「ミスター・ドラゴンズ」立浪和義が来季限りでの現役引退を示唆したと聞いて、ある選手への大型複数年契約に期待したくなった。
5日に行われたドラゴンズの契約更改で、打撃コーチ兼任の立浪和義内野手が「来年は最後のつもりでやる。腹の中では決まっている」と来シーズン限りでの現役引退を示唆するコメントを残した。現役1位、歴代8位の通算2459安打を記録している「ミスター・ドラゴンズ」が2009年シーズンを現役生活の集大成と位置づけた。敗戦処理。的にはあと二、三年現役を続けてほしいのだが。
試合中盤から終盤にかけて、勝負所で落合博満監督がベンチを出て球審に代打を告げる。場内アナウンスで「バッター、○○に代わりまして立浪。バッター立浪、背番号3!」とコールされるその瞬間、ナゴヤドームの盛り上がりは最高潮に達する。-ここ数年のドラゴンズ戦の定番シーンを観ることが出来るのも来シーズン限りになってしまうのか…?
個人的に立浪の来季限りでの引退を惜しむのは、立浪が通算2500本安打を目前にしているからだ。
2008年のシーズンまでに積み重ねた安打数は2459。残り41本だ。日本プロ野球で2500本安打を記録したのはたったの6人。2000本安打達成者が今シーズンの金本知憲までで37人いるのに比べて、あまりにも希少性がある。ぜひとも立浪には史上7人目の金字塔を達成して欲しいし、個人的にはテレビやVTRでその瞬間を観たい。何しろ立浪が達成出来なかったら、この先敗戦処理。の目の黒いうちに2500安打達成のニュースを見聞きすることが出来ないかもしれないからだ。
日本プロ野球通算安打歴代トップ10
3085張本勲
2901野村克也
2786王貞治
2566門田博光
2543衣笠祥雄
2543福本豊
2471長嶋茂雄
2459立浪和義
2452土井正博
2371落合博満
張本勲、野村克也、王貞治、門田博光、衣笠祥雄、福本豊。過去にこの6選手しか達成していない金字塔に手の届くところに来ている立浪だが、ここ三年間、主に代打としての出番に限られている立浪にとって41本という数字は近くて遠い。今季、2008年は15安打に終わり、昨年は30安打だった。代打専門で稼ぐには二年間を要する数字だからだ。
落合監督は立浪を代打の切り札と認識し、ここ一番と見ると、相手投手の右左にかかわらず立浪を代打に起用する。その意味では代打としては出場機会に恵まれやすいが、「ミスター・ドラゴンズ」ゆえに大差でリードされている局面などでは使いにくいという面もある。最近二年間で45安打を放っている立浪だが、45安打を放つに費やした打数は二年間で182。年間144試合だから、代打だけでは一年で達成出来ないのだ。タイロン・ウッズ、中村紀洋が抜ける来季、立浪にスタメン出場の機会が増えれば達成への近道になるのだが…。
通算2000本安打達成を控えて苦しんだ元ファイターズの田中幸雄の場合には、対左投手用に先発出場のチャンスが与えられるなど、当時のトレイ・ヒルマン監督らのバックアップにも恵まれ、達成年には前年を上回るハイペースで安打を記録し、2000本安打に到達した。立浪にも田中幸雄同様に「神風」が吹くことを期待したい。
現役選手通算安打数トップテン
2459立浪和義(40歳、38安打)
2307石井琢朗(39歳、115安打)
2151金本知憲(41歳、157安打)
2071前田智徳(38歳、104安打)
1798堀幸一(40歳、39安打)
1743大村直之(34歳、128安打)
1701タフィ・ローズ(41歳、121安打)
1681谷佳知(37歳、130安打)
1673谷繁元信(39歳、89安打)
1673小笠原道大(36歳、164安打)
2009年も現役続行の選手に限る。
左から通算安打数、名前。カッコ内は2009年度の満年齢と最近三年間の平均安打数。ただしローズの場合は実働三年間の平均。
こうしてみると、2500本安打どころか、2000本安打に近い現役選手も限られていることがわかる。最も近いマリーンズの堀幸一はここ数年、出番が激減している。むしろ次に近い大村直之が2000本安打に確実に近い。現役通算安打数トップ10の中で最年少にして残り二年で到達可能な位置にいる。来シーズンは古巣の旧バファローズの流れを汲むバファローズに移籍し、心機一転。2010年シーズンでの記録達成に出来るだけ安打数を稼ぎたいところだ。そして大村に次ぐ異色の2000本安打候補がタフィ・ローズ。
来季41歳のローズに残り299本はきつい数字ではあるが、今シーズンもエイジレスなパワーを発揮したローズ。既に来日外国人選手の通算打撃成績記録のほとんどを更新したローズに外国人助っ人として初の「名球会」入りをぜひとも実現してもらい、金田正一氏からスーツを着せてもらうシーンを見たいものだ。
そしてもちろん、我らがガッツにも!
そして繰り返しになるが、立浪が2500本安打を逃したら、この先誰も到達しないかもしれない。金本知憲があと349本に迫っており、最近三年間のペースだと三年後に2500本安打に到達する計算だが、その時には44歳。今のペースを維持出来るとは如何に「鉄人」でも考えにくい。そして今後はイチローに象徴されるように、将来その可能性のある選手が出現してもその前にメジャーリーグに移籍してしまうことも予想されるからだ。その意味で注目したいのがスワローズの青木宣親だ。
青木は今シーズンまでにまだ744安打を放ったに過ぎない。しかし最近三年間の平均安打数は180本。来季から毎年180本ずつ安打を放つとすれば、あと10年で2500安打に到達する。その時青木はまだ36歳なので、可能性は充分だ。最近の報道で青木のメジャー流出を防ぐためにスワローズ球団が日本プロ野球界では史上初の「十年契約」を青木に提案するというのがあったが、ここはぜひともスワローズと青木の「十年契約」を実現させたいところだ。これまでの6人の2500本安打達成選手のプレイを敗戦処理。は全員リアルタイムで見ているが、敗戦処理。の目の黒いうちに立浪と青木、あと二人を加えたいところだ。
立浪は何故契約更改後の会見で来シーズン後の引退を示唆したのだろうか?記録への執着はないのだろうか?さすがの立浪でも年齢には勝てないというのであれば、「寄る立浪には勝てず」とのフレーズを用意しているのだが、2500本にはこだわって欲しい。ドラゴンズ生え抜きの功労者だけに引退後、指導者の道に進むことは確実だろう。既に年寄株「立浪」も取得済みだから…。
越智、じゃなかったオチがついたところで最後に蛇足ながら、比較の対象には全くならないが当blogの開始以来の通算エントリー数が2500の五分の一に当たる500エントリーまであと2になったことを付記しておく。だからどうしたと言われればそれまでだが…。
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