« ダルビッシュ有の沢村栄治賞受賞と日本シリーズ第五戦での山井大介途中降板 | トップページ | もしも金村曉が今からFA権を行使したら!? »

2007年11月 5日 (月)

ファイターズは何処に向かっているのか?-誰もが首を傾げたくなる首脳陣人事

今シーズン限りでファイターズでの五年間の監督生活に終止符を打ったトレイ・ヒルマン監督の退任記者会見が4日、行われた。ファイターズファンとして、ヒルマン監督に対する感謝の言葉は尽きないが、最後に一泡吹かされたと思っているファンも少なくないことだろう。

たしかに仕事を辞める自由は誰にでもあり、球団が次を探すのに手遅れにならないように早めに辞意が強いことを明確にしたのはこの人なりに筋を通したのだろうが、まだ日本シリーズ(と場合によってはアジアシリーズ)を控えているのに次の就職先を決めてしまい、そればかりかその制服に袖を通して笑顔で会見するとは、いくら「何でもあり」の球団とはいえ、やり過ぎじゃないかと思った。

が、しかしそんなことに驚いている場合ではない。ヒルマン監督に抜けられるファイターズは高田繁ゼネラル・マネージャーも任期切れを機に退任を表明し、セ・リーグのスワローズの監督に就任するという。フィールドマネージャーとゼネラルマネージャーに同時に去られるチームはヒルマン監督の後任に梨田昌孝氏を据えることを決めたが、日本シリーズが終わるやいなや功労のあったコーチ陣のクビきりを断行。監督が替わればコーチ陣も一新というのは日本プロ野球ではよくあることだが、今のファイターズのコーチ陣はヒルマン監督が連れてきた訳ではない。東京時代を知るファンの中には「また元のファイターズに戻るのか」と不安がる者も少なくないだろうし、北海道に移転してからチームの成長をともに見続けているファンは「別のチームになってしまうのではないか?」と不安がっているだろう。

いったいファイターズは何処に向かっているのか?

ファイターズのヒルマン監督は昨年もシーズン終了後に大リーグの球団の監督の座を目指し、数球団と交渉を持ったが折り合いが付かずチームに残ったという経緯がある。今年の夏、ヒルマン監督は球団に対し今シーズン限りでの退任を申し出て、慰留をされたものの退任が決まった。

この時点ではパ・リーグ公式戦の真っ最中であったが、普通に考えればヒルマン監督の野球は成功していると見るべきだろう。チームがうまく行っている時に監督が辞めると言い出し、それを認めざるを得ないとしたら次に球団が考えるべきことは?

ヒルマン野球を踏襲できる人物を後任に据え、コーチングスタッフも極力保持し、マイナス要因を最小限にした首脳陣を形成することだろう。ファイターズの場合、具体的には白井一幸ヘッドコーチの内部昇格が真っ先に検討されて然るべきだろう。

ところが最適候補者であるはずの白井ヘッドコーチはやはりヒルマン監督から辞意を聞いており、監督が退任するのなら自分もと、身を引くつもりでいたという。このあたりは新聞報道を通しての情報なので事の真偽は定かではないが、これで球団は外部招聘を検討せざるを得なくなった。外部から新監督を招聘すれば、コーチングスタッフもある程度新監督の要望を受け入れなければならなくなる。

その結果はみ出したのがダルビッシュ有を入団年から面倒を見ている佐藤義則投手コーチであり、どんなに打線が打てなくてもきちんと記者団相手に敗因を分析してくれることで好評だった(らしい)淡口憲治打撃コーチだった。

特に佐藤コーチは北海道奥尻郡出身だけに地元北海道のファンには衝撃が大きいことだろう。まだ北海道にプロ野球チームがなかった時代に、奥尻の災害に対して現役時代の佐藤は登板日の翌日に球団と選手会からの義捐金を持って故郷を見舞って感動を呼んだ。

淡口コーチに関しては打撃低迷の責任を追及するというのなら解任も妥当性があるが、淡口コーチは高田GMとともに、ファイターズが来るまで北海道で圧倒的な人気を誇っていたジャイアンツが最も強かったV9時代のメンバーで、この両者がファイターズの一員にいることで北海道の年輩のジャイアンツファンを切り崩すことに貢献していたという。

偶然かもしれないが、今回解任を通告された両コーチはいわゆる外様だ。生え抜きのコーチに関してはまだ解任の情報が出ていない。

ファイターズのここ数年の躍進は監督が外国人であるのと同様に際立った成果を残したコーチは外部からの招聘組ばかりである。

ファイターズでの現役時代の功績を買われ、コーチの座を与えられた生え抜きコーチ達はほとんどが数年でユニフォームを脱いでいる。自前のコーチを育てるのも急務のはずだが、その希有な成功例とも思える白井ヘッドには逆に逃げられた。

* その点では田中幸雄がコーチ就任要請を辞退し、外の空気を吸うという決断をしたのは本人にとって良い方向に転ぶだろう。

白井ヘッドコーチの後任には福良淳一二軍監督を昇格させるという。

佐藤投手コーチの後任にはマリーンズから戦力外通告を受けたもののまだ現役続行を希望している吉井理人に就任を打診しているという。

淡口コーチの後任には平野謙外野守備走塁コーチを兼任させるとともに、かつてテルシーの愛称で親しまれた中島輝士スカウトを転任させるという。大抜擢だなと思ったら中島スカウトは高校生ドラフト一巡目で指名した中田翔の担当スカウトで中田を一番良く知っている存在だからそばに置いて指導させるという。

他に梨田新監督の現役時代のチームメート、真喜志康永氏(前バファローズコーチ)を白井ヘッドが兼任していた内野守備部門の後任として招聘するという。

ファイターズは何処に向かっているのか?

3日付日刊スポーツによると解任を通告された佐藤コーチが「いまさら言われても。(ヒルマン監督)本人だけ喜んでそれでいいのか。球団は謝っていたけど。一年契約だからずっとは考えていないけど時期が悪い。就職活動ができないよ。誠意がないよな。前もって決まっているなら言ってほしかったな。(球団が他球団への就職先を)探すのはできないと言っていた。」と怒りをあらわにしていたが、まさにこの一連のドタバタを象徴するコメントと言えよう。だが、新しい人材を求めるファイターズの方も制約を受けているのが明らかだ。かといって上で挙げた人選では何を目指しているのか解らない。

今回の人事にどれだけ梨田色が反映されているのかは定かではないが、監督にはフィールドマネージャーに専念してもらい、チーム造りはゼネラルマネージャーを始めとするフロントの専権事項と役割分担を明確にしたことで二年連続でリーグ優勝出来るほどのチームを作り上げた球団が、フィールドマネージャーにもゼネラルマネージャーにも抜けられた年に方向性を誤ったらどうなるか?

1981年にパ・リーグ優勝を成し遂げた大沢啓二監督率いる当時のファイターズは翌年もプレーオフまでは進出。その翌年もAクラスにはなったが優勝したライオンズの独走を許したことを重く見た大沢監督が辞任。大沢監督はフロント入りしたが、その後優勝メンバーがトレードなどで徐々に流出。新旧交代は為されたがチームカラーははっきりせずファンも離れていって長く優勝から遠ざかった。

ファイターズは北海道でまた東京の二の舞いを演じるのか?

田中幸雄や津野浩を抜擢する一方で柏原純一、古屋英夫、大宮龍男と言った優勝メンバーを大胆に斬っていって生え抜きの指導者を作れずに長く優勝から遠ざかる遠因をつくったのは高田繁元監督の功罪とも言える。彼がGMとして球団に戻ってきて安定した成績を残せるチーム造りに一定の成果を挙げたのは高田氏なりの罪滅ぼしだと思っていたのだが…。

今さら言っても手遅れかもしれないが、せめて敗戦処理。が勝手に将来のGMと決めていた白井一幸ヘッドだけでも球団に残ってもらえていたら…。

|

« ダルビッシュ有の沢村栄治賞受賞と日本シリーズ第五戦での山井大介途中降板 | トップページ | もしも金村曉が今からFA権を行使したら!? »

コメント

鎌ヶ谷大仏様、毎度どうも。

> 敗戦処理。さん、トラックバックどうも(よくこの使い方がわかんないですが)。

「売名行為」です<笑>。鎌ヶ谷大仏さんのブログを観た方をこちらに誘導しようとしています。

金村のトレードも決まり、セギノールもおそらくチームを去るでしょう。

宇宙狼さん宛のコメントにも書きましたが、本当に一つの時代の終焉を感じます。

金村ですが、正直、金村で濱中を獲るというのはエビでタイというか、無理かなと思いました。しかしこれで噂されるようにマリーンズの主力投手とのトレードが成立するようだと、新天地で頑張る濱中を敵に回すことにもなりますね。

本当にまだまだ目を離せないオフですね。

それではまた、これからもよろしくお願いします。

投稿: 敗戦処理。 | 2007年11月 7日 (水) 00時13分

宇宙狼様、コメントをありがとうございました。

> 去年の日本一(アジア一)後、小笠原が抜けた時も喪失感を味わいましたが、今年のそれは喪失というよりも「崩壊」に近い感じですかね。

東京を離れることが発表された時や、小笠原が抜けた時とはまた別の意味で寂しさを感じますね。

まさに「崩壊」という表現がピッタリですね。

東京時代と同じ失敗をしないように北海道では地域密着を目指す。

小笠原が抜けた穴は埋まらないからその穴を投手力と守備力でカバーする。

では、今回の首脳陣人事は…?

今のところ、見えてきませんね。

正直、田中幸雄もバットを置くだけでなくユニフォームを脱ぎますし、一つの時代の終焉を感じますね。

> 来年、我々のこの不安を払拭してくれるような闘い方をしてくれる事をファイターズに期待しましょう。

そうであってほしいのですが、「勝って結果を残せばそれでよし」と片付けられるのも素直に喜べない気がします。


コメントをありがとうございました。また遊びにいらして下さい。

投稿: 敗戦処理。 | 2007年11月 6日 (火) 23時58分

敗戦処理。さん、トラックバックどうも(よくこの使い方がわかんないですが)。
まあ、金村もようやく去就が決まりほっとしたことでしょうが、チームは一体どうなることやら、とオフシーズンもゆっくりさせてくれませんな、ファイターズは。

投稿: 鎌ヶ谷大仏 | 2007年11月 6日 (火) 00時06分

フロント(球団)と現場(選手・監督)の温度差というか、意識の違いというか、敗戦処理。さんの仰る通り方向性が見えてこないんですよね。全てヒルマン前監督の退団による、急場凌ぎというか。
自分はこの日本シリーズ、選手は監督人事関係なしに闘ってくれると思ってましたが、やはりこういうゴタゴタが士気に影響したかもしれませんね。
去年の日本一(アジア一)後、小笠原が抜けた時も喪失感を味わいましたが、今年のそれは喪失というよりも「崩壊」に近い感じですかね。監督が代わればコーチも替わる。ある程度はしょうがない事ですが、後味がちょっと悪すぎますよね。

来年、我々のこの不安を払拭してくれるような闘い方をしてくれる事をファイターズに期待しましょう。


投稿: 宇宙狼 | 2007年11月 5日 (月) 23時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38724/8758670

この記事へのトラックバック一覧です: ファイターズは何処に向かっているのか?-誰もが首を傾げたくなる首脳陣人事:

» ライオンズ,ファイターズの監督人事で他の全球団を巻き込むコーチ人事波乱必至? [ぶまぶまの落書き]
 西武ライオンズの伊東監督辞任から、荒木,土井コーチの辞任。残りのほとんどの一軍 [続きを読む]

受信: 2007年11月 5日 (月) 16時54分

« ダルビッシュ有の沢村栄治賞受賞と日本シリーズ第五戦での山井大介途中降板 | トップページ | もしも金村曉が今からFA権を行使したら!? »