がっかりだった根来裁定…パウエル問題でまさかの誰にもお咎めなし!!
書くタイミングを逃した話題という感じだが、さすがに書かずにいられない。ジェレミー・パウエルの二重契約問題に対してパ・リーグ小池唯夫会長の「2つの契約書は有効なものと見ざるを得ない。」なる珍解釈から始まった勧告を「有り得ない」と断じた根来泰周コミッショナー代行に、誰もが納得いく裁きを期待したが、何とも拍子抜けする結果となってしまった。法律家ならではの裁きを期待したが、ある意味法律家ならではの裁きになってしまったと言わざるを得ない。
パウエルはバファローズとは正式には契約に至っていない。契約成立前だから、昨年所属したジャイアンツから自由契約選手とされた身分に代わりがないわけだから、ホークスの割り込みもそれを禁止する野球協約上の規定がない限り、ホークスの行為もルール違反には当たらない。ファンが第三者的に見てホークスのやり方は非紳士的だとか同義に反するとか考えても、法律家は法律に触れていない人を裁かない。したがってバファローズ、ホークス、パウエルのいずれにも制裁は科さず、契約を白紙に戻すという結論にした。そんなところなのだろう。
しかし、今回の結論を聞いて、それでも釈然としないファンは少なくないだろう。各種報道を読む限りではホークスの後出し的な契約はルールに触れていないにしても前述したように非紳士的で同義に反すると映っても不思議ではない。
それでもなお、根来コミッショナー代行の裁きを正当化するにはある仮説を立てなければならない。それはパウエルと契約同然の状態になっていたと主張するバファローズサイドの手続きがあまりにも杜撰だったために、これならバファローズ以外の他球団が割り込む余地を認めるにやぶさかでないと根来代行が見なしたと。そうでなければ、ホークスに対して制裁を科さないにしても、二つの球団に契約の意思を示したパウエルに(小池パ・リーグ会長が勧告したような出場停止期間の設定などの)お咎めなしという結論の整合性がない。
それでも百歩譲って解せないのは、両球団からの支配下選手登録をいったん却下するのなら、この両球団以外との契約を認めないとか、条件提示の変更を認めないというのは不合理だと思わざるを得ない。条件提示に関してはホークスは明らかに後出しな訳だし、バファローズより良い条件を出すのは簡単なわけで、これは球団の資金力云々の問題とは別次元だ。根来代行は「難しく考えず、単純な理屈で考えた」と語っていたが、単純に白紙に戻すなら自由契約選手として公示された状態に戻すべき。即ちジャイアンツを含め、全球団と自由に交渉できる状態に戻すべきだ。
おそらくは十二球団交渉OKとなっても、実際に手を挙げるのはホークスくらいだから実効的には同じではないかという反論も来よう。しかし違うのである。根来代行の裁きは、見方によっては明らかにホークスに有利な裁きであり、先に契約直前までいったバファローズの立場をまるで考えていないように移るからだ。普通に考えればホークスの条件の方が良いからパウエルサイドはホークスと契約したがっているのであり、両球団からの申請を一度は却下するとしながらも条件を変えてはならないというのであれば、それはホークスとの契約を奨励しているのに等しい。
今回の教訓を活かし、外国人選手との契約の結び方の見直しを実行委員会にかけるという。それはそれで良い。どうせなら実働一年か二年でFA権と同等になるような、より条件の良い球団に移り放題という現状にもメスを入れるべきだ。良い機会だから抜本的に見直すよう議論を尽くして欲しい。
そしてもう一つ邪推すると、根来氏がトップにいる間は、法に触れないように法の不備をついたり法の網の目をくぐったりしたものは、「やったもの勝ち」となる可能性が高いということだ。各球団はこの際野球協約を穴が開くほど精読し、第二第三の「空白の一日」が存在するかどうか、探した方が良いだろう。
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コメント
しょぼーず様、コメントをありがとうございました。
根来さんは、2004年の球界再編騒動の時期の、かなり距離を置いた対応に比べれば、トラブルに対して踏み込んでいるとは思います。
その点に関しては、当時よりは評価できると思うのですが、今回の裁定内容にはがっかりですね。
球界再編の頃は野球協約を精読してコミッショナーという立場にほとんど権限がないとして積極的に動かず、今回はあくまで法律家としての立場に徹して、それを取り締まる法(協約上の規定)がないために、誰をも取り締まらない。
今現在は代行とはいえコミッショナー的機能を期待されているのだから、自信の出自に基づく価値観にとらわれるだけでなく、実態に即した裁定にしてほしいです。
あれなら、パ・リーグ会長の勧告案の方がよほどマシだなと思いました。
ありがとうございました。またブログに遊びにいらして下さい。
投稿: 敗戦処理。 | 2008年3月 2日 (日) 17時43分
プロ野球命様、コメントをありがとうございました。
> これでパ・リーグは今季限りになる可能性が高くなりました
何故ならパウエルとソフトバンク批判で 観客動員数も減り 交流戦も視聴率0%台に突入 誰が見ても不当な裁定を 根来コミッショナー代行が行ったら オリックスがソフトバンク全戦ボイコットが行う姿勢である と言う噂があるからです
ずいぶんと極論に走りますね。
しかしバファローズがホークス戦をボイコットするという噂があるというのは初耳です。
「ホークスもパウエルも、ついでにコミッショナー代行も許さない!」と、このカードに敵愾心を燃やすバファローズファンが他のカードより多く球場に詰めかける可能性も否定できませんし、そうなれば「遺恨試合」として盛り上げ、観客動員増も見込めると思います。
それをみすみす手放すのは無謀だと思いますし、バファローズがそんなことをするとは思えません。
むしろ、プロ野球命さんが書かれているとおり、「誰が見ても不当な裁定を 根来コミッショナー代行が行った」ことによる被害者的な立場を巧くアピールすれば、当該両球団以外の(比較的中立な立場でこの問題を俯瞰視できる)ファンを味方につけるチャンスだと思います。
2004年の球界再編騒動の主役(黒幕?)というイメージがいまだにつきまとい
* はっきり言って敗戦処理。もこの球団に好意的な印象をあれ以降持っていません。
ネットの世界などでは、ちょうどアンチジャイアンツの人がジャイアンツ、あるいは巨人と書く代わりに「讀賣」と書くのと同義語で「合併球団」と書かれることが多いこのチームにとって、ローテーション投手を一人取り損なったこの件を、災い転じて福と成す機会にして欲しいです。
> これらが実現したら 来季からプロ野球は1リーグ制に突入! 以前から脱退したがってた西武と 問題のソフトバンク以外の10球団で行うと思われるからです!
ある意味1リーグ制の方が面白くなり 視聴率もUP!
これぞ正義の三方一両損になり一件落着?
多分、そうはならないと思います。
> 世間はどっちが良いのでしょうか?
プロ野球命さんが書かれたような事態を「良い」と思う人が少数派であることを個人的には祈っています。
投稿: 敗戦処理。 | 2008年3月 2日 (日) 17時35分
根来氏の職務放棄ともとれるこの行為に喝!
投稿: しょぼーず | 2008年3月 1日 (土) 05時36分
これでパ・リーグは今季限りになる可能性が高くなりました
何故ならパウエルとソフトバンク批判で 観客動員数も減り 交流戦も視聴率0%台に突入 誰が見ても不当な裁定を 根来コミッショナー代行が行ったら オリックスがソフトバンク全戦ボイコットが行う姿勢である と言う噂があるからです
これが施行されたら セ・リーグは今季のセ・リーグ球場での交流戦は TV中止 来季からの交流戦打ち切りを断行すると思われるからです
これらが実現したら 来季からプロ野球は1リーグ制に突入! 以前から脱退したがってた西武と 問題のソフトバンク以外の10球団で行うと思われるからです!
ある意味1リーグ制の方が面白くなり 視聴率もUP!
これぞ正義の三方一両損になり一件落着?
世間はどっちが良いのでしょうか?
本当はこの問題は選手会会長 セ・リーグ会長 セ・リーグのチーム代表も含め 議論しないで終らせようとしたのが まちがいの元なのだから 自業自得ですね♪
投稿: プロ野球命 | 2008年3月 1日 (土) 03時40分