パ各球団にはやっぱり大きいセとの交流戦~観客動員力調査スピンオフ企画!?~
1月4日にエントリーした「最も観客動員力があるのはタイガースじゃなくてジャイアンツ?-第3回観客動員力調査」では、今回初めてタイガースとジャイアンツの観客動員力が逆転したが、この両球団の観客動員力が他の球団と比べて図抜けているとも書いた。パ・リーグが長年にわたりセ・リーグに対して交流戦の実施を切望していた理由が見えてくるが、観客動員にも増してパ・リーグにとって得難いのが対ジャイアンツ戦での地上波での放映権料。敗戦処理。は交流戦期間の地上波中継の実態を調べてみた。
敗戦処理。は地上波にこだわって試合のテレビ中継の実績を調べてみた。なぜ地上波にこだわるかというと、視聴環境としてまだまだ地上波が最も多くの人々に観られているだろうということが推測出来るからである。テレビあるところ必ず地上波は視聴可能であろう。
CATV最大手のジュピターテレコムの調査によると、2006年8月から2007年8月までの地上波合計の年間平均視聴率が13.5%、BS合計が2.6%、専門チャンネル(CS)の合計は11.1%だったとのこと。またビデオリサーチによるアナログ受信世帯を含む視聴率調査では地上波合計の年間視聴率が関東地方で45%前後、BSと専門チャンネルの合計視聴率は2~3%で推移しているという(いずれも日本経済新聞2007年11月9日付紙面より)。まだまだ地上波の影響力が最大だと思うからだ。
敗戦処理。は2007年の交流戦期間に地上波で中継された試合を調べた。深夜時間帯などに録画中継されるものを除き、十二球団の本拠地地域7都道府県(北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、福岡)と本拠地のない都道府県から人口の多く、位置的に偏らない3県(長野、新潟、愛媛)をセレクトして中継予定があった箇所数を1試合1地域につき1ポイントとして集計した。つまり1試合につき、最大で10ポイント。球団ごとの(放映権料を得ることの出来る)交流戦主催試合は12試合だから最大で120ポイントとなる。
今年の交流戦期間中の地上波中継ポイントの多い順に十二球団を並べると以下のようになる。
70P ジャイアンツ
29P ホークス
27P ファイターズ
19P ドラゴンズ
17P バファローズ
16P ゴールデンイーグルス
15P タイガース
9P カープ
6P マリーンズ
1P ライオンズ
1P スワローズ
0P ベイスターズ
セ球団合計 114P
パ球団合計 96P
なんだかんだ言ってもジャイアンツが圧倒している。身内と言える日本テレビですら「ジャイアンツ離れ」が加速化していると言われるが、さすがである。しかしジャイアンツ以外を見ると、6位以内にパ・リーグの球団が四球団あり、交流戦はオイシイと言える。
ちなみに放映権料こそ手に入れられないものの、ビジターの試合でも中継されれば球団としてアピールの場にはなる。そこで上記の主催試合にビジターだった試合も加えると、以下のようになる。
107P ジャイアンツ
56P ホークス
51P ファイターズ
43P ドラゴンズ
37P ゴールデンイーグルス
31P バファローズ
23P タイガース
22P カープ
20P マリーンズ
15P ライオンズ
12P スワローズ
3P ベイスターズ
順位はほとんど変わらない。そして相変わらず上位6位以内にパの球団が四球団ある。
余談だが下位四球団がすべて首都圏の球団というのは偶然ではあるまい。スワローズはジャイアンツと同じ東京で、それ以外の球団は千葉、埼玉、横浜と別れてはいるが、これらの地域はテレビ系列としてはすべて首都圏で共通だ。UHFで各地元局こそあるものの、首都東京発信のテレビ局を観るしかなく、ここではジャイアンツの独壇場になっている。テレビ局を親会社に持つベイスターズが交流戦で一試合も主催試合を放送されないのはいくら何でもという気がするが、悲しいかな実態なのである。
余談ついでにもう一つ触れると、スワローズやベイスターズが地元でテレビ中継されないと言う点はおそらく機構などでも問題視していると敗戦処理。は推測している。それは開幕戦のカードの組み方に見受けられる。
開幕戦のカードの組み方は近年では両リーグとも二年前の公式戦順位をもとに上位三球団が主催しているがセとパでカードの組み方が異なっている。
2007年開幕戦
タイガース対カープ
ドラゴンズ対スワローズ
ベイスターズ対ジャイアンツ
マリーンズ対ファイターズ
ホークス対バファローズ
ライオンズ対ゴールデンイーグルス
2008年開幕戦
ドラゴンズ対カープ
タイガース対ベイスターズ
スワローズ対ジャイアンツ
ファイターズ対マリーンズ
ライオンズ対バファローズ
ホークス対ゴールデンイーグルス
パ・リーグの場合、二年前のレギュラーシーズンの勝率順で1位対4位、2位対5位、3位対6位という組み合わせで統一されている。これは2006年でもそうである。しかしセ・リーグはそうしていない。
金曜日にナイトゲームで開幕するセ・リーグでは開幕戦の観客動員だけでなく、テレビ中継で多くのファンに観てもらおうという意図が見えてくる。ドラゴンズやタイガースはそれぞれの地域で金曜の夜に地上波で中継が見込めるがベイスターズやスワローズは地上波での中継は期待薄だ。そこでこの二球団にジャイアンツをぶつけることで、ベイスターズやスワローズの開幕戦を地上波中継に乗せることが出来るのである。この組み方にして昨年はセの三カードとも各地元で地上波で中継されたし、今年もそうなるであろう。
余談が長くなったので元に戻そう。
パ・リーグがいかに交流戦の恩恵を受けているかという意味で比較対象として交流戦の前後の同一リーグの対戦でどのくらい地上波で中継されているかを調べてみた。昨年の交流戦はホームゲーム、ビジター合わせて24試合だったから、各球団の交流戦前12試合と、交流戦後の12試合を調べてみた。
結果はこうなった。
120P ジャイアンツ
67P タイガース
49P ドラゴンズ
41P カープ
39P ベイスターズ
22P ホークス
20P スワローズ
15P ファイターズ
12P マリーンズ
8P ゴールデンイーグルス
8P バファローズ
5P ライオンズ
セ球団合計 336P
パ球団合計 70P
今度は上位六球団中でパはホークスが辛うじて6位に入るのみ。ジャイアンツ戦を中心に地上波ではセ・リーグのカードが圧倒的に多くなる。パ・リーグ同士の対戦では地上波には乗りにくいということが明らかだ。
2008年の交流戦は2007年と同じ試合数だが、2007年は2006年に比べると交流戦の試合数が減っていた。各球団の主催試合の数はそれまでの3試合×対6球団=18試合から、2試合×対6球団=12試合に減った。これもパ・リーグ各球団にとっては大打撃だ。6試合の減少でポイント数が2006年に比べて各球団でどれだけ減少したかは以下の通りだ。
-28P(1-29)ライオンズ
-18P(6-24)マリーンズ
-15P(27-42)ファイターズ
-12P(29-41)ホークス
-10P(16-26)ゴールデンイーグルス
-1P(17-18)バファローズ
前述の開幕戦に関しても、パ・リ-グは近年セが開幕する前の週に先に開幕し、少しでも注目を集め、露出を増やそうとしている。パ・リ-グ同士では地上波の放映は難しいということもあり、土曜のデ-ゲ-ムで開幕するのが通例だ。今年は3月20日の木曜日が春分の日になることに目を付け、開幕カ-ドは木、土、日の三日間としている。もちろんCSでの中継はあるし、携帯電話からもリアイルタイムで観戦できるなどの新サ-ビスに活路を見いだしている。独自に努力を続けているが、交流戦というビッグチャンスの魅力が大きいのは言わずもがな。交流戦の優勝チ-ムは過去三年いずれもパ・リ-グから出ており、各年度の勝利数が僅差とはいえ三年ともパ・リ-グの方が多いのもチ-ムの経営戦力上に占める交流戦の位置づけの大きさが現場にも伝わっている証といったら言い過ぎだろうか?
ただ2006年のシーズン終了後に交流戦が減ったようにセが2008年のシーズン終了後に再び交流戦の見直しを訴えてくることをパの各球団は警戒しておいた方が良いだろう。セ・リーグ、それもジャイアンツとタイガースに依存するだけでなく、パ・リーグ同士の対戦の商品価値をいかにして高めるか、それが重要であろう。
【参考】
交流戦放送実績2007「interleague2007onTV.xls」をダウンロード
交流戦前後放送実績2007「bainterleague2007ontv.xls」をダウンロード
交流戦放送実績2006「interleague2006onTV.xls」をダウンロード
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