小笠原デビュー戦も観られない!?-巨人戦地上波中継激減を象徴するオープン戦の中継予定
いよいよ1日から、ジャイアンツのオープン戦が始まる。ジャイアンツは札幌ドームでの対ファイターズ戦から25日の東京ドームでの対カープ戦まで19試合を予定している。敗戦処理。が先日購入した3月31日までのテレビ番組の一覧が掲載されている「デジタルテレビガイド4月号」(東京ニュース通信社刊)によると、ジャイアンツのお膝元、関東圏でジャイアンツのオープン戦を地上波で観戦できるのは2試合のみ。その2試合も同誌を読む限りではダイジェスト放送という感じだ。FA移籍した小笠原道大がジャイアンツのユニフォームを着て古巣の札幌ドームのグラウンドに立つオープン戦初戦も、開幕直前の最後の土、日の本拠地東京ドームでの対カープ二連戦も同誌によると地上波での中継予定がない。そういえばこの時期恒例の、キャンプ生中継も今年は日本テレビで放送していない。公式戦に関しては日本テレビがジャイアンツ主催試合の地上波での中継を昨年の63試合から今年は42試合に減らす(3分の1減。その分は地上波からBS日テレに移す)と発表しているが、それに加え、同局の久保伸太郎社長は原則放送時間の延長をしないことを昨日26日、表明した(本拠地開幕カードの4月3日からの対ドラゴンズ三連戦は30分の延長枠を設定)。同じグループの日本テレビですらそうなのだから、他球団主催の対ジャイアンツ戦を中継する他の民放局は推して知るべしだろう。もはや巨人戦は地上波ではたまにしか観ることが出来ない時代になってしまったのか?
個人的には昨年の印象ではBSデジタル各局によるジャイアンツ戦中継は、基本的には試合終了まで中継してくれるのでありがたかったが、普及のスピードが速まっているとはいえまだまだ地上波がテレビの王道。地上波での露出が減ることはプロ野球人気の衰退に拍車を掛けることに結びつきかねないと敗戦処理。は懸念している。
ジャイアンツと同じ読売新聞社のグループである日本テレビは日本で最初に普及した民放テレビとして、他系列より早く全国各地へのネットワークを張り巡らしていった。その日本テレビ系列でジャイアンツの主催試合はジャイアンツのお膝元、関東圏のみならず全国各地で放送されていった。批判する向きもあろうが、その事実が日本において「プロ野球」というスポーツがスポーツの中で特に人気のあるスポーツになっていった経緯に貢献していることはほぼ間違いないだろう。またジャイアンツは、日本テレビの系列局が各地方で後発の他系列の放送局との競争におけるキラー・コンテンツとしても重宝された。特に地元にプロ野球チームがない地域において、ジャイアンツの人気は高かった。その日本テレビがジャイアンツ戦の中継を地上波からBSデジタルにシフトしていくというのはジャイアンツの人気の凋落ぶりが尋常でないことを示唆している。しか厄介なことに昨年のようにジャイアンツにしては珍しいスタートダッシュに成功した年でさえも、4月のジャイアンツ戦中継の視聴率は歴代の4月の数値としては最低だったという。もはや強くなっただけでは解決できない問題なのかもしれない。
今年1月20日にエントリーした「五人目の外国人選手に内野手を獲得するジャイアンツに戦略はあるのか?」で引用した昨年4月のジャイアンツ戦の視聴率に関するニュースを再掲載しよう。
■巨人戦の視聴率が過去最低 4月の月間で12・6%
ビデオリサーチは1日、各テレビ局が4月に中継したプロ野球巨人戦ナイターの月間平均視聴率が、関東地区で12・6%だったと発表した。月別の集計がある1989年以降で、4月の月間平均視聴率としては過去最低となった。ビデオリサーチによると、これまで4月の巨人戦ナイターの月間視聴率は、昨年の12・9%が最低。ことし4月で最も低かったのは、26日の対広島戦(TBS)で8・8%。最も高かったのは、21日の対阪神戦(日本テレビ)で16・3%だった。巨人は原辰徳新監督の下、4月末で2位中日に4ゲーム差をつけて首位に立っており、好成績が視聴率に結び付かない結果となっている。 (共同通信、2006年5月1日)
【参考資料】ビデオリサーチ社「プロ野球巨人戦・月平均世帯視聴率」http://www.videor.co.jp/data/ratedata/program/07giants.htm
最初の話題に戻ろう。公式戦でこうなのだから、オープン戦の中継が減るなどというのは今さら騒ぐに値することではないのだろう<苦笑>。
ちなみに昨年はどうだったか。昨年のジャイアンツは17試合のオープン戦を組んでいたが、生放送ではなく時間帯をずらしての録画中継が5試合、深夜にダイジェスト中継をされたのが4試合とライブ感があり、ファンを満足させる中継だったかは疑問だ。
余談だが日本テレビによる1時間枠でのダイジェスト中継は酷い。点の入ったイニングを優先に、3時間前後の試合を無理矢理に1時間弱に収めているが何が何だかわからない。時には得点の入ったイニングも飛ばされ、画面の片隅に映る得点を常に注視していないとどちらがリードしているのかわからない。おそらく視聴者の評判は芳しくなかったのだろう。今年のオープン戦では無くなった。視聴者に受けなかったのは編集の下手さであるか、1時間に埋め込むのがそもそも無理だったかのどちらかだろう。しかしだからといって、改善を考えずに番組を辞めてしまうのは如何なものか?
昨年はオープン戦の時間帯(昼間)にWBCの日本戦と重なるケースもあったのでジャイアンツの試合に視聴率が見込めないという背景があったので中継が減ったのも納得できた。皮肉だがジャイアンツ戦をリアルタイムで地上波で観戦できたのは日本代表チームとの練習試合だけであった。(中国代表チームとの練習試合は中継無し)ほんの五年前、原辰徳監督の一年目にはオープン戦18試合中13試合が地上波で中継された。録画やダイジェスト放送も含んでの数字だが、すべて試合が行われた日の日中に放送されているという点でこの二年間とは格段の違いだ。
ちなみにジャイアンツの公式戦の主催試合の前売りチケットが発売開始になった先週の24日、敗戦処理。は夕方17時過ぎに東京ドームの前売りコーナーに行ってみたが発売開始した4月3日からの対ドラゴンズ三連戦と同6日からの対タイガース三連戦の計6試合、どの試合も外野指定席以外はまだ残っていた。
もはやジャイアンツの試合は、地上波ではほとんど観られない時代に確実に向かっているのだろう。淋しい限りだ。
関連エントリー
五人目の外国人選手に内野手を獲得するジャイアンツに戦略はあるのか?(2007.1.20)
P.S.
ところでこのエントリーの内容とは全く関係ないが、ジャイアンツの今年の選手を年齢とポジションで分けた一覧表を Excel で作成した。二十代のレギュラー選手が阿部しかいない、先細りしそうなメンバー構成だ。興味のある方はダウンロードして下さい。「2007G-playerslist.xls」をダウンロード
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント