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2007年1月20日 (土)

五人目の外国人選手に内野手を獲得するジャイアンツに戦略はあるのか?

ジャイアンツは19日、かねて交渉中だったロッキーズのルイス・ゴンザレス内野手との契約が合意に至ったと発表した。ジャイアンツの外国人選手は、昨年から在籍しているイ・スンヨプ、ジェレミー・パウエル、姜建銘に加え、既に獲得決定済のデーモン・ホリンズとこのゴンザレスで五人となった。今シーズンからアジア外国人枠が採用されれば、この五人を同時に一軍登録することも可能になる見通しだろうが、内野も外野も守れるオールラウンドプレーヤーのゴンザレスの本職は二塁手。そこには若手が育ちにくいと言われるジャイアンツで、昨シーズン頭角を現した脇谷亮太がいる。ジャイアンツファンの敗戦処理。としても首を傾げたくなる補強だが、そこにどのような戦略があるのか?

今年の年頭、球団事務所の仕事始めの頃に事務所に顔を出したジャイアンツの原辰徳監督がフロントに新外国人選手獲得の進捗状況を確認していたとの記事がスポーツ新聞に出ていた。ホリンズを獲得した時点で、野手のレギュラー候補はおおむね見えてきたので、あらたに外国人を獲得するとしたらゲーリー・グローバーの代わりの先発投手か、抑え投手のどちらかだと想像した敗戦処理。はベースボールフォーラムのジャイアンツ掲示板にもそのニュアンスで書き込みをしてしまったが<苦笑>、ホリンズ獲得の時点でジャイアンツが構想する2007年のオーダーをこんな感じでイメージしていた。

(二)脇谷
(中)鈴木尚
(三)小笠原
(一)イ・スンヨプ
(右)ホリンズ
(左)高橋由
(遊)二岡
(捕)阿部

ちなみに敗戦処理。の好みで選ぶと、こんなバージョン。

(二)脇谷
(遊)二岡
(三)小笠原
(一)イ・スンヨプ
(右)ホリンズ
(左)高橋由
(捕)阿部
(中)矢野

どちらにせよ、新加入の谷佳知と安打製造機清水隆行が代打要員に控える贅沢な布陣だ。これにゴンザレスが加わるのだ。清武英利球団代表はゴンザレスの獲得決定に際して

「若くオールラウンドなメジャーリーガーを獲得でき心強く感じている。ホリンズには一瞬のうちに戦況を変える豪打を、ゴンザレスには高いアベレージと守備を期待する」 (20日付、日刊スポーツより)

と期待を寄せていた 。32歳のホリンズと27歳のゴンザレスというバリバリの大リーガーの獲得は原監督の希望でもあった訳だが、原監督が常々掲げている「実力至上主義」ではベテランの過去の実績も、若手の将来性に賭けるというスタンスもあまり重視されない。脇谷亮太や鈴木尚広を試合に使いながら育てていこうという発想がないから五人目の外国人がオールラウンドな野手なので、そうでなければ投手を獲得するはずだ。もちろんこれは工藤公康がFA補償のプロテクトから漏れてベイスターズへの移籍が決まったから言っている訳ではない。

で、新外国人二人を加えたオーダーはどうなるのだろうか?

(中)鈴木尚
(遊)二岡
(三)小笠原
(一)イ・スンヨプ
(二)ゴンザレス
(左)高橋由
(右)ホリンズ
(捕)阿部

ゴンザレスが脇谷に代わって二塁を守る場合を想定した。脇谷を活かす場合、脇谷が「一番・二塁」でゴンザレスは中堅に回る。新外国人二人が揃って本領を発揮すれば、左右のバランスも取れたなかなかのオーダーになる。

しかしその反面、ジャイアンツは外国人選手のスカウティングが致命的に下手くそで、活躍するのは日本の他球団で実績を残した選手を獲得した時だけというジンクスがあるのはもはや周知の事実。両外国人がスカだった場合のオーダーも考えておかねばなるまい<苦笑>。

(二)脇谷
(中)鈴木尚(清水)
(三)小笠原
(一)イ・スンヨプ
(遊)二岡
(右)高橋由
(左)谷(矢野)
(捕)阿部

ここでようやく谷の名前が出てくる。小笠原道大の加入でどのバージョンでも少なくとも三、四番が固定できるのは心強い。ただ三、四番がともに左打者なので五番には右打者を置きたいところ。内田順三打撃コーチもそのような談話を発していた。これでも谷の復活待ちという点はあるが、そこそこのオーダーだ。それでも野手の外国人を二人も獲得するというのは、昨シーズンの不成績の大きな原因の一つに故障者の続出があったからではないかと推測する。全試合出場を果たした二岡智宏以外の主力がことごとく故障による離脱を経験した。昨年3月31日のセ・リーグ開幕戦、対ベイスターズ戦のスタメンと、極端に故障者が続出した6月8日の対ホークス戦(斉藤和巳投手に内野安打1本に抑え込まれた試合)のスタメンを比較してみよう。

3.31開幕戦   6.8対ホークス戦
(左)清水     →(中)小関
(二)小坂     →(左)木村拓
(遊)二岡     →(指)清水
(一)イ・スンヨプ →(遊)二岡
(中)高橋由    →(捕)阿部
(三)小久保    →(一)斉藤
(捕)阿部     →(右)亀井
(右)亀井     →(三)脇谷
              (二)小坂

これは極端な比較にしても、昨シーズンの故障者続出には本当に泣かされた。シーズン開幕後に獲得した小関竜也や木村拓也をスタメンに加えるなどでやりくりしたが、その小関のベース踏み忘れ事件や木村拓が二塁を守ったゴールデンイーグルス戦で難しくない飛球を落球して決勝点を与えた試合など、付け焼き刃では危機を凌げないことをジャイアンツファンは痛感させられた。それならばシーズン前に盤石な補強をしておこうという発想は理解できないこともない。

しかし一方ではジャイアンツファンの中にも、若手が育たないことへの苛立ちがあるのももはや疑いのない事実だろう。次のシーズンにすぐに結果を出そうとすれば、大型補強に走るのも理解できるが、他球団には人気と実力を備えた二十代前半のスター選手がいるのに、ジャイアンツにはその候補すら浮かばない状況に、苛立っているファンは少なくないはずだ。そんな中で昨年は脇谷がルーキーながら後半は一番打者に定着した。もはや若手とは言いづらいが、鈴木尚もセンターに固定された。開幕時には亀井義行と矢野謙次でライトのポジションを争う状況だった。今挙げたメンバーはまだ一本立ちとは言えないが、彼らのハツラツなプレーに一服の清涼感を味わったファンも少なくあるまい。そこにまた外国人が二人加わっていく。脇谷や鈴木尚が外国人を押しのけてレギュラーポジションを得るようであれば頼もしいが、これでまた彼ら以外を含めた若手のモチベーションが下がる可能性も懸念しなければならないのである。

思い出して欲しい。昨年のジャイアンツは開幕から9カード連続負け越し無しの好ダッシュを切って一時は独走するのではないかとも思えた程だったが、それでも4月のテレビ中継の平均視聴率は過去最低だったのだ。

■巨人戦の視聴率が過去最低 4月の月間で12・6%

  ビデオリサーチは1日、各テレビ局が4月に中継したプロ野球巨人戦ナイターの月間平均視聴率が、関東地区で12・6%だったと発表した。月別の集計がある1989年以降で、4月の月間平均視聴率としては過去最低となった。ビデオリサーチによると、これまで4月の巨人戦ナイターの月間視聴率は、昨年の12・9%が最低。ことし4月で最も低かったのは、26日の対広島戦(TBS)で8・8%。最も高かったのは、21日の対阪神戦(日本テレビ)で16・3%だった。巨人は原辰徳新監督の下、4月末で2位中日に4ゲーム差をつけて首位に立っており、好成績が視聴率に結び付かない結果となっている。(共同通信、2006年5月1日)

【参考資料】ビデオリサーチ社「プロ野球巨人戦・月平均世帯視聴率」http://www.videor.co.jp/data/ratedata/program/07giants.htm

今シーズンからお膝元の日本テレビすらジャイアンツ戦を地上波からBSデジタルに移管する方針を打ち出している。昨シーズン途中からの急激な失速での低迷だけが視聴率低下(=ファンのジャイアンツ離れ)の原因と考えては見誤る。昨年の4月のデータを省みれば、ただ単に勝てるチームにすればよいというだけではないことに気付かねばならないのだ。即ちチームとして魅力をアップして放映権収入を減少させないためには、もちろんチームが強くあることが必要条件であるが、それだけではもはや十分条件には成り得ないという視点が必要だと敗戦処理。は強調しておきたい。

そしてそこまで考えるのであれば、五人目の外国人に若手の成長の芽を摘み、モチベーションを低下させる懸念のある野手を獲得するよりも、まだまだ盤石とは言えない投手を獲得する方が理にかなっているのではないか。

取りあえずジャイアンツの昨シーズンの投手編成を振り返っておこう。

【先発】上原、内海、パウエル、西村、姜、グローバー
【中継ぎ】久保、林、前田、真田、野間口、福田
【抑え】高橋尚、豊田

この中からグローバーが抜け、FAで門倉健を獲得した。桑田真澄を自由契約にしたが、工藤には復活を期待していた。またドラフトの希望枠で獲得した金刃憲人には即戦力の期待が大きい。ただ抑えの豊田清には往年の絶対的抑えという信頼感を置きがたいし、半年かけてようやく様になりつつある感じだった高橋尚成を抑えから先発に戻し、姜を抑えに回す構想を原監督は抱いているようだ。だとすれば抑えが不安だからストッパーの務まりそうな外国人を探してくるとか、エース上原ですら白星が一桁に終わるシーズンが二年続いていることを考えて先発完投型の投手を獲得するという考えがあって然るべきではないのか。昨年は尾花高夫投手総合コーチの就任もあってチーム防御率を一昨年の4.80から3.65と改善されたが、それでもリーグ1位だったドラゴンズの3.10に比べるとまだまだで、改善の余地はあるはずだ。

昨シーズンの敗因を踏まえ、チームを強くすることと、魅力のあるチームにして地上波で放送される試合を増やして放映権収入を増やすことは、二大使命であって、ベクトルが同じ方向を向いているようでそうではないらしく、この二大使命を同時に果たすのは至難の業と思われる。そのための改善(例えば補強)に戦略なりが垣間見られれば期待できるが、この外国人選手の獲得一つを見ても現時点ではそう言い切れない。

敗戦処理。は「女子アナがデジアナになる」四年後まで今家にあるテレビと付き合っていこうと考えているのだが、CSと契約しなければジャイアンツ戦を観ることが出来なくなる日がマジで近づいてきているようで淋しい限りである。

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