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2009年4月 3日 (金)

いきなりオガラミ神話崩壊-2009年プロ野球公式戦開幕

001_2 20年ぶりにジャイアンツの開幕戦を生観戦しましたが、セス・グライシンガーがまさかの4回KO。小笠原道大、アレックス・ラミレスに連続本塁打が出て昨年なら鉄板の勝ちパターンだったのですが、いきなり「オガラミ神話」が崩壊。幸先の悪いスタートになってしまいました。

(写真:3対6と3点のビハインドながら七回表にマウンドに上がった豊田清と見守る尾花高夫投手総合コーチ。開幕戦ならではの贅沢な投手起用と言えば聞こえはいいが…)

小笠原とラミレスにそろって本塁打が出た試合は日本シリーズを含めて17連勝という神懸かり的な成績が昨シーズンには残っていたが、開幕戦でその神話がいきなり音を立てて崩れたのは、昨年のことは忘れ、あらためてこのシーズンを挑戦者のごとく闘えと言う戒めであろうと思うことにする。実際、原辰徳監督も昨年までの二連覇は忘れて今年から五連覇するくらいのつもりでやるという趣旨の発言をしていた。マスコミもいい加減「世界一の監督」ともてはやすのはやめてもらいたい。WBCはとっくに終わっており、もう公式戦は始まったのだ。

昨年も開幕戦の黒星を始め、開幕五連敗と最悪のスタートを切ったジャイアンツ。開幕戦の黒星も単なる144分の1試合での出来事と割り切るしかないが、そうも言っていられない潜在的不安が顕在化した気がするのだ。

先発の上村が一球で降板したのを皮切りにグライシンガーが四回表途中でKOされ、その後五人もの投手を注ぎ込まざるを得なくなったたのは大誤算であったが、3点のビハインドを背負いながらも冒頭の写真で紹介した豊田を始め、昨シーズン大車輪の活躍をした越智大祐、山口鉄也も見事な投球を見せ、打線の反撃を待つ形にし、ジャイアンツファンに諦めさせない試合展開とした。

七回表の守備に入るときに場内アナウンスで豊田の名が告げられると敗戦処理。も陣取っていた一塁側内野席からも小さくないどよめきが起きた。「3点負けているのに豊田?」、「まだ七回なのに豊田?」-なかには開幕戦なので、とりあえず多くの投手に実戦勘を養ってもらおうと惜しみなく投手を注ぎ込んでいるのではという声も聞かれた。実際、この試合にベンチ入りした投手でマウンドに上がらなかったのは抑えのマーク・クルーンとM.中村だけであった。

このことが何を連想させるかというと、グライシンガー程の投手が今日のように早めにマウンドを降りるのはそうはないにしても、先発として安心して送り込める投手が現状では少なくないことを考えると、劣勢の試合展開ながら多くの投手を注ぎ込まなければならないケースが増えてくるだろうと言うことだ。そしてそうなった場合に出てくる顔ぶれは今日と似たり寄ったり。つまりリードしている試合でも、ビハインドの試合でも同じ投手がマウンドに上がるケースが増えると言うことだ。これはたまったものではない。豊田をそういつもいつもビハインドの展開で投げさせる訳にもいくまい。この試合のように越智と山口がかり出されることになるのが目に見えている。

過去のジャイアンツでの年間最多登板記録は2005年のブライアン・シコースキーの70試合。昨年は越智が68試合、山口が67試合と球団記録に肉薄したが役割分担を明確にしないとこの記録を更新しかねない。そしてそのことが両投手の選手寿命に影響を及ぼしかねないことに警鐘を鳴らしておきたい。

週刊ベースボール2月21日増刊号(ベースボール・マガジン社刊)の「記録の手帳」によると、昨年のジャイアンツは一試合に5人以上の投手を注ぎ込んだ試合に2920敗2分けと高い成績を残した。原監督、尾花高夫投手総合コーチともに継投策には自信を持ったことだろうが酷使された投手が前年並みの成績を残せると確信するのは危険だろう。

今日の試合で言えば、四回にグライシンガーがKOされた後に栂野雅史がマウンドに上がった。栂野は最初の打者、梵英心を投ゴロに打ち取って長い攻撃を終えさせると、その裏に二死一塁で打順が回ったため木村拓也が代打に起用され、降板となった。今後、このように早い段階で先発投手が崩れた場合には栂野を打席に立たせ、イニング数を稼がせることも視野に入れなければならないのではないか。そうすることで、勝ち試合用の投手をやたらにビハインドの試合に注ぎ込むことを防ぐことが可能になるからだ。

 

「リードされているのだから、投手に打順が回ったら代打を出して点差を挽回するのが常識」-というのはわかっている。だが、時に我慢をするのも必要だろう。その意味ではファームでは先発で投げる機会が多く、オープン戦でも先発ローテーション入りをテストされていた栂野を今日のようなケースで二番手に注ぎ込むのは得策だと思う。

また、グライシンガーに関しては早くから開幕投手の本命と言われていたにもかかわらず、一週間前の最後のオープン戦で投げなかったのが疑問だ。ジャイアンツは先月の27()から29()に最後のオープン戦を組んでいたがこの三日間、グライシンガーは一度も実戦のマウンドに立たなかった。他球団の開幕投手が軒並み先週末のオープン戦で最終調整をしているのに対し、グライシンガーは22日に雨風に晒されながら横浜スタジアムのマウンドに上がったのを最後に中11日も空けて開幕戦を迎えた形になった。敗戦処理。は先月20日の当blog お見事原采配!-WBC第2ラウンド1位通過ともう一つの収穫。 で内海哲也を開幕投手候補と邪推した<>が、何のために開幕戦と同じ金曜日にドーム球場の試合ばかり組んだのかという疑問が残る。

たかが開幕戦、されど開幕戦

   

長い目で見れば144分の1に過ぎない試合でも、後になってみるとそのシーズンを象徴する試合だったなんてことも少なくない。ジャイアンツにしても、今日の一敗からいろいろなことを学んでもらいたい。

ところで、実は何を隠そう敗戦処理。にとって、ジャイアンツの公式戦開幕戦を生観戦するのは20年ぶりなのである。昨年、一昨年とファイターズの公式戦開幕戦を生観戦しており、他にも近年ファイターズの開幕戦は何回か観ている。それはパ・リーグの開幕戦が土曜に設定されることが多いから観戦出来ているのだが、セ・リーグは金曜日のナイトゲームで開幕というのが定番。これは週末が繁忙になりがちな敗戦処理。にとっては厄介で、ついつい同じ開幕カードでも土日に行われる二戦目、三戦目に行くというパターンになっている。今日は午後休という形を取ることで、開幕セレモニーから生観戦することを可能とした。もちろん、このシーンもしっかりと見届けた。

001

 

 

ちなみに20年前のジャイアンツの開幕戦-1989年のジャイアンツの開幕戦では原辰徳監督が四番打者として出場して第一打席と第二打席に連続本塁打を放ち、開幕投手に抜擢された桑田真澄が完投勝ちした。原が本塁打を打った相手は現在ジャイアンツで投手総合コーチを務めている尾花高夫、当時のスワローズのエースだった。ジャイアンツが王貞治監督から藤田元司監督に代わった年でこの年のジャイアンツはセ・リーグを制覇し、日本シリーズでも旧バファローズに三連敗から四連勝して日本一に輝いた。

その前に開幕戦を観たのは1977年。王貞治の満塁本塁打などでジャイアンツが快勝した。王、原、オガラミと敗戦処理。がジャイアンツの開幕戦を生観戦すると主砲に一発が出る。また、過去二回はジャイアンツがリーグ優勝をしている。今年もそうなって欲しい!

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コメント

長緯様、コメントをありがとうございました。

> さてさて今日(4日)も負けてしまったので、開幕戦の負けは東京ドームでの生観戦時の勝率が極端に低い敗戦処理。さんが観戦されたから、ということが原因ではなさそうですね(笑)。今年は敗戦処理。さんの観戦時の勝率が良いことを願っております。

まあ私の観戦時の勝率はともかく<苦笑>、原監督の采配時の勝率を上げて欲しいですね。

東京ドームでの生観戦連敗記録が止まった試合から三連勝だったので、もう厄は落ちたかと思いましたが、その後長緯さんと一緒に観た日本シリーズを含め、また三連敗です(オープン戦を除く)わ<苦笑>。

昨日やられたM.中村に今日すぐ挽回の登板が回ってきたようにクルーンにも早めに挽回の機会が欲しいですね。豊田を毎日出すのは今晩限りにしたいですからね。

投稿: 敗戦処理。 | 2009年4月 5日 (日) 22時13分

観戦おつかれさまでした。
やはりグライシンガーはちゃんと先発させないとだめですね。上村のあとを継いだ2番手での救援登板だとリズムもつかめなかったのではないかと。

・・・って冗談はさておき、敗戦処理。さんが開幕戦20年ぶりの観戦とは意外と思いましたが、金曜日の試合ですと、確かに勤め人は行きにくいと思います。子供のころ、下校しながらわくわくした土曜日のデーゲームの開幕戦がなつかしいです。
それにしても、王選手の開幕満塁ホームランも目撃されているとは、うらやましいですし、素晴らしいです。

さてさて今日(4日)も負けてしまったので、開幕戦の負けは東京ドームでの生観戦時の勝率が極端に低い敗戦処理。さんが観戦されたから、ということが原因ではなさそうですね(笑)。今年は敗戦処理。さんの観戦時の勝率が良いことを願っております。

投稿: 長緯 | 2009年4月 4日 (土) 21時53分

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