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2009年3月20日 (金)

お見事原采配!-WBC第2ラウンド1位通過ともう一つの収穫。

Dsc_0008JAPANはWBC第2ラウンド1位決定戦で、今大会四度目の対戦となる韓国代表相手にこれまで出番のなかった内海哲也小松聖といった投手を起用し、6対2と快勝。見事1位通過を果たした。これで準決勝は日本時間23日にアメリカ代表との対戦となる。

お見事、侍JAPAN! そして原辰徳監督にはもう一つの収穫が…

(写真:WBC対韓国代表戦試合終了後、直ちに試合結果をオーロラビジョンに映し出した、ジャイアンツ対ライオンズ戦試合前の東京ドーム)

今日(20)の対韓国代表戦は第2ラウンドの1位と2位を決めるとともに準決勝の組み合わせを決める重要な試合ではあるが、前日の対キューバ戦のようにもしも負けたら終わりという試合ではない。日本代表も韓国代表もともに準決勝進出を決めており、この試合で敗れたとしても、失うものは多くはない。そういう意味では日本代表にとって主砲、村田修一の離脱は大きなマイナスだが、内海哲也、小松聖といった投手をテストさせることが出来る貴重な機会といえる試合だった。そして実際にこの二人が登板した。韓国も同じような考えだったのだろうか、こちらは集中力が今ひとつのようにも思えた。

内海はおそらく今日の登板でWBCに関してはお役ご免。大会終了後にジャイアンツに復帰し、27日に中六日で対ライオンズとのオープン戦(西武ドーム)で投げ、そこから再び中六日で4月3日の公式戦開幕戦に万全のコンディションで投げられるのだ。

原監督、お見事。

ジャイアンツファンの方の中にはお気付きの方も少なくないと思うが、今年のジャイアンツは3月に入ってから金曜日には必ずオープン戦を組んでおり、すべてドーム球場の試合となっている。

/() 対ドラゴンズ(ナゴヤドーム)

/13() 対バファローズ(京セラドーム大阪)

/20() 対ライオンズ(東京ドーム)

/27() 対ライオンズ(西武ドーム)

先発ローテーション投手の登板間隔が中六日で回されることが多い昨今。公式戦開幕日と同じ金曜日に雨天中止などの心配がないドーム球場での試合を組むとはさすがだ。

敗戦処理。は二年連続セ・リーグ最多勝のセス・グライシンガーが開幕投手の本命と睨んでいたが、これまでグライシンガーは金曜日ではなく日曜日の登板が続いている。これから中五日を二回続ければ開幕一週間前の27日の対ライオンズ戦での登板も可能だが、生え抜きで三年連続二桁勝利と安定しているサウスポー内海哲也が二年ぶりに開幕投手に指名される可能性も捨てがたい。ここまでWBCで出番がなかった内海をわざわざ今日の試合で先発させたのはWBC終了後の本業のことまで考えての上ではあるまいかと、邪推大好きの敗戦処理。は考える<>

ところで敗戦処理。は今日は東京ドームで行われたジャイアンツ対ライオンズ戦を生観戦した。WBCの試合と重なる可能性を承知の上で前売りチケットを購入しておいた。

東京ドームまでの電車、そしてドームに着いてからもワンセグ携帯で日本代表対韓国代表戦を観戦していたが、途中の電車といい、オープン戦試合前のドーム内といい、ワンセグ携帯やラジオなどで試合をリアルタイムにチェックしている人の何と多いことか。

オープン戦の試合開始30分前くらいで日本代表が九回表の攻撃を迎え、イチローが二塁打を放ったあたりからスタンドのあちこちから拍手や歓声が起き始め、九回裏に最後の打者がゴロを打つとその瞬間に「よし!」という声や拍手が起き始め、勝利が決定すると直ちに冒頭の写真の様にオーロラビジョンに試合結果が映し出された。今日のオープン戦の試合開始時間が通常の13:00ではなく14:00に設定されていたのが偶然だとしたら、見事な幸運と言えよう。

もちろん、すべての人が日本代表の勝利を祝福している訳ではない。

試合結果への怒りをこんな形で表した男もいた。

イ・スンヨプだ。

01  

2000年のシドニー五輪準決勝以来、幾度となくそのバットで日本代表チームを痛めつけてきたこの男は昨年のジャイアンツでの不成績に責任を感じて母国代表への参加よりジャイアンツの一員としての開幕前の調整を優先させた。

韓国代表が日本代表に敗れた試合の後に行われたライオンズとのオープン戦でイ・スンヨプは西口文也から二打席連続の本塁打を放った。イ・スンヨプ、昨夏の北京五輪、対日本代表戦以来の一発だ<ウソ>!

02 (写真:会心の一発にもかかわらず憮然とした表情のままホームインするイ・スンヨプ=※1本目の本塁打) 

「やっぱり、この男が韓国代表メンバーに名を連ねていなくて助かった…」

特大のアーチがライトスタンドに二度も突き刺さるのを観た東京ドームのファンは口には出さないまでもそう感じたのではなかろうか<苦笑>

ジャイアンツには他にもベネズエラ代表入りを辞退したエドガルド・アルフォンゾオーストラリア代表入りを辞退したM.中村、エイドリアン・バーンサイドがいる。ジャイアンツの親会社がWBCの第1ラウンドの主催をしていることと、日本以外の代表に選ばれた選手のオール辞退に相関関係がなければよいのだが。

* もしあったら、ドラゴンズの選手が軒並み日本代表候補入りを固辞したことよりも遥かに大きな問題である<苦笑>

試合は高橋尚成西口文也の先発で始まった。

01_2 前述の内海とグライシンガーはもとより先発ローテーション当確といえる存在だが、高橋尚はその次くらいに位置している投手と言えよう。本来であれば高橋尚も「当確」と言われて然るべき格、実績の持ち主なのだが一昨年の最優秀防御率獲得年を除けば、先発投手として充分な成績を残したシーズンは少ない。昨年にしても二桁勝てなかったし…。

今日は赤田将吾に浴びたソロ本塁打以外は危なげない投球で5イニングを見事に1失点にまとめた。キャンプから報道では好調と伝えられていたから、かなり本人も危機感を持っているのだろう。上原浩治が抜け、生え抜きの投手では最年長なのだから本来は投手陣のリーダー的存在でなければならない投手だ。今シーズンは数字だけでなく、そういうプラスαを見せて欲しいものだ。

ジャイアンツ打線は先制を許した直後の三回裏に鈴木尚広がライト線に三塁打を放った無死三塁から脇谷亮太がセンター前に運び同点とし、二死後にイ・スンヨプがライトスタンドに推定飛距離135mの特大弾を放ち3対1と勝ち越した。五回裏にはイが再び西口から本塁打。今度はスリーランで6対1と点差を広げた。

ジャイアンツは高橋尚の後、六回表には木村正太、七回表には上野貴久と開幕一軍入りに向けてサバイバル合戦真っ只中の若手を試す。

Photo (写真:リリーフで登板した木村正<左>と上野<右>)

 

この両投手、奇しくも敗戦処理。が8日に生観戦したイースタン教育リーグのゴールデンイーグルス戦で登板した。教育リーグで観た投手があまり間を置かず一軍で投げるのはオープン戦とはいえ嬉しい限りだ。山口鉄也がWBCに選ばれてチームを離れている影響もあるが上野あたりは特にチャンスと思っているだろう。

 

* そうは言っても、17日に観た東京ドームでのファイターズ対バファローズ、一軍オープン戦で15日に鎌ヶ谷で観たばかりの若手が何人か出ていたのを観たときには「何で?」と首を捻らざるを得なかったが<苦笑>。

 

この日は木村正、上野ともに1イニングで1失点。やはり開幕が近づくにつれて相手打線も仕上がってきて結果を出しにくくなるのか…。

その意味では昨シーズン終了後にファイターズから戦力外通告を受けていた歌藤達夫がジャイアンツ入りし、オープン戦で昨日まで6試合無失点と結果を出し続けているのが意外とダークホースかもしれない。

若手が二人続いた後は藤田宗一豊田清で八、九回を抑えた。この二人、年齢的にはそろそろ下降期に入ってもおかしくはない。だからこそフロントはM.中村を獲得したのだろうし、昨年まで一軍の実績がない上野や木村正を試し続けるのだろう。さらにいえば山口にしろ、越智大祐にしろ、昨年の登板過多の影響が出る恐れがあるし、西村健太朗を先発に回す構想がある。たとえ開幕一軍入りを果たせなくても「第二の越智、山口」を発掘しておきたいという構想もあるのだろう。

野手でも小笠原道大が不在の間に結果を残したい脇谷寺内崇幸がタイムリーを放ったり、亀井義行が不在の間に、さらにいえば高橋由伸が腰痛で戦列に加われないようならと虎視眈々とチャンスを狙う松本哲也が二本の二塁打を放つなどアピールしている。個人的には工藤隆人田中大二郎に注目しているのだろうが、育成選手から這い上がった松本が今のところ一歩抜き出ているのだろうか。

監督がいなくてもチームは着々と開幕に向けて準備を進め、監督もWBCのかたわら「ジャイアンツ愛」を忘れない。川上哲治監督時代以降、ジャイアンツでは誰も成し遂げていない三年連続リーグ優勝にむけて、ジャイアンツは順調なようだ。

20日・東京ドーム】

L 001 001 100 =3

G 003 030 01× =7

L)●西口、星野、長田、岡本慎-細川、銀仁朗

G)○高橋尚、木村正、上野、藤田、豊田-實松、星

本塁打)赤田1号(高橋尚・3回)、イ3号2ラン(西口・3回)、イ4号3ラン(西口・5回)

実は敗戦処理。は22日には鎌ヶ谷で行われるイースタン・リーグ、ではなくファイターズの一軍オープン戦を生観戦する予定だ。もしも今日、日本代表が敗れていたら準決勝は22日。またも生観戦と重なっていたところだ。しかもファイターズスタジアムでは敗戦処理。のワンセグは中継を受信出来ない。原監督、ありがとう!!

 

 

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コメント

ごくらくトンボ様、コメントをありがとうございます。

茨城ゴールデンゴールズの試合は2005年に一度だけ生観戦したことがあります。

個人的にはああいうパフォーマンスにはあまりなじめません。

2005年5月5日。鎌ヶ谷で当時ルーキーだったダルビッシュ有のデビュー戦があったにもかかわらず、茨城ゴールデンゴールズvsサウザンリーフ千葉戦を観ました。相手のサウザンリーフで江川卓が1日投手コーチを務めるという話題性と、片岡安祐実ちゃん目当てで<笑>。

その時は「生ダルならいつでも観ることが出来るだろう」とタカをくくっていたのですが、あっという間に手の届かない存在になってしまいました。惜しいことをしました。

欽ちゃんとケチャップ氏-どうなのでしょうか?

ケチャップ氏は敗戦処理。が題材にした頃と比べると、だいぶ立場をわきまえるようになったようですし、ビジターのファンを刺激する言動もいくらか減った様にも思えます。もちろん、シーレックス戦を頻繁に観ている訳でないので、頻繁に観に行く人の意見や、ネットでの評判によると、との注釈付きですが。

その意味では「ファイターズタウン」が第二のケチャップ現象にならないかと危惧しています。かなりイベントが増えてきた鎌ヶ谷ですが、本質的にはファーム選手の鍛錬の場。そしてそれを温かく、あるいは厳しく見つめるファンとのコミュニティの場であるべきだと思います。

敗戦処理。はどうしてもファイターズファン目線で観ていますし、当blogでもそのスタンスで書いていますが、相手チームのファンの人がどう思って、感じているのか。

地域密着もいいですが、相手チームのファンからも同じ入場料を取っているということを忘れてはいけないでしょうね。

投稿: 敗戦処理。 | 2009年3月28日 (土) 01時14分

長緯様、コメントをありがとうございました。

> 皆さん熱心に見る気持ちは分かります。またこういう大会があっても良いとは思います。しかし、米国でも関心は低いという話を聞きます。また、盛り上がっているのは日本と韓国だけという話も・・・。

米国で今一盛り上がらないのは、米国以外に米国を脅かす強豪国があるということにまだ現実的な危機感を感じている人が少ないのではと思います。

東西の横綱を外国人に占領されてから慌てて品格だのどうのと騒ぎ出した相撲協会や相撲ファンと同じような…

米国も前回は四強に残れなかったのが今回は準決勝敗退と一歩前進しましたから、四年後には相当期待できそうな気がします。個人的には ごくらくトンボ さんが書いているように2013年には日本で本戦を開催できるように動いて欲しいと思っています。

投稿: 敗戦処理。 | 2009年3月28日 (土) 00時56分

敗戦処理さん、お久しぶりです。

 遂に日本は決勝まで進みましたね。以前敗戦処理さんがおっしゃっていた通り、第2ラウンドの組み合わせには大いに問題があると思いますが、ここまで来たからにはぜひ優勝してもらいたいです。
 確かにアメリカ戦ですら空席が目立つと聞いてますから、今回も現地の盛り上がりとしてはいまいちなのでしょう。でも、とにかく続けることが重要だと思います。ただ、IBAFが主催するワールドカップとの兼ね合いといった別の課題も克服するべきでしょう。
 いっそのこと、次回のWBCは日本に誘致してはいかがでしょう?そうすれば、MLBべったりの運営も少しは改善されるのではないでしょうか。

 ところで、この日わたしはスカイマークスタジアムでオリックスバファローズの二軍とゴールデンイーグルス、ではなくて(*^-^)茨城ゴールデンゴールズの交流戦を観戦していました。こちらは通常通り12時半試合開始だったため、日本が勝ったことを知ったのは6回裏終了時でした。わたしを含む数(十?百?)人の観客はワンセグで同時に観戦していたようですが、電波状態はあまりよくなかったです。

 ここからは話がそれる上に長くなることをご了承ください。
 言うまでもなくゴールデンゴールズは欽ちゃんが率いる球団で、欽ちゃんのマイクパフォーマンスが売り物の一つとなっています。わたしはゴールデンゴールズの試合を見るのはこれが初めてで、マイクパフォーマンスも楽しませてもらいました。それに対抗(?)するかのような球場DJのアナウンスもまた楽しかったです。ただ、回の交代時はおろか自軍の攻撃中・守備中問わずのべつ幕無しにしゃべり続けるため、だんだんうんざりしてきたのもまた事実です。
 そして、どこか別のところでも同じことをやっている人がいたような気がしてきました。そして敗戦処理。さんのブログの過去ログを読み直したところ、欽ちゃんのマイクパフォーマンスはシーレックスのケチャップ氏のパフォーマンスに近いと感じられました。違いとしては、欽ちゃんのマイクパフォーマンスは自軍への応援のためでなく、あくまで観客を楽しませることだということでしょうか。事実、それで観客の笑いを誘い、盛り上げる効果があったことは確かですが、裏を返すと欽ちゃんが黙ってしまうと球場全体が静かになってしまい、試合そのものがつまらなく感じられてしまうのです。この辺りがパフォーマンスに対する賛否両論を起こす原因だと思います。やはり試合内容そのものがまず面白くないと。
 実際、この日ゴールデンゴールズはバファローズの2軍に0-8と完敗し、欽ちゃんもしまいに「プロに勝てるわけないじゃん」と逆ギレ気味のコメントをしていました。

投稿: ごくらくトンボ | 2009年3月23日 (月) 18時42分

WBCどうなんでしょう?

皆さん熱心に見る気持ちは分かります。またこういう大会があっても良いとは思います。しかし、米国でも関心は低いという話を聞きます。また、盛り上がっているのは日本と韓国だけという話も・・・。
まして各国のクラブチーム内には互いの相手となる国の選手やコーチも所属しているわけですし、そういった点こそがスポーツに国境はないといった面を示していると思うのですが。

余談:結局日米韓の3チームが残った形となりましたが、韓国代表に李スンヨプが入っていれば、この3チームには巨人軍に大いにかかわりがある(あった)選手や関係者がそれぞれ中心的に所属しているということになって、ファン的には面白かったんですがね。なにせ米国はデーブ・ジョンソン監督、レジー・スミスコーチということですし。

投稿: 長緯 | 2009年3月23日 (月) 00時24分

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