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2008年9月 7日 (日)

大数の法則

Photo オフシーズンに手術した左膝の影響で打撃不振に苦しんでいたジャイアンツの小笠原道大がついに打率を三割台に乗せた。3日の対カープ戦でサイクルヒットを達成したが最後の二塁打で打率三割に乗った。膝の不安が少なくなって本来の打撃が出来るようになれば、自ずと打率が上がってくるとは思っていたが交流戦の時期には二割五分にすら届かなかったことを考えると、雲泥の差だ。懸命の努力で左膝の不安を払拭し、不断の努力で打率を三割台に乗せたのだろう。小笠原ファンとしては嬉しい限りだ。

(写真:小笠原の打率の変遷。上が交流戦終了後最初のカードのカープ戦でのある打席の小笠原の打率。下が今月6日のスワローズ戦の第一打席を迎えた時の打率。)

「大数の法則」というのをご存じだろうか。難しく考えるときりがないが(というか、正確に定義づけ出来ないだけなのだが<苦笑>)、大雑把に考えると、こんな法則だ。

投げたら表と裏が均等に出るように作られたコインを10回投げると、理論上は表が5回、裏が5回出るはずである。しかしそのコインを10回投げると、実際の結果は必ずしも表5回、裏5回という結果になるとは限らない。表が6回出るかもしれないし、裏が7回も出てしまうかもしれない。理論はあくまでも確率上の理論であって、現実が必ずしも確率通りに行くとは限らない。しかしこれを10回で調べるのでなく、100回だったらどうか。あるいは1,000回だったらどうか。テスト回数を増やせば増やすほど、つまり分母が大きくなればなるほど、テスト結果は理論通りに近くなる。五分に近い結果が出るという法則である。

通算打率が三割一部台の小笠原が二割五分のままシーズンを終わるはずがない。打率低迷の原因ははっきりしているのだから、その不安がぬぐい去られた暁には大爆発が待っているということになる。

もちろん「大数の法則」は前述のコインの例のように偶然性に委ねられる結果に当てはまるものであり、小笠原は自動的に三割一部台の打率を残している訳ではないのは言うまでもない。

むしろ、当blogで敗戦処理。が何度か言及している、敗戦処理。自身が2005年のシーズン終盤から今シーズンの序盤にかけて記録したジャイアンツの主催試合生観戦12連敗という、確率的にはレアな結果が出たことに対し、逆に連敗ストップの観戦から3連勝が続いているという事実の方が「大数の法則」の事例にはふさわしいだろう。

しかし、こんな事を考えたことはないだろうか?

旧ブルーウェーブ以外のパ・リーグの球団を応援しているファンの方なら思い当たる節があるかもしれない。

あなたが応援する球団がブルーウェーブと対戦しているとする。接戦で迎えた終盤。走者が得点圏にいる勝負所で打席にはイチロー。この日のイチローはここまで3打数0安打。

勝負所でこの日3打数0安打のイチローを打席に迎え、あなたはどう思うか?

「今日のイチローなら、このピンチも何とか切り抜けられるだろう」

「イチローがこのまま終わるはずがない。そろそろ安打が出てしまうのではないか」

たぶん、ほとんどの方はたとえ前者のように思っても内心、後者のような不安がよぎるものであろう。そしてそれは人の意識下に、あるいは無意識下に確率というものに関する幻想があるからだろう。

また、そのイチローほどの好打者であってもシーズン打率が四割を超えたことはない。というか、日本プロ野球七十有余年の歴史において、一シーズン、規定打席到達者で打率四割以上をマークしたものはいない。しかし古今東西の好打者が何故打率四割を超えられないかということを科学的に証明することは難しいのではないか。だとすると、イチローをはじめとする古今東西の打者が打率四割を達成出来ないのは安打が出る確率に関しても、何らかの「大数の法則」的なものが作用し、年間百数十試合に出場し、五百回前後の打席で安打が出る本数には限界があるのだろう。

実は日本プロ野球では1989年にジャイアンツのウオーレン・クロマティがシーズン途中で、年間の規定打席数に到達してなお打率四割台をキープしたことがある。このことが何を意味するかというと、残り試合に打席に立たずにいれば、日本プロ野球史上初の四割打者が誕生していたことを意味する。ジャイアンツはこの年、優勝争いをしており、クロマティも休まず試合に出続けた結果、最終的には打率.378にまで落ちた。これもやはり、見えない「大数の法則」だったのではないか?

小笠原は9月に入ってから打率六割台と飛ばしてきた。しかしこれも「大数の法則」に則れば、長続きしないことになる。事実6日の試合では3打数0安打に終わっている。

繰り返しになるが小笠原は確率論で今の打率まで押し上げてきた訳ではない。懸命の努力で左膝の不安を払拭し、不断の努力で打率を三割台に乗せたのであろうことは、まず間違いない。もちろんこの先、再び打率が三割を切る可能性も否定出来ない。どちらも確率の問題ではない。しかし、これだけ急ピッチに打率を上げていく姿を見ると、本人の努力だけでは済まされない法則のようなものを感じてしまう。

そしてジャイアンツにはいまだ打率二割五分に満たない高橋由伸という存在がいる。もう残り試合もだいぶ少なくなったが、高橋由に「大数の法則」が働いて打ち出の小槌のように安打や本塁打が量産される時が来れば、ジャイアンツファンが夢見ているゴールが実現するかもしれない。

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コメント

ここまでノーヒットのバッターが、試合終盤に、帳尻を合わせるかのように決勝ホームランを打つ光景を、幾度となく目撃してますからね。
そう考えると、阪神が帳尻合わせのように負けが込んでいるペナント終盤、巨人が更なる快進撃を「魅」せてくれることを期待しています。

投稿: にしたく | 2008年9月 8日 (月) 18時21分

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