ファイターズが交流戦初制覇! そしてパ・リーグでも首位にゲーム差なしに接近!!
23日のセ・パ交流戦。ファイターズは交流戦2位のジャイアンツの勝敗にかかわらず勝つか引き分けるかで優勝が決まるという状況だったがタイガース相手に延長11回の末6対4と競り勝ち、交流戦三年目で初の優勝となった。過去二年、いずれも負け越していた交流戦での堂々の優勝は、今後の公式戦にも弾みとなって欲しいところだ。交流戦が始まる前、借金2のチームが今日のタイガース戦の勝利で貯金11となり、パ・リーグ首位のマリーンズにゲーム差なしというところまで迫った。さあ、これからパ・リーグを引っ掻き回すぞ!!
とにかく投手が良かった。
交流戦直前のホークス戦から連勝街道を走った訳だが、そのスタートが入団二年目の木下達生のプロ入り初完封劇だった。実はこのホークス戦では初戦に先発した八木智哉と、木下完封の翌日の試合に先発した金村曉がともにこの登板で離脱。木下は八木との入れ替えでの一軍入りだった。ただでさえ小笠原道大とSHINJOが抜けて打線が弱体化している中でローテーション投手二人が抜けての交流戦突入(しかもこの時期、ダルビッシュ有が疲労の蓄積でローテーションから離れていた。)は期間中に11連敗を喫した交流戦初年度の再現を敗戦処理。に想起させた。しかし実際にはこの三連戦でのこうした出来事が交流戦でのファイターズを暗示していたようだ。
しかも木下以外にも、高校卒ルーキーの吉川光夫が交流戦で先発ローテーション入りを果たしプロ入り初勝利。復帰したダルビッシュと、交流戦に入って調子を上げたライアン・グリンとともに先発ローテーションが出来上がった。
ファイターズにとって幸いだったのは今年の交流戦の試合数が削減され、一カードが二連戦単位になって連戦が最長で四日間だったこと。上記の四人に、後は中継ぎとのかけ持ちで武田勝が谷間を埋める形でファイターズは交流戦のローテを確立することが出来た。昨年までは六連戦が六周続く形だったので先発投手の頭数が揃っていないチームは苦戦を余儀なくされ、逆に平均的にレベルの高い先発投手を擁したマリーンズは二年連続で交流戦の頂点に立ったが、今年はその必要がなかった。そして勝ち続けるためには必要になる武田久とMICHEALの連投もある程度抑えられた。
ちなみに各球団とも交流戦期間中は先発投手を少数精鋭に絞ったがマリーンズだけは通常の先発六人衆を登板間隔が何日空こうが順番で先発させていた。
二年目の木下やルーキーの吉川が先発する試合では調子が上がらないと見るや押本健彦、江尻慎太郎に早めにスイッチ。特に今シーズンから中継ぎに回った江尻の働きは大きく、10日のジャイアンツ戦でのMICHEALの代役を務めて1点差の九回二死満塁のピンチを凌いだ場面や20日のカープ戦で二死満塁で打者前田智徳という場面を抑えたのは圧巻だった。(もっとも前者では最後に迎えた打者が安パイだったが<苦笑>)さらに目立たないが、5月25日のスワローズ戦で初登板初白星を挙げた入団四年目の金森敬之も徐々に戦力化している。金森はここまで四試合に登板し、計5イニングで打者16人に対して四球の走者を1人許しただけで被安打0、当然防御率も0だ。MICHEALと武田久が昨年ほど盤石でないことを考えると、今後金森が貴重な場面で投げる機会が増えるだろう。
投手陣の安定感が前面に出て、リーグ戦から続いた連勝記録の流れに乗って交流戦首位から一度も落ちずに逃げ切った。昨年日本一に輝いたチームが交流戦を制したと考えれば、別に騒ぐほど意外な結果ではないと思う向きがあるかもしれないが、敗戦処理。は別の見方をしている。
ファイターズは昨年日本一になったといっても、ほとんど優勝争いをしていない。実際昨年のファイターズがリーグ戦で首位に立っていた日数は十日に満たなかったという。9月に入った頃にプレーオフ出場権のあるAクラスをほぼ手中にしてからは「うまくいけば二位に入れるかな?」という位置をキープし、最後に首位に立って、最終戦となったホークスとの二連戦に連勝して首位で通過したという形だった。トレイ・ヒルマン監督等首脳陣はともかく、選手達には優勝争いを勝ち上がったという自覚は薄かったと推定できる。だとすれば今回の交流戦は、レギュラーシーズンとは同一とは言わないにしても、ファイターズナインにとって初めて意識した優勝争いなのではないか。そしてそれを勝ち抜いたことは、今後の今シーズンにおいて必ず生きてくるのではないか。
ファイターズファンの方は当然気がついておられるだろうが、今日(23日)現在でファイターズはパ・リーグの順位でも首位のマリーンズにゲーム差なしの2位と最接近した。今年の交流戦では当初、軒並みパ・リーグのチームが好調でファイターズが交流戦全勝を続けてもリーグの順位でなかなかゲーム差が縮まらないという珍現象が起きていたが、やがてジャイアンツなどセ・リーグのチームの調子も上がり、マリーンズとファイターズのゲーム差も縮まっていった。今日の日刊スポーツによるとダルビッシュは「交流戦V? シーズンじゃないので何の価値もない」と語っていたが、公式戦の一部である交流戦のVに価値がない訳がない。先発予定日の前日に受けた取材で本音を隠すダルビッシュのコメントと読むのが妥当だろう。
昨年パ・リーグで勝率ナンバーワンだったファイターズの年間の貯金は28だった。(82勝54敗0分け)実はこの28という数字は昨年徹底的にカモにしたバファローズ戦とゴールデンイーグルス戦での貯金の合計と一致する。(対バファローズ戦、対ゴールデンイーグルス戦ともに17勝3敗。合計34勝6敗で貯金28)ファイターズは今年も今のところこの両チームには対戦成績で勝ち越しているが、プロのチームが同じチームに二年続けてこれほど大敗するとは考えにくく、ファイターズが昨年並みに勝ち上がるためにはこの両チームからの貯金の目減り分をどこかで補わなければならない。それがこの交流戦である。
ファイターズは昨年の交流戦に17勝19敗で借金2。今年の交流戦は23日現在で17勝4敗1分けで貯金13だから、昨年との差し引きでプラス15だ。これで28から減らざるを得ないであろう下位二球団からの貯金分を少しでも埋められる。ファイターズにとっては交流戦での好成績は必須条項だったのである。
ここまで投手のことばかり書いてきたが、交流戦期間中に上がってきた川島慶三、工藤隆人が一軍に気後れせずにプレーしているのも頼もしい。交流戦優勝のかかった今日の試合で「六番・レフト」でスタメン出場した工藤は藤川球児からの1本を含む三安打と活躍。打率を.714とした。いや下げた<笑>。
そして何より敗戦処理。的には5月の田中幸雄2000本安打カウントダウンの中、東京ドームでの対ゴールデンイーグルス三連戦を平日なのに通い詰め、最終日に敗戦処理。の到着前に金字塔を達成してくれ、ともすれば田中幸雄本人でなく敗戦処理。の方が燃え尽き症候群になりかけていた中、連勝街道&交流戦優勝争いということで未然に防いでくれたチームとナインに感謝の言葉を贈りたい。
ファイターズナインよ、交流戦初優勝おめでとう、そしてありがとう。
そして敗戦処理。は田中幸雄の2000本安打に間に合わなかったのに続き、またもニアミスで明日、甲子園でタイガース戦を観戦する予定になっている<苦笑>。一日違いという点ではかつて清原和博の通算2000本安打も敗戦処理。の観戦予定試合の前日に達成されてしまったし、「ON対決」と呼ばれた2000年の日本シリーズの第7戦を知人からチケットを入手して観戦予定だったが第六戦でジャイアンツが日本一。さかのぼれば王貞治の通算756号本塁打も敗戦処理。の観戦予定試合の前日に達成された。
交流戦優勝決定の翌日とはいえ、明日の試合は消化試合ではない。ファイターズが勝ち、マリーンズが負けるか引き分けるか、あるいは試合が流れればファイターズがパ・リーグの首位に立つという重要な試合だ。甲子園球場でプロ野球の試合を生観戦するのは九年ぶり。あの球場独特の雰囲気を味わいながら、ファイターズ首位浮上の瞬間に立ち会えたら最高である。
【参考】昨年と今年のファイターズの対戦相手別貯金構成
(今年は6月23日現在)
相手 昨年 今年
対L -6 +1
対H +4 -5
対M +4 -1
対Bs +14 +1
対GE +14 +2
交流戦 -2 +13
計 +28 +11
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