もしも金村曉が今からFA権を行使したら!?
今週5日、ファイターズの金村曉のタイガースへのトレードが成立したと発表された。相手は中村泰広で1対1の交換トレードだった。そして手続きも終わったようで、11月9日付で以下のような公示が為された。
■セ・リーグ
支配下選手登録 阪神 金村曉投手
支配下選手登録抹消 阪神 中村泰広投手
■パ・リーグ
支配下選手登録 日本ハム 中村泰広投手
支配下選手登録抹消 日本ハム 金村曉投手
(11月10日付け日刊スポーツより)
これで正式にタイガースの金村曉とファイターズの中村が誕生したことになる。
で、ふと思ったのですが金村曉は10月22日付で公示されたフリーエージェント(以下FAと表記)の有資格者であり、FA権の行使の届けの期限は今年の場合は11月12日まで。
金村曉がFA権を行使して移籍を希望したら?
金村曉が大リーグの球団と契約したら補償金も入ってこないタイガースは丸損?
同じ10日付の日刊スポーツでは金村曉は9日にタイガースの球団事務所で正式契約を結んだとのこと(年俸は今季推定の1億8000万円から6000万円ダウンの推定1億2000万円だとか。)なので、現実的には有り得ないことだと思われますが、制度上は先に書いたようなことも有り得るのだと思います。
あくまで例えばの話ですが、トレード成立前の金村曉にはFA権行使の意思はなく、選手の宿命としてトレードの話にも本意では無いながら応じた。しかし移籍先でいざ正式契約を結ぼうとしたら、野球協約上では本人の合意がなければ認められない減額制限(金村の年俸が推定額通りであれば、1億円を超えているのので40%以内)を超える契約を求められたり、あまりにも低い評価だったとしてそれが不服だと感じ、球団に不審を感じたら…。
理屈では有り得ないことと思うかもしれませんが、金村曉という名前や今回のトレードという事実をいったん頭から消して考えてみて下さい。
FA権を有している選手を権利行使の期限前にトレードした場合に、現行の野球協約ではその選手はトレード先からでもFA権は行使できる-
これは抜け道です。いつか誰かがこの盲点をつくかもしれません。
まさかそんなことはないだろう。今回の金村曉の事例に当てはめれば、ファイターズとタイガースの球団同士の間でトレードの話が出た時にタイガース側からはファイターズに対し「おたくの金村選手はFA権を取得したはずだが?」という確認の問い合わせがあり、ファイターズ側から「事前に確認しましたが行使の意思はないようです。トレードもプロ野球選手の宿命として受け入れると言っていました」との回答があったとしましょう。しかしそれはあくまで水面下での話です。金村曉の取得したFA権がトレードによって無効になったり保留になったりするものでない以上、今回のようにまだ権利行使の締切前であれば、金村のFA権は有効なのです。
この時期にトレードが成立するのもケースとしては希少ですが、一応抜け道のある制度には抜け道を巧く使われる前に防いで措いた方が無難でしょう。
それと、完全に別件ですが過去にFA権取得まで実質一年を残した段階でポスティングシステムによって2002年から大リーグに移籍した現スワローズの石井一久が2006年シーズンからスワローズ(というか日本プロ野球)に復帰したらそれまでのFA権取得までの日数に2006年シーズンの登録日数を加算してこのシーズン終了後に初のFA権を取得しましたが、これも選手には美味し過ぎる条件だと思います。
また、昨年10月にエントリーしたFA権行使の手続き期間はアジアシリーズ終了後にしてくれ!で書いたように手続き期間を日本シリーズ終了後からアジアシリーズ終了後に改めることも本気で考えて下さい。日本プロ野球選手会は興行色の強い日米野球を中止して11月に興行を組むなら真剣勝負となる闘いを組んでくれと昨年要望を出しました。まだまだファンの盛り上がりが不充分ではあるもののアジアシリーズは意義のある真剣勝負です。
そしてアジアシリーズに日本プロ野球を代表して出場するチームにもFA権行使か否かの渦中の選手がいる可能性がある訳で、昨年のファイターズには小笠原道大がいたし、今年のドラゴンズでは試合に出ていないので目立たないが福留孝介が。
ドラフト制度のあり方が変われば、FA権の資格取得に関しても何らかの改定がなされるかと思いますが、本エントリーで言及した矛盾も合わせて再検討して欲しいものですね。
それと、最後にもう一言言わせて下さい。
新井貴浩よ、泣くな!!
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コメント
常識的にそんな事したら日本に居られなくなりますね。
投稿: | 2007年11月10日 (土) 20時49分