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2008年6月24日 (火)

大道典嘉、古城茂幸、木村拓也…非巨人的補強の移籍組の活躍がチームを活性化する!

01 交流戦では惜しくも優勝を逃したジャイアンツだったが21日の対ホークス戦では大道典嘉が九回裏に同点本塁打を放ち、1点を勝ち越された後の十二回裏には古城茂幸が口火を切り、木村拓也が逆転サヨナラ打を放った。この三選手に共通するのは生え抜きでないこと、即ち移籍組と言うことだが、ジャイアンツお得意のFA補強ではない。いわば非ジャイアンツ的な補強で獲得した選手だ。こういう選手が活躍するのも痛快ではないか?

(写真:敗戦処理。コレクションの中でも自慢の一枚であるファイターズ時代の古城の直筆サイン。古城はこのサインを書いた五日後にジャイアンツにトレードが決まった。)

アンチ派や他球団のファンを白けさせるFA補強や、外国人選手の獲得を繰り返すジャイアンツだが、上記の三選手のような補強も実は進めている。

大道は2006年のシーズン限りでホークスから戦力外通告を受けたところを、ジャイアンツが無償トレードという形で獲得したのだが、近年のジャイアンツは毎年のように他球団で戦力外通告を受けた実績豊富なベテランを獲得している。

2004年シーズン後 西山秀二(カープ)

2005年シーズン後 大西崇之(ドラゴンズ)

2006年シーズン後 大道典嘉(ホークス)

2007年シーズン後 藤田宗一(マリーンズ)

西山と大西は選手としてジャイアンツに貢献出来たとは言い難かったが、西山はコーチとして、大西はスカウトとしてジャイアンツに残っている。ある程度「その先」をも見据えた獲得なのかもしれない。

実際敗戦処理。は大道獲得の一報を聞いた時には将来は二軍の打撃コーチにするのかと勘ぐってしまったがなかなかどうして、しぶとさと左投手に対する勝負強さは健在だ。

今年の3月にジャイアンツ球場でファームの練習に加わっていたのを見物したが、大道は投内連携でちょっとでも緩慢な動きをすると若手と同じようにコーチらから罵声を浴びていた。変に特別扱いしないところがいいのかもしれない。先般ファイターズの中嶋聡を取り上げた時と同じことを書くと、大道は現役選手で唯一人「南海ホークス」に在籍していた選手だ。一年でも長く現役生活を続けてほしい。

古城は2006年のパ・リーグ公式戦の開幕前日にジャイアンツにトレードされた。

阿部慎之助に次ぐ捕手を獲得したいジャイアンツが實松一成に目をつけ、左のリリーフ投手がいないファイターズが岡島秀樹に目をつけて双方の思惑が一致したトレードだったが、何故か古城がセットされて2対1のトレードになった。いまだに何故この時に古城が加わったか謎である。余談だが冒頭の写真に古城からサインをもらった時、實松からも實松の写真にサインをもらった。

古城はファイターズ時代は金子誠らに代打が出た後に内野の守備に付く守備要員という役どころでシーズン中に何度か一軍と二軍を往復していた。それが何故かジャイアンツに移籍してからは代打の一番手という役どころに代わった。昨年の7月14日の対カープ戦を敗戦処理。が観戦した際、スタメン出場した古城が黒田博樹からタイムリーを放ち、直後のイニングで守備位置に附いたらライトスタンドから盛んに「古城コール」が起き、古城が二度三度丁寧に頭を下げているシーンを観た時には涙が出そうになったが、その後走塁で初歩的なミスをしてジャイアンツファンの大顰蹙を買うことになる。

9月23日のベイスターズ戦の八回裏、代走に出た古城は三塁走者となり、谷佳知の充分な距離のあるライトフライで何故か塁を飛び出し、慌てて帰塁してタッチアップが出来なかった。テレビの前の敗戦処理。も唖然としたが東京ドームで観戦していたジャイアンツファンはもっと唖然としたに違いない。

普通こういう大チョンボをしでかすと、二度と起こすまいと反省するものなのだが、大事な大事なクライマックスシリーズで古城は再びやらかした。

ドラゴンズが二連勝し、後がない第三戦で2点のビハインドを追ったジャイアンツは九回裏、岩瀬仁紀似に対し、先頭の代打大道がレフト前に落とすと、古城が代走で登場。2点差ゆえに走者を貯めたい局面だったが、古城は続くデーモン・ホリンズの平凡なレフトフライで何故か二塁にスタートし、慌てて戻るが間に合わず併殺。反撃ムードを一気に萎えさせた。

一度ならず二度も初歩的な走塁ミスをした古城を見限ったジャイアンツファンも少なくなかったことだろう。

「二度あることは三度ある」というから、今シーズンも何かやらかすのではないかと敗戦処理。は目を光らせているのだが、今のところはない。元々定評のあった守備では時折地味ながら試合のポイントとなるファインプレーをするし、打撃では勝負強さを発揮している。今月17日のバファローズ戦ではサヨナラの犠牲フライを放ってヒーローになったがこの回の古城起用のタイミングに敗戦処理。は驚いた。

3対3の同点で迎えた九回裏のジャイアンツの攻撃を振り返る。

(投手本柳)

谷 中前安打で無死一塁。

(谷に代走鈴木尚)

(打者阿部の場面で投手吉野)

阿部 三犠打で一死二塁。

(打者坂本の場面で投手加藤)

坂本 中前安打で一死一、三塁

(寺内に代打清水)

清水の打席で坂本が二盗。一死二、三塁

清水敬遠で一死満塁

(豊田に代打古城)

古城中犠飛で鈴木尚生還。サヨナラ勝ち。

特筆すべき点は古城より先に清水隆行が代打で起用されている点。

現在のジャイアンツで、東京ドームで登場する時に最も大きな歓声を受けるのは清水だが、一、三塁の場面で一塁走者を盗塁させたら一塁が空くから、相手が満塁策をとるのは自明の理。歩かされてももったいなくない選手が起用される場面で清水が起用され、相手が確実に勝負をしてくる(勝負せざるを得ない)場面で起用されたのが古城。この試合の時点でこの二人の打率にちょうど1割の差があるのも示唆に富んでいるが今の古城の置かれた立場がよくわかる起用法と言えよう。

木村拓は2006年のシーズン途中に山田真介とのトレードでカープから移籍してきた。この年からカープの監督に就任したマーティ・ブラウンの若返り構想から外れ、ユーティリティープレーヤーを求めていたジャイアンツの思惑と一致した形でのトレードだった。

この年のジャイアンツは前述の古城のトレードが開幕直前。その後も開幕後に、前年限りでライオンズから自由契約になって大リーグ入りを目指して挫折していた小関竜也を獲得するなどなりふり構わず補強していた感じだった。

その小関は交流戦のマリーンズ戦でイ・スンヨプの本塁打の際に前を走る走者として三塁ベースを空過したのを今江敏晃に見抜かれアピールプレーでアウトにされて話題になったが、木村拓もゴールデンイーグルス戦で二塁後方のさほど難しいとは思えないフライを落球して相手に決勝点を与えてしまう大失態を演じた。つぎはぎだらけの補強のほころびが一気に露呈した時期があったがその後欠かせぬ戦力になっている。

こうした選手の獲得が若手の出番を摘む原因になっているという指摘もある。しかし酷なようだが、FA選手相手ならまだしも、大道、古城、木村拓クラスの選手は若手には超えてもらわないと困る関門である。大道を超えられなかった三浦貴、吉川元広が戦力外通告を受けたことでもわかる。ホークスは逆に若手にめどが立ったから大道を不要と判断したのだろう。

彼ら三人は自分がいつ戦力外扱いされるかという闘いの場にいることを決して忘れないだろう。大道と木村拓は今春、二軍生活で教育リーグから這い上がってきた。そんなしたたかさを若手も見習い、競争が激しくなれば、ビッグネームの故障欠場をいくらかでもカバー出来る層の厚さがチームに生まれる。いつもいつも彼らが目立つのも困りものだが、復帰した高橋由伸も故障をおして出続ける小笠原道大もいまだ本調子には程遠い状況で彼らベテランの踏ん張りは欠かせない。セ・リーグ同士の対戦でももうしばらく暴れまくって欲しい。

 

そして今日(24日)、ジャイアンツは加藤健の一軍登録を抹消した。これは交流戦再開時に鶴岡一成を一軍に登録する布石だと敗戦処理。は推測している。鶴岡も大道や古城、木村拓に続いて欲しいものだ。

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コメント

長緯様、コメントをありがとうございました。

> 贔屓チームに関係する場合は、移籍した人も移籍してきた人もそれぞれについての活躍がずっと気になります。

そうなのですよ。贔屓チームから出て行ってしまったからと言って「ハイ、サヨナラ」とはいかないのですよ。

昨年のジャイアンツ対ファイターズの交流戦で守備の途中にジャイアンツのアベシンが負傷した時にレフトスタンドのファイターズファンから「實松コール」が沸き上がったのがすごく印象に残っています。

それにしても大道の「恩返し」は強烈ですね。

今年の交流戦だけでなく、昨年も福岡での対戦で決勝点の口火を切る二塁打を放ったのが印象に残っています。藤田の「ロッテを見返す」発言ほど露骨ではありませんが、意地があるのでしょうね。

投稿: 敗戦処理。 | 2008年6月28日 (土) 00時46分

ナターシャ様、コメントをありがとうございました。

> 大型補強のイメージが強すぎて、そのようなしぶい事していた事良く知りませんでした。
木村拓也がファイターズに籍を置いていた事は知っていましたが。

最近よりも、王監督の時代に、このような脇を固める燻し銀のベテラン集めが顕著だったように思えます。

金城基泰、有田修三、簑田浩二、高橋直樹、山本優夫…。

何か異彩を放つというか…。

個人的にはトレード推進論者なので、世代交代などで存在場所を失ったベテランが活躍の場のある他球団に移るチャンスかもしれないトレード期間の延長には賛成なのですが。

もちろん田中幸雄のように、一つのチームで選手生命を全うする生き方にも共感を持てます。

要はチーム構成上のバランスだと思うのですよ。

それが偏ると、魅力が薄れるかもしれないし、他球団のファンから「何だあれは?」と思われるのでしょうね。

話は飛びますが、タイガースに移籍した金村曉がそろそろ一軍に上がるそうです。

「伝統の一戦」で金村vs小笠原などというシーンが実現したら、怖くて見られないと思います。

移籍した選手の古巣との対戦とは別の意味で「怖い」対決ですね。

投稿: 敗戦処理。 | 2008年6月28日 (土) 00時38分

にしたく様、コメントをありがとうございました。

お返事が遅くなって失礼いたしました。

先日は貴blogの方でお世話様でした。

> ジャイアンツに求められるのが"今年の優勝"ではなく"毎年の優勝"であるのがネックですが、

この部分、声を大にして強調していただきたいですが、ただこう言うと、アンチ派や他球団のファンから、「どこのチームも毎年優勝を目指して戦っている」との反論が往々にして来ます。

それはその通りなのですが、ジャイアンツの場合、善し悪しは別にして、一年一年、その年の優勝を目指しているのではなく、毎年優勝するという目標で考えているフシが見られます。

ただ残念ながら、目標は定められても、そのための方針が立っていないのですね。だから目先のことしか見えなくなっているのではないかと、敗戦処理。には映ってしまうのです。

今日もいきなりスタートでこけてしまったようですが、貯金0から再スタートで頑張って欲しいですね。

ありがとうございました。

また当blogにも遊びにいらして下さい。

投稿: 敗戦処理。 | 2008年6月28日 (土) 00時26分

燻し銀のベテラン選手が活躍するのは、対戦相手でもあっぱれと思えてしまいますね。
サヨナラを打たれるのは嫌ですけど...
大型補強のイメージが強すぎて、そのようなしぶい事していた事良く知りませんでした。
木村拓也がファイターズに籍を置いていた事は知っていましたが。
何時もながら、敗戦処理さんの情報量は凄いですね。
私が知らな過ぎなのかもしれませんが

投稿: ナターシャ | 2008年6月25日 (水) 21時56分

ジャイアンツに求められるのが"今年の優勝"ではなく"毎年の優勝"であるのがネックですが、今年は、"五輪"という特別な事情もあるので、若手の更なる奮起に期待しています。

投稿: にしたく | 2008年6月25日 (水) 10時51分

トレードを活発化させることはとても良いこと思います。FAでの移籍はともすれば「裏切り者」呼ばわりをされるものですが、相手先がそれなりの代償を払い、求められての異動ですから、どんな選手でも応援したくなります。贔屓チームに関係する場合は、移籍した人も移籍してきた人もそれぞれについての活躍がずっと気になります。
それにしても古城のサインはお宝ですね。

投稿: 長緯 | 2008年6月24日 (火) 23時01分

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