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2007年5月 7日 (月)

カネやん in N.Y. 「名球会」って何?

ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜が日本でのジャイアンツ時代の1390安打にヤンキースでの610安打を加え、日米合算で通算2000本安打になった。金田正一氏が会長を務める「名球会」では日本人選手がメジャーリーガーになった場合に日米合算の数字で名球会の基準を満たせば名球会の一員になれることになっており、松井も晴れて名球会の一員となった。カネやんこと金田会長自ら現地へ事前に飛び、日本で達成された時と同じように名球会のブレザーを松井に手渡した。

6日深夜のTBSテレビ「Jスポーツ」を観ていたら、日米通算2000安打に迫る松井の試合を放送する現地の実況中継の模様を流していた。敗戦処理。は英語がわからないが、テレビ画面にTBSがつけた日本語の字幕が出ていた。それは松井があと少しで日本のゴールデン・プレーヤーズ・クラブという会の一員になるということを、アメリカでいえば「野球殿堂」入りするようなものだと説明していたシーンだった。

アメリカの野球ファンは名球会のことなど知らないだろうから、手っ取り早く説明するには上手い喩えだと思う。

でも、日本でもこれに近い勘違いというか、錯覚が為されているのではないか?

名球会(正式名称:日本プロ野球名球会)は昭和生まれの日本プロ野球の選手で当初は投手なら公式戦通算200勝、打者なら同じく通算2000本安打を達成したものが資格を得るものだったが、近年これに通算250セーブ以上を挙げた投手も加えられた。また日本のプロ野球選手がアメリカ大リーグに移った場合は日本のプロ野球とアメリカ大リーグの成績の合算で上記の成績に達すれば資格を得ることになった。この形での名球会入りは松井がイチローに次いで二人目。

日本のプロ野球で200勝に到達した投手は23人。2000本安打達成者は34人。250セーブは2人。この中で昭和生まれでない川上哲治、別所毅彦、スタルヒンら8人が対象から外れ、野茂英雄、イチローと松井を加えた54名が有資格者。ただし2371安打の落合博満、2314安打の榎本喜八は名球会入りを辞退。江夏豊は退会。野茂は態度を保留している。

時代によって記録や数字の重みに違いがあって然るべきであるが、200勝、2000本安打、250セーブという成績は現時点までいつの時代においても金字塔である。その意味で名球会メンバーは一人残らず、記録の面で日本プロ野球史に名を残すべき名プレーヤーであることに疑いの余地はない。しかし、日本プロ野球史に名を残すべき名プレーヤーが一人残らずとは言わないまでも、概ね名球会入り、またはその資格を得ているかというと、そうではない。

これは当然のことで、入会資格をこれまでに挙げた3つの分野に絞っているからだ。鉄人といわれた衣笠祥雄は名球会の会員だが、それは2215試合連続出場という大記録を達成したから資格を持っている訳ではない。2543本の安打を放ったから名球会の一員になっているだけである。同様に長島茂雄とともに会の副会長を務めている王貞治も、アメリカ大リーグの通算最多本塁打記録を上回る868本塁打を放っているから名球会の一員であるのではなく、2786本の安打を放っているからである。ただしWikipediaによると福本豊は特例として通算800盗塁で認められたそうだが本人がこれを辞退して2000本安打達成時に名球会入りしている。

この矛盾?は、名球会の発足当時(1978)から一部のファンの間やマスコミでは囁かれている。田淵幸一、中西太、秋山登、吉田義男、星野仙一といったあたりに資格が与えられないことにもよる。Wikipediaでもかなり子細にその点を指摘しているが、敗戦処理。に言わせればその種の指摘はナンセンスである。

名球会はあくまで、通算200勝、250セーブ、2000本安打のいずれかを達成した者のみが資格を得る団体である。したがって田淵幸一が474本も本塁打を放っていても、通算の安打数が2000本に満たない(1532安打)以上、名球会の一員には成り得ないのだ。そして、名球会とはそういう団体なのであって、それ以上のものでもそれ以下のものでもない。

もっとわかりやすくいうと、直前の文章で「団体」と表現している部分を「サークル」と読み替えて欲しい。要するにある特定の基準のみを入会資格とするサークルなのである。

変な喩えだが、Aという大学の同窓会にAでないB大学の卒業生が「うちの方が偏差値が高いのだから、俺も混ぜろ」と言ったって相手にされないだろう。埼玉県人会に参加する資格が、埼玉県生まれか、埼玉県育ちか、埼玉県で働いている人だったとすると、「東京の方が人口が多い!」と東京生まれで東京育ちで東京都に住んでいる人が叫んでもメンバーにしてもらえないのと一緒である。

それが日本プロ野球史に名を残すべき名プレーヤー達を網羅する団体のように錯覚されたり、上記Wikipediaのような批判の対象になってしまうのは、名球会会長のカネやんによる、ブレザー贈呈の儀式の印象のせいであると敗戦処理。は思っている。

この論理でいくと、間もなく名球会入りするであろうファイターズの田中幸雄のことを、「これまで一度も三割を打ったことがない」とか「入団22年目での達成と言うことは一年平均で百本を切るじゃないか」などといって名球会会員としての資格、価値に苦言を呈するのはナンセンスである。1999本で止まったら名球会に入れないが、2000本に達すれば名球会に入れる。あくまでそれだけのことである。

アメリカでの実況中継でたとえた「野球殿堂」は日本にも存在する。特定の基準に限定されず、ありとあらゆる角度で野球界に功績を残した人を対象としている日本の野球殿堂で表彰されているのは故人を含め161人。地道な活動が評価されている人もいる。名球会メンバーは一人残らず、記録の面で日本プロ野球史に名を残すべき名プレーヤーであるが記録に残らない人物にもスポットライトを当てている「野球殿堂」にももっと注目して欲しい。

「野球殿堂」が東京ドームの20番入口の横にある野球体育博物館にあると言うことを知らない人は意外と少なくないらしい。

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