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2007年12月 5日 (水)

移籍完了前の対外試合ダメ!!-スワローズ斉藤宜之の事例に思うこと。

先月の話だが、日刊スポーツに下記のような記事が出ていた。今シーズン限りでジャイアンツから戦力外通告を受けた斉藤宜之外野手が11月7日のトライアウトでスワローズの編成担当者の目に止まり、来シーズンスワローズでプレーできることになったのだが、斉藤が早速スワローズの秋季練習に参加して秋季練習中の対外試合にも出場したことでコミッショナー事務局から注意を受けたのだ。

◆移籍完了前の対外試合ダメ

コミッショナー事務局は16日、現状で他球団に在籍する選手を対外試合に起用しないよう12球団に通達した。今季限りで巨人を戦力外となり、トライアウトでヤクルト入団が決まっている斉藤宜之外野手(31)が、前日15日にヤクルトの選手として対外試合に出場した。ヤクルトが注意されるとともに、全球団にルール確認を求めた。契約上ではまだ巨人に属している。紅白戦を含めた練習への参加に問題はないものの、対外試合への出場は認められていない。

(1117日付 日刊スポーツ)

この記事の引用だけを読んでもピンと来ないファンの方もいるかもしれない。しかし、スワローズが対外試合に斉藤を起用したのは悪意はなかったにしてもフライングであり自分たちの所属する世界のルールを把握していなかったとしたらお粗末といわざるを得ない。

今年に限った話ではないが、シーズン終了と前後して各球団は翌年に選手契約を結ぶ意思のない選手にその旨を告げ、マスコミに対してもそれを発表する。スポーツ新聞には「○○球団は次の×人に対し、戦力外通告を行った。△△投手、□□捕手…」などと報じられる。彼らの中でどこか他球団でプレーを続行したいものはトライアウトを受けるなりして現役続行の道を模索する。

しかし実は、この時点では戦力外の選手に自由契約選手としての手続きが取られる訳ではない。彼らが実際に自由契約になるのは今シーズンで言えば1130日付公示で自由契約選手と公示された時点である。

そしてこの時点での自由契約選手というのは各球団が来シーズンも契約する意思のある選手として連盟に届け出る「保留者名簿」に掲載されなかった選手が自動的に自由契約選手になっているのである。

そんな馬鹿な!マリーンズから戦力外通告を受けた藤田宗一がジャイアンツのユニフォームに袖を通して記者会見を行っていたではないか!あれこそフライングではないのか?

これを読んでいる方の中にはこのシーンを思い浮かべる方もいるかもしれない。

藤田がジャイアンツで記者会見したのは11月7日。一回目のトライアウトが実施された当日だったが、これは選手会とNPBが取り決めた、戦力外通告の選手と他球団の交渉解禁日がトライアウト実施日だったからだ。藤田はトライアウトには参加していないが、その実績とまだまだ使えると判断したジャイアンツが解禁当日に藤田と交渉し、その日のうちに合意に至ったということだ。選手会は戦力外通告を受ける選手が次の仕事場を探しやすいように戦力外通告の告知時期を早めるように働きかけるとともに、機会均等の考え方から、トライアウト実施日まで交渉を凍結するようにも申し入れているのである。そして自由契約になっていない選手達が参加しているトライアウトではあくまで今シーズン所属したチームの選手として参加しているに過ぎないのである。

それでは何故彼らは10月に戦力外通告を受けているのに11月末まで自由契約にならないのだろうか?その答えは野球協約にある。関連する協約条文を抜粋する。

野球協約第13章 選手契約の譲渡

115条(ウエイバーの公示)

球団が参稼期間中その支配下選手の契約を解除しようとする場合、球団はあらかじめ所属連盟会長へ、その選手との選手契約を放棄し、その選手の保有を希望する球団に譲り渡したい旨のウエイバー公示手続きを申請しなければならない。

連盟会長はただちにウエイバーを公示し、この旨をすべての球団と同選手に通告し、また、同選手の所属球団以外にたいしては、公示の日から7日以内に同選手の契約譲渡を申し込むか否か回答を求めなければならない。

118条(選手の反対通告)

選手がウエイバー手続きによる移籍を拒否した場合は、資格停止選手となる。

119条(優先順位)

ウエイバーの公示により、数個の球団から契約譲渡の申し込みがあったときは、その選手の所属する連盟の球団が他の連盟の球団に優先する。また同一連盟内においては、年度連盟選手権試合シーズン中は、申し込み猶予期間満了当日における選手権試合の勝率の逆順、また、年度連盟選手権試合シーズン中でない場合、前シーズンにおける選手権試合の勝率の逆順をもって、球団の優先順位とする。

122条(ウエイバーの不請求)

連盟会長からウエイバー公示された日から7日以内に、いずれの球団からも契約譲渡の申し込みがなかった場合、コミッショナーはその選手を連盟会長の申請にもとづき自由契約選手として指名する。

この場合いずれの球団もその選手とその年度の選手契約を締結することはできない。

121条(ウエイバー譲渡金)

ウエイバーによる選手契約譲渡金は、400万円とする。

いかがですか?

球団が恣意的にシーズン中に選手を自由契約に出来ないようにするための措置という側面がある一方、最初に記した115条の「参稼期間中」という文言に注目されたい。参稼期間とはシーズン中を意味しない。球団が翌シーズンの契約を予定している選手を申告する「保留者名簿」を提出する時まで、今シーズンでいえば1129日までを指すのだ。

つまり野球協約上は、今年でいえば1129日より前に自由契約にすると、ウエイバーの手続きをしなければならない。ウエイバー手続きだと選手から球団を希望できないし、移籍金が発生することで獲得をためらう球団が出るかもしれない。

そうはいうものの、現実には交渉解禁日にジャイアンツ入団が決まった藤田や、スワローズの秋季練習に参加している斉藤のような例はいくらでもある。斉藤は1130日以降、正式にスワローズの一員になれるが、12月は北京五輪の予選に出ている選手以外はオフ期間。11月の秋季練習期間に行われる練習試合で斉藤をテストすることは現行の野球協約の元では出来ないのか?

練習試合の時点で協約上もスワローズの一員になっていれば良いのだ。その方法としては斉藤がスワローズ入りすることが内定した時点で、元の所属のジャイアンツとスワローズの間で斉藤をトレードすればよいのだ。交換トレードや金銭トレードとなると話がややこしくなるから無償トレードという形を取ると良い。そうした上で支配下選手登録をジャイアンツからスワローズに移せばよいのだ。

例えば、このケースとは異なるが11月上旬にファイターズとタイガースの間でトレードが成立した金村曉と中村泰広はその後手続きも遅滞なくなされ、協約上も移籍先の所属となっている。

11月9日セ・リーグ公示

【支配下選手登録】

▽阪神 金村暁投手

【同抹消】

▽阪神 中村泰広投手

同パ・リーグ公示

【支配下選手登録】

▽日本ハム 中村泰広投手

【同抹消】

▽日本ハム 金村暁投手

タイガースまたはファイターズが11月9日以降に練習試合と称して対外試合をしたとして、「新戦力」を試合に出しても問題はない。

また戦力外通告の選手に無償トレードが成立した例は昨シーズン後の大道典嘉がある。

ホークスがプレーオフの第二ステージで敗退したあと、大道はホークスから戦力外通告を受けた。その後ジャイアンツが大道の獲得に乗り出し、ホークスとの間で無償トレードを成立させた。

「ホークスの選手がジャイアンツに無償トレード」ということで、一部の早とちりなホークスファン(とアンチ讀賣派)が過剰反応したのを、当時ネット上で散見したが旧南海ホークスの生き残りとして19年間プレーした功労者に対し、戦力外にしたとはいえ獲得する球団が出た以上スムーズに新天地の一員になれるようホークス球団が大道とジャイアンツに対する配慮をしたと敗戦処理。は分析している。

今回もスワローズとジャイアンツの間で手続きが為されていれば冒頭に引用したような間抜けな注意を受けるような事態にはならなかったはずだが、それをせずに注意を受けたスワローズには猛省を促したい。

ただ、オフの戦力外通告の選手に対する移籍にこれほどまでに制約があるのは如何なものかとも敗戦処理。は思う。現在野球協約の大幅な改定のための準備が為されているというが、形骸化した部分は議論を重ねた上で改廃していって欲しい。11月に秋季練習、それもキャンプと名付けられるほどの本格時な練習がなされるのが当たり前になった現況を踏まえて移籍の活性化を促進するとともにスムーズに移籍先のチームの一員として大手を振ってプレーできるような協約上での整備も必要だろう。

ドラフトとFAという、いわばスポットライトを浴びる時の権利義務だけに着目するのではなく、「戦力外通告」という地獄から這い上がろうとする選手と、チャンスを与える球団双方にメリットの無い現状にも手を加えて欲しい。

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