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2007年7月15日 (日)

「泰然自若」-原辰徳監督よ、もっと選手を信じようよ!

21 このところジャイアンツがおかしい。いや、原辰徳監督がおかしいと言った方が近いか?昨年鬼門だった交流戦を十二球団中第二位の好成績でくぐり抜け、今年こそはと期待したジャイアンツファンを大きく不安がらせている。敗戦処理。は昨年来ジャイアンツの低迷には原監督の采配に起因することが多い点を危惧して当ブログでも警鐘を鳴らしてきたが、結局今シーズンも昨シーズンの二の舞いに終わってしまうのか?しかし幸いにも今シーズンは今日(15)で首位から陥落したとはいえ、昨年に比べればはるかに余裕がある。今から立ち直れば、全然問題はない。原監督、お願いだからチームをこれ以上引っ掻き回さないでくれ!

(写真:批判一色の記事なので、せめて小笠原道大の放った本塁打のスイングで癒されて下さいとの意味で14日の対カープ戦での小笠原の21号のスイングの写真を掲載しました。本文とは特別関係ありません。)

また負けた。今日の対カープ戦。高橋尚成と長谷川昌幸の引き締まった投手戦で2対2となった七回裏。ジャイアンツがカープの二番手宮崎充登を攻めて一死満塁。二岡智宏を打席に迎えたところで原監督が動いた。

「バッター、二岡に代わりまして小関」

信じられない。同点の七回裏で、五番打者に代打を送る采配。選手を信用せず、選手のプライドを全く考えない起用。それでなくてもこのところ、野間口貴彦や久保裕也など二軍から上げた選手を一度の登板結果で二軍に逆戻りさせたりする一貫性のない起用法に首を傾げさせられていたが、ついにここまで来たかという感じだ。

敗戦処理。はこの試合をBS日テレの生中継で観戦していた。解説の掛布雅之氏も野村謙二郎氏も「これはやってはならない采配ですね」(掛布氏)「僕だったら(代打を出されたら)怒りますね」(野村氏)と口を揃えて原采配を批判していた。代打を出されてベンチに戻った二岡の表情をテレビカメラが捉えていたが、何ともいえぬ、怒りを必死で我慢している様子がうかがえた。二岡の調子が今一つだというのはわかるが、五番に起用している選手にチャンスで代打を送る。何故二岡に代打を送らなければならなかったが理解できない。

代打で登場した小関竜也が中途半端なスイングで三振に倒れたから言っているのではない。結果を問うているのではない。二岡に代打を出したこと自体が間違っているだろう。

高橋由伸とイ・スンヨプが戦列を離れている中、阿部慎之助とともに生え抜きの中心選手として先頭に立っている二岡。原監督はひょっとしたらこの前日の14日の同じカードで1点のビハインドで迎えた四回裏の一死一、三塁の好機に二岡があっさりと併殺打を放ったシーンを思い出してクリーンアップの選手にまた淡泊な打撃をされてチャンスを逸したらチームの士気にかかわると考えたのかもしれないが、逆に二岡は前日の汚名を晴らそうと期する気持ちがいつもより強かったかもしれない。二岡に一打でて今日の試合を拾うことが出来れば弾みがつくと言うことも期待できる。

正直言って、この時点で今日の試合結果はおおよそ予想がついた。

それにしても最近の原監督はおかしい。

前述した14日のカープ戦では1対2で迎えた八回表。相手投手が大エースの黒田博樹であることを考えればこれ以上の失点は命取りになるところで三番手に山口鉄也を起用。カープ打線が左打者二人から始まるから、これはまだ理解できるが、一死から小笠原の失策で走者がでて右の長距離砲、栗原健太、新井貴浩と続くところで右の西村健太朗なりを出さずに山口続投。栗原に三塁線を破るタイムリーを浴びる。報道によると栗原は右打者ながら右投手より左投手と対戦した時の方が結果が悪いというデータがあるから山口続投という判断になったようだが、栗原にはそういう傾向があるかもしれないが山口に右の長距離砲をも封じ込められるという根拠があったのか?これがまず疑問。

1対3とされ、ここで山口交代かと思ったがタイムリーを放った栗原が三塁を欲張ってアウトになって二死無走者となったためか、山口続投。しかし山口は新井に四球。アレックス・オチョワを迎えたところでようやく西村投入。敗戦処理。はこの試合を東京ドームで観戦していたが、スタンドを埋めたジャイアンツファンのほとんどが「遅いよ」と思ったのではないか。いや、ファンだけでなく守っているジャイアンツナインにも疑義が生じたのではないか。アレックスの右前打でライトのデーモン・ホリンズが間に合わない三塁に送球し、しかも悪送球で一塁走者の生還を許す。嶋重宣のセンターライナーを鈴木尚広が目測を誤って安打にしてしまう。二人とも守備が抜群という選手ではないが、集中力が欠けていたのではと思わざるを得ない。そしてとどめはここまで今季ここまで本塁打3本の八番打者倉義和にスリーラン。小笠原の守備ミスも痛かったが、投手交代の遅れが傷口を拡げた典型的なベンチの判断ミスだ。

西村が倉の本塁打を含め三安打を浴びた結果から判断すれば、山口を続投せざるを得なかったのかもしれないが、山口と西村双方に傷が付く結果になってしまった。そもそも栗原、新井(その後にアレックス)と続く場面で適任のリリーフは本来ならアンダースローの会田有志のはずなのだが、会田はこの二日前のタイガース戦で1対1の同点の十一回表から登板し、十二回表に桜井広大に決勝本塁打を浴びて二軍落ちしている。この試合で34試合に登板。入団二年目ながらこの時点までチーム最多登板と台所事情を支えてきた投手を、ベンチの継投ミスを棚に上げて二軍落ちにしてしまったツケが早くも出た感じだ。

会田の名前を出したところで、12日のタイガース戦にも触れなければならない。この日に五選手を登録抹消して入れ替えた原ジャイアンツは、この日登録した福田聡志が先発で好投。1対0で迎えた六回表、福田が先頭の坂克彦に安打を浴びると左打者が続く場面で二番手に早くも林昌範を起用。八回に豊田清、九回に上原浩治という勝利の方程式が確立出来たので林の起用法を柔軟に考えられることになったのはわかるが、早めの投入だ。前日まで五連敗とあってなりふり構わぬ早めの継投というのはわかる。ベンチの思惑通り林はこの回を無失点に切り抜けた。しかしその後が問題。豊田と上原を除けば最も頼りになる林を六回から注ぎ込んだということは内容が良ければ林に2イニング投げさせるつもりと想像したが、原監督は七回表の頭から右の西村を起用。西村が二死から四球を出すと左の赤星憲広のところで左の野口茂樹を投入。野口が赤星の代打、右の今岡誠に安打を許し、坂に右の代打、アンディ・シーツが起用されると豊田清を投入。豊田はこの回を抑えるが、イニングまたぎになった八回表に同点にされてしまう。一人一殺の早めの継投というと聞こえは良いが、林を先に出したために手駒が薄くなっただけの話。そして上原まで使っても勝利を決められず、最後に出した会田が打たれたというだけの話。会田に敗戦の責任を押し付けるかのような二軍落ちはいかがなものだろうか?

今年の原監督は開幕に間に合わなかったエース上原を抑えに転向させ、好結果を導いた。また二年間故障その他で不本意だった高橋由伸に満足せずに中心打者の補強を続ける一方で高橋由に一番打者という働き場を与え、チームを引っ張らせるなど、選手の意識を変えさせてチームに好成績をもたらしている点は高く評価したい。敗戦処理。が疑問視した谷佳知の獲得も、谷につなぎ役の二番打者を託して成功した。しかしこのままでは昨年より好成績の期間が長いだけで、ちょっとチームの調子が下降気味になると人一倍過剰反応して劣勢に立たされると浮き足立つのが早いという点では昨年の失敗が何ら活かされていないと言わざるを得ない。

イ・スンヨプの登録抹消も今一つ釈然としない。

表向きには親指の付け根を痛めたことで打撃に狂いが生じ、何とか修正を試みながら打席を務めていたが痛みで我慢の限界を超えたとのことだが、そうなるまで何故イを四番に据えていたのか?しかも開幕からずっと四番に据え続けたというならまだしも、不振で阿部と入れ替わって六番に降格していた。不振脱出の兆しがあった訳でもないのに再び四番に座り、それでダメならいきなり登録抹消。イが少々のことでは弱音を吐かない選手だというのはわかるが、もう少し早く手を打てなかったのか?

また原監督が浮き足立つ時の傾向として顕著なのが、選手を信用しきれなくなること。上述の二岡に対する代打が好例だ。選手が監督から信用されていないと不審に思い始めたら選手のモチベーションは低くなる。それは仁志敏久で証明済みだ。

ジャイアンツ時代の仁志の原監督離れは有名だ。マスコミが面白おかしく誇張して書いていたのではないということは仁志のトレードが発表された時に仁志がトレードを決めてくれた球団に感謝していたことでもわかる。

仁志が原監督にぶつけた不満、疑問はあまたあるらしいが、敗戦処理。が共感したのは2002年の対ベイスターズ戦での原采配への疑問。

6月19日の横浜スタジアム。3対3の同点で迎えた十一回表のジャイアンツの攻撃。先頭の松井秀喜が四球で出た無死一塁から原監督は投手の岡島秀樹の代打に投手の桑田真澄を送った。岡島の前にこの年のストッパー河原純一を使っていたジャイアンツは岡島に代打を出した以上、勝ち越さない限り不利になる状況。ベンチには野手では足を痛めている清原和博、俊足の鈴木尚広、唯一の控え捕手、村田善則しか残っていない状況。清原は足に不安があり併殺が怖い。この年一軍に上がったばかりの鈴木はバントが苦手(今も!)、捕手の村田は不測の事態に備えて残しておきたい。原監督はこう考えて代打に桑田を指名したそうだ。そして桑田にバントでなくバスターを試みさせて安打でチャンスを拡げ、桑田に代走鈴木を使った。この後仁志のタイムリーなどで5対3とし、その裏を継投で逃げ切ったジャイアンツだったが、仁志が親しい記者に愚痴をこぼしたそうだ。

「野手が残っていないならともかく、投手を代打に使われたらプライドが傷つくだろう」

敗戦処理。はプロ野球選手ではないが、仁志の言うことは理解できる。「俺より本職は投手の桑田さんの方がバントなりバスターの成功率が高いと思われているのか…」そう思う選手がいても不思議ではない。

原監督がこのシーズンのことを振り返った著書「選手たちを動かした勇気の手紙」(幻冬舎刊)でこの試合のことに原監督自身が触れている。原監督はこの翌朝、この采配がどう書かれているか気になってすぐにスポーツ紙に目を通したという。しかし原監督が気にしていたのは評論家の意見や自軍選手の反応ではなく、相手のベイスターズ森祇晶監督のコメントだった。試合後の原監督が気にしていたのは投手を代打に起用するといういわば奇襲が、相手の森監督に対して失礼だったのではないか?ということで、仁志が指摘したという自軍選手のプライドではなかったようだ。

この本が世に出たのは翌年のシーズン前。もう忘れかけていた敗戦処理。だったがこの部分を読んで唖然としたのを憶えている。自軍の選手のプライドより相手監督のプライドを気にする監督。それでいて選手には「ジャイアンツ愛」を求める監督。こんな感覚でいて、しかも書物として世に出てしまう。大丈夫かなと思っていたら2003年のシーズンは…。

今日の試合に戻ろう。

二岡に代打が出たシーンで解説の野村氏は「自分だったら怒りますね」とはっきり言った。日本テレビ系列の中継でありながらたまたまジャイアンツOBが放送席にいない試合だっただけに掛布氏、野村氏から忌憚のない意見が聞けて、テレビカメラもベンチに戻った二岡の無念そうな表情を写し続けた。他局の中継ならまだしも日本テレビ系の中継でこういうシーンを観ることが出来たのは視聴者として幸運だった。そして二岡の代打小関が中途半端なスイングで三振に倒れた時の原監督のさばさばした表情が対照的だった。

敗戦処理。は当然ジャイアンツを応援してこの試合を観戦していたが、試合に負けたのは残念ながら今はむしろ小関が三振に倒れる等でチャンスを潰して良かったと思っている。なまじ小関起用が奏功し、勝利を得て明日のスポーツ紙に「原采配ズバリ!」等の文字が躍るようでは過ちに気付かずに終わってしまうかもしれないからだ。しかもどんぴしゃりのタイミングでゲーム差なしながらドラゴンズに首位の座を奪われた。明日の各スポーツ紙はこの原采配を批判的に書くだろう。

原監督は明日も真っ先にスポーツ新聞に目を通すのだろうか?

そしてそれよりも何よりも、二岡を第二の仁志にしないためのフォローを誰かがきちんと出来るのか?

敗戦処理。は今年3月13日付の当ブログ竹は地面で3、4年埋まったまま、土の上には出てこないが、一度顔を出せばぐんぐん伸びる。で、昨年11月のテレビ朝日系「Get Sports」で原監督が諸葛孔明の言葉「誤ること はばかることなかれモットーとして「失敗したらそれはそれとしてすぐに別の手段を講じればよい、失敗を恥と思う必要はない。」という考えであること対して批判的な発言をしたが、野間口や久保の実質一日での二軍落ちなどはまさにこの発想なのではないか。

今の原監督に必要な発想はむしろ逆で、選手を信用し、結果は俺が責任を取るからくらいの信頼感で選手にプレーさせることだろう。

原監督は諸葛孔明を尊敬していると言うが、諸葛孔明は中国の三国の中で最も兵力の劣る蜀の劉備に仕えた軍師であり、巨大戦力を誇るチームの指揮官が求めるのは似つかわしくないように思える。原監督にはもっと身近な日本の四字熟語を贈りたい。

「泰然自若」-もっと選手を信じようよ。

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コメント

Pool様、初めまして。

いささか感情に走った長文にお付き合いいただき、コメントまで頂戴し、ありがとうございました。

人それぞれ、いろいろな見方があるとは思いますが、15日の二岡への代打起用には多くのジャイアンツファン、いやそれ以外の人も含めた野球ファンが疑問に思っているようです。

原監督にこうした声が届いているのか否か、17日のスポーツ報知を読んで唖然としたので、第二弾まで書いてしまいました<苦笑>。


またいつでもブログの方に遊びにいらして下さい。

投稿: 敗戦処理。 | 2007年7月18日 (水) 00時54分

やはり今回の二岡代打に関しては疑問と言わざるを得ませんね。
私はイ・スンヨプの扱いに対してそこまで疑問はありませんし仁志についても必ずしも原監督に問題があるとは思いませんが…
今回のことについては、やはり生え抜きで頑張っていて曲がりなりにも得点圏打率4割を超え、打点も稼いでいる二岡に代打で小関というのはおかしいと思います。
ひとつの場面としても合点がいかないし、今後のチーム作りのビジョンもぼやけてしまいますよね。

ついでに言えば、2006年にせっかく出場機会を与えて育てた亀井あたりの起用も中途半端な印象です。
今シーズンの123番の良い形を作ったのは間違いなく原監督の眼力でしょうし、緊急時に阿部を4番にすることに関しても賛同する気持ちですし、是非故障者が相次ぐ時にもどっしりとした采配をして欲しいですね。

投稿: Pool | 2007年7月16日 (月) 02時18分

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