ジャイアンツ球場で上原が登板
といってもスワローズの上原厚治郎の方です。ごめんなさい。今日はこんなネタしか思い浮かびませんでした。
(写真:六回裏、この回から登板の二番手の岡本秀寛が制球難で一死満塁としたためリリーフに上がった三番手の上原。筆者注.中央の背番号68が上原)
今年は1月1日に初詣に先駆けてジャイアンツ球場に行ったにもかかわらず、スケジュールが合わず、なおかつ天候にも恵まれずジャイアンツ球場では教育リーグを観戦したきりだったのですが、ようやくジャイアンツ球場でのイースタン・リーグ公式戦を観戦出来ました。
高橋由伸が今日から一軍に復帰だそうで、お陰でスタンドの混み方も適度(観衆1,528人)で観戦しやすかったです。
高橋由が復帰すれば次に気になるのは開幕から一軍の四番を張っていたイ・スンヨプ。昨日(13日)の八王子上柚木球場で行われた対スワローズ戦では4打数3安打を放ったとのことで復調の期待も高まるところ。それでもイースタン・リーグ通算成績は48打数14安打で打率はまだ.292。本塁打は1本のみで打点もたったの2。
(写真:試合前にベンチ前でキャッチボールをするイ・スンヨプ。因みにキャッチボールの相手は小坂誠)
今日のイ・スンヨプはいつもの通り「四番・一塁」でスタメン出場。
第一打席は二回裏の先頭打者としてスワローズの先発、木田優夫画伯と対戦。一、二塁間をゴロで抜けるかという当たりを放ち、二塁手の三輪正義が飛び込んで捕球して一塁ベースカバーに入った木田に送球するが内野安打。
第二打席は四回裏一死走者なしで再び木田画伯と対戦。フォークボールらしき球に空振りの三振を喫した。
そして次の守りから退いてしまった。
2打数1安打という成績で一応打率を三割に乗せたが、第一打席の当たりも内野安打ではなく一、二塁間を破るくらいでないと「本物」とは言えないのではないか。
また、打席でのタイミングの取り方なども、何か自分のペースでドッシリと構えているという感じがしない。何か相手投手のペースで、投球に対しても恐る恐るバットを出している様な気がする。スタンドのスワローズファンからは「いっそのことオリンピックまでこの調子のままでいてほしい」なんて声が聞かれたほどだった。
先日一軍でエイドリアン・バーンサイドが十二球団で最もチーム打率が低い球団を相手に先発して5イニング持たずに降板した。一時は先発ローテーションの救世主のようにもてはやされた助っ人もどうやら化けの皮が剥がれたようで、今後も先発ローテーションを担えるのか疑問視する声も出ている。バーンサイドがダメならまた一軍の外国人枠が空くからそこにイ・スンヨプをといきたいところだが、どうだろうか。本調子には程遠い気がする。
むしろ個人的にはイ・スンヨプの一軍再昇格は、もちろん本人の復調が一番だが、バーンサイドの調子どうこうとの兼ね合いではなく、同じ一塁を守る小笠原道大との兼ね合いと思っている。
小笠原は一時よりは回復したと思われるが、まだまだ走りを観ると痛々しい。左投手に対し、からっきし打てないのも膝が原因ということだし、まだ万全とは言えないようだ。イ・スンヨプが復調したら小笠原を少し休ませるというのも一つの選択肢だろうが、いまだに勝率五割ラインを行ったり来たりのチーム状況では原辰徳監督にそんな懐の深さを期待しても無理だろう。そうなるとイ・スンヨプの一軍再昇格の条件は-小笠原が三塁を守れる状態になること。-になるかもしれない。
それにしても、ジャイアンツ球場のジャイアンツファンは暖かい。イ・スンヨプがイースタンの試合に出るようになって約一ヶ月が経っているが、「四番、ファースト、イ・スンヨプ」とコールされると誰よりも大きな拍手が贈られる。もちろんスワローズファンからの「ウチの一軍の四番の何倍もらってんだ!」というようなヤジもあったが、全体的に激励モードが支配していた感じだ。鎌ヶ谷でミッチ・ジョーンズも異彩を放って一部で支持されたが「四番打者」が一ヶ月もファームにいたら鎌ヶ谷では許されないだろう。
さて、イ・スンヨプがまだまだとしても、バーンサイドが不安なのもまた事実。そして交流戦が終わったら先発投手が足りなくなるのもまた事実。高橋尚成の一軍再昇格が間近だとのことだが今日(14日)ジャイアンツ球場で先発した門倉健もその候補の一人だろう。
今日の試合は前述した木田と門倉の先発で始まった。そして真田裕貴とのトレードでベイスターズから移籍したばかりの鶴岡一成が前日に続いてスタメンマスクをかぶった。元ベイスターズコンビのバッテリーである。
門倉はひどかった。
一回表、先頭の中尾敏浩に四球を出すと、続く三輪に一、二塁間を破られ無死一、三塁。一死後、四番牧谷宇佐美のボテボテの投ゴロの間に中尾の生還を許してしまった。
二回表も先頭の野口祥順に四球を与えると上田剛史、水野祐希に連打され0対2とされ、その後バントと死球で一死満塁にされて三輪にセンター前に運ばれて0対3。
三回表は初めて先頭打者を打ち取ったかと思ったら続く野口に右中間にソロ本塁打。さらに上田、水野に連続二塁打でもう1点加えられて0対5。ただ水野のセンターオーバーの二塁打はこの日のセンターが脇谷亮太でなくうまい選手なら取れたかもしれない当たりだった。脇谷は今月に入って二軍落ちしてからはセンターで試合に出ているがまだまだのようだ。そして門倉はこの回限りで降板。
対するベテラン木田は絶好調。ジャイアンツ打線ひとまわりを前述したイ・スンヨプの内野安打一本に抑えた。味方の大量得点にも気を緩めず好投。結局5イニングを投げて円谷俊英に浴びたソロ本塁打の1失点に抑えた。被安打はイ・スンヨプと、この円谷の2本だけ。
スワローズ打線は門倉攻略後も攻撃の手を緩めず、四回表には二番手の、今季から育成選手となった三木均から3安打に三塁の小田嶋正邦のエラーを絡めて3点を、五回表には三番手の深沢和帆を攻めて1点を加え計9点。
ジャイアンツは六回表に四番手で姜建銘が登板。実はこの投手もバーンサイドの調子が悪ければ一軍に滑り込むチャンスがあるのだが、1対9という状況でイニングの頭からマウンドに上がって先頭の五番、志田宗大に四球、続く野口に死球、そして上田に四球であっという間に無死満塁のピンチ。
続く水野から三振を奪ってやっと一息と思ったら木田の代打に真中満登場!
どうも今シーズン敗戦処理。が観戦するファームの試合では相手チームのこういう「反則技」<苦笑>にやられる。ファイターズの開幕戦ではベニー・アグバヤニに場外本塁打を浴びたし、同じカードのロッテ浦和では福浦和也、フリオ・ズレータのそろい踏みなんてのもあったし、シーレックス戦では小池正晃と鈴木尚にやられたなんてのもあった。
* もっとも、教育リーグではライアン・グリン先発というこちらの「反則技」もあったが。
しかし姜は踏ん張った。真中を一塁ファウルフライ、中尾を捕手へのファウルフライに仕留め、この試合初めてスワローズのスコアボードに0を入れた。
「これで試合が落ち着くだろう」と思ったが、スワローズ二番手のルーキー岡本秀寛が乱調で試合が再び荒れ出す。
ルーキーといっても社会人の川崎製鉄水島、JFE西日本を経ての入団でもう25歳なのだが、先頭の脇谷に四球を与えると、続く昨日一軍登録を抹消されたばかりの隠善智也にセンター前にポテンヒットを打たれ、一死後に佐藤に死球を与えるとマウンドから降ろされた。そして冒頭の上原登板となるのだが小田嶋が一塁手の頭上をふらふらと越える2点タイムリーで3対9。続く田中もセンター前にクリーンヒットで4対9とした。
何かが起こる予感がし、前の打席で本塁打を放っている円谷の打席で上原が初球にワイルドピッチで一死二、三塁とさらにジャイアンツのチャンスが拡がる。この二人の走者が還れば3点差となり、本当に試合がわからなくなるところだったが上原が踏ん張り、円谷を三振、続く代打の小坂誠が初球を打って二塁ゴロでジャイアンツの反撃は終わった。ここで小坂しかいないというのも…。
これで本当に試合は落ち着き、七回以降は両軍とも無得点。
スワローズが9対4で勝利した。
【14日・ジャイアンツ球場】
Ys 122 310 000 =9
G 000 013 000 =4
Ys)○木田、岡本、上原、吉川、鎌田-水野
G)●門倉、三木、深沢、姜、古川、野口-鶴岡、佐藤
本塁打)野口4号(門倉・3回)、円谷2号(木田・5回)
ジャイアンツは姜の後に投げたルーキーサウスポーの古川祐樹が2イニングを投げ、四球と味方失策でともに先頭打者を出塁させたもののいずれも併殺で切り抜ける落ち着いた投球が光った。9点差が5点差になり、スワローズ打線も「もういっちょう」という感じのイニングだっただけにこの好投は評価出来た。
そして九回表には野口茂樹が登板。軽く三者凡退に仕留めたが、ファームでの敗戦処理的な扱いのマウンドでも、一軍で投げる時と同様に新しい球を球審からもらう時には帽子を取る仕草をするのには「あっぱれ!」の言葉を贈りたくなった。
(写真:打者にファウルを打たれ、球審から新しい球を受け取るのに帽子を取る野口)
「初心忘るべからず」-もちろん姿勢だけでは一軍で復活出来ないことはわかっているが、もう一度陽の当たるところで投げて欲しい投手の一人である。34歳の元MVP左腕にチャンスをもう一度…。
今頃になっての初ジャイアンツ球場だったが、不愉快なこともあった。
試合前のスワローズの打撃練習の時間帯にファウルグラウンドで捕手陣にフライのノックをしていた佐藤真一コーチのノックの打球がたびたびネット裏の観客席に飛び込み、危なくてたまらなかった。しかし佐藤コーチ本人は選手に茶化されてニヤニヤしていたのでつい「気をつけろ!」とヤジったらスワローズファンに睨まれてしまった。
「ファウルボールがイヤだったら観に来なきゃいいじゃん」等という勘違いしたリアクションまで受けてしまった。もちろん佐藤コーチを非難したのは敗戦処理。だけではなく、ボールが飛び込んできた場所の周囲の客からブーイングを浴びていた。打者がファウルを打つのは相手投手が打たせまいと思って投げている球を打つのだから仕方ないが、コーチのノックがスタンドに飛び込むのは単にヘタクソなだけである。
佐藤コーチを庇って勘違いな言葉を発していたスワローズファンはスワローズの二軍監督が若かりし頃、ノックの名人と呼ばれたことなど知らないのだろう。高齢になり、なおかつ今年から監督に就任したのでそうそうノックバットを握ることはないのだろうが猿渡寛茂二軍監督には選手だけでなくコーチも指導していただきたいものだ。
試合前に不愉快にさせられ、ジャイアンツが敗れる残念な結果だった。それでも試合前にはジャビットとコミュニケーションを取れたし(今日のじゃビットは背番号555の奴で「ジャバ」というらしい)、六回裏の反撃で多少は試合らしくなった。来週の土曜日のライオンズ戦も生観戦する予定だ。今度は勝って欲しい。そしてその時までにはイ・スンヨプにはファームを卒業して欲しい。
いつまでもファームで拍手を浴びていては困るのだ。中田翔じゃあるまいし!
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