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2006年12月 7日 (木)

小笠原道大FA移籍でなぜファイターズはジャイアンツに人的補償を求めないのか?

ファイターズからFA宣言した小笠原道大が今週4日、移籍先のジャイアンツで入団発表を開いた。敗戦処理。が予想したように小笠原の方からヒゲを剃ってきたのでヒゲなしの小笠原が印象的であったが、ファイターズとしては気持ちを切り替えて小笠原移籍に対する補償をジャイアンツに求めることを考えなければならない。報道によるとファイターズは人的補償には積極的でなく、金銭面だけの補償を選択する予定だとか。ジャイアンツのプロテクトから外れる選手に小笠原や、本件移籍とは無関係だがSHINJOや岡島秀樹の抜けた穴を埋める程の選手がいるはずはないとはいえ、思わぬ選手がプロテクトから漏れるかも。果たしてファイターズの取るべき選択は?

まず始めにFA移籍に伴う補償の仕組みを整理しておこう。FA補償に関しては野球協約第205条で定められているが要約すると、

FA宣言した選手が日本の他球団に移籍した場合、元の所属球団は移籍先の球団に対し、次のどちらかの補償を求めることが出来る。

1.FA移籍した選手の移籍直前のシーズンの年俸金額と、さらにその金額の20%の額。(元の年俸の1.2倍の金額。)

2.FA移籍した選手の移籍直前のシーズンの年俸金額と、移籍先球団の選手1名。ただしこの場合、移籍先の球団がプロテクトした28名を上限とした選手と外国人選手を除いた選手の中からの任意の1名となる。

つまり、小笠原の例で言えば、小笠原の年俸を3億8000万円とした場合に、ファイターズはジャイアンツから、

1.の場合、3億8000万円×1.2=4億5600万円

2.の場合、3億8000万円+プロテクトされない選手1名

のいずれかを手に入れることが出来ることになる。

ということは、少なくとも3億8000万円は確実に手に入り、あとは差額の7600万円を選ぶか選手1名を選ぶかの二者択一になるのである。

ちなみにこの場合のプロテクトする選手の一覧は前もって提出するものではなく、移籍元の球団から提示を求められた場合のみ提示すればよいそうだ。もちろん非公開を原則としている。

ファイターズが求める選手の価値を年俸で表すのはいささか暴論になるが、単純に考えれば7600万円分またはそれ以上の価値のある選手がプロテクトから漏れれば、ファイターズは人的補償を求めた方が金銭のみの補償より得ということになる。

そこで調べてみたのだが、2006年のジャイアンツの選手でシーズン後に退団、引退が決まった選手を別としてさらに外国人選手を除いた選手を単純に推定年俸順に並べ、上から28人をプロテクトとするとどうなるか?

推定年俸3億4000万円の上原浩治を筆頭に高橋由伸、工藤公康、豊田清、清水隆行、二岡智宏…と淳に並べていくと、推定年俸1500万円の福田聡志、栂野雅史、實松一成の3選手が27位タイで並ぶ。この29選手の中には今季ブレークした内海哲也、矢野謙次、亀井義行といった若手ですら含まれるから、逆にこの29選手以外で実績のある選手となると、シーズン途中から「一番・二塁」に定着した脇谷亮太、先発ローテーションの一角をつかみかけた西村健太郎、三塁の控えだった古城茂幸くらいだ。もちろん脇谷や西村がプロテクトから漏れるはずはなく、そうであるならば7600万円多くもらった方が無難だと考えられる。

「GPROTECT.xls」をダウンロード

この考え方は、ジャイアンツが小久保裕紀に対するホークスからの補償を求める際にも応用出来る。小久保の今季の推定年俸3億円の20%に当たる6000万円相当の選手がホークスのプロテクトから漏れることがあれば、ジャイアンツも人的補償を求めた方が得と言える。

ホークスで同じ方法で28選手を線引きすると、プロテクトから外れる選手には領健、辻武史、田上秀則、仲沢忠厚、本多雄一らがいる。

もちろん実際には球団は年俸の高い順からプロテクトしていくのではないから、ここで上位28人に入らない選手がプロテクトされる代わりに思わぬ実績のある選手がプロテクトから外れることもあり得る訳で、人的補償を検討する球団はその辺がねらい目だろう。

ちなみに過去のFA移籍の際に実際に人的補償でトレードされた選手は以下の5選手である。

川邊忠義(河野博文)

平松一宏(前田幸永)

ユウキ(加藤伸一)

小田幸平(野口茂樹)

江藤智(豊田清)

     カッコ内はFA移籍した選手

FA移籍でジャイアンツ入りした江藤がFAの人的補償でジャイアンツを去ったのは何とも皮肉だが、それはさておき、上記のカッコ内に示したFA移籍選手の顔ぶれを見てみると、大物といえるのは昨年の豊田くらいである。野口も過去にノーヒットノーランを達成した実績があり、1999年にはセ・リーグのMVPを獲得した大物であるが近年は不成績が続いている。

ここでもう一度敗戦処理。の設定を思い出していただきたい。補償を求める側の球団の二者択一は結局のところ移籍する選手の年俸の20%の金額と、プロテクトから漏れる選手のどちらが得かという選択なのである。そしてそれは選手の価値を年俸だけでははかれないにせよ、年俸を一つの目安だとすれば、プロテクトの当落線上の選手の価値が、FA移籍する選手の年俸の20%に相当するか否かということになり、上記の人的補償の実例のようにさほど年俸の高くない、大物でない中堅クラスの選手にFA移籍された球団に限り、原則有効な選択肢になると言えるのだ。

即ち小笠原や小久保、あるいはかつての落合博満や清原和博のような大物選手のFA移籍の見返りに人的補償を求めるのは得策でないと言える。つまりファイターズが金銭のみの補償を求める方向性で検討しているのは極めて妥当だと言えよう。

ただしジャイアンツの場合、昨年は野口獲得の見返りのプロテクトから、阿部慎之助に次ぐ第二捕手に当たる小田が漏れており、ベテラン正捕手の谷繁元信に次ぐ人材を求めていたドラゴンズのお家の事情にぴたりとはまったケースがあるので一応照会を求めるくらいはした方がよいかもしれない<苦笑>

そして補償を出す側としてのジャイアンツが心配すべきことはファイターズへの人的補償ではなく、今季推定年俸7500万円と見られるベイスターズの門倉健をFAで獲得した際にベイスターズから人的補償を求められるケースだ。7500万円の20%はジャイアンツの年俸順のプロテクトでボーダーラインの1500万円とピッタリ一致するからだ!

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