「生」観戦した野球場(27)-札幌ドーム
いろいろな野球場で日本のプロ野球を観てきました。その数40以上。だからどうしたと言われればそれまでですが。
このコーナーでは敗戦処理。がプロ野球の試合を観戦した野球場について順に書いていこうと思います。月に1~2球場の割合で書いていこうと思います。また、シーズン中に新たな球場に行ったら加筆していこうと思います。
第27回 札幌ドーム 観戦球場ファイル-26-
今回は敗戦処理。が応援するファイターズが2004年から本拠地にしている札幌ドームを取り上げる。札幌ドームは2001年6月にこけら落としが行われた。日本で六番目のドーム球場である。こけら落としのカードは例年札幌円山球場で行われていたジャイアンツの年一回のいわゆる札幌シリーズで、6月26日からの三連戦。対戦相手はドラゴンズで福留孝介が札幌ドーム第1号の本塁打を放った。
札幌ドームが他のドーム球場と決定的に異なる点は屋根やスタンドを可動式にすることで隣接するサッカー施設を全天候で使用できる点。北海道という土地柄必要不可欠なシステムと言えよう。こちらはJリーグのコンサドーレ札幌がホームグラウンドとして使用しているが、同クラブがJ2に降格してからは、より使用料の安い施設で試合を行うようにシフトされ、降雪等に悩まされる時期のみ札幌ドームを使用するようになったという。
ドームが出来た時点ではプロ野球チームが本拠地として使用する話がまとまっていた訳ではない。最初に手を挙げたのはファイターズではなくライオンズ。埼玉県の所沢にある本拠地をそのままに、札幌ドームを準本拠地と設定し、年間20~30試合程度の公式戦を行う構想を当時の堤義明オーナーが語っていた。
実際ライオンズはジャイアンツがこけら落としをした約半月後、マリーンズを相手に札幌ドームで三連戦を主催した。
ライオンズが「準本拠地化」という新たな概念を打ち出したのは、本拠地の西武ドームでの観客動員が頭打ちになっているので、これまでプロ野球チームの本拠地になったことのない地域に足を伸ばすという発想があったのだろう。ただし完全移転となると自社で所有する西武ドームの利用価値がなくなるため、二股をかけるしかなかったのだろう。そうは言えない堤オーナーはこの当時「(札幌では)増やしても30試合にとどめたい。北海道という土地は各地の人たちと交流があり、いろいろな球団の主催でゲームをやれば各地の出身の人が楽しめるから」と答えていた。
当時この件に関して@niftyのベースボールフォーラムの議論系の掲示板の常連の論客の一人が、「ライオンズの選手達は所沢の本拠地の近くに住んでいる選手が多く、札幌で試合を開催するたびに彼らが羽田空港まで車で移動するのは道路渋滞や時間を考えると強烈なストレスになる」と懸念していたが、幸いにもその懸念は杞憂に終わった。東京ドームを本拠地とするファイターズが全面移転を打ち出したのである。
十二球団で最も多くのファンを持つジャイアンツと本拠地を同じにすることで差別化、独自性を打ち出せなかったファイターズは東京ドームが出来た当時こそ主催者発表ながらリーグトップの観客動員を誇っていたがその後は年々ジリ貧状態で、抜本的な打開策が必要な時期だった。2002年3月21日、日刊スポーツなどが一面でファイターズの北海道移転計画を報じた。
これに慌てたのがライオンズ。2002年の開幕戦を両リーグ同一日にし、出来るだけ日本全国各地で試合を行おうという企画に乗って、開幕戦を所沢でなく札幌ドームで行うことにしたくらいで、オーナーの準本拠地化構想に沿う実績造りをしていたところに寝耳に水だった。
地元札幌、北海道の人々の声も、松坂大輔、松井稼頭央らスター選手の多いライオンズとはいえ、完全な移転でない形では「オラが街のチーム」との愛着を持てないと思ったのだろう。まだSHINJOも在籍しておらず全国区の選手などいないものの、完全に移転する球団の方に思い入れが強くなるのは当然だろう。
この両球団による札幌ドーム争奪戦には裏があり、ファイターズが札幌ドームに移転してしまうと、空いた東京ドームはその分を埋めようとして、石原慎太郎東京都知事が構想を持っているといわれる後楽園競輪の復活話が本格化する(東京ドームの位置は後楽園競輪の跡地)。そうなると西武グループが運営する西武園競輪にとっては客足が奪われて大きな打撃を負いかねないというのっぴきならない背景があったのではないかと、この当時インターネットの巨大掲示板で囁かれたものだった。ファイターズの札幌ドーム移転が明らかになったこの年、親会社の日本ハムの食肉偽装問題が発覚したのは偶然ではないとも巨大掲示板では囁かれた。もちろん根拠があっての話ではないが。
敗戦処理。の札幌ドーム初観戦はファイターズの移転計画が明らかになるちょっと前の2002年3月9日、ジャイアンツ対ライオンズのオープン戦だった。松井秀喜、清原和博による二者連続本塁打が飛び出し、圧倒的に多いジャイアンツファンを驚喜させたが試合は引き分けだった。その後ファイターズが移転してから2004年と2006年にそれぞれゴールデンウイークに生観戦した。これまではすべてデーゲームなので、今度はナイトゲームも観てみたいものだ。
ご承知の通り昨年、移転三年目のファイターズが日本一を勝ち取った。特にシーズン終盤から、地元ファンによる圧倒的なホームアドバンテージの元で試合が行える環境が整った。東京ドーム時代、ヘタをすると本拠地なのに相手チーム応援団の熱気に圧倒されかねなかった時代を知るものにとって隔世の感がある。甲子園とも、福岡ドームとも異なる独特の雰囲気が球場全体を覆っているといわれる。
奇しくも今夜、今年初めての札幌ドームでのファイターズの試合が行われる。小笠原道大が抜けてチーム力の低下が懸念され、スーパースターSHINJOの引退で集客力のダウンも間違いない中、ファイターズが道民球団として本当に定着するかはこれから一、二年が勝負だと思う。「札幌、北海道の人達は熱しやすいが冷めやすい」といわれる。球団としては何が何でも東京ドームバブルの二の舞いは避けなければならないし、札幌ドーム側としてはチームの強弱に左右されない、長く安定した動員力があって初めて「オラが街の球団」だという危機感があるだろう。先日表明したネーミングライツの件は札幌ドーム自体の問題ではなく札幌市自体の歳入増大計画の一環と聞いているが、昨年の大ブームに浮かれない、地に足のついた将来展望に基づいての計画であれば肯定したい。
ちなみに札幌ドームのネーミングライツをどんな企業が買うのか、@niftyのベースボールフォーラムの北海道日本ハムファイターズ掲示板で予想してみたのでご一読いただければ幸いである。3700.札幌ドームの命名権はどこへ?
初観戦した2002年時の札幌ドーム内観。冒頭の、昨年5月に撮影した写真と比べると、この頃あった内野席のネットが取り外されているのがわかる。横浜スタジアムという前例があるものの、結構大胆だ。
(見分けづらいですね。ゴメンナサイ)
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コメント
シュボ様、再コメントありがとうございます。
> 日帰りでは厳しいですし、東京主催試合もありますし、見れないわけではないですから仕方ないところもありますよね。
札幌ドーム、デーゲームですが日帰り生観戦したことありますよ。
> 知ったのは最近なんですが番組自体は9年目だそうで、現役中ずっとやっていたようです。
そうだったのですか、全然知らなかった。
> 例えば2012年の日本シリーズの巨人加藤の頭部死球の時にあれは野球選手であれば当たり前、ブーイングが残念だったというような話もしてましたし、なかなか奥が深いです。
あれは見抜けない審判員が悪いのですよ。ただ現地のブーイングは誤審に対してと言うより加藤や原監督、ジャイアンツに向けたものだったでしょうね。
> 札幌ドームに関してもかなり辛口にコメントしておりますて、PCやスマホでも過去分のアーカイブが全国どこでも聴けますのでお時間ある時に聴かれるとおもしろいと思います。
番組のURLは最初のコメントのブログ欄のアドレス(URL):(任意)のところに入れておりますので。
ありがとうございます。今度聞いてみます。
投稿: 敗戦処理。 | 2014年11月23日 (日) 01時42分
>>シュボ様、お久しぶりです。コメントをありがとうございます。
お久しぶりです。今年は忙しかったものでツイッターも放置し、なかなかこちらのコメントも書けておりませんでしたが最近やっと時間が出来たもので(苦笑
>>ファイターズファンを語りながら、十二球団の本拠地で最も観戦が遠ざかっているのが札幌ドームなんですよ。
日帰りでは厳しいですし、東京主催試合もありますし、見れないわけではないですから仕方ないところもありますよね。
>>ほう、金子誠はもう新しい分野に飛び込んでいるのですね。
知ったのは最近なんですが番組自体は9年目だそうで、現役中ずっとやっていたようです。
過去7年分くらいは聞けて、例えば2012年の日本シリーズの巨人加藤の頭部死球の時にあれは野球選手であれば当たり前、ブーイングが残念だったというような話もしてましたし、なかなか奥が深いです。
札幌ドームに関してもかなり辛口にコメントしておりますて、PCやスマホでも過去分のアーカイブが全国どこでも聴けますのでお時間ある時に聴かれるとおもしろいと思います。
番組のURLは最初のコメントのブログ欄のアドレス(URL):(任意)のところに入れておりますので。
投稿: シュボ | 2014年11月22日 (土) 22時33分
シュボ様、お久しぶりです。コメントをありがとうございます。
> 最近、金子誠選手のFMラジオ番組を見つけまして過去分もネットで聞けましたので、まとめ聴きしているのですが
ほう、金子誠はもう新しい分野に飛び込んでいるのですね。
> 敗戦処理さんも球場日記を書いていたなと思い改めて過去記事ですがコメントさせて頂きました。
ファイターズファンを語りながら、十二球団の本拠地で最も観戦が遠ざかっているのが札幌ドームなんですよ。
2009年の日本シリーズを最後に行けてません。来季こそは…
> ただ、番組の中で金子選手が言っている問題もやはり課題になりそうです。
時間があったらその番組を聴いてみたいですね。金子誠は何を言っているのか?
投稿: 敗戦処理。 | 2014年11月22日 (土) 20時46分
すみません、文が途切れていたので2回に分けての投稿になってしまいました。
敗戦処理さんが記事中に書かれていましたがその後数年で札幌にファイターズ根付きましたね。
ただ、番組の中で金子選手が言っている問題もやはり課題になりそうです。
投稿: シュボ | 2014年11月21日 (金) 07時32分
おはようございます。
最近、金子誠選手のFMラジオ番組を見つけまして過去分もネットで聞けましたので、まとめ聴きしているのですがそこで札幌ドームの話があり、敗戦処理さんも球場日記を書いていたなと思い改めて過去記事ですがコメントさせて頂きました。
金子誠選手のラジオ番組のその回のURLアドレスに貼らせて頂きました。
投稿: シュボ | 2014年11月21日 (金) 07時23分