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2008年7月19日 (土)

上原浩治が北京五輪の日本代表に選ばれたことに関して

01 17日、北京五輪の野球日本代表に選ばれた24選手が発表された。その中には敗戦処理。ジャパンなら選ばれなかった上原浩治の名前があった。ペナントレースではいまだに抑えたり、抑えられなかったりの繰り返しであるジャイアンツのエースが星野ジャパンに選ばれたことで複雑な心境のジャイアンツファンも少なくないのではないか?

もちろん敗戦処理。もその一人である。

(写真:12日の対ベイスターズ戦で六回表二死満塁のピンチでマウンドに上がる上原。このイニングこそ抑えたものの七回表には同点にされてしまう…。)

もしも上原選出に割り切れない点を感じるジャイアンツファンが(敗戦処理。以外にも)いたとしたら、おおよそこんな点ではないでしょうか。

上原はいったい何のために投げているのだろうか?

先月最終候補39人が発表された時のエピソード。

その時点ではまだファームで調製中だった上原に対して星野仙一監督が直接電話をかけて現況を確認したと言われている。そしてそれからほどなく、上原は一軍に復帰する。

あくまで結果からの判断だが、星野監督が五輪でのクローザー&精神的支柱として期待している上原の調整の場がジャイアンツのペナントレースという形になっていると思えてしまうのだ。

星野監督が上原を評価する最大の理由はこれまでの国際試合で12勝0敗1Sという圧倒的な実績から来る信頼感とのことだ。であれば、ペナントレースでの多少の好不調など関係無い。北京の正念場で本来のパフォーマンスが発揮出来るようジャイアンツの公式戦で登板を重ねることでその状態に近づいてくれればよいという感じで調整登板を続けているように思えてくる。

オリンピック-国民的行事であり、国際的行事である。WBCがやっと実現したという次元の野球界において(メジャーリーガー不出場という状況はあるにせよ)唯一にして最大の国際大会とも思える。

それを考えれば、前回のアテネの時のように進行中のペナントレースへの影響を考えて各球団から均一に選手を選ぶ等という形にせず、最強の日本代表チームを形成することを優先する今回の選出方法に敗戦処理。は理解を示しているつもりだ。

* たとえダルビッシュ有が抜けるファイターズがその間に連敗地獄にはまって順位を下げるような事態に陥っても球団を批判することはあってもオリンピックのせいにはしないだろう<>

ただ、それは普段のペナントレースでの各選手のパフォーマンスが評価の対象となり、その結果それが評価される選手が多ければ多いほど、オリンピックに選ばれる選手が多い球団ということになり、オリンピック期間中に戦力ダウンの幅が大きくなるというジレンマに対してなら敗戦処理。は耐えられるという意味であり、上原のようにジャイアンツのペナントレースを踏み台にしている事例には到底我慢ならないのである。

 

いささか暴論を承知の上で例えると、「ジャイアンツの上原が日本代表に選ばれた」のではなく「日本代表の上原がジャイアンツで調整している」ように思えてしまうということである。

上原は昨シーズン、ジャイアンツのクローザーを務め、一度も逆転負けを喫しないという抜群の安定感を示し、暮れのアジア予選でもクローザーを任された。しかし北京進出を決めた翌日の日刊スポーツで上原は「リリーフの重圧はもうこりごり。北京では先発のマウンドに立ちたい」と明言していた。そしてジャイアンツにおいても2008年は先発ローテーションを担うという前提でキャンプから調整していた。

残念ながら調整に失敗したのか、シーズン開幕から先発で失敗続き。ついにプロ入り以来初めて、成績不振による二軍落ちという事態を招いた。そしてそれっきりなかなかファームから戻ってこないなと思ったら星野監督からの電話の後に一軍復帰。ファームでの登板予定がことごとく雨で流されるという不運はあったがタイミングの良すぎる復帰だなと思っていたら案の定良かったり悪かったりと言う結果。

今のジャイアンツは本当に上原を終盤の1イニングを抑える役割を託すのがベストな存在と考えているのだろうか?

ジャイアンツでは上原の復帰の前に開幕からリリーフでフル回転していた西村健太朗が右肩の疲労でリタイヤしてしまった。この穴を埋めるべく上原を試合終盤の勝利の方程式に組み込ませようとしたのだろうか。しかし西村健が登板過多でリタイヤしたということは、特定の一人の投手に代役を託せば、その投手も西村健の二の舞になりかねないのだ。

もちろん上原の場合は西村健のように「まだまだ逆転の望みのある1、2点ビハインドでの登板」を強いるわけにはいかないだろうから、その分登板過多は避けられる。そういう状況では越智大祐当たりがフル回転することになる。

しかし本来の上原の能力から考えれば、週に一回先発で投げさせ、完投に近いイニングを投げてもらうことでリリーフ陣の負担を軽くする役割を期待する方がチームにとってトータルでプラスになるという発想もあるはずだ。昨年のような盤石なクローザー役が期待出来るなら、それこそマーク・クルーンを中継ぎに回してでも上原をクローザーに配置すればよいわけだが、そこまでの信頼は置けない。それでもリードしている試合の終盤にマウンドに上げるというのは北京五輪に向けての調整登板をジャイアンツのペナントレースという場で行っているように思えてしまうのだ。そして他球団を見渡しても、敢えて言えば本末転倒とも思えるような起用法をされている代表選手は他に一人も見あたらないのだ。だからこうして文句たらたら書きたくなるのだ。

18日、ジャイアンツはベイスターズ戦で先発のセス・グライシンガーが六回裏を投げ終えて降板。7対3のリードでの七回裏、上原が上がるべきマウンドに上がったのは山口鉄也だった。

八回裏も上原ではなく豊田清が上がり、1イニングを一人で抑えきれなくなり藤田宗一を投入、さらにはクルーンを前倒し投入した。結果7対6で辛勝という形になったが観ていたジャイアンツファンで「上原を出していれば…」と悔いた人は少ないだろう。

しょせん継投策というものは見事に決まれば爽快だが、誰か一人でも不調の投手がいると、歯車が狂い、後味の悪い負け方をしてしまいかねない、諸刃の剣なのだ。それならば先発陣を強化して先発投手とクローザーの間に投げるリリーフ投手を少なく済ませる工夫をした方がリスクを軽減出来るのだ。ジャイアンツの場合でいえばクルーン、豊田の登板から逆算してその前のイニングを藤田、山口、越智、東野の起用で凌ぐという方程式も立て得るのである。上原先発復帰という選択肢が考えられて然るべきであり、それを目指してファームで時間をかけて調整しているのだとばかり思っていた。

日本代表に選ばれた以上、上原にはこれまでの国際大会での実績と同等の結果を残してもらうよう祈るしかない。今の上原ならペナントレースから抜けてもジャイアンツでは大きな影響はないかもしれない。むしろ心配なのは星野ジャパンでの上原の立ち振る舞いだ。

星野監督のことだから上原が使えそうもない場合の配置転換も頭の中にあると信じたいが…。

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コメント

にしたく 様、コメントをありがとうございました。

> 「フォームのばらつきを直す」「壊れたハートも、直す」と星野監督がおっしゃっているので、見ていようと思うわけですが。

心強い話ですね。

五輪が終わったら星野さんにジャイアンツのピッチングコーチ…いやもっと重要なポストをやって貰いましょうか<苦笑>?


> おそらく来季は「巨人出身」としてメジャー挑戦するわけですから。名を汚さぬ活躍をさせるべく。また場合によっては来季も巨人で。ならば尚更。

これで五輪から帰ってきたら何気に先発ローテーション入りしていたらguiltyですね<苦笑>。

投稿: 敗戦処理。 | 2008年7月21日 (月) 03時01分

「フォームのばらつきを直す」「壊れたハートも、直す」と星野監督がおっしゃっているので、見ていようと思うわけですが。
楽観的かもしれませんが、「代表選出」→「大事な場面で原監督が上原を使わずにすむ」と考えてみますと。
 
上原投手。
おそらく来季は「巨人出身」としてメジャー挑戦するわけですから。名を汚さぬ活躍をさせるべく。また場合によっては来季も巨人で。ならば尚更。
なんとか今年中に立ち直っていただきたいです。

投稿: にしたく | 2008年7月19日 (土) 08時29分

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