MICHEALで二岡智宏を獲る!?

日本シリーズ第一戦当日朝の日刊スポーツに何とも不可解な記事が出た。

今季貧打に泣いたファイターズが貧打解消のためにトレードを積極的に働きかける。特に長距離砲がいない右打者補強のターゲットはジャイアンツの二岡智宏で、交換要員には二年前のパ・リーグ新人王、八木智哉や、何とクローザーのMICHEALまで用意しているとか。二岡以外にはタイガースの桜井広大といった、いわゆる未完の大器も含まれているという。ファイターズファンからすれば、「何で守護神を出してまで？」というのがあるだろうし、ジャイアンツファンには「これから日本シリーズという時に！」というのがあるだろう。両方のファンである敗戦処理。にも何で？という感じだ。

ファイターズの貧打解消にトレードが不可欠というのは敗戦処理。も以前から感じていた。二年前のオフにはベイスターズの多村仁がトレード要員なら取るべしと書いたし、昨年も濱中治に関心を示した。

ところがこのところのファイターズのトレードと言えば、正田樹を出して金澤健一を獲ったりとか、清水章夫と木元邦之を出して歌藤達夫と萩原淳を獲ったとか、エースだった金村曉を出して中村泰広を獲得したなどという、例えて言えば使い勝手の悪い弐千圓札を両替に出したら(自動販売機で使えない)旧五百円玉で返されたようなトレードばかり。もちろんファイターズファンなら、この事例を出した意味はおわかりだろう。金澤、歌藤、萩原、中村、皆ファイターズからいなくなる。今シーズン前にはスワローズとの間に３対3の大型トレードが成立したがその中でも三木肇が移籍一年で現役引退。他球団の選手の分析をするプロスカウトという部署がファイターズ球団にはあり、チームのＯＢなどが務めているが彼らが機能していないと言われても、この結果だけを観れば仕方あるまい。

で、今日の報道に関してだが実際にMICHEALを出してまで二岡を獲りに行くべきかと言われると反対である。二岡は確かに欲しい選手だが、クローザーMICHEALを出してまで…とは思えない。そもそもMICHEALを出してまでと言う発想が理解しがたい。2006年、2007年の二連覇に大きく貢献したクローザーで、今季もクローザーを全うした。確かに走者を出したりしながらハラハラドキドキで辛うじて抑える試合も少なくないが、これほどのクローザーを出して、誰に代わりを務めさせるつもりなのか？

ただ、三年半、クローザーを務め、そろそろ下降期に入るかなと言う懸念を敗戦処理。が抱いているのは事実。しかし外国人助っ人ならともかく、MICHEALはドラフト会議で指名して獲得した日本人扱いの登録選手であり、そんな使い捨て的なトレードはしないで欲しいものだ。MICHEALのクローザーとしての来季に不安があるのなら、例えば今季中盤から不振続きのセットアッパー武田久と配置転換をし、武田久、MICHEALとも環境を変えて刺激を加えて成績を好転させるという発想が欲しいくらいだ。

また、二岡に関してはこのオフからＦＡ権を取得。トレードで獲得してもかつての岡島秀樹のように一年で去られる恐れがあることを踏まえて補強の対象として検討すべきであろう。右打席から右中間方向に鋭い打球を飛ばせるのは魅力だが、ショートとしての守備範囲はかつてより狭くなっている。今季は故障に泣いたが一軍復帰の際に三塁で復帰したのは坂本勇人の台頭だけが理由ではないように思える。

その三塁にはファイターズは将来的には中田翔を据えようとしているのではないのか？中田にまだ時間がかかりそうだから、二岡で凌ぐという発想なのか？小谷野栄一は器用だから一塁に回ったり外野に回って出場機会を得るだろうが、稲田直人らに影響が及ぶだろう。もっともファイターズは層が薄いチームなのでこのくらいの刺激は必要だと思うが。

ターメル・スレッジもジェイソン・ボッツも残留の方向ということだと、来季もあまり代わり映えがしないのではと思っていたところに、ドラフト会議では大田泰示の指名を回避（即戦力候補の捕手を指名したことは否定しませんが…）と、チームとしての意図が見えてこないなぁと感じていた。まだスポーツ紙の報道レベルで何とも言えないが、八木で二岡がもらえるのなら検討する価値はあると思う。

ジャイアンツも上原がＦＡで大リーグに行くのであれば、先発要員を獲得するのも悪くなかろう。