一度対戦したらただの人?
敗戦処理。も生観戦した10日の対ライオンズ戦で3本の本塁打を浴びて7失点でKOされたファイターズの多田野数人が12日付で登録抹消となった。多田野のライオンズ戦登板は2度目だったが、前回勝利投手となった7月25日の試合後にライオンズの大久保博元打撃コーチは「攻略法をつかんだ」と次回の雪辱を誓っていた。そしてその通り、乱打された。
多田野の持ち味はこの試合でもグレイグ・ブラゼルに対して投ぜられたような測定不能の超スローボールを混ぜた緩急のコンビネーション。実際、超スローボールの次に投じられた137kmのストレートは観客席からも豪速球に見え、ブラゼルも呆然と見逃すしかなかった。しかし一度目はごまかせても二度目の対戦、即ち慣れられたら攻略されるのだろうか?
「一度対戦したらただのひと」ではシャレにならない。多田野のここまでの登板結果を検証してみた。
多田野のここまでの投手成績は14試合に投げて6勝5敗。防御率4.16。ちなみに14試合すべて先発での登板。
日付 相手 責任 投球回 投球数被本塁打自責点
5月2日 モ ○ 7 74 0 0
5月16日 H ○ 5 2/3 93 0 2
5月23日 D 2 1/3 26 0 0
5月29日 Ys 7 101 0 1
6月6日 D 4 53 2 2
6月12日 G ○ 7 89 0 1
6月18日 C ● 7 109 1 2
6月28日 Bs ● 5 1/3 90 0 4
7月5日 Bs ○ 6 114 1 2
7月12日 H ○ 6 97 2 4
7月19日 Bs ● 5 2/3 101 1 5
7月25日 L ○ 7 91 0 1
8月3日 モ ● 5 83 2 6
8月10日 L ● 5 92 3 7
これを初対戦のチームとの登板結果と、同じチームに2度目以降の対戦となった登板結果に分けて集計すると下記のようになる。
初対戦 9試合5勝2敗 被本塁打3本 防御率2.48
2度目以降 5試合1勝3敗 被本塁打9本 防御率7.71
うーん、はっきりしていますね。
ライオンズの大久保コーチはたまたま「予告」しただけで、他球団の打撃コーチも最初の対戦で苦汁を飲まされても次回の攻略法のヒントを得ていた点では同じだったのか?
ちなみに2度目の対戦で唯一勝利投手になれたバファローズ戦では初対戦で敗戦投手になっている。そのバファローズには唯一3度対戦しているが3度目の対戦では完全にKOされている。そして同じチームから2勝を挙げているのはホークス戦だけなのだが、2度目の対戦では2本の本塁打を浴びて4失点している。
特筆すべきは2度目以降の対戦での被本塁打の多さだ。
初対戦での3本に比べ、2度目以降の対戦では9本と増加している。イニング数との比で比較するとさらに顕著で、初対戦では54回1/3で3被本塁打と、約18イニングに1本打たれる割合なのに対して、2度目以降の対戦では25回2/3で9被本塁打だから約3イニングに1本と跳ね上がってしまう。ちなみに同じ選手に2本打たれたのはドラゴンズのタイロン・ウッズだけだが、この時は同じ試合で2打席連続本塁打を浴びた。
ストレートに球速が無く(10日の登板では一球も140km超えが無かった。おそらく他の試合でも)、球種が豊富な訳ではない多田野。今回の二軍落ちで何をどう、再調整するのだろうか?
ただの人ではなく、この次一軍に上がってくる時には、新しい多田野数人を見せて欲しい。そうでないと多田野も、ファイターズも…。
あとはダメ元でまだ一度も対戦していないマリーンズ戦で先発させるか?
10日の対ライオンズ戦での登板では浴びた3本の本塁打がすべて初球だった。これは明らかに研究され解剖された結果だろう。もっとも替え時にも疑問が残り、少なくとも中村剛也に浴びたとどめの満塁本塁打はベンチのミスだと敗戦処理。は睨んでいるが…。
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