C☆Bが東京ドームで怒られた理由…
当blog4月8日付 C☆B、東京ドーム職員に注意される!? では同日のファイターズ対マリーンズ戦で六回表のマリーンズ攻撃時にマスコットのC☆Bが一塁側エキサイトシートに現れて観戦中のファイターズファンと触れ合おうとしたら、球場の職員から注意されてふさぎ込んでしまったことを書いたが、その後いろいろと調べると、東京ドーム側がナーバスにならざるを得ない理由がわかった。こんな事が起きていたのである。
訴えたのが7日ということは、それが報じられたのがこの試合当日ということが考えられる。起きたのがクリネックススタジアム宮城だとしても東京ドームとしては他人事ではないだろう。
通常、チケットには「練習及び試合中の不可抗力により負傷された場合、応急処置はいたしますがその後の責は負いません。」といった一文が添えられており、建前では観客はそれを了解の上でチケットを入手し、観戦していることになる。今回訴えた側も原則としては了解の上で、ライナーで飛び込んでくるファウルにもそのようなスタンスでよいのか?という問題提議をしたとのことだが、法律上どのように扱われるのだろうか?被害に遭われた方には気の毒だが、異例なケースであると思うし、今後のファンサービスのあり方にも影響を及ぼすであろうから個人的にはこの裁判の推移を興味深くウオッチしたいと思っている。
ちなみに訴えられたのは球場であるから、打者本人には責任はない。打者の力量、または打撃コーチの指導力にまで責任問題が発展しなかったのは救いかもしれない。これは笑い事ではなく、滅多にあることではないが打者の腕からすっぽ抜けたバットが飛んでいくケースが稀にあるが、最近新設された各種、グラウンドにせり出した「○○○シート」ではあり得ないことではないように思えるが、投手が打たせまいと思って投げる球を打者が打った結果のファウルボールと違い、スイングしてバットが打者の手からすっぽ抜けるというのは打者の過失だと主張されたらどうなるのか?
また、ファウルグラウンドが狭いファームの球場では実際にたまにあるが、試合前の練習でキャッチャーフライの捕球練習のためにノッカーが放った打球がスタンドに入ることがある。さすがに試合直前のグラウンド全体を使ったシートノックの締めでのフライノックでは多少ずれてもスタンドに打ち込むヘボコーチはいないようだが、相手チームの打撃練習中に一、三塁前のベンチ前で簡易的にこの練習を行っているときに手元が狂ってスタンドに打ち上げてしまう人はたまにいる。打球がライナー性ではないのが幸いだが、試合前で観客の注意力もまばらであることを考えると、やはり危険だ。実際昨年ジャイアンツ球場でのジャイアンツ対スワローズ戦の試合前にそんなシーンを目撃したが、当のノッカーはことの重大性に気付いていないのか選手に冷やかされてエヘラエヘラ苦笑していた。ボールが飛んでいった付近の観客からは「危ねいな!」などの怒りのヤジが飛んでいたがグラウンドまでは届いていないようだったのでグラウンドに近い位置にいた敗戦処理。も思わずそのコーチをヤジってしまった。
さらにいえば、前述したチケット記載の但し書きで言えば「応急処置はいたしますが」とあるが、その「応急処置が適切であったかどうか」と訴えて来られたらどう対応するのか?応急処置をすると謳っている以上、応急処置は適切でなければなるまい。
もちろん、観客の方も自分の身体の安全を守るために最大限の注意を払わねばならないだろう。最近では「砂かぶり席」なる名称の座席も一部の球場に登場したが、本家本元の大相撲の国技館の砂かぶり席では飲食自体が禁じられている。気になる方は来月の五月場所のテレビ中継で確認いただきたい。
東京ドームのエキサイトシートで観戦したことがある身としては、目の前に障害物がないあの臨場感は、この上ない贅沢感を味わえることが出来る、素晴らしいスペースだ。一応安全のためにヘルメットとグラブが備え付けてあり、着用を義務づけるアナウンスをしつこいほどにしている。しかし実際にはファウルボール捕りたさにグラブをはめている人はいても、ヘルメットまでかぶっている人は極めて少ないことに気付いた。たまに近くまでファウルが飛んでくると、一時的にかぶる人が増えるというあんばいだ。また、飲食物などは売りに来ない。あらかじめ入手してから席に着くか、途中で抜け出して入手するしかない。
前回のファイターズの東京ドームでのマリーンズ二連戦では六回裏攻撃開始前の「ファイターズ賛歌」演奏時に二試合ともマスコットがエキサイトシート内で踊ってくれた。問題の試合の前日には演奏が始まると突然B☆Bがグラウンドからフェンスを乗り越えてエキサイトシートに乱入し、曲に合わせて踊り、曲が終わると再びグラウンドに出て行ったが、問題の日はB☆BだけでなくC☆Bも一緒に踊る趣向でC☆Bだけは六回表の守備の最中からエキサイトシートに遊びに来ていたのである。グラウンドではプレーが行われているのにC☆Bがスタンドのファンとコミュニケーションを取り始めたので職員がアテンドの女性に自粛を促したのだ。
エキサイトシートなどの臨場感あふれるサービスは打球直撃などのリスクと表裏一体であるということを観客も自覚しなければならないだろう。今回訴えた方にそのような自覚が欠けていたなどと言うつもりは毛頭無いが、ある意味ハイリスク・ハイリターンなのだ。またこの件に関するネットでの書き込みを観ると、こういう訴えがあると、球団や球場側がリスク回避ばかりに目がいってサービスが制限されるからそれが心配だという論調があった。確かにそういう側面は感じるが、だから「訴えるな」「自分の不注意を棚に上げて球場側の責任にするおろかな輩」などと決めつける論調には異を唱えたい。そういう問題ではないのだ。
もう一つ言えば、例えば選手がスタンドにボールの投げ入れをするサービスをするようになると、今度はその奪い合いでファン同士の間でトラブルが起こりかねないという問題もある。守備を終えた選手がベンチに戻ってくる際にスリーアウト目のボールを持った選手がベンチに戻る際にスタンドに投げ込む習慣があると、酷いときにはツーアウトになった時点で席を立ってベンチに近い位置に移動するファンがいる。たしかに打者が初球を打って凡退することもある訳だからボールを欲しいファンにとって油断は禁物だ。客が親子連れの場合、自分の子供のためにボールを捕ろうとがんばるお父さんが捕り合いで他の子供を圧倒してしまう様は観ていて危険である。実際にジャイアンツ球場などは試合開始時のスタンドへのサインボールの投げ込みやイニング終了時の投げ込みを「観客同士のトラブルが多発して危険」という理由を明示した上で中止した。ビジターで来るチームにも事情を説明して協力してもらっているという。たしかに杓子定規に考えれば、一個しかない価値あるボールをスタンドに適当に投げ入れておいて、「皆さんケガの無いようにしてくださいね」とだけ言っていればそれで責任が回避出来るのかという疑問はある。誰だって選手直筆のサインボールや、試合で使ったばかりのボールを欲しいと思う気持ちはあるだろう。あおるだけあおっておいて、トラブルが起きたから中止にしますと言うのであれば、「そんなこと、やる前から想像つかないのか」と言いたくなる。
天の邪鬼な敗戦処理。に言わせると、東京ドーム側の対応が純粋に観客の安全を考えての行動であるならそれは感謝しなければならないだろうが、もしも「何か起きて訴えられたら面倒だから」という、いわばリスク回避の発想であったとしたらそれは残念だ。興行のプロである東京ドームがそんなような謝った感覚でいるとは思いたくないが、近年の一連の企業不祥事のニュースなどをよくよく聞いてみると、根本的に発想の次元におかしな点があることが少なくない。簡単に言えば、「やってはいけないことをしたから責任を取る」のではなく、そのことが発覚したから責任を取るというスタンスが明らかな事例があるということだ。
ファイターズは今日(21日)火曜日から三日間、東京ドームで主催試合を行う。B☆BやC☆Bはスタンドのファンを相手にどんなサービスをしてくれるのか。「安全第一」の発想は必要不可欠であるが、臨場感あふれるファンサービスは既に普及しており、今さら逆行出来ないだろう。サービスを受ける側としても考えさせられるニュースに出会った感じだ。
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