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2009年4月19日 (日)

ドラゴンズの小山桂司は「こやま」ではなく「おやま」です。松坂大輔の横浜高校時代の女房役ではありません。

01 昨シーズン限りでファイターズから戦力外通告を受けた小山桂司がドラゴンズに拾われ、開幕一軍入りを果たした。現在、正捕手の谷繁元信が右ふくらはぎ痛で戦列を離れており、今日(19)のジャイアンツ戦では先発マスクをかぶった。「よくぞここまで…」と敗戦処理。としても感慨深いものがあるが、本拠地のファンの認知度は上のタイトルの通り。まだまだなのでしょうか。

(写真:同点で迎えた四回裏無死一塁で送りバントをする小山。次打者が投手なのにバントを命じられるとは…。しかも成功して一死二塁になったのに投手がそのまま打席に…。信用されていないのか、それとも…)

ナゴヤドームに向かう途中で購入した中日スポーツの一面にドラゴンズが連敗脱出への打開策として捕手を代えるというのが掲載されていたので小山が使われるであろうことは予想出来た。また複数のスポーツ紙がドラゴンズの先発を山井大介と予想していたのでファイターズファンでもある敗戦処理。としては、2007年の日本シリーズ第五戦の敵討ち、出来れば早めにKOして欲しいと願っていた。

ファイターズが今年3月のオープン戦でこの山井をKOしているが、公式戦の、それもあの時と同じナゴヤドームでの試合だけにチームは違えど、敗戦処理。の「打倒山井!」と言う気持ちは大袈裟に言えば「今日もドラゴンズを倒して三タテだ!」という気持ちより強いくらいだった。今日のナゴヤドームは満員であったが、こんな思いで山井攻略を願望した観客は少なかったに違いない。

先発バッテリーが発表され、予想通りドラゴンズは山井、小山のバッテリーだった。ジャイアンツは中六日の高橋尚成と阿部慎之助のバッテリー。

やがてスタメンが発表され、先に発表されたジャイアンツの一番が松本哲也で二番が脇谷亮太と聞いたときには昨日に続いてジャイアンツ球場に来てしまったのではないかと一瞬錯覚しそうになった<苦笑>が、ジャイアンツも山井を読んでおりイ・スンヨプのスタメン復帰を含め左打者主体のオーダーを組んできた。

一回表、先頭の松本が足への死球で出塁。これで山井の完全試合を阻止した。幸先がよい。青い手袋をはめていない松本がすかさず二盗。小山の送球がそれて楽々セーフ。小山、早くも課題を露呈。脇谷は三振に倒れたが、三番の小笠原道大がセンター前に弾き返し、松本がホームイン!1点を先制するとともに山井のノーヒットノーランを阻止した。

01 しかもこの時バックホームの返球がそれ、打者走者の小笠原が二塁に進塁した。

山井はアレックス・ラミレスの打席で捕手が小山でなくても捕れないであろう暴投で一死三塁とする。ドラゴンズは打席がラミレスであるにもかかわらず果敢に前進守備を敷き、思惑通りに一、二塁間にボテボテのゴロを打たせるが一塁のトニ・ブランコがお手玉し、なおかつ間に合わない一塁に悪送球したため一度は帰塁した小笠原の生還を許した。山井はこれで動揺したのか、続く亀井義行に二塁打を打たれ、イ・スンヨプ四球で一死満塁から阿部に犠飛、坂本勇人にタイムリーを浴びていきなり4失点。敗戦処理。としては大いに溜飲の下がる一回表の速攻だった。

しかしドラゴンズは二回裏、坂本のエラーで得た二死一塁から小山が右中間に弾き返すと、小山をなめていたとしか思えない浅い守備位置の外野手の頭上を越えるタイムリー二塁打となり1点を返した。走者二塁ならいざ知らず、二死一塁で次が投手だったら多少深めに守って頭を超されたり間を抜かれたりしないように心掛けるのがセオリーだと思うのだがジャイアンツの守備陣形の逆を付く形でドラゴンズが1点を返した。小山の打席の時点ではネクストバッターズサークルにいた山井だったが、1点還してさらに二死二塁でチャンス継続ということで代打を出された。山井は二回に立ち直りの兆しを見せていたようにも思えたが三連戦三連敗を避けたいチーム事情を考えればやむを得ない代打起用であろう。しかしとりあえず敗戦処理。にとっては第一目標達成だ。

しかしジャイアンツ先発の高橋尚もパッとしない。

三回裏には二死から四番のブランコにレフトスタンドの最上階まで運ばれる推定飛距離135mの特大のツーランを浴びて1点差に迫られると、続く和田一浩にも左中間に推定飛距離130mの弾丸ライナーのアーチを浴び、あっという間に4対4の同点とされてしまった。高橋尚もこの回限りで降板。

ドラゴンズの四番打者は背番号42のユニフォームを着て「ブランコ」という名を名乗ってはいるが、きっと中身はタイロン・ウッズであろう。打席に入るときののさのさとした感じも似ているし、あんな飛距離を出せる右打者はそうはいない。推定年俸2,760万円というのも正体を悟られないための仮の姿であろう。

両軍二番手投手の勝負となった。

ドラゴンズは三回表からマキシモ・ネルソン、ジャイアンツは四回裏から今季初登板になる西村健太朗がそれぞれ二番手として登板。

西村健は代わりばなの初球を藤井淳志にセンター前に運ばれ無死一塁。勝ち越しのピンチを招く。打順は八番の小山、九番のネルソンと続く。第一打席で高橋尚からタイムリーを放っている小山に打たせてさらにチャンスを拡げる策を採るかと思ったら、いとも簡単にバントをさせた(冒頭の写真)。走者を得点圏に進めて投手の打順で代打かと思ったら投手のネルソンがそのまま打席に入った。まだ中盤だし、好投のネルソンを代えて投手をあまり注ぎ込みたくないというのはわかるが、それならば小山に打たせてネルソンに送りバントをさせて二死二塁で上位につなぐのが普通だろう。まして小山はファイターズ時代も捕手でありながら、守備より打撃で目立っていた存在だ。ネルソンがよほど打撃も期待出来る投手なのか?それならばここは気を抜けないと思っていたらさにあらず。ネルソンのスイングを観て悟った。

01_2 決めつけてはいけないが、バントがまだ出来ないのではないか?そう感じさせるくらい不格好なスイングで三球三振。ドラゴンズベンチは一死一塁からネルソンにバントをさせて併殺になったり一塁走者が封殺されてネルソンが一塁に残る事態を避けたくて小山にバントを命じたのではないか。

等と考えていたら荒木雅博がセンター前に弾き返し、あららドラゴンズに4対5と逆転されてしまった。

ジャイアンツ打線は見た目重そうなネルソンの投球に三回、四回と三者凡退に終わり、五回表も簡単に二死までいったが、イ・スンヨプが四球を選ぶと阿部が一塁線をゴロで抜く打球を放ち、一塁から一気にイ・スンヨプを迎え入れ5対5の同点をした。一塁から一気に走るイ・スンヨプはお世辞にも快足とは言えないが、小山のブロック、タッチも甘い感じで間一髪セーフとなった。小山あまいぞ。

ジャイアンツは続く坂本がレフト前に弾き返して阿部を迎え入れ、6対5と再び勝ち越した。

01_3 ドラゴンズバッテリーは坂本をツーナッシングと追い込みながら結果打たれたが、次が投手の西村健であることを考えれば、仮に代打起用があっても、ジャイアンツの投手をどんどん使わせる意味もあるのでもっと別の攻め方があったのではと思われる。小山も悔いが残ったのではないか。

ちなみに坂本タイムリーの後、実際に西村健の打席で代打、木村拓也が起用されたが初球に坂本が二盗を試みて失敗するという何とも間抜けなミスを犯した。代打の木村拓は何もせずにそのまま退き、三番手の越智大祐が次の攻撃で先頭打者になってしまった。みすみすワンアウトを相手に与える形になった。

まだまだ荒れそうな気配であったが、ドラゴンズは五回、六回と越智に2イニングを完璧に抑えられ、ラッキーセブンも山口鉄也に抑えられ、さらに頼みのドアラまでがバック転に失敗するなど試合後半は精彩を欠き、

01_4 八回には山口から豊田清につないで抑えられ、とどめはマーク・クルーンの珍しく危なげない投球に完璧に封じられてしまい、ジャイアンツが6対5のまま逃げ切った。

ジャイアンツが敵地ナゴヤドームでの三連戦に三連勝したのは7年ぶりらしい。

不安定だったクルーンもだいぶ落ち着きが見えてきた。気になるのは豊田の登板過多で、これでまた三連投。ただいつまでも揃って好調という状態が続くはずもない。早くM.中村にMICHEALと表記されていた頃の安定感を取り戻して欲しい。

小山は八回までマスクをかぶった。ここまで書いたように素人の敗戦処理。が観ても課題を残したが、落合博満監督をはじめ、ドラゴンズ首脳陣の目にはどう映ったか?ただ、松本、脇谷の一、二番コンビには合計で1本の安打しか許さなかったあたりは伊達にイースタンで三年間苦労した訳ではないことの証明にはなったかもしれない。

武田勝とともに2006年に社会人野球のシダックスからファイターズに入団した。シダックス時代には野村克也監督の指導を受けているはずなのにファイターズでは捕手としては頭角を現せず、ファームでも今成亮太、渡部龍一といった年下のライバルの後塵を拝していて、二年目の2007年には早くも捕手以外のポジションでファームの試合に出るケースが目立ってきた。昨年、高橋信二がマスクをかぶれない時期に待望の一軍入りを果たしてプロ入り初安打も記録して期待を抱かせたが長続きせず、シーズンが終わると戦力外通告を受けてしまった。小山は市川卓とともに門限を破って遊びに行っていたのがばれて謹慎処分を喰らったり、また昨年のキャンプ時にはマスコミに注目を集めていたルーキーの中田翔を合コンに呼び出して写真週刊誌に狙われたりと野球以前の問題を起こしていたのでそれもあって球団フロントの評価も低かったのではないかと思われた。また昨シーズン終了後の戦力外通告者は小山以外にも首を捻る存在が少なくなく、結局現役続行を希望した通告者は全員どこかしらの球団のユニフォームを着ることが出来、ファイターズのフロントの眼力にも疑問が残る形となった。

ただ、戦力外通告を受けながら他球団に拾われた選手というものは小山に限らずその一年が勝負であり、一年目に結果を残さないとまた半年後に同じ辛い思いをするのがほとんどだ。小山は開幕一軍入りというこれ以上ないスタートを切れたのだから、ドラゴンズへの恩返しとかそういうことだけではなく、自分の野球人生のためにチャンスを活かして欲しい。今はとにかくアピールし、少なくともナゴヤドームのファンに「こやま」と呼ばせないことだ。前述した中日スポーツの記事でも「日本ハムから今季移籍の小山(おやま)」と振り仮名つきで書かれているようではまだまだだ。

中には敗戦処理。の真後ろに座ったドラゴンズファンのように「松坂の横浜高校の時のキャッチャーだよ。外野の小池も一緒でさぁ」などと勘違いしている輩まで存在した。横浜高校で松坂大輔とバッテリーを組んでいた小山良男(こやま よしお)は亜細亜大、JR東日本を経てドラゴンズ入りしたが昨シーズン限りで現役を引退し、ドラゴンズのブルペン捕手となった。今春のWBCにブルペン捕手として派遣されて松坂とのコンビ復活と報じられたのは記憶に新しいところ。もちろん小山桂司とは完全な別人。ちなみに現在の松坂の女房は元日本テレビアナウンサーの柴田倫世。

ただ、ドラゴンズは現在一軍登録されている捕手が小山と、小田幸平と清水将海と三人とも他球団からの移籍選手であることを考えると、そろそろ自前の捕手を育成することを考えないと拙いだろう。小山に至ってはしょせん他球団で要らないといわれた選手である。そもそも正捕手の谷繁もFAで獲得した選手。谷繁獲得時には中村武志という立派な正捕手がいたのだが獲得に動いたのだった。そう考えると、谷繁入団以前の中村時代からなかなか第二の捕手が育っていないとも言える。捕手担当のコーチがファイターズで長く正捕手を務めた田村藤夫であることを考えると、贔屓球団でないにもかかわらず、気になってくる。

ただ、正捕手不在時の第二捕手という点ではジャイアンツも他人事ではない。阿部の代役としてマスクをかぶって活躍する鶴岡一成は昨年、北京五輪で阿部が不在になることを考えてシーズンに入ってから獲得した泥縄のような補強だったし、その前は實松一成だ。そもそも現ドラゴンズの小田を、野口茂樹をFAで獲得したときに人的補償のプロテクトに入れなかったばかりにドラゴンズに持って行かれ、シーズン開幕前になってことの重大性に気がつき慌てて岡島秀樹を出して獲得したのが實松という、場当たり的な補強の繰り返しがジャイアンツの実態で、そのため村田善則は中途半端な存在のまま現役引退の道を歩み、加藤健、星孝典の一本立ちもいつになるやらという感じだ。ジャイアンツは今のドラゴンズの状態を決して笑うことは出来まい。

ともあれ、繰り返しになるがジャイアンツは今季初対決でドラゴンズに三タテを喰らわした。もしもこれが真逆の結果になっていたら、「WBCにひとりも選手を出さずに万全の調整で臨んだチームの方が優位なのは当然」とでも開き直った観戦記を書こうかとも思ったが杞憂に終わった。ファイターズも同じく敵地で三連戦三連勝を飾ったようだし、万々歳な一日だった。

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