「生」観戦した野球場(32)-小田原球場
いろいろな野球場で日本のプロ野球を観てきました。その数40以上。だからどうしたと言われればそれまでですが。
このコーナーでは敗戦処理。がプロ野球の試合を観戦した野球場について順に書いていこうと思います。月に1~2球場の割合で書いていこうと思います。また、シーズン中に新たな球場に行ったら加筆していこうと思います。
第32回 上府中公園小田原球場 観戦球場ファイル-47-
前回の横浜ベイスターズ総合練習場に引き続き、最近新たに観た球場について書きたいと思います。今年の5月5日の「こどもの日」にイースタン・リーグのシーレックス対ジャイアンツ戦を生観戦した小田原球場です。1974年に初めて観た後楽園球場から数えて47個目の観戦球場です。
1949年に小田原城跡内に建設された市営球場を前身に持ち、小田原市制施行50周年を記念して1990年に現在の上府中公園内に建設された。両翼が95mで、中堅が122m。外野が天然芝で内野は土。ナイトゲームの設備がある。ベースボール・マガジン社から発売中の「球場物語2」によると「天気の良い日には富士山が見えることも。」と書いてあるが、この日は見えなかった。
小田原球場でのシーレックス主催試合は毎年行われているようだが、ゴールデンウイーク期間に開催されるのは二年ぶり。昨年は6月に対マリーンズ戦が組まれた。そのためか毎年球場に足を運んでいる地元の客が多いようで、敗戦処理。が入場の列に並んで待っている間にもこんな会話が聞こえてきた。
「今日は工藤とか、門倉を見たいね。」
「ああいうベテランはこういう遠征には来ないんだよ」
「でもオレが小学生の時、遠藤が出てきたぜ。無茶苦茶球が速かった」
「それは遠藤に見せかけた大門ってオチじゃないだろうな<笑>」
「ジャイアンツの二軍監督は吉村か。じゃ守備コーチは栄村か?」
「いや、たしか緒方だよ」
小田原球場に行くには、小田急小田原線の新松田駅から富士急行バスの小田原行きに乗るか、逆にJR小田原駅から新松田駅行きのバスに乗ってバス停「西大友」で降りて徒歩3分。と、イースタン・リーグが発行している「プロ野球イースタン・リーグ観戦ガイド2007」のイースタン・リーグ公式戦開催球場一覧に書いてある。小田急線沿線に住んでいる敗戦処理。は小田急多摩線から小田急小田原線に乗り継いで新松田に辿り着いた。新松田、小田原間のバスは本数が少なく、午前中は毎時15分発があるのみだということはわかっていたが、予定より早く10時40分頃に新松田に着いた。前回の横浜ベイスターズ総合練習場で懲りているので駅前の小田急OXで弁当類を買い込んでいたら、西大友を経由して小田原に向かうバスが目の前を走り去ってゆくのが見えた。イースタン・リーグ開催に合わせ、特別便が10:45と11:45に設定されていたのだ。冷静さを欠いた敗戦処理。はあと30分待てば良いところを1時間待たなければならないのかと勘違いし、駅から球場最寄りのバス停まで約15分という情報から大してタクシー代もかからないだろうと思ってタクシーで球場に急行した。
料金は2,180円。大失敗だった。
冷静に考えれば、バスを待つか、新松田駅から目と鼻の先にあるJRの松田駅まで歩き、JR御殿場線で約10分の「下曽我」駅で降りて約15分歩けば良かったのだ。もっともJR御殿場線ルートに気付いたのは試合後の帰り道だったが。
タクシーで球場に着くと、当日券を求める長蛇の列。これだけで10分くらいかかったのだが、内野自由席を購入して入ろうとすると、これまた長蛇の列。聞くと入口を外野席一ヶ所、内野席一ヶ所に限定しているのだ。入口自体は他にも何カ所かあるのだが、チケットを切って客を入れるのが外野と内野各1ヶ所。これはあまりにも少ない。並んでから入るのに約20分かかった。先程の会話はその時に聞かれたものなのだが、常連?と地元の顔見知りが多いようで、知り合いを見つけては途中から列に加わる面々がいるのでなかなか進まない。もっともこれは地方球場ではよくある光景なのだが<苦笑>。
球場に入り、席に座った。球場そのものは先に書いたプロフィールで、特にこれといった独特の特徴はない。富士山を眺めることが出来なかったのは残念だった。
この日はシーレックス対ジャイアンツ戦。シーレックスの田代富雄監督とジャイアンツの高校卒ルーキー田中大二郎外野手が地元小田原市出身ということで大きな拍手と歓声を受けていた。地方球場開催でありがちな両軍監督への花束贈呈の後に、田代監督と田中にも花束が贈られていた。
田中は高校卒ルーキーながら同じく高校卒ルーキーの坂本勇人とともに開幕からスタメンに抜擢されている。坂本がずっと「三番」に座り続けているのに対し、田中は最近「五番」から「七番」に降格されている。どうやらプロに入って最初の壁にぶち当たっているようだ。一番まずい時期の凱旋試合になってしまったようでこの日の四打席も死球、三振、三振、四球と平凡なものだった。
スタンドには田中を応援する横断幕も掲げられていたが、田中がかつて所属していたのだろうか、地元少年野球チーム一行がネット裏に大挙し、監督だかコーチだかの引率者が田中の打席ごとに「大二郎」コールを子供達に煽る。地元のヒーローを子供達に下の名前で呼ばせて平気でいる大人の無神経さには呆れた。手にしているメガホンはスワローズの応援グッズ。自分のチームの子供達だけでなく、他のチームの子供達にも応援を強要する。試合前にシーレックスのナビゲーターのケチャップ氏が巧みな話術で、地方球場にありがちな子供達のファウルボール争奪戦を自重するように「保護者」に呼び掛けていたのを台無しにしていた。周囲の観客の様子を見ると、やはり呆れた感じで見ている人が多かった。せめてもの救いはもう一方の一塁側からは「田中選手頑張れ~!」という統率の取れた黄色い声が流れたことか。
敗戦処理。が観戦した5月の上旬はちょうど高野連の特待生制度に対する制裁が注目を浴びていた時期で、高野連の頑なな姿勢に「子供達が野球から(特待生制度を認めている)他のスポーツに流れてしまう」という懸念の声が挙がっているが、今日の周囲から白い眼で観られていても気が付かない指導者や、ケチャップ氏が注意せざるを得ないような、スタンドで走り回る子供を注意できない引率者が幅を利かすようならば、高校どころか、小学生のうちに他のスポーツに流れてしまうのではないかという気がする。
試合は地元シーレックスが九回裏二死から、それもツーストライクと打者が追い込まれ「あと一球」の状態からの逆転サヨナラ勝ちで大いに盛り上がったが、ファームの試合にしては異例とも思える3,164人の観客はケチャップ氏の試合前のマイクパフォーマンスの感覚ではジャイアンツファンの子供の方が多いようで、果たして喜んだ人の方が多かったのかどうか?
試合後、行きにタクシーで来たためバス停のありかを知らない敗戦処理。は「プロ野球イースタン・リーグ観戦ガイド2007」のイースタン・リーグ公式戦開催球場一覧の略地図を信じて、球場から15分のJR御殿場線「下曽我」駅に向かった。略地図は文字通りの略地図で、途中の目印もろくに書いていないのだが、なんとなく歩いていたら、本当に15分で駅に着いた。下曽我から松田へ行くのは夕方の時間帯で一時間に2本。また松田駅について下曽我に行く電車のダイヤを見たら昼前の時間帯は一時間に1本で、11:01分松田発があった。来年もあったらこの時間に乗ろう。
最後にJR御殿場線はJR東海なのでスイカやパスモが使えないことを付記しておこう。
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