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2007年5月13日 (日)

ゴールデンイーグルスがようやく100勝-であらためてこの球団の生い立ちに遡ると

01_25 2004年の球界再編騒動の過程で誕生した新規参入球団・東北楽天ゴールデンイーグルス。当初の分配ドラフトでどう見ても十分とは思えない選手配分だったことを考えると、ここまでの苦戦は避けられなかった事態と言えよう。ただ、100勝到達に関する談話の中で、このチーム誕生からコーチを務めている橋上秀樹ヘッドコーチの談話が印象に残った。同コーチは、節目の100勝達成がバファローズ戦だったことに意味があると語っていた。球団の身売り-親会社の変更ではなく、球団合併と新球団の誕生という決着をみた2004年の球界再編。新規参入球団の節目の勝利が合併球団相手に達成されたのはたしかに偶然ではないかもしれない。

「だって、ここ(オリックス)は『いいとこ取り』だろ。100勝よりも、今現在、オリックスより上の順位でいることが大きいね」

(橋上コーチの談話・5月12日付日刊スポーツより)

これが仮に野村克也監督が残したコメントならば、「またいつものイヤミか」と読み過ごしていたかもしれませんが、田尾安志監督の創立一年目からこのチームでがんばっている橋上コーチの一言だから重いのですね。

球団誕生の経緯から「せめてオリックスよりは上の順位に行って欲しい」と思っているファンは少なくないようだ。敗戦処理。もゴールデンイーグルスのファンではないが(もちろんファイターズファン)いわゆる判官贔屓の感覚で、バファローズを超えての最下位脱出を秘かに応援している。

* でもそれ以上行くと、ファイターズとの争いになるので、とりあえず今年はそこまでにとどめて欲しい<苦笑>

それにしても、あらためて振り返ると、不愉快な球界再編騒動だった。

旧バファローズの親会社、近畿日本鉄道が経営状況が逼迫しており、同社が球団を手放さなければならなかったのは致し方ない所だったろう。90年代中盤に野茂英雄任意引退→ドジャース入りに至る顛末、ドラフトで交渉権を得たPL学園の福留孝介に三年後のトレードを認める契約を結ぼうとして協約違反を指摘された件、故障によって欠場した石井浩郎に野球協約で定める上限以上のダウンを強行しようとして事実上の喧嘩別れになった件、とトラブル続きだったので抜本的に球団経営のあり方を改善できる人材に任せるか、近畿日本鉄道自体に球団経営から退いてもらうしかないと敗戦処理。は個人的に思っていた。それでも当時の旧バファローズはパ・リーグでは身売りを経験しなかった唯一の球団であり、半世紀以上も球団を支えてきた近畿日本鉄道が球団経営を断念する報道が出たときには淋しい気持ちが大きかった。

当時はホークスの親会社でもあった「ダイエー」が天文学的な有利子負債を抱え、グループ再編を余儀なくされて球団経営にも危機が及ぶのではないかという一連のマスコミ報道があって、その関連で実はJRを除いた日本の私鉄では最大規模を誇る近畿日本鉄道の有利子負債もそれに近い額になっていると報じられていたので「身売り」だけの報道ならさほど驚かなかったかもしれないが、「合併」という手段を選んだ衝撃は大きかった。

結果的に見れば、近畿日本鉄道から楽天に球団身売りが為されていれば、ゴールデンイーグルスのような弱い球団が誕生しなくて済んだのだろう。しかし合併の意志を表明した当時の会見では、水面下で身売り先を探したが見つからなかったから合併という選択肢を選んだと発表されていたし、その後ライブドアが買収に名乗りを挙げても門前払いだった。

まず二球団の合併を決め、パ・リーグの球団数が奇数になり、なおかつ5球団になってしまうことの弊害に対しては当時のライオンズの堤義明オーナーが「さらにもう一組の合併を模索中」と表明し、球団数削減、球界再編に向けて急速に動いているように思えた。

その間、この無謀とも思えるあまりに急速な動きに反発するファンが各球場で膨大な数の署名を集め、世論を喚起。またこの動きの黒幕と目された当時のジャイアンツの渡邉恒雄オーナーの「たかが選手が…」発言などで野球ファンを超える社会問題レベルにまで高められたこともあって、球界の動きにブレーキが掛かり、選手会はストライキに突入。これがまた野球ファンのみならず一般世論の圧倒的な支持を受け、新規参入球団を受け入れざるを得なくなった。ライブドアと楽天の一騎打ちになり、楽天が仙台市を本拠地とする新規参入球団として認められた。

当時「楽天」の立候補は、新規参入球団を認めざるを得なくなった球界が、ライブドアの参入を認めたくないために代替候補として担ぎ出した「ライブドア潰し」のための「後出しジャンケン」と噂された。実際この当時のライブドア、ホリエモンはプロ野球ファンにとっては英雄だった。敗戦処理。も半信半疑ではあったが、あの時点で旧バファローズ買収に名乗りを挙げたライブドアに関しては評価している。

「楽天」の参入が認められた時点では、ゼロからのスタートになる新球団のための分配ドラフトはもっと新規参入球団にそこそこの選手が配分される見通しもあったが、実際には橋上ヘッドの談話にあったように「いいとこ取り」をされた。救いは旧バファローズで合併撤回に向けて闘った選手会長の礒部公一と、ストッパーの福盛和男がプロテクトの対象になることを拒否して新規参入球団入りを強く希望したことと、エースの岩隈久志が(手続きをしなかったために)一度は合併球団にプロテクトされたもののトレードでゴールデンイーグルスに入団できたことくらいか。

圧倒的な戦力不足でスタートしたゴールデンイーグルスは二年連続で最下位に沈み、三年目の今年、上昇の兆しを見せているもののまだまだ上位を狙えるレベルとは言い難い。一方の合併球団バファローズは、合併一年目こそシーズン終盤までライオンズとプレーオフ進出をかけて争ったが、それとて勝率五割に満たない低いレベルでの争いだった。二年目は5位。それも一時はゴールデンイーグルスに抜かれるのではないかという危機にもなったほどだった。三年目の今シーズン、10連敗などもあって最下位に低迷中だ。新規参入のゴールデンイーグルスが苦しむのはまだしも、合併で戦力が増強されたはずの球団も低迷しているのは一体どういう事だったのだろう。

合併に踏み切ったときの旧バファローズとブルーウェーブはその年の5位と6位だった。その年の5位と6位を合併して「いいとこ取り」のチームを作っても強くならないということは、今後再び経営的に持ちこたえられない球団が出てきたときや、今以上にセ・リーグとパ・リーグに人気格差が出て1リーグ化、球団数削減に踏み切っても魅力あるチーム(編成)が出来る保証はどこにもないと言うことを意味する。また新規参入球団が今なお戦力不足に苦しんでいる現状は、ファンの一部が望んでいるエクスパンション-球団数増加も、戦力不足の球団が増えて全体のレベルが下がるだけに過ぎないという懸念を示している。

ゴールデンイーグルスは、本拠地球場で、いわゆるボールパークとしての演出で独自のサービスを展開して地元ファンを取り込むなど、(圧倒的に不足している戦力というカテゴリー以外の分野では)精力的な企業努力を続けており、結実しているとも言われている。敗戦処理。が「判官贔屓」と断りながらも、合併球団よりは新規参入球団に多少の肩入れをしていると書いたのはこんな理由と背景からだ。

球界再編の波は近い将来、必ず形を変えて再び球界を覆ってくるだろう。2004年の球界再編騒動で、球界の何が変わったのか、何が良くなって、何が悪くなったのか?再編の結果生まれた新規参入球団ゴールデンイーグルスが遅すぎる100勝到達を節目として、あらためて三年前の球界再編騒動を検証するのも、次に備えて必要かもしれない。

ファンは一度は着いてきてくれても、二度目は許さないかもしれないから。

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