、公式戦の中断を実現する)を調整するなどということが可能かどうか、この日の会合に集まったプロやアマの幹部の方達には想像する力はないのか。もちろんその順序でコトを決めることが出来るような組織が整っていればそれが理想的かもしれないが、現実はとてもそうとは言えない。まずどのような体制を取れるかを明確にし、最強のメンバー「ドリームチームが組める」とか「各球団から均等に二名ずつ選びます」なのか「プロとアマの交流の良い機会なのでプロアマ混合チームにします」なのか「最後の五輪なのでオールアマで行きます」なのかメドを立ててから、この条件で監督をお願いしますと監督候補者に要請するのが筋ではないのか?

こんな時こそ山本栄一郎さんがいてくれたらと思わずにいられない。かなり以前からプロとアマの野球組織の一本化を強く訴えて活動していた山本さんは天国でどう野球界を見守ってくれているのか。もっとも監督人事先行だった「長嶋ジャパン」の旗振り役は他ならぬ山本さんだったが。

|

« 「生」観戦した野球場(10)-福岡ドーム | トップページ | 6/15・G-Bs戦最終回、代打清原実現せず-中村監督が配慮した清原の「格」と「舞台」。 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 長嶋茂雄氏を監督の候補にするとかいう以前の問題として-どうする、どうなる、北京五輪・野球日本代表?:

« 「生」観戦した野球場(10)-福岡ドーム | トップページ | 6/15・G-Bs戦最終回、代打清原実現せず-中村監督が配慮した清原の「格」と「舞台」。 »