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2007年10月22日 (月)

江川卓と小林繁がCM共演!

江川卓と小林繁が黄桜のCMで共演している。CM中のコピーにもあるように、あの「空白の一日」からもう28年も経ったのだ。早いものだ。郷ひろみがかつての恋人であった松田聖子の代表曲を歌うCMにも驚いたが、まさか江川と小林とは…。一体、誰がどんな発想であの因縁の二人をCMで共演させようと考えたのか不思議でたまらない。敗戦処理。的に天の邪鬼にこの共演を邪推していくと…、

当時のことを知らない人でも、いわば歴史上の事実として「江川問題」や「空白の一日」に関してはご存じだろうと思うが、念のためざっとおさらいしておく。(そんなこと知ってるよ!という人は青字部分を飛ばして読んで下さい。)

作新学院高校時代から逸材と騒がれていた江川卓はジャイアンツに入りたいし、ジャイアンツもこの「十年に一人」ともそれ以上とも言われた怪物が欲しくてたまらない。昨今のように逆指名やら自由獲得枠など、選手本人の希望が配慮される余地の無かったドラフト制度において法政大学四年の江川は全く入団する気のない福岡の球団に指名されたため、浪人して次の年のドラフトを待つことになった。ところがその次なるドラフト会議の前日に、ドラフト制度に関して定めた野球協約の文言上の不備を突いてジャイアンツが江川との入団契約を成立したと主張。ジャイアンツの解釈ではドラフト会議の前日のみ、前年に指名されて入団していない選手と自由に交渉契約が出来る唯一の日であるとしていることから、この日が「空白の一日」と呼ばれた。当然、プロ野球実行委員会はジャイアンツと江川の契約を無効とし、予定通りドラフト会議を開催。入団を無効にされたジャイアンツがボイコットしたまま進められたドラフトではタイガースが江川の交渉権を獲得したが、それでもジャイアンツは江川獲得を有効と主張し、一歩も譲らない。埒が明かなくなったところで、当時の金子鋭コミッショナーが「江川は一度タイガースに入団してそれからジャイアンツにトレードで入団する」という妥協案を提示。これを「強い要望」と位置づけた。年が明けて2月のキャンプイン直前に江川のタイガース入りが決定し、即座にタイガースとジャイアンツの間で交換トレードが成立。その相手が当時ジャイアンツの主力投手である小林繁だった。

江川は自分の希望を叶えて正式にジャイアンツの一員になることが出来たが、そのために小林繁という一人の主力投手が犠牲になったのである。

このあたりの経緯は主に江川サイドの立場で構成された、本宮ひろ志氏の「実録たかされ」を参照されたい。

ある意味「世紀の共演」とも言える共演が実現したのだから、野球界、広告業界で評判になるのは当然として、このCMがテレビに流れるようになると、日本テレビ系列では二つの番組でこのCMを特集した。一つは日曜朝の情報番組「ザ・サンデー」でもう一つは江川自身がキャスターを務めている「スポーツうるぐす」。どちらも江川がレギュラー出演している番組だが、後者では土日の二日連続で特集した。

江川は数年前にも自分がキャスターを務めるこの番組で当時のドラフトの頃を振り返る企画を組んだことがあった。その時の江川は自らの言葉で自分の選んだ道に間違いはなかったと振り返る一方で自分の非をも認めていた。一部のマスコミはこれを江川流の「禊ぎ」と解釈し、江川と、江川を高く評価していると言われる日本テレビのドン、氏家齊一郎がいよいよ本気で「江川監督」実現に向けてスタートしたと報じた。

ジャイアンツの監督人事をマスコミが取り沙汰する際、江川はいわば万年候補だ。ファンの声を募ると「江川監督」は上位人気という結果が出る一方で「それだけは認めない」という声も同じくらい多数あるという。その理由はもちろん監督としての適性云々ではなく、「江川問題」を今でも許さない人が多いからだ。そういう抵抗勢力を切り崩すべく、自らがキャスターを務める番組で当時を振り返り、総括してネガティブイメージをぬぐい去ろうという狙いではないかというのが、その特集が組まれた当時のマスコミの論調だった。

今回のCMは江川サイドの総括よりも飛躍的に説得力がある。小林繁がそこにいるからである。

あの時以来、タイガースの小林繁はマスコミの取材で江川について聞かれると江川のことを「あの子は…」と表現していた。それが小林のせめてもの抵抗と敗戦処理。は思っていたが、66分間の再会あいさつを集約したというあのCMでは小林の言動にそんな思いはかけらもない。

本当に「話題性」だけでこのCMに二人がキャスティングされたのだろうか?

クライマックスシリーズに惨敗したとはいえ、優勝監督である原辰徳の座は安泰であろう。一年後以降を見据えた、江川サイドのイメージアップ戦略ではないかと邪推してしまうのが敗戦処理。の悪い癖である。それとも企画段階ではジャイアンツはレギュラーシーズンの優勝も危ういということだったのか<苦笑>

一般に企業がCMに、自社の商品や自社イメージに即したタレントを起用するには広告代理店らと検討し、ふさわしいと思う人物に出演依頼をするが、最近ではキャスティング専門の代理店が介在することが少なくないらしい。この代理店は企業(クライアント)の依頼で適任のタレントを探すだけでなく、タレント側からタレントとしてのステータスを上げたいためにふさわしい企業のCMを探してほしいという要請を受けて動くことや、代理店が主導してタレントと企業を結びつけることもあるという。江川がそろそろ現場に戻りたい。ジャイアンツのユニフォームを着たいと考えていたとしたら。

今にして思えば、江川卓という男は時代の先を行きすぎたような気がする。

江川の「空白の一日」は到底荒唐無稽な論理だったが、その後有力な大学生(及び社会人の選手)の一部は相思相愛の球団とドラフト制度の抽選という制約を受けず入団交渉出来るようになった。

試合終盤に球威が落ちる傾向のあった江川はマスコミから「百球肩」と揶揄されたが、先発投手の替え時の目安に投球数がバロメーターになることはファンにも定着。百球も一つの目安だろう。東京ドームのジャイアンツ戦では今年から登板中の投球数が表示されるようになったほどだ。

また、江川がジャイアンツのエースだった頃、先発ローテーション投手の登板間隔は中四日が基本で、時に必要に迫られると中三日で…と言う時代だったが、江川は時に中六日も間隔をとって投げて物議を醸したことがあったが、今では中六日は常識で、先のパ・リーグのクライマックスステージのように21歳のダルビッシュ有が中四日で投げるだけで話題になる。

敗戦処理。ははっきり言って江川の日曜日の「ザ・サンデー」での江川の理論をあまり理解できない。言いたいことは想像つくが首をかしげざるを得ない点が多い。しかし、今挙げた例に当てはめれば江川理論が球界を制する時が来ても不思議ではない。

江川はその時に備えて、最大のネックとなるであろう「空白の一日」から始まった江川問題をぬぐい去ろうとして小林繁氏の力を借りたのかもしれない。

あるいは、あのトレードのせいで何年かに一度行われるジャイアンツとタイガースのOB戦ではタイガースOBにさせられる小林が、ジャイアンツOBであることを世間に示したいがために、江川との手打ち式を画策したか<苦笑>

そのジャイアンツとタイガースのOB戦が来月開催される。この二人を観たいからという訳ではないが、今年は生で観てみようと思っている。

郷ひろみが元カノの代表曲を歌い、江川卓が小林繁に頭を下げるCM業界。

果たして、亀田大毅と内藤大助のCM共演が実現するのだろうか?

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コメント

長緯様、コメントをありがとうございました。

> CS惨敗の辛さも吹き飛びました(笑)
これからも楽しい記事を期待しております。


私はまだクライマックスシリーズ惨敗を引きずっております<苦笑>。


folomyに書きましたが、まだまだ言いたいことの半分くらいです。


早く日本シリーズが始まりますように。

投稿: 敗戦処理。 | 2007年10月23日 (火) 00時19分

いやあ~失礼ながら爆笑しながら読ませていただきました!

問題は時間が解決する。人間万事塞翁が馬。まさにそんな感じで時が流れると当時にはとても思わなかったことが起こるものですね。

そこから投手・江川卓についての考察や巨人の監督問題、江川氏の策略についても思いを巡らすとは、その洞察力に頭が下がります。

さらには郷ひろみが突然青い珊瑚礁のサビを唄いだすCMを引き合いに出し、最後は亀田大毅と内藤大助のネタで締めるというすきのない文章展開。こんな「名調子」のblogを読めるのはここだけです!

CS惨敗の辛さも吹き飛びました(笑)
これからも楽しい記事を期待しております。

投稿: 長緯 | 2007年10月22日 (月) 19時09分

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