気が付いたら東京ドームに行ってました…。 あるジャイアンツ&ファイターズファンのジレンマ
敗戦処理。はシーズン中に憂鬱になる時期が二回あります。それは贔屓チームが不振のどん底に落ちている時期という訳ではなく、贔屓チームであるジャイアンツとファイターズが交流戦で年に二回、直接対決する時です。今回も10日の東京ドームでの対戦は日曜日ということもあり、それぞれのファンの知人友人から「一緒に観戦しないか」と声をかけてもらいましたが、すべて丁重に遠慮しました。しかし、そうは言っても一方のジャイアンツは「栄光のV9シリーズ」と銘打ってV9時代のユニフォームを復刻したり、8日のゴールデンイーグルス戦ではV9メンバーが試合前に各ポジションに立つというセレモニーをしており、この対戦ではビジターユニを着るとのこと。これは何とも観たいところです。
そんなことを考えながら今シーズン二度目、5月の22日、23日に続き、季節外れの冬眠に入っていたところ、アイマスクを付けられて何者かに拉致され、映画「スター・ウォーズ」の「インペリアルマーチ(通称:ダース・ベイダーのテーマ)」がBGMに流れるなか、どこかに連れられました。気が付くと東京ドームの前に立っていました<冗>。
試合前の22番ゲート前広場では、ジャイアンツOBの柴田勲さんのサイン会が行われていました。これは「栄光のV9…」とは関係なく、昨年から実施されている「おやG」というOBによるトークショーで、この日は悪天候を懸念してトークショーを中止にしてサイン会のみにしたようです。
サイン会は事前に申し込んだ人のみが対象で、対象者には色紙と、協賛スポンサーからのオロナミンC1本と、なぜか週刊ベースボールの最新号が配られていました。
OBゲストが国松彰さんだったら、ナボナが配られていたのでしょうか?
開始時には実際には晴れていたので柴田さんはサービスでトークを始めました。インターネットなどで流布されているのとは違う「赤い手袋」誕生秘話などを語っていました。
最初に「質問でも受け付けましょうか?」と切り出し、自ら「金儲けの話はダメよ。こっちが聞きたいくらい」とボケ、左手の小指を立てて「こっちの話ならあるけれどね」などと言って笑いを取っていました。
柴田さんが小指を立てると「小指の想い出」を連想してしまう人はおそらく四十歳代後半か、それ以上です<笑>。
柴田さんは8日のセレモニーについても触れ、「センターの守備位置まで小走りで行ったけど、センターの守備位置までがやたらに遠く感じた。昔なら走ってすぐに行けたんですけどね」と語っていましたが、なかなかどうして、敗戦処理。はNHKハイビジョンの中継でその模様を観ましたが、スピードはともかく小走りする時の仕草が現役時代と変わらないので懐かしさが倍増したほどでした。
そして、22番ゲート横で収益金の一部を骨髄バンクの財団に寄付しているというGバンドを、先日のセレモニーで土井正三さんの車椅子を押していた、V9時代の名・控え内野手上田武司さんが売っていたので購入してからゲートをくぐりました。
敗戦処理。が自分の席に着いた時にはちょうどファイターズが打撃練習をしていましたが、それが終わると、ファイターズナインと入れ替わりにジャイアンツナインが守備練習に出てきました。ジャイアンツの選手達は、ブルーがかった、あの懐かしいV9時代のビジターユニを着ています。もちろん、8日、9日の試合で披露したホームユニと同様に背中にネームがありません。
いや~、懐かしいなぁ。
(写真:V9時代のビジユニを着て守備練習に加わる小笠原道大と、話しかけるファイターズの高橋信二と田中賢介)
これだけでも今日の目標の半分弱くらいは達成した感じです<笑>。
そして今日のV9時代のOBによる始球式は「エースのジョー」こと、城之内邦雄さんでした。
実はこの始球式も、敗戦処理。が東京ドームに足を運んだ理由の一つです。
敗戦処理。が初めて生で観戦した試合の先発投手が城之内さんだったからです。
もっともその時城之内さんが着ていたのはジャイアンツのユニフォームではなく、ジャイアンツの対戦相手、オリオンズのユニフォームでした。オリオンズ先発の城之内さんはジャイアンツの主砲、王貞治に大きな本塁打を浴びて初回のみでマウンドを降りました。
オリオンズの城之内-というのはオールドファンにも馴染みが薄いかもしれませんが、実は当時のオリオンズの監督であった金田正一さんが、一度現役を引退していた城之内さんを引っ張ったのでした。
金田さんといえば400勝ですが、400勝目の試合の先発が城之内さんで、勝利投手の権利を得る直前まで城之内さんが投げ、その後を金田さんが投げて金田さんに勝利投手が転がり込むようにしたそうです。ところが城之内さんはその試合の査定で勝利投手扱いにならなかったそうで、その後成績が振るわなくなって引退した城之内さんが現役に未練を持っていることを知った金田さんが獲得したそうです。もちろん当時小学生だった敗戦処理。はそんな背景を知るよしもなく、大きな本塁打を放った王選手に感動していただけでしたが。
ネットで城之内さんのことを検索するとV9時代のジャイアンツの主力選手だったことの次に、元おニャン子クラブの城之内早苗のおじさんであることが書かれているでしょうが、こうしたエピソードもあったのです。
試合の方は、どちらかが勝てばどちらかが負けてしまうので、どういう結果に終わっても大はしゃぎ出来ないのでここでも細かくは触れません。
ただ、以前に別エントリーでも触れたファイターズ応援団やファンによる小笠原道大へのブーイングはこの日も行われていました。
しかし、この試合でファイターズファンから最も大きなブーイングを浴びたのは小笠原ではありませんでした。
六回表の守備で田中賢介のバントの打球を処理しようとして捕手の阿部慎之助が負傷した際、レフトスタンドからはにわかに「實松コール」が起き始めました。そうです。ファイターズファンは實松一成の登場を待ち望んでいたのです!にもかかわらず阿部の代わりの捕手が加藤健だったとわかった時のレフトスタンドからのブーイングは小笠原の打席の比ではありませんでした。
阿部がこの前日から四番に入っていましたから、「四番、キャッチャー實松」というアナウンスを聞ける千載一遇のチャンスだったので敗戦処理。も實松出場を期待したのですが…。
それでも八回表のジャイアンツの攻撃で四番の加藤に代打木村拓也が起用されたので三人目の捕手に實松が起用されることが確実になり、いよいよ「四番キャッチャー實松」の実現かと胸が高まりましたが、あろうことか原辰徳監督は木村拓を残し、谷佳知を退けて實松を四番でなく、二番に入れてしまいました!
結果的にはそれにより、ジャイアンツの二番から四番までがいずれもファイターズ出身の選手になるという喜んでいいのか、悲しむべきなのかわからないラインアップを見ることが出来ました<苦笑>。
しかし、試合途中での出場とはいえ、天下の「巨人の四番」ですよ。
栄光のV9時代と同じユニフォームを着て「四番キャッチャー實松」と呼ばれるなんて、二度と無いチャンスですよ。
それとも、その座をかつて「聖域」と表現した原監督には貧打の代名詞のような實松を一時的にとはいえ「巨人の聖域」に位置するのを嫌がったのか(さすがにそこまでは考えなかったでしょうが<苦笑>)、とにかく「四番キャッチャー實松」は幻に終わりました。
結局この難解な選手配置が試合の明暗を分けます。事実上最後の捕手となる實松を打順の最も遠い所に入れるのが常識だと思うのですが、原監督はそういうことを考えなかったのでしょうか?仮に谷を引っ込めなければならない事情があったにしても谷の代わりの選手を谷の打順に入れ、木村拓で終わったのですから實松をそこに入れるべきなのです。そして運が悪いというか、ファイターズファンにとっては九死に一生を得たというか、1点差の九回裏に二死満塁で打者實松という場面が実現してしまうのです。
實松の二人前の矢野謙次が一死一、三塁からサインミスとしか考えられないバントをして二死二、三塁に代わった時、打席に高橋由伸を迎えてもファイターズファンは勝利を確信したことでしょう。
もっとも、その矢野の場面で武田久に代わってマウンドに上がったのがMICHEALではなく、江尻慎太郎だった時点でファイターズファンもサヨナラ負けを覚悟したでしょうが…<苦笑>。
その結果は敢えて書きません。
敗戦処理。としては途中退場した阿部の状態と、当然投入のケースで登場しなかったMICHEALが心配です。
明日、もう一試合このカードが残っていますが、真面目に仕事をし、終わったら脇目もふらずに帰宅することでしょう。そして早く寝ます。
来年の交流戦でのこのカードは、もう見に行きません。心臓に悪すぎます。
でも、その前に日本シリーズで再会することを祈ります。
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