「やっぱり!」と「なんで?」が交錯するベイスターズ那須野:契約金5億3000万円だったとのニュース
12日に発売された週刊文春4月19日号(文芸春秋社刊)に2004年秋のドラフトで横浜ベイスターズが自由獲得枠で獲得した当時日本大の那須野巧投手に球界で標準としている額を遙かに超える契約金と年俸を支払っていたことがスクープされた。ベイスターズはそれに先立ち前日の11日にこの事実を公表したが、渦中のライオンズ球団の「栄養費」問題で調査委員会の調査の中で「他球団に遅れを取る訳にいかない」との供述があったとされたがまさにそれが白日の下に晒された形だ。敗戦処理。を含め、大半のプロ野球ファンは今回のライオンズの件にせよ、かつての一場靖弘の件にせよ、発覚した件が特殊な例ではなく、「他にもあるだろう」との疑念を抱いていただろう。敗戦処理。も那須野の件を聞いて「やっぱり!」と「なんで?」の思いが交錯した。
(写真は2004年7月19日にジャイアンツ球場で行われた大学生日本代表対社会人日本代表の壮行試合に大学生日本代表の二番手として登板した時の那須野。ちなみに先発は一場だった…。)
既にこれらの報道で触れられているので承知の方も多いだろうが、選手の入団時の契約金の上限を「1億円プラス出来高払いで5千万円まで」としているのはあくまで目安に過ぎない「標準」であって野球協約などの規定なり規則ではない。十二球団はプロ野球界の中にあるがそれぞれが独立した法人であり、金銭的条件の上限を一律に定めてしまうと独占禁止法に抵触してしまうおそれがあるから、あくまで目安に過ぎない「標準」なのである。したがってそれを逆手にとってこの標準額を超える金額を払って選手から逆指名を得たり、自由獲得枠や希望枠で指名している球団はきっと存在すると敗戦処理。は思っていた。だから「やっぱり!」なのである。
一方で一人の即戦力が見込める大学生を獲得するのに、いくらその年のドラフトの目玉の一人だと言っても標準の3倍以上、5億を超える金額を動かさないと獲得できないのかという驚きがあり、それが「なんで?」なのである。
確かに2004年のドラフト候補の中で、当時日本大の那須野巧は「和製ランディ・ジョンソン」と例えられる逸材だったと記憶しているがそれにしても…である。契約金が5億3000万円だったということは4億円だったら他球団に獲られていたかもしれないと言うことなのか(相対評価)、それとも那須野の能力、将来性などを評価したらウラ相場として5億3000万円という見積になったのか(絶対評価)気になるところだ。これは那須野が入団してから二年間で一年目1勝、二年目3勝と今のところ、とてもそれほどの大金を注ぎ込んでまで獲得するほどの逸材ぶりを発揮していないから言っている訳ではない。金額が桁外れだから言っているのである。しかし週刊文春と同じ日に発売された週刊新潮4月19日号(新潮社刊)によるとこの金額も驚くほどの金額ではないらしい。
さらにもう一つの「なんで?」は時期的に一場靖弘への「栄養費」が発覚し、当時の砂原幸雄オーナーが辞職していた矢先にこのような掟破りな契約を結んでいたということ。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺があるが喉元で忘れている。それこそ「舌の根も乾かぬうちに…」である。ベイスターズでの那須野担当スカウト、元外野手の中塚政幸スカウトは週刊文春とスポーツニッポンの取材に対し標準を超える額での契約に何の後ろめたさも感じていないようだが、さすがに時期が時期だけに感覚が麻痺しているとしか言いようがない。そもそも一場問題では同じ一場に三球団が「栄養費」を払っていたのだが最初に発覚したジャイアンツから、タイガースとベイスターズが発覚するまでに二ヶ月の間隔があり、その間なぜ黙っていたのかというのは当時も問題視されていたが、要はまるで罪の意識がないということである。
そしてしつこくなるので最後の「なんで?」だが、ベイスターズの選手会長である相川亮二が、「覚書などを外部へ漏らした人間がいることがむかつく」と言っている点(スポーツ報知web版より)。たしかに情報セキュリティという点ではこのような極秘文書が外に漏れてしまう(しかも「週刊文春」だけでなく「週刊新潮」にも流出している)というのはあまりにもお粗末であり、その点では相川の指摘は正鵠を得ている。ただこれはライオンズ球団の「栄養費」が発覚してまだ実名が出ていなかった時期に日本野球連盟の後藤専務理事の「もし社会人から出たとなれば、ちゃんと確定申告をして、きっちり対処する必要がある。」という今一つピントのずれたコメントを彷彿とさせる間抜けな発言と言えよう。スピード違反でつかまったドライバーがスピード違反をしたことを反省するのでなく、ばれて捕まったことを後悔するのと同じで本末転倒である。ベイスターズ球団には相川の言うようにこの種の極秘文書が外部に流出しないよう、セキュリティを厳重にするよう求めたい<苦笑>。
ところでこの件をスクープした週刊文春4月19日号では契約金5億3000万円のうちの3000万円は那須野を通じて日本大の鈴木博識監督にわたった可能性を示唆している。(鈴木監督本人は否定)日大の鈴木監督といえば昨年の大学・社会人ドラフトでファイターズが同大学の長野久義外野手を四巡目で指名した時に「日本ハムは十二球団で最も行きたくない球団」であると、長野本人が言ってもいない談話を捏造して話をややこしくした人物である。敗戦処理。としては当然こんな男は大嫌いだが、そのことと今回の件を同じ次元で秤に掛けるべきでないのを承知の上で敢えて言わせてもらう。
「徹底的に膿を出せ!」
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