ジャイアンツは今さら35歳の元大リーガーをテストする必要があるのか?
ジャイアンツではこの春季宮崎キャンプに一人のテスト生を参加させている。大リーグで通算1506試合に出場して1532安打(146本塁打)を放っているエドガルド・アルフォンゾ内野手だ。このオフには「FA補強もしないし、大物外国人も獲得しない」といって既存のメンバーの底上げに力を入れ、なおかつ「今年から五連覇出来るようなチームにする」と言っていた原辰徳監督の方針はどこへやらという感じだ。アルフォンゾは二塁と三塁を守れる右投げ右打ちの内野手だが、気になるのは現在35歳という年齢と、ここ二年間は母国ベネズエラの独立リーグに所属しており、大リーグやその傘下のマイナーリーグでプレーしていないということ。
一体どんな選手なのか?
今さらテストして獲得する必要があるのか?
昨年のジャイアンツのポジション別での最多スタメン出場選手の本年度の年齢を調べてみた。カッコ内は二番目(外野手は四番目)に多い選手
捕手 119試合・阿部慎之助=31歳(14試合・鶴岡一成)
一塁 95試合・小笠原道大=36歳(42試合・イ・スンヨプ=33歳)
二塁 82試合・木村拓也=37歳(※10試合・脇谷亮太=28歳)
三塁 42試合・小笠原道大=36歳(17試合・脇谷亮太=28歳)
遊撃 143試合・坂本勇人=21歳(※なし)
外野 144試合・A・ラミレス=35歳
83試合・谷佳知=37歳
67試合・高橋由伸=34歳
(59試合・鈴木尚広=31歳、亀井義行=27歳)
※は二塁手として二番目に多くスタメン出場したのは退団したルイス・ゴンザレス。遊撃手として二番目に多くスタメン出場したのは移籍した二岡智宏。
単純に年齢で不安なのは37歳になる木村拓也と谷佳知。谷が守る外野陣では鈴木尚広と亀井義行の進境が著しく、谷に年齢的な衰えがあっても何とか埋まりそうだ。高橋由伸の腰に関しては当初はキャンプで主力組にあたるA組への参加が予定されていたが新人選手やリハビリ組のC組に回されるなど今年も不安がありそうだが、トレードでファイターズから工藤隆人を獲得しており、一応備えはうっている感じだ。
その点二塁手を考えると、昨年82試合にスタメン出場した木村拓也に次ぐのはドーピング違反で途中解雇されたルイス・ゴンザレスの31試合で、以下脇谷亮太10試合、古城茂幸9試合というのが実状。強いて言えば不安なポジションではある。さらにアルフォンゾは二塁の他に三塁も守れるというが、三塁のポジションを見ると昨年のスタメン最多出場は一塁手として95試合にスタメンで出た小笠原道大の42試合とレギュラーが固定化されていない。もちろんイ・スンヨプが一塁手としてレギュラー出場を果たせれば小笠原が三塁に回れば良いだけのことなのだが、昨年は北京五輪以外ではほとんど存在感を示せず、打率.248、8本塁打、27打点にとどまったイ・スンヨプに復活する保証がないから二塁と三塁を守れる選手をテストするのだろう。
* そんなことなら二岡智宏を放出しなければ良いと思うのだが。
ちなみに、アルフォンゾが入団テストを受けることを報じている1月22日付の日刊スポーツではアルフォンゾが二塁でスタメンに出る場合と三塁で出る場合のスタメン予想をしている。
二塁起用なら
(中)鈴木尚
(右)亀井
(三)小笠原
(左)ラミレス
(一)李
(二)アルフォンゾ
(捕)阿部
(遊)坂本
三塁起用なら
(中)鈴木尚
(二)木村拓
(一)小笠原
(左)ラミレス
(右)高橋由
(三)アルフォンゾ
(捕)阿部
(遊)坂本
二塁として使えば、木村拓が外れるだけでなく、高橋由伸まで外れることになる<苦笑>し、三塁として使えばイ・スンヨプが外れる。昨年12月25日付当blog 来季のジャイアンツ打線は相手投手の右左に応じて高橋由伸と谷佳知を併用!?-週刊ベースボールの「どこよりも早い!2009年プロ野球12球団戦力分析」より では同誌の1月5&12日号でのジャイアンツの予想オーダーで相手投手の右左によって高橋由が谷と併用となっていたことを嘆いたが、ここでも新外国人によって外される程度の存在となっている。高橋由はそこまで成り下がったのか?それとも腰がよほど重症なのか?
もっとも、アルフォンゾが二塁を守るときの予想オーダーでは高橋由の代わりに亀井がライトに入っている。これは木村拓を外してしまうと二番打者のはまり役がいないために高橋由を外して亀井を入れているようにも思える。これは裏を返せば、今のジャイアンツ打線から木村拓を外すということは打順のバランスを崩すことにもなりかねないことを意味しているように思える。
ちなみに昨年のシーズン途中から脅威的な追い上げで逆転優勝を成し遂げたジャイアンツだが、オールスター以降、リーグ優勝を決めるまでの48試合のうち、木村拓が33試合で二番打者を務めていて、木村拓以外に二番でスタメン出場したのは脇谷亮太の7試合、古城茂幸の4試合、寺内崇幸の3試合、亀井の1試合。アルフォンゾを二塁で使い、なおかつ二番打者を務められる選手であればそれに越したことはないが、日刊スポーツの予想にあるとおり六、七番を打つタイプの選手であるのなら無理して獲らなくても良いように思うのだが、どうだろうか?
木村拓に一年間のフル回転を期待するのは酷だろう。レギュラーで活躍したように思えた昨年でさえ疲労を考慮したりして時に休ませていたので規定打席数に14足りなかった程だからだ。しかし冒頭に掲げた原監督の方針に沿う方向を考えれば、寺内、古城、脇谷らを競わせるのも良いのではないか?岩舘学、円谷英俊もファームに控えていることだし。
FA権を取得したアレックス・ラミレスが外国人枠から外れ、日本人選手扱いになるから外国人枠が空く。その枠を有効に使いたいというのは理解出来るが、単なる便利屋を獲得するのなら、せっかく原監督が掲げている若手の底上げという方針に水を差すことになりかねないと思うし、本気で五年連続優勝を目指すのならなおさらだ。
このエントリーを書いている時点でアルフォンゾの入団テストの合否は決まっていないようだが、個人的には獲得しないで欲しい気持ちの方が強いのである。
【2月9日付追補】
2月9日、アルフォンゾの入団が決まりました。テストをした上での獲得決定ということですから、戦力としてはプラスになるという判断なのでしょう。ただし、足し算だけがチーム編成ではないと思います。エントリーで書いたように原監督の方針と異なるという点も含め、額面どおりの戦力アップになるとは信じがたいというのが率直な印象です。
昨年の木村拓、一昨年の谷と、二番打者の働きがどれだけ打線のつながりを機能させたかを考えると、アルフォンゾに二番打者が務まるというのならまだしも、そうでなければ打線のつながりが損なわれるリスクも大きいと思います。
| 固定リンク
« 広岡達朗監督率いるスワローズが初優勝した年、ジャイアンツはどこか歯車が狂っていた…。-【回想】敗戦処理。生観戦録-第5回 1978年(昭和53年)編 | トップページ | 清原和博は二軍監督をやりたいと思っているそうです。 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント