ダース・ローマシュ匡が一軍初登板を果たしたそのすぐ隣で…。
ファイターズは9連戦の8戦目。ローテーションの谷間でファームからダース・ローマシュ匡を一軍に登録し、いきなり先発させるという暴挙、いや大博打に賭けた。ダースはもともと今日のイースタン・リーグで先発予定だったのを一軍がローテーションの谷間になったので一軍に回したというがルーキーの昨年は一年間一、二軍を通して公式戦登板無し。今季もイースタンで5試合に投げて1勝3敗。23イニング投げて四死球の合計が23という投手。こんな選手を首位のチームにぶつけるとは大胆不敵なと思ったが、ビギナーズラックか5イニングを1失点(自責点0!)に抑えた。
ではダースの代わりにこの日イースタンのマウンドに上がったのは…?
(写真:ネット越しでわかりにくいかもしれないがゴールデンウイーク最終日にファームの試合を楽しもうというファンで埋まった西武第二球場の三塁側)
ゴールデンウイークの最終日。敗戦処理。は予てこの日は西武第二球場で行われるイースタン・リーグ公式戦、ライオンズ対ファイターズ戦を観戦予定にしていた。敗戦処理。がライオンズの一軍の試合を観に行く時には多摩都市モノレールで上北台まで行き、そこからバスで球場に行くのが最も早い交通手段なのだが、上北台から西武球場前までのバスがライオンズの一軍の試合が西武ドームで行われる時にしか走っていないので、なるべく一軍がドームで試合をしている日を選んで行くようにしているのだ。新宿や池袋に出るのは敗戦処理。にとっては遠回りなのである。
しかし一軍のドームと二軍の第二球場で同じカードを行っている時に観戦するのは初めてだ。ましてや一軍ではダースが先発する。ファームでもこれといった成績を残していない高校卒二年目の長身右腕が通じるほど甘い世界ではないと思いつつも、その勇姿を近くで観たいと思ったが、当初の予定通り隣の第二球場でイースタンを観戦することにした。目の前でファームの試合を観、気になったら文化放送で一軍の試合を聞けばいいのだ。タダで二試合楽しめるというセコイ考えだ。
ちなみに一軍の方は再入場が可能なようで、特にダース降板後にイースタンの様子をぶらりと観に来て、またドームに戻るという鎌ヶ谷のスタンドで見かけた顔が何人かいた。
また試合前にはフジテレビの「ハッケン」という番組がファイターズファンに何人かインタビューしていたから、今度の土曜日あたりに中田翔の特集でも組むのかもしれない。
冒頭の写真でお気付きかもしれないが、今年からこの球場は鎌ヶ谷のように三塁側がホームになり、ビジターであるファイターズは一塁側に回った。実はいろいろ聞くところによると、ライオンズのファンから「三塁側の方が観やすいスポットが多いのに…」という不満が挙がっているらしいことは以前から聞いていた。今年からチーム名にホームタウンの「埼玉」をつけて、今さらながら地域密着路線に方向転換をし始めたライオンズ球団だが、もしもファンの不満からファームのホームグラウンドの一塁側と三塁側を入れ替えたのだとしたら、本気と評価しても良いだろう。
ここで観戦してドームで試合が行われていると、ドームの歓声や場内アナウンスの声が聞こえてくるが、より近い一塁側だとより鮮明だ。闘将会の名物リーダーの女性の声もスピーカーを通して聞こえてくる。
そう感じていたのは敗戦処理。のような客だけでなく、島崎毅コーチや山中潔コーチも同じ感想を持っていたようで島崎コーチなどは
「凄ぇよく聞こえるな。これなら『ピッチャー、ダースに代わりまして…』とかここにいても聞こえますね<笑>」と、先発予定の須永英輝とキャッチボールをしていた山中コーチに話していたほどだ。
数日前まで手を焼いていた<?>ダースの初登板が気になるのはわかるが、島崎、山中両コーチが気にするのはこちらの試合で先発する須永英輝の出来だろう。
これは推測だが、おそらく八木の回復が順調なら、4日にイースタンで先発させずにこの日に一軍で投げさせただろう。八木の回復が今ひとつなので(武田勝が投げられなくなったから)9連戦中の谷間に誰かをファームから上げて投げさせなければならなくなり、消去法に近い状況でダースとなったのではないか?だとしたら須永や菊地和正、金澤健人は何をやっているのか?ということになる。
特に須永は?
▲イースタン・リーグ投手成績(5月5日現在)
須永 4試合0勝4敗 11回2/3防御率13.11
ダース 5試合1勝3敗 23回 防御率5.09
どちらも数字的には決して誉められた成績ではないが、この二人からどちらか一方を選べと言われたら敗戦処理。でもダースを選ぶだろう。
敗戦処理。は今日の一軍の方を観戦する知人に試合前に「もしもダースが2~3回でKOされて一方的な展開になったらダースを連れて一緒に第二の方に来て下さい」と頼んでおいたが、ダースは思いのほか、好投。脆くも崩れたのは須永の方だった。
かなりライトよりの位置から観戦していたので細かいコースまでは見抜けなかったが痛打された当たりは右打者には三遊間、二遊間、レフトオーバーという当たりがほとんど。つまり打者がセンター返しとか、右狙いとかを意識せずとも須永攻略を容易に可能にしていた感じだった。また制球難も相変わらずで投げた4イニングのうち、3イニングで先頭打者を出塁させたがそのうちの2つは四球である。
二回裏は後藤武敏の三遊間内野安打に始まり、種田仁に二遊間をゴロで破られ無死一、二塁。バントと四球で一死満塁になってから水田圭介にレフトの頭上を超される二塁打で2点を先制された。ちなみに今挙げたライオンズの三人の打者は全員右打者。
味方が三回表に村田和哉の右中間タイムリー三塁打(相変わらず速ぇ!)と今浪隆博の右前タイムリーですぐに2対2に追いついたものの、三回裏には先頭の黒瀬春樹に四球。二死から安打とまた四球で満塁となるが左対左となる高校卒ルーーキーの斉藤彰吾を打ち取って何とか無失点に凌いだ。
しかし四回裏にまたも先頭の水田に四球を与えるとバントと内野安打で一死一、三塁とされ、黒瀬にセンター前に運ばれて勝ち越し点を奪われ、続く三浦貴にレフト線に運ばれて二者生還。2対5とされてこの回限りで降板した。
ダースはこの頃、初回こそ鎌ヶ谷で仲間だったはずの陽仲壽に足を引っ張られた非自責点の1失点を奪われたものの、そのまま必死に投げ続けていたようだ。ラジオを聞きながらの観戦者は少なくなかったようで一軍の推移とともに目の前のイースタンの展開とは無関係に歓声が起きたりするのが面白い。
ダースはビギナーズラックの面があるのかもしれないが、5イニングを1失点に抑えたのは事実。そして須永が4回でKOされたのも事実。
【6日・西武第二】
F 002 000 000 =2
L 020 300 01× =6
F)●須永、糸数、内山-今成
L)○岡本篤、長田、三井、正津-野田
本塁打)両軍ともなし
ファームが敗れた時、一軍の方が同点の九回の攻防中だったので延長戦になったらチケットを買って中で観戦している知人と合流しようかと目論んだが、チケットコーナーにたどり着いたところでヒラム・ボカチカにサヨナラ本塁打が出てしまった。チケット売場の係員が拍手して喜び合っていたのがちょっとムカついたが。
一軍復帰後5試合で4本塁打も放つ選手が九番打者にいるチームと、シーズンが始まってから合計で4本しか安打を放っていない選手が九番を打っているチームの差が出ましたな。九回の表裏の攻防は…<涙>。
今日一軍で初登板初先発のダースはルーキーではないが、ファイターズは高校卒ルーキーの抜擢に積極的な球団で須永を含め、このところ六年連続で高校卒ルーキーが一年目に一軍公式戦のマウンドを踏んでいる。
2003年 鎌倉健
2004年 須永英輝
2005年 ダルビッシュ有
2006年 木下達生
2007年 吉川光夫
2008年 豊島明好
今年の豊島以外は皆、一軍での白星を経験しているが須永はまだだ。一年後輩のダルビッシュは別格としても一軍で初白星を挙げたという点で木下、吉川にも抜かれたという見方も成り立つかもしれない。
そして須永の一年先輩に当たる鎌倉は入団五年間で昨シーズン終了後に戦力外通告を受けた。
知人のファイターズファンは打撃センスの良い須永の打者転向を敗戦処理。に奨めている。糸井嘉男はたしかに打者転向で新境地を開いた。だが糸井が転向に踏み切った時にはちょうどSHINJOが引退宣言をし、主力の稲葉篤紀、坪井智哉もベテランの域に達していて将来的に外野の層が薄くなると言う時期だったが、その後工藤隆人の台頭、糸井の転向、村田も使えそうと言うことで左打ちの外野手を増やす必然性を感じない。
須永はこの状況にかなり危機感を持って欲しい。
もちろん過去には須永も一軍で勝利投手になってもおかしくない好投をしたことがある。先発して9イニングを0に抑えた試合や、先発して勝利投手の権利を得て降板し、リリーフの投手が打たれて勝利投手になるのを逃した試合があった。今日のダースの好投だけでダースに完全に抜かれたと決めつけるのは早計だろう。しかしダースがどうのではなく、今日も敗戦投手で5試合0勝5敗では話にならない。
野手では尾崎匡哉、佐藤吉宏、小山桂治が遅咲きの初安打を達成した今シーズン。投手でとなると須永に期待しているのだが…。
P.S.
西武第二球場のホームとビジターが入れ替わり、敗戦処理。も初めて一塁側に陣取った。三塁側時代に自分なりのお気に入りのポジションがあったので、その左右対称の場所を狙ったが既に他のファンに座られていた。それゆえにややライト寄りに陣取ったが、噂通り観づらい。隣のカップルの日傘の上げ下げと、佐藤や渡部龍一ら控え選手が素振りやストレッチをしたりでバッテリー間が見えにくかった。おまけに片耳にイヤホンをして岩本勉が解説する文化放送の一軍戦を聞いていたから目の前の試合に集中出来なかった。今度行く時は早めに行って座る場所を考え直そう。
明日もこのカードが同じ場所である。これから初めてこの球場に行く人はいろいろ考えて自分なりのポジションを選ぶことをオススメしたい。
あっ、そうそう。昨シーズン限りでジャイアンツから戦力外通告を受けてライオンズに拾われた三浦が前述のタイムリーの他、八回裏にも三番手の内山雄介から右中間にとどめのタイムリー三塁打。この日は5打数2安打で2本の安打がいずれもタイムリーになる長打で3打点。三浦は須永の浦和学院の大先輩。二人とも頑張れ!!
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ナターシャ様、コメントをありがとうございました。
トラックバックもありがとうございました。
> 場所取りって大事ですよね。
えぇ、特に最近はblogに載せる写真を意識して場所取りをすることも少なくないので。
ファームの球場だと、グラウンドは左右対称でも観客が見る場所が左右対称とは限らないところもあるので、今まで三塁側で観ていたところが一塁側に変わると戸惑うのです。
ライオンズのファームの球場だと、ブルペンの金網のところで観戦出来るので、観づらさもありますが選手やコーチの生の声が聞こえてくるのが面白いです。
エントリーで紹介した島崎コーチの雑談など、おそらくはファンに聞かれることを意識して喋っていたのではないかと。
> 今日は白井さんの解説でラジオ聞いてました。
理路整然としていいんですが、ガンちゃんも捨てがたい。二人セットだとバランスいいですよ。
白井さんの解説、まだ聞いたことがないのですよ。一度聞いてみたいです。
> ダース、楽しみですね。ラジオの応援メッセージで三振1ダースとってというのがありましたがそれは高望みですよね。
九回投げたら四球を12個くらい出しかねないノーコンだから「ダース」というあだ名がついてそれが登録名になったようですよ。
(もちろんウソ)
今年は佐藤に尾崎、小山とファームで苦労した人間が次々と一軍に上がり、定着とまでは行きませんが一応成果を出しています。ダースも一応格好がつきました。
鵜久森も上がりました。
ファームでも滅多に打たないようなデカイ一発を函館で打って欲しいものです。
北海道のファンの皆さんには「誰だこいつ?」等と言わず、温かい目で応援していただきたいです。
投稿: 敗戦処理。 | 2008年5月10日 (土) 01時44分
敗戦処理さん、こんばんは
場所取りって大事ですよね。
でも、ガンちゃんの解説もかなり集中力削ぎそうですね(笑)
今日は白井さんの解説でラジオ聞いてました。
理路整然としていいんですが、ガンちゃんも捨てがたい。二人セットだとバランスいいですよ。
ダース、楽しみですね。ラジオの応援メッセージで三振1ダースとってというのがありましたがそれは高望みですよね。
夕方のニュースで初めて映像でダース選手見ました。
投稿: ナターシャ | 2008年5月 6日 (火) 20時59分