4月のジャイアンツ戦テレビ視聴率、過去最低を更新
ビデオリサーチの調べによると、ジャイアンツ戦のナイトゲームの4月分の月間平均視聴率(関東地区)が10.8%だったようだ。これは4月度の調査の比較では過去最低だった昨年の12.6%をさらに下回る過去最低記録の更新となる。昨年のジャイアンツは年間でこそ借金14の四位だったが、4月に限れば17勝6敗2引き分けと絶好調。開幕から9カード連続負け越し無しと非の打ちようのないロケットスタートでありながらの視聴率低迷で、これで二年連続でチーム成績とは無関係に視聴率低下というデータがでた。
チーム成績が良くても視聴率に反映されない。一体これはどういうことなのか?
東京をホームタウンとするジャイアンツの人気の指標を、関東地区を対象とするビデオリサーチの視聴率調査に求めるのは妥当だろう。ただ残念ながらビデオリサーチの調査は対象を地上波テレビに限定している。BSやCSで視聴しているファンはカウントされていない。これが微妙に響いているのではないか。少なくとも昨年の12.6%と今年の10.8%との間の1.8ポイントに占める割合は高いのではないかと思う。
昨年と今年でBSやCSでジャイアンツ戦を中継している比率は変わらないだろう。ただし異なるのは地上波が中継時間を延長するケースが少なくなったこと。せっかくの好ゲームも、肝心なところを楽しめないのではBSやCSを視聴できる視聴者は最初から地上波で観ないだろう。
敗戦処理。はBSデジタルを視聴可能な環境にいるが、BSデジタルで中継がある場合には最初からBSで観ている。現状地上波で、TBS、テレビ朝日、テレビ東京が中継する場合は系列のBSデジタルで完全中継するケースが多く、それらの局での中継をむしろ歓迎する。ジャイアンツの主催試合の大半を中継する日本テレビは地上波と同時にBSでの中継をしない。系列のCSで主催試合完全中継をうたっているからであろう。だが午後10時からの一時間のダイジェスト放送を今年からやめてしまったのはちょっぴり残念。
参考までに4月の一ヶ月間のジャイアンツ戦がどの局で中継されたか、地上波、BS、CSに分けて一覧した表を作成したので、ご覧いただきたい。
BSやCSでの中継は原則として試合終了まで中継する。地上波中継を延長しない局は同時に系列のBSあるいはCSで試合終了まで中継する形をとっているが、すべての野球ファンがBSやCSを視ることの出来る環境下にいる訳ではない。
地上波に限ってみれば、中継延長どころか、地上波で中継されなかった試合が25試合中4試合もあった。これも今まででは考えられなかったことだ。しかもその4試合のうち、3試合はジャイアンツの主催試合。日本テレビは何をやっているのか?
敗戦処理。が子供の頃、ジャイアンツの主催試合は日本テレビが独占中継していたが、月曜日と金曜日の試合は生中継されなかった。月曜日は人気歌番組、「紅白歌のベストテン」の生中継があり、金曜日には人気刑事ドラマ、「太陽にほえろ」があったからだ。ただしこの場合、「11PM」の時間帯にダイジェスト中継を流していた。野球中継とわかっていても、「11PM」のあのオープニング音楽から始まる番組を観るのは子供にとっては勇気の要ることだった<笑>。
余談だが、野球中継を時間を延長して中継するようになったのはNHKを別にすれば、日本テレビではなくフジテレビが先駆けだった。当時火曜日の午後9時から放送していた「ミュージックフェア」を試合展開に応じて30分ずらして野球中継を延長することは大英断だったようだ。
「この時間は、シオノギ製薬提供、『ミュージックフェア』の時間ですが、スポンサーのご好意により、このまま野球中継を延長させていただきます」
このアナウンスに、どれだけ多くの野球ファンが胸をなで下ろしたことだろうか。
「プロ野球ニュース」で一日の全試合を深く掘り下げて解説したことと、野球中継を延長するシステムを確立したこと(それによるスポンサーの調整を可能にしたこと)はフジテレビの野球中継に関する二大快挙といって差し支えあるまい。
もっとも、その「プロ野球ニュース」も、野球だけを扱うニュースでなくなったため「すぽると」と似て非なるものに姿を変え、「プロ野球ニュース」がCSに移ったことが今日の野球中継事情を物語っていると言えるのだろうが。
一時期は最大でほぼ一時間の延長設定になったプロ野球中継だが、視聴率の低下に伴い、延長時間が減っていき、中継そのものも少なくなってきた。
ジャイアンツに限らず、試合時間短縮が叫ばれているのに抜本的な改善策を講じなかったことのつけが来ているともいえよう。そしてジャイアンツには、「勝てばファンはついてくる」と考えているのだとしたら、勝つこと、強くなることは人気回復のための必要条件ではあっても十分条件たり得ていないということをこの際はっきりと認識して欲しい。
しかもこれはジャイアンツだけの問題ではない。
ジャイアンツと対戦する球団はテレビ局に放映権を売って中継させると、一試合1億円の収入になるといわれていた。セ・リーグの各球団はジャイアンツ相手にホームゲームを13試合行って一試合当たり1億円の放映権料を得られれば、それだけで13億円の収入になる。そしてこの13億円があるか無いかが、セ・リーグ球団とパ・リーグ球団の格差でもあった訳だ。だからこそパ・リーグは長年セ・リーグとの交流戦開催を望んでいたのだ。そして交流戦開催によってジャイアンツ主催試合を減らされたセ・リーグはその「利権」を取り戻すために交流戦の試合数削減を強く訴えた。
特定球団の人気におんぶにだっこのビジネスモデルそのものが問題だとは思うが、それが現実なのだ。
厳密に言えば、地上波+BS+CSの視聴率、視聴者数を算定できるようにならないと、「ファンの野球離れ」は調べられない。球場の観客動員にも如実に表れているというが、球場に来るファン+数あるテレビ番組の中から野球中継を選ぶ視聴者という規模でマーケティングを考えないと見誤ることになろう。
敗戦処理。は「女子アナがデジアナになる」時代までは今のテレビ、視聴環境を変えないつもりだ。ジャイアンツの滝鼻卓雄オーナーも依然として多い地上波ユーザーの手に届くように、日本テレビはもとより各テレビ局と出来るだけ地上波で中継されるようトップセールスを展開しているらしい。
頑張れ、滝鼻オーナー!!
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント