日本プロ野球界も連結決算導入か!?
一週間前のことだった。職場で昼休みにスポーツ新聞を読んでいると、ベイスターズファンの先輩が順位表を見ながら「プロ野球も連結決算にしなきゃ」と言ってきた。何のことかと思ったら、一軍と二軍の成績を合算して成績を比較すべきだと言うのである。これには笑った。ベイスターズは前年に続き、最下位に低迷中だが、ファームのシーレックスはイースタンで首位を快走中なのだ。
それから一週間。一軍の成績に二軍の成績を合算したらどうなるか。試しにやってみた。
特にバブル経済崩壊後、いわゆる大企業を中心に企業の分社化が推し進められていった。それは単なる不採算部門の別会社化を含め、製造部門を別会社にしたり、地方拠点を別会社にするなど多岐にわたり、それによって合理化されたように見え、本社の収益性は改善されたように思えた。しかしそれらの中には構造的に赤字は別会社(子会社)に回されることによって本社(親会社)の収益が上がったように見えているだけのものも少なくなく、企業の経営の実態を知るには単体ではなく、グループ全体の数字が見えてこないと判断出来ないということで連結決算による全体の数字を具現化することが求められてきたのである。
日本のプロ野球では通常火曜日から翌週の月曜日までを週の単位とし、節と区切る慣習がある。今はゴールデンウイーク期間中で変則日程だが、5月4日・月曜日を終えた時点の成績で試してみた。
まずは5月4日現在のパ・セ両リーグの順位は次の通り。
パ・リーグ公式戦順位
1位 モ 26試合16勝10敗0分 勝率.615
2位 F 26試合15勝11敗0分 勝率.577 1.0差
3位 Bs26試合13勝13敗0分 勝率.500 3.0差
4位 L 28試合13勝14敗1分 勝率.481 3.5差
5位 H 28試合12勝15敗1分 勝率.444 4.5差
6位 M 26試合10勝16敗0分 勝率.385 6.0差
* 差は首位チームとのゲーム差。以下同じ
セ・リーグ公式戦順位
1位 G 26試合16勝8敗2分 勝率.667
2位 Ys25試合14勝11敗0分 勝率.560 2.5差
3位 T 26試合12勝13敗1分 勝率.480 4.5差
3位 C 26試合12勝13敗1分 勝率.480 4.5差
5位 D 26試合12勝14敗0分 勝率.462 5.0差
6位 YB25試合9勝16敗0分 勝率.360 7.5差
続いて連結決算の対象となるイースタン、ウエスタン両リーグの同日現在の順位を見てみよう。
イースタン・リーグ公式戦順位
1位 SS29試合20勝9敗0分 勝率.690
2位 F 29試合16勝10敗3分 勝率.615 2.5差
3位 L 29試合13勝14敗2分 勝率.481 6.0差
4位 Ys23試合10勝11敗2分 勝率.476 6.0差
5位 G 31試合14勝16敗1分 勝率.467 6.5差
6位 M 28試合11勝16敗1分 勝率.407 8.0差
7位 モ 25試合8勝16敗1分 勝率.333 9.5差
ウエスタン・リーグ公式戦順位
1位 T 21試合14勝6敗1分 勝率.700
2位 H 21試合11勝9敗1分 勝率.550 3.0差
3位 D 22試合10勝10敗2分 勝率.500 4.0差
4位 Bs23試合9勝13敗1分 勝率.409 6.0差
5位 C 25試合9勝15敗1分 勝率.375 7.0差
そして、おまちかねの連結決算による順位だ。パ・セ両リーグともに一軍の成績に単純に二軍の成績を足してみた。
パ・リーグ連結決算順位
1位 F 55試合31勝21敗3分 勝率.596
2位 H 49試合23勝24敗2分 勝率.489 5.5差
3位 L 57試合26勝28敗3分 勝率.481 6.0差
4位 モ 51試合24勝26敗1分 勝率.480 6.0差
5位 Bs49試合22勝26敗1分 勝率.458 7.0差
6位 M 54試合21勝32敗1分 勝率.396 10.5差
セ・リーグ連結決算順位
1位 T 47試合26勝19敗2分 勝率.578
2位 G 57試合30勝24敗3分 勝率.556 0.5差
3位 YB54試合29勝25敗0分 勝率.537 1.5差
4位 Ys48試合24勝22敗2分 勝率.522 2.5差
5位 D 48試合22勝24敗2分 勝率.478 4.5差
6位 C 51試合21勝28敗2分 勝率.429 7.0差
先輩が応援しているベイスターズが一気に浮上する他、ファイターズもぶっちぎりで十二球団№1の勝率になる<笑>!なるほど、これは今期から採用して欲しい順位決定方式だ。
と、よく見たらセ・リーグではジャイアンツが首位から落ちている<苦笑>。
もちろん、パ・セ両リーグ、イ・ウともまだまだ全体から見れば消化済み試合数が少ない。だからこそ連結決算で順位が入れ替わったりするのだろうという見方も成り立つだろう。
そこで昨年、2008年度の最終成績の連結決算も出してみた。
2008年パ・リーグ連結決算成績
1位 L 240試合118勝115敗7分 勝率.506 一軍単体1位
2位 H 232試合110勝109敗13分 勝率.502 一軍単体6位
3位 Bs232試合107勝114敗11分 勝率.484 一軍単体2位
4位 モ 240試合111勝121敗8分 勝率.478 一軍単体5位
5位 M 240試合110勝123敗7分 勝率.472 一軍単体4位
6位 F 240試合106勝130敗4分 勝率.449 一軍単体3位
2008年セ・リーグ連結決算成績
1位 G 240試合142勝 93敗5分 勝率.604 一軍単体1位
2位 T 232試合125勝 98敗9分 勝率.561 一軍単体2位
3位 Ys240試合121勝108敗11分 勝率.528 一軍単体5位
4位 C 232試合112勝110敗10分 勝率.505 一軍単体4位
5位 D 232試合109勝111敗12分 勝率.495 一軍単体3位
6位 YB240試合 98勝137敗5分 勝率.417 一軍単体6位
パ・リーグの順位に大きな変動があり、ファイターズは一軍単体だったら3位だったのが何と最下位まで転落してしまう。昨年のファイターズはイースタンで33勝61敗2分で7位という体たらくだったが、それがそのまま一軍のクライマックスシリーズに辛うじて滑り込んだ成績をもろに足を引っ張った形になった。逆にウエスタン・リーグとファーム日本選手権を制したホークスは一軍単体では最下位だったところが一気に2位まで駆け上がった。セ・リーグでもイースタン・リーグ優勝のスワローズが連結決算成績だと5位からクライマックスシリーズ出場圏内に浮上する。
もちろん、先週のスポーツ新聞を読んでつぶやいた先輩も、敗戦処理。も本気でこんな事が実現するとは考えていない。
ただ、その先輩が応援しているベイスターズでいえば、昨年も今の時期あたりはファームのシーレックスはイースタンで首位を走っていた。最終的にはスワローズとジャイアンツの後塵を拝して3位に終わったが、勝率五割をキープした。普通に考えれば、ファームとはいえ、好成績を挙げるにはそれだけの理由があり、好成績の原動力になった選手達が翌年(今シーズン)には一軍での登用が見込まれて然るべきである。言わずもがな一軍は昨年はぶっちぎりの最下位で、テコ入れが必須なのは誰の目にも明らかだったからだ。そして今季開幕から、いやオープン戦からベイスターズは大きくテコ入れされたが、それは昨秋のドラフト会議を経て入団したルーキー達の大胆な抜擢が主であり、ファームからの抜擢は目立っていない。昨年イースタンで成果を見せた選手がファームを卒業せずに留まらされているとしたら、イースタンでのぶっちぎりの独走も素直に喜べない面があろう。
そういう隠れた面を炙り出すためにはこういう遊び心満載のデータで検証するのも悪くなかろう。
実際、ウエスタン・リーグの事情には疎い敗戦処理。だが、イースタンに所属する球団を見るに当たり、ファンサービスへの気持ちの入れ方は明らかに球団ごとに温度差がある。それらは一、二軍トータルで考えられるべきで、ファームの球場設備に費用をかけられないからといって、ファンサービスまでお座なりにしていては本当の意味でファンの裾野を拡げることは出来ないと敗戦処理。は考える。当blogでは4月16日付で「プロ野球のサービスの満足度調査」について取り上げたが、出来れば今度はファームにも調査対象を拡充してもらいたいものだ。
それにしても、今季のシーレックスは強過ぎですね。
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