「生」観戦した野球場(49)-楽天イーグルス利府球場
いろいろな野球場で日本のプロ野球を観てきました。その数もうすぐ50。だからどうしたと言われればそれまでですが。
このコーナーでは敗戦処理。がプロ野球の試合を観戦した野球場について順に書いていましたが、48の観戦球場をすべて網羅したため、「敗戦処理。生観戦録- my only one game of each year」に切り替えていました。このたびゴールデンイーグルスのファームの新しい本拠地となる楽天イーグルス利府球場での生観戦を果たしましたので久々にこのコーナーを復活させようと思います。なおバックナンバーは左欄のカテゴリー別から敗戦処理。が「生」観戦した野球場を選び、ダブルクリックして下さい。
第49回 楽天イーグルス利府球場 観戦球場ファイル-49-
ゴールデンイーグルスは2005年の新規参入以来、ファームの本拠地を山形県に置いてきた。オリオンズ時代の村田兆治が通算200勝を達成した球場としても名高い山形県野球場を本拠地にしていた。一軍の本拠地は仙台ではあるが、ゴールデンイーグルスは仙台あるいは宮城ではなく、東北と謳っている球団。一軍はホームゲームの大半を仙台で行うにしても、ファームは「東北」の球団らしく他の東北地域に本拠地を置き、なおかつ東北各県での分散開催にすることで「東北」と謳うチームとしての免罪符的な役割を果たしてきた。しかし残念ながら目論んだほど集客が叶わず、また一軍と離れていることでの弊害が顕在化してきた。そこで浮上してきたのがせめて一軍と同じ宮城県内にファームの拠点を置くという構想で、紆余曲折があって宮城郡にある利府町中央公園野球場が選ばれた。
敗戦処理。としては、早いうちに一度は行かなくてはと思い日程表と睨めっこした結果、先月4日のゴールデンイーグルス対ジャイアンツ戦を選んだ。
仙台駅から東北本線で利府に行く。周りには田畑ばかりが目立つローカル線という感じだが、最寄り駅の利府駅にはゴールデンイーグルスを応援するのぼりが何本も立っており、このチームを応援しようという気風が感じられる。駅を出ると、バスロータリーはあるが、球場付近まで行くバスがないのか、特に案内が出ていない。
球団HPからプリントアウトした地図を頼りに歩いていく。「利府駅から徒歩20分」とあるから、歩いて歩けない距離ではない。しかしなかなか、近くに野球場、あるいはスポーツ施設があるという雰囲気にならない。地図通りに歩いているので間違いなかろうと25分ほど歩き続けてようやく利府町総合体育館にたどりついた。
そして隣には今春の選抜高校野球でベスト4にまで進んだ利府高校の校舎がある。
事務所<?>らしき建物を観ると「イースタンリーグ公式戦開幕まであと 」との貼り紙がされている。
おそらくリーグそのものの開幕ではなく、この球場での試合までのカウントダウン用に掲出していたのだろう。この日は当日なので、日数を示すものは取り除かれていたというところだろうか。
で、球場はどこかと思うと、そこからさらに階段を上がらなければならないのである。
この階段、数えてみたらちょうど90段あった。昇り慣れているジャイアンツ球場の「巨人への道」の283段に比べれば3分の1に過ぎないが、20分以上歩いた後の90段はマジでこたえる…。
そして不覚にも行って初めて気がついたのだが、この日がゴールデンイーグルスの新本拠地としての初試合だったのだ。敗戦処理。が足を運んだ4月4日はプロ野球両リーグ開幕の翌日に当たる日であったが、イースタン・リーグはそれより早く、3月20日に開幕している。WBCのサンディエゴラウンドの1位・2位決定戦を日本代表と韓国代表が争っていたあの日にイースタンは既に開幕を迎えていて、公式戦三週目に入っていたから、まさか初戦とは思わなかったのだ。ということで記念式典を行っていた。
球団の公認マスコット、クラッチとクラッチーナ、さらには地元のお偉いさんを迎えて賑々しく何を行っているのかと思ったら、球場の愛称の命名式を行っているという。なるほど「利府町中央公園野球場」ではいささか固い。
最後に挨拶した町長さん<?>が前日にゴールデンイーグルスの一軍がダルビッシュ有と岩隈久志によるエース対決を制して白星スタートを切ったこととイースタン・リーグをごちゃ混ぜにして「昨日もジャイアンツを倒して幸先の良いスタートを切りました」と、まるで野球に興味がないことを露呈する挨拶で締めくくり、ようやく新愛称の除幕式だ!!
ま、発表する前から横付けされた立て看板で新愛称が「楽天イーグルス利府球場」であることはバレバレであったが<笑>。
当日券を買って中に入ると、さすがに本拠地開幕戦だけあって試合開始一時間以上前なのにネット裏と一、三塁側の内野席は埋まっている。これ以外は一、三塁側の芝生席と外野の芝生席しかない。ジャイアンツの大田泰示の打席をじっくり観ようかと一塁側の芝生席に足を運んで観たが、一塁側のファウルグラウンドにブルペンがあり、捕手の後ろに防球用のネットがあって打席が観づらいため、仕方なくネット裏の最後列の後ろの通路に立ったまま観戦することにした。
それはともかく、球場の中に入ってしまうと、売店もトイレもないということに驚いた。売店、トイレは球場の外、正面入口付近にあるとはいえ、チケットを見せながら出たり入ったりしなければならない。これは早急に改善する必要があろう。
入口の脇に二軒並んだ飲食物の売店は大勢の客をさばききれない感じだった。それは致し方ないにしても、敗戦処理。が並んだ方の店は品切れになっても客に案内しないなど手際の悪さが特に目立っていた。実際、敗戦処理。が購入する直前に唯一残っていた焼き鳥が品切れになり、あまり冷えていないビールが数杯残っていただけであった。
もっとお粗末なのがスコアボード。出場している選手の守備位置が表示されないし、審判員の名前も掲示されない。
などと不満を胸に抱きながらの試合観戦となったが、試合は初回からジャイアンツの一方的なリードとなっていく。(試合内容に関しては当blog4月4日付 ジャイアンツの高校卒ルーキー橋本到が故郷に凱旋 を参照してください。)
勝敗の関心が薄れてからふと思ったのが、ファイターズのファームの本拠地、鎌ヶ谷も最初はどうだったのだろうか?ということだ。今でさえいくつかの駅からバスが定期的に出ているが、もちろん最初からそうではなかった。C☆Bの登場や、地元の後押しなどもあって何年もかけてファンの間に定着してきたのだ。この試合だけを観て論評するのはあまりにも早計だろうが、ファームとはいえ、プロの試合を常時行うスタジアムにしてはまだまだ準備不足のような気がした。ゴールデンイーグルスとしてはこのスタジアムでファームの試合を行うことで、例えば昼間のイースタンの試合に出た選手を夜のKスタでの一軍戦に出場させることも可能になるなどのメリットがあるのだろうが、それはあくまで球団の事情。ファンにとってはそこに足を運び、入場料(この試合では1,000円だった。)を払ってまで観に行く価値があるか否かが決め手である。
当面は昨年までホームグラウンドだった山形県野球場改め山形蔵王タカミヤホテルズスタジアムとの併用ということで、余計にファンに定着するまでに時間がかかるかもしれない。ただ球場側としては球団に二股をかけられているようなものだから、矢継ぎ早に改善を施すのではないか。ただそれが、「仏作って魂入れず」であっては意味がない。ファームのホームグランドまでが地域密着型に定着して初めて、ゴールデンイーグルスが真に地域密着球団を標榜出来るときが来ると言っても過言ではないだろう。
余談だが、48個目の観戦球場に当たる群馬県営敷島公園野球場を観てから49個目にたどり着くのに一年半も要してしまった。次は節目の50個目になるが、節目にふさわしい観戦球場としては、当然今話題のあの球場を狙っている。雨が降りませんように…。
また、一応応援グッズも販売しているが既に発売開始しているはずのイースタン・リーグ観戦ガイドを置いていなかった。選手グッズさえあれば満足するファンばかりでないと言うことを理解してもらいたい。
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