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2009年5月 6日 (水)

Why’s MICHEAL?

Micheal04 今季ファイターズからジャイアンツに移籍したMICHEAL改めM.中村の調子が上がらない。ファイターズ時代にはファイターズの二年連続優勝にクローザーとして多大なる貢献をしたのをはじめ、四年間で198試合に登板して102S、通算防御率2.20と大活躍した男がジャイアンツで苦しんでいる。

今日(5日)のベイスターズ戦でも2対4の劣勢の八回表無死一塁という状況で登板し、三連打で2点を追加されて反撃ムードに水をさした。

Why’s MICHEAL?

(写真:ファイターズ一年目の2005年。調子が上がらずロッテ浦和球場でのイースタン公式戦に登板したMICHEAL。ジャイアンツでももがき苦しんで乗り越えて欲しい)

MICHEAL改めM.中村を獲得したジャイアンツは通算152Sの豊田清、同125Sのマーク・クルーンと合わせて通算100S以上の投手が三人揃ったことになったが、これは日本プロ野球史上初めてのことだという。昨年41Sでセ・リーグの最多セーブを記録したクルーンをクローザーとし、豊田とM.中村、さらには前年にブレークした越智大祐と山口鉄也を擁して盤石のブルペン体制で臨むはずだった。

ところが、M.中村は今季初登板となった開幕第二戦の対カープ戦で2対1とリードした八回表の頭から登板した。いわば今季の役どころでの初仕事だったが、二死から四死球の後、四番・栗原健太に逆転本塁打を浴び、次打者のスコット・シーボルにも連続本塁打を浴びて逆転負けを喫した。以後、翌日の延長十二回引き分けの試合で主だった投手を使い果たした十二回表に登板した他はジャイアンツベンチの信頼をなくし、劣勢の場面での登板が続いている。

M.中村はいったいどうしたのか?

技術的なことはよくわからないが、球界版の適応障害ではないか?

ファイターズ入団年も、それまでのMLB(ツインズ~ブルージェイズ)生活とのギャップに苦しみ、オープン戦でなかなか調子が上がらず開幕早々に二軍落ち。冒頭の写真の様にイースタンの試合にも出場して何とか調子を上げようと必死に取り組んだ。結果、すぐに一軍に上がり、中継ぎとしてチームに欠かせない戦力となるが登板過多が祟り、交流戦後半にリタイヤした。

 

本領を発揮したのはクローザーとして固定された翌2006年からだろう。右打者の背中の方から大きく曲がるカーブを武器に「八回に武田久、最終回にMICHEAL」という勝利の方程式が確立され、同年のファイターズの25年ぶりリーグ優勝、日本一、さらに続く2007年のリーグV2の立役者となったのは周知の通り。昨2008年もMICHEAL自体の成績ダウンというより、MICHEALにつなぐ展開に出来るケースが減ったというのが正確だろう。

 

ジャイアンツとしては昨年の終盤に垣間見られたクルーンの、時折の大乱調や、豊田が38歳になるということを考えると、多少の犠牲を払ってもMICHEAL獲得に走るのは得策だと敗戦処理。は考えていた。交換相手の二岡智宏もファイターズが求める右打ちのレギュラー級内野手であり、双方にメリットのあるトレードだと思っていた。それが…。

ジャイアンツ27試合中、豊田と山口が過半数の15試合に登板、越智が約半分の13試合に登板している明らかな登板過多の一因はM.中村の不調にもあるだろう。しかしクローザーのクルーンに復帰のメドが立ったようだから、この際、入れ替わりでファームで再調整するのも一考かもしれない。ファイターズ一年目のように。

注.実際にはクルーンを登録するには現在一軍にいる外国人選手を誰か一人登録抹消しなければならない。

また、球界版適応障害という点ではジャイアンツというチームに対してではなく、セットアッパーという職務に対して適応出来ないのかもしれない。通算100S以上挙げた投手で先発に復帰して成功した投手は何人かいるが、セットアッパーに転向して成功した者は豊田くらいしか見当たらないのである。そもそもクローザーにとってクローザーという職は最終到達点であることが多く、それを全う出来なくなった者は現役を引退するケースがほとんどだ。

「クローザーで実績があるのだから、セットアッパーもこなしてくれるだろう」

この考えはひょっとしたら安直なのかもしれない。クローザーとセットアッパー-どちらの職の方がどう、という比較論ではなく、全く別の似て非なる職能を要するのであろう。

僅少差で迎える最終回に備え、来る日も来る日も調整し、チームメートや大方のファンが「今日はもらった」と思って迎える最終回にマウンドに上がり、その期待に非情に高い確率で答えるというクローザーという職は誰にでも務まるものではない。ただセットアッパーという、時には必ずしもリードしている場面だけでなく、同点やビハインドの時でもスタンバイしなければならず、さらに展開によっては八回ではなく七回の途中から投げなければならないセットアッパーという職にはまた別の適性が求められるのではないか。豊田にも葛藤があったろう。「豊田に出来たのだから、M.中村にだって…」と求めるのはファンレベルはともかく、チームとしては安直に過ぎないか?

もう一つ、昨年までとの大きな違いといえば、組む相手が違うというのもある。トレードでチームが変わったのだからバッテリーを組む捕手が変わるのは当たり前のことなのだが、昨年までのクローザーとしての三年間、MICHEALがバッテリーを組む相手は通常のレギュラー捕手ではなく、抑え専用捕手の中嶋聡であることが大半だった。ファイターズが四球団目となるプロ20年以上のベテラン捕手ならではの操縦法があって初めてMICHEALがクローザーたり得るのかもしれない。

いずれにしても、このところ一時の絶好調に比べて明らかに調子の落ちているジャイアンツだが、長いペナントレース、M.中村の力が必要になる時期が必ず来る。本当なら先に豊田にリフレッシュ休暇を与えたいところだが、M.中村に一から出直しの意味でファームで再チャレンジを課すのも一考ではないか?ジャイアンツ打線の力を考えれば、若干のビハインドなど終盤のイニングで跳ね返すことは可能だ。だがその若干のビハインドの場面をM.中村の調整の場とし、その挙げ句に追加点を与えてしまうのは見過ごせない。今日のゲームにしても、M.中村の失点後、坂本勇人に2ランが出ているではないか。調整登板の場としてならファームであろう。

ファイターズファンとして、これまでMICHEALにどれだけ助けられたことか。ハラハラはさせるけれど、何とかリードを守りきり、右拳を突き出す豪快なガッツポーズをマウンドで見せるMICHEAL。ユニフォームが変わり、登録名を変えても敗戦処理。の感謝の気持ちは変わらない。そしてジャイアンツでも同じ思いを味わいたいものだ。

今ならまだ間に合う。M.中村はこのままでは終わらない。

 

 

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