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2008年6月29日 (日)

ライオンズ・クラシック

01_4 28日から、ライオンズが前身の西鉄ライオンズのユニフォームを復刻して装用し、「ライオンズ・クラシック」を開催している。これまでは前オーナーの強い意向で「西鉄」時代はなかったことのように扱ってきた球団がついに真っ当に歴史を顧みたという点で画期的と言える。

「伝説と栄光が、いま時を越えて甦る」

本気でライオンズ球団が福岡時代からの歴史と伝統を受け継ぎ、その重みを大切にするというのなら、まずこれまでの過ちを謝罪することから始めるべきというのが敗戦処理。の意見だが、独裁者の意向故のこと。真っ当な道を進み始めた矢先に水をかけることもあるまい。

敗戦処理。は数年前のライオンズ球団幹部の発言に反対意見を表明したことを思い出した。

おおよそ五年くらい前だったろうか。パ・リーグの優勝争いがライオンズとホークスを中心に争われるシーズンが続いていたこともあり、ライオンズ球団の幹部がこんな構想を担当記者に話したという。

「ウチとダイエーさんはここ何年か、ずっと優勝争いをしている。セ・リーグの巨人と阪神みたいに『伝統の一戦』とかマスコミの皆さんで盛り上げてPR出来ないかな」

敗戦処理。は思った。

「伝統の一戦」?

「伝統」?

西鉄時代を無かったことにしている今のライオンズのフロントに、「伝統」という言葉を使う資格があるのかぁ!

敗戦処理。は当時参加していた@niftyの議論系掲示板に怒りの投稿をしたのだった。

この両チームの前身、西鉄ライオンズと南海ホークスは昭和30年代のパ・リーグで激しい優勝争いを繰り広げ続けてきた「伝統」がある。もちろん敗戦処理。はこの時代には生まれていないが、セ・リーグのジャイアンツとタイガースのライバル関係に相当する関係だったことは間違いない。

そしてライオンズは「西武」になった1980年代から、常にパ・リーグの常勝球団として君臨。「福岡ダイエー」となったホークスも1999年に王貞治監督の下で優勝してから毎年コンスタントに優勝争いするチームとなった。ホークス球団が折に触れて前身の球団の歴史と対峙するのに比べ、ライオンズは一切そういうことをしてこなかった。そのライオンズのフロントから「伝統の一戦」云々という表現が出るのは筋違いだろうというのが当時の敗戦処理。の主張だった。

しかし、ようやく目を覚ましたのだろうか。

これまでは「地元ファンのため」とは言っても、それは金のなる木である鉄道沿線の住民に限定するものであり、彼らを球場に通わせて運賃収入を得るための方便だったのだが埼玉県民を「地元ファン」として考えるようになった。

ライオンズ球団の現在の親会社は「プリンスホテル」だが、ライオンズといえば「西武鉄道」 その球団が27日には大宮で主催試合を行った。大宮だと新幹線が通っていて多地域のファンを集められるからだという。君子豹変と茶化すのは簡単だが、重大な決意と一応評価しておこう。

そして、ライオンズ・クラシックの開催。

地元ファンとしっかりと向き合い、歴史と伝統の重みを知る。当たり前のことを、やっと当たり前にやり始めた球団。まだ完全に信用したわけではないが、変わろうとしているのは確かだろう。

21世紀になってからパ・リーグはライオンズとホークスの二強時代と言っても過言ではない。

昨年こそライオンズが5位に低迷したが、他のシーズンは基本的にこの二球団を中心に優勝争いが展開され、残る四球団の中で戦力が整ったり、流れをつかんだ球団が二強に割って入るというパターンが相次いだ。それが旧バファローズだったり、マリーンズだったり、ここ二年間はファイターズであるだけで、基本的にはライオンズとホークスの時代と言っていい。

* 同様にセ・リーグはドラゴンズとタイガースの時代と認めざるを得ない。

パ・セ両リーグを愛する敗戦処理。としてはライオンズとホークスをパ・リーグ版「伝統の一戦」と呼んでヒートアップさせることにやぶさかではない。本音を言えばライオンズの前オーナーによる謝罪が欲しいところではあるが…。

もちろんこの場合、裏「伝統の一戦」として、現在の親会社になってからの歴史の長さでは一番と二番のマリーンズ対ファイターズ戦もヒートアップさせていきたい<>

先日まで行われていた交流戦を来シーズンから試合数を減らそうという構想がセ・リーグサイドにあるという報道をよく見かける。いつまでもセの看板球団の人気球団にすがろうというのならパ・リーグも情けないが、セへの対抗措置としてパ・リーグ独自のブランド力を強化する必要がある。

 

看板カードをリーグをあげてPRするというのも必要だろう。セに比べて親会社変更の回数が多いパ・リーグの泣き所でもあるのだが、ライオンズ球団の「改心」が本気であるならば、それを利用しない手はあるまい。

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コメント

長緯様、コメントをありがとうございました。

> ただ、うがった見方かもしれませんが、観客動員(人気)で低迷していた西武球団が、挽回の切り札としてこのイベントを企画したと思えなくもありません。

それもあるでしょうが、やはり「前オーナー」の影響力が弱まったということも側面にはあるのではないかと。

西日本鉄道自体の周年事業の一環だとも聞きました。

> 西武ライオンズを引き合いに出すのは失礼かと思いますが、強さと人気は必ずしも比例しないことを、かつての人気球団であった某球団のフロントも認識すべきと思います。

それを言うなら、「阪急ブレーブス」が身売りした時点で、日本プロ野球界全体の問題として考えるべきだったのかもしれませんね。

投稿: 敗戦処理。 | 2008年7月 1日 (火) 23時32分

にしたく様、コメントをありがとうございました。

> 巨人と違って、"アンチが少ない"という利点を活かして、ライオンズ黄金時代の到来を期待しています。

そうでもないようですよ。

敗戦処理。は以前11月に行われていたパ・リーグ東西対抗を静岡まで何回か観に行きましたが、、試合後に「二次会」と称して、六球団の応援団が外野席入口の周りの広場に集まって順番に各球団の応援パフォーマンスを披露し合うというのが慣例になっていました。順番に各球団の応援団のリーダーが舞台に上がり、自軍の応援パフォーマンスをやり、六球団のファンが皆で一緒に楽しむのですが、往々にしてライオンズが「仮想敵」にされます。

1980年代のプロ野球オールスターゲームのセ・リーグ側の外野スタンドで、ジャイアンツの選手だけ応援歌が演奏されないという時期がありましたが、あそこまで敵対はしていなかったですが、似たような雰囲気が感じられました。

まぁ、ライオンズファンもいるところでライオンズを茶化したりする訳ですから、シャレですむれべるかもしれませんが。

森監督時代の無敵のライオンズのイメージが強く残っていて「強くて憎らしい」ということで、いじりたくなるのかもしれません。

「アンチ讀賣」も、元をただせばジャイアンツが強すぎた頃に遡る訳ですから。


ファイターズとしては、その「強過ぎて憎いライオンズ」を倒してパ・リーグのチャンピオンになって欲しいのですが、今夜はせっかくのチャンスを…。

投稿: 敗戦処理。 | 2008年7月 1日 (火) 22時57分

「ライオンズ・クラシック」は率直にうれしいと感じます。
ただ、うがった見方かもしれませんが、観客動員(人気)で低迷していた西武球団が、挽回の切り札としてこのイベントを企画したと思えなくもありません。
一昨年まで連続Aクラスを続け、80年代からは12球団中最も優勝回数の多い、質の高い野球を展開してきた西武ライオンズですが、ファンの方には失礼ながら人気面では思うようにいかなかった側面はあると思います。

西武ライオンズを引き合いに出すのは失礼かと思いますが、強さと人気は必ずしも比例しないことを、かつての人気球団であった某球団のフロントも認識すべきと思います。

投稿: 長緯 | 2008年6月30日 (月) 12時31分

福岡に住んでいると、西鉄時代からの「ライオンズファン」福岡に球団がなかった時代からの「ジャイアンツファン」ダイエー新規参入以来の「ホークスファン」が混在していることがよくわかります。
地元密着。ブランド力の向上。
その地域に野球熱がある限り、球団の地位向上は可能なわけであります。
「強さ」と「元々のブランド力」にあぐらをかいていては、巨人の二の舞。
巨人と違って、"アンチが少ない"という利点を活かして、ライオンズ黄金時代の到来を期待しています。

投稿: にしたく | 2008年6月30日 (月) 11時13分

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