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2007年3月18日 (日)

敗戦処理。的新ドラフト案-入札+アドバンテージ付き抽選方式

ライオンズ球団の「栄養費」問題発覚を受けて、それがなければ現行方式を継続する予定だった今秋のドラフト制度に関して、再検討することになった。21日に行われる十二球団代表者会議で希望枠の撤廃を含むドラフト制度案を議論するとのことだが、敗戦処理。も無い知恵を絞って新しいドラフト制度を考えてみた。それは…。

敗戦処理。が考えた新ドラフトは、いわゆるウェーバー制ではなく、入札方式。「江川問題」を受けて制度改定されて1978年秋のドラフト会議から逆指名制度が採用される前の1992年秋のドラフト会議までのシステムに近い。

もちろん希望枠、自由獲得枠、逆指名など名称の如何を問わず、ドラフト対象選手から球団を指定できる制度はこの際廃止する。

まずドラフト会議だが、最近二年間のように分離開催をせず基本的に一回で高校生、大学生、社会人、独立リーグ(四国アイランドリーグ、北信越ベースボールチャレンジリーグ)の選手をすべて同時に会議にかける。

この2点を前提として、

各球団はまずドラフト1位で交渉権獲得を希望する選手を入札する。

この時2球団以上の指名(競合)がなければ、指名した球団に交渉権が与えられる。

2球団以上が指名した選手に関しては指名した球団間で抽選となる。ただし過去の入札制度下での抽選とは異なり、ウェーバー順位によってアドバンテージを付けた抽選方式を行う。

例えば、ある選手をAとBの2球団が指名した場合。

ウェーバー制上位のA球団が「当たり」1枚、「外れ」1枚が入った抽選箱から先に1枚を選び、その場で開封。「当たり」であればA球団にその選手の交渉権が与えられる。しかし「外れ」の場合、B球団に交渉権が与えられるのではなく、B球団は再度「当たり」が1枚、「外れ」が1枚入った抽選箱から1枚を選ぶ。これでB球団が「当たり」を引いたならばB球団に交渉権が与えられるが、B球団も「外れ」を引いた場合はA球団に交渉権が与えられることにする。

この方式だと、従来ならA球団とB球団の抽選での確率は五分五分だったところを、単純計算でA球団75%、B球団25%という確率になり、下位球団に有利になることで戦力の均衡化を目的とするドラフト制度の根本的な考えにも即しているといえる。

3球団が指名した場合はどうか。

競合する球団が増えようと、抽選箱の中身は変えない。常に「当たり」1枚、「外れ」1枚が入った抽選箱からウェーバー上位の球団から順に引いていく。ウェーバー最上位のA球団が最初に2枚の中から1枚を選ぶ。即ち50%の確率で指名選手の交渉権を獲得する。ウェーバー順位二番目のB球団が抽選できる確率は、A球団が「当たり」を引かなかった場合のみだから、その時点で50%。そこで確率50%の抽選に挑む訳だから、B球団が交渉権を獲得できる確率は50%×50%で25%。残ったC球団が抽選できる確率はAもBも「当たり」を引かない場合のみなので、その時点で25%。そこで確率50%の抽選に挑む訳だから、C球団が交渉権を獲得できる確率は25%×50%=12.5%である。なおA、B、Cがいずれも「当たり」を引かない確率は100から502512.5を引いた12.5%だが、この場合は抽選二巡目に入るのでなくウェーバー制最上位のA球団に交渉権がわたることにしているのでA球団の交渉権獲得率は最初に自分で「当たり」を引く50%プラス全部が「当たり」を引かない12.5%で62.5%となる。つまりこの抽選方式で交渉権を獲得できる確率はA球団62.5%、B球団25%、C球団12.5%となる。

4球団以上が指名した場合も同様のシステムで抽選を行う。この方式であれば、指名が競合して抽選になる場合にウェーバー順位が上位の球団が常に確率上有利になるのだ。

ウェーバー順位を尊重したいのなら完全ウェーバー方式のドラフトでいいじゃないかという反論が当然あるだろう。ドラフト制度に抽選という要素を残すことで、以前の入札方式の時代のようにドラフト会議を一つのイベントとしてテレビで放映させ、NPBが放映権料を得ることが出来るからだ。実際当時はドラフト制度に因んだ名前のビールを発売していたサッポロビールが番組スポンサーになってドラフト会議の模様が地上波で生中継されていた。

もちろん今から約二十年前の出来事だから阿部寛がドラフトワン公国の王子に就任する前の出来事だが。

なお、上記の抽選方式における確率の計算は、数学が得意でない敗戦処理。が計算したものだが、たぶん間違ってはいないと思う<苦笑>。もしもこの方式では確率に差が出ないということであれば、ウェーバー上位の球団が2枚の中から1枚の「当たり」を選び、外れた場合に二番目の球団は3枚の中から1枚の「当たり」を選ぶようにと、徐々にハードルを高くすることによって、ウェーバー順位が上の球団への優位性を保てばよいと思う。

ドラフト1位での重複による抽選に外れた球団による、いわゆる「外れ1位」指名はウェーバー順位に基づいて順番に指名することにする。この場合はあくまでウェーバー順で、指名した時点で交渉権は確定することとする。

高校生も大学生も社会人も独立リーグも同時に一回のドラフト会議にかけるという点を考えると、この方式をドラフト3位までくらい続け、4位以降はウエーバー制で構わないのではないか。

これが敗戦処理。的新ドラフト案、入札+アドバンテージ付き抽選方式である。

なお、ドラフト制度改革論者にはウェーバー方式こそ理想のドラフト制度だと論じる人が多い。ウェーバー方式に関する敗戦処理。の考えを述べておきたい。

その前にウェーバー方式の定義を確認しておこう。

基本的にウェーバー方式とは順位が低かったチームから順に指名するシステムで、例えば日本シリーズに敗れたチームの方のリーグの最下位の球団が1番で、次は日本シリーズに勝ったチームの方のリーグの最下位球団で、3番目は日本シリーズに敗れたチームの方のリーグの5位だった球団。こうやって順番を決めると、日本シリーズに敗れた球団が11番目で日本シリーズに勝った球団が12番目になる。

指名した順に交渉権が確定してしまうので、自球団より先に指名予定選手を指名されてしまった球団は諦めて他の選手の指名に切り替えなければならない。

全球団が1巡目の指名を終えたら、2巡目は1巡目の逆の順番で指名していく。以後3巡目以降、その繰り返しになるというもの。

なお最近二年間の高校生ドラフトではシーズンの順位が確定する前に行われたため、前もって決めた日時の順位。リーグ間の順序はオールスターゲームの結果を基準とした。

ウェーバー方式の最大の利点は下位球団からの指名、競合抽選無しということで戦力の均衡化という目的にそぐっている点と言われているが、敗戦処理。はこれにも異議を唱えたい。どうせやるなら、一巡目から何巡目であろうと、常に下位球団から指名していくようにしないと、新人選手のレベルが均一化されないからである。

例えば十二球団が上に挙げたウェーバー方式で各8人の選手を指名するケースで考える。

12球団×8人=96人の選手が指名される訳だ。あくまで机上の計算だが、ドラフトに参加する球団の補強ポイントが同じで、スカウトの目利きも同じであれば、この96人の評価(1番から96番というランク付け)は同一になる。つまりウェーバーにより事前に指名の順番は決められているが、どの球団が一番目の指名権を持っていたとしても同じAという選手をドラフト1位で指名するという前提で考える。このA選手は96人中のナンバーワンだから96点とし、二番目の球団が1位で指名するB選手は95点、三番目の球団の1位指名選手は94点とし、一番最後に指名される選手を1点として各球団が1位から8位までで指名した選手の得点を合計すると、どの球団も388点で同じになります。

計算例

ウェーバー1番目の球団が指名する選手の得点

1位指名 96

2位指名 73

3位指名 72

4位指名 49

5位指名 48

6位指名 25

7位指名 24

8位指名  1

8人合計 388

ウェーバー6番目の球団が指名する選手の得点

1位指名 91

2位指名 78

3位指名 67

4位指名 54

5位指名 43

6位指名 30

7位指名 19

8位指名  6

8人合計 388

ウェーバー12番目の球団が指名する選手の得点

1位指名 85

2位指名 84

3位指名 61

4位指名 60

5位指名 37

6位指名 36

7位指名 13

8位指名 12

8人合計 388

このように巷間言われるウェーバー方式では机上の計算上は新人選手のレベルは均一になりますが、「戦力の均衡化」という意味では既存の選手に差があることを考えると、新人選手の均等配分が(チーム全体の)戦力の均衡化に影響が少ないと敗戦処理。は思っています。

そこでドラフトが何位まで続こうと、常に下位チームから指名するようにしたらどうでしょうか?

計算例

ウェーバー1番目の球団が指名する選手の得点

1位指名 96

2位指名 84

3位指名 72

4位指名 60

5位指名 48

6位指名 36

7位指名 24

8位指名 12

8人合計 432

ウェーバー6番目の球団が指名する選手の得点

1位指名 91

2位指名 79

3位指名 67

4位指名 55

5位指名 43

6位指名 31

7位指名 19

8位指名  7

8人合計 392

ウェーバー12番目の球団が指名する選手の得点

1位指名 85

2位指名 73

3位指名 61

4位指名 49

5位指名 37

6位指名 25

7位指名 13

8位指名  1

8人合計 344

「waver-draftsystem.xls」をダウンロード

このように差が付く訳です。昨年までの最近五年間のリーグ順位をみてみると、五年間で四回以上Bクラスに低迷している球団がパ・リーグに二球団、セ・リーグに二球団。しかも両リーグに一球団ずつ五年間ずっとBクラスに居続ける球団があります。逆にこの五年間で四回以上Aクラスになっている球団がパ・リーグに二球団、セ・リーグには一球団あります。この三球団は五年間ずっとAクラスに定着しています。このことからわかるように、日本プロ野球界はれっきとした格差社会であり、新人選手のレベルに差をつけることで球団間の格差を埋めるという発想があっても良いのではないかというのが敗戦処理。のウェーバー方式に関する考え方です。

もちろん各球団ごとにドラフトでの補強ポイントは異なりますし、スカウトのいわゆる目利きぶりも球団によって能力に差があるでしょう。あくまで上の計算例は机上の空論に過ぎませんが、戦力の均衡化を目指すのがドラフト制度の趣旨であるとすれば、全順位下位から指名するウェーバードラフトであってこそ、ウェーバー方式にする意義があると敗戦処理。は考えます。但し、このドラフトが五年から六年くらい続けば、ある程度球団間格差も一応は縮まるはずです。そこから先は各球団の企業努力に期待する意味で従来型の一巡するごとに下位チームから指名したり、上位チームから指名したりするウェーバー方式に替えることを検討すべきでしょう。

入札+アドバンテージ付き抽選方式に話を戻すと、指名競合時の抽選におけるアドバンテージは1位から3位まで入札を実施するとして常にウェーバー上位順とし、4位以降を純粋にウェーバー方式にするとしても、全順位ウェーバー上位順からの指名にすべきと考えます。

またウェーバー方式を否定する人の中には、ウェーバーの順番をよくしようと、シーズン終盤にわざと負けて順位を下げようとする球団が出てくることを危惧する人がいます。たしかにそういうことがあっても不思議ではありません。特にこの二年間の高校生ドラフトのように、シーズン中のある時点での順位を基準に決めるとなると、「残り試合で挽回すればいいから、ここは負けて順位を下げておこう」という考えで5位と6位を争っている球団が不届きなことを考えかねません。これに関しては日本プロ野球選手会も提案しているように、例えば下位三球団が当日くじ引きなどをして指名順を決めるとかで防げると思いますし、あるいは十二球団全部を勝率順に並べるというのも(直接対決を減らす)有効かと思います。

なおマリーンズのボビー・バレンタイン監督が提案したという、新人選手の年俸や契約金を指名順位ごとに一律にするというのは、現状、FA移籍する選手が移籍初年度は前年と同額にしても、その分を二年目以降に上乗せするような契約をしているのと同じ手段で二年目以降に差をつけるという裏道が考えられるのであまり有効なことではないように思えます。

最後になりますが、ドラフトで希望球団に入れる道をなくすとアマチュアから直接アメリカ大リーグ(またはそのマイナー)に挑戦する選手が増えるという懸念に対しては、不正の温床となり得る制度をいつまでも慣行として残していることの方が日本球界がアマチュア選手から敬遠される理由になり得ると思うのでこの際名称の如何を問わず、選手が希望球団を選んで入団できる制度は廃止すべきでしょう。ただしFA権取得までの期間を短縮せよと言うならば、大リーグのような六年間というのでなく、現行より一年短縮の最短八年間にとどめるべきでしょう。国外移籍は現状通りとしておくのも良いかもしれません。

完全ウェーバー方式もドラフトに関わる不正を根絶する意味でかなり有力な方法だとは思いますが、要は希望枠、逆指名制度など、選手に球団を選べる制度がある限り球団側が不正な方法でアマチュア選手に接触する可能性があるということなのであればそれらをなくせばよいわけで、そこから先はウェーバーでも入札式でもさほど変わらないように思います。今は世論は「不正許すまじ」という風向きになっていますが、野球ファンが「ドラフト会議」にある種のドラマ性を期待しているのは確かだと思います。敗戦処理。案の入札+アドバンテージ付き抽選方式であれば、くじ引きというドラマ性も保たれ、なおかつ下位球団への配慮も保てているのでオススメだと思いますがいかがでしょうか?

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