ジャイアンツはファームもリリーフ陣が不安!?
25日付の当blog 越智大祐と山口鉄也はだいじょうぶか? で懸念したように、リーグ戦が再開してジャイアンツのリリーフ陣が非常に不安なので誰かいないのかとイースタンの試合を観に行ったのですが…
(写真:27日のイースタン、対ライオンズ戦にリリーフ登板してトホホな内容だったジャイアンツのリリーフ陣。全部誰が誰だかわかれば相当のファーム通<笑>?)
一軍の方は昨日からリーグ戦が再開したが、一軍から實松一成、大田泰示、工藤隆人の三選手がイースタンに出場した。イースタン・リーグの規定では一軍出場登録されている選手は一試合に三選手まで出場出来ることになっている。一軍は東京ドームでのナイトゲームだから途中までイースタンの試合に出て頃合いを見て東京ドームに向かう算段だろう。
大田「實松さん、ここからドームまでどのくらいかかるのですか?」
實松「京王よみうりランドから、次の駅の稲田堤で都営新宿線直通の本八幡行きに乗り換えて神保町まで行って都営三田線に乗り換えて次の水道橋で降りれば、だいたい一時間ちょっとかな」
大田「市ヶ谷で総武線に乗り換えた方が早くないすか?」
實松「知っているのなら聞くなよ!」
なんて会話がされたかは定かではないが、三選手ともスタメン出場。實松と工藤は七回表の守備に入る前に交代。七回裏の先頭打者になる大田は打席を終えて交代した。
さて、試合に入ろう。
ジャイアンツの先発は福田聡志。
開幕から先発ローテーションを勝ち取っていたが、日程が緩やかになる交流戦でリリーフ要員に回ったら結果が芳しくなく二軍落ちし、交流戦後の先発復帰に向けて調整している身だ。
一回、二回と走者を二人ずつ出すピリッとしない立ち上がりだったが、三回につかまった。
先頭の赤田将吾にライトオーバーの本塁打を浴びると、一死から昨年までジャイアンツにいた清水崇行に痛烈にライト線を破られ一死二塁。
清水はスタメン発表の時からジャイアンツファンからも大きな拍手を受けていた。相手チームの選手でもスタメン発表の時だけでなく、打席に入る時に拍手が起きるのがファームの試合ならではの、のどかさなのだが、当の清水も試合前にはスタンドのファンと話をするなど、のどかな雰囲気を漂わせていた。
しかし、この打席の二塁打はかつてジャイアンツの上位打線で猛威を振るっていた頃の打球の速さを彷彿とさせるものがあり、一塁側のジャイアンツファンから「久しぶりに清水らしい当たりを見たな」という声が挙がったほどだ。
福田は続くライオンズの四番、後藤武敏にも二遊間を破られ一死一、三塁とピンチを拡げ、これまた不調で二軍落ちしているヒラム・ボカチカにレフトオーバーの3ランを浴びてしまう。
結局福田は4イニングを投げて3失点。一軍は来週の火曜日から六連戦に入る。交流戦で先発していたセス・グライシンガー、ディッキー・ゴンザレス、内海哲也、東野峻だけではまかなえない。高橋尚成が加わるにしても、中四日登板を避けたければ先発投手をもう一人増やしたい。
26日付で金刃憲人が一軍入りしたが、深田拓也との入れ替わりなので山口鉄也ひとりしか頼りにならない左のリリーフ陣の補充と見るのが妥当だろう。最後のひとりは交流戦前まで先発ローテーションを守ってきた福田に託したいところだが、今日だけでなく、最近三試合の登板結果を見ると、
○福田聡志最近三試合登板結果
13日 対F 先発5回 自責6
20日 対F 先発7回2/3 自責2
27日 対L 先発4回 自責3
登板日が土曜日に固定されている当たりに首脳陣の期待がうかがえるが結果は…
他の投手を見ると、木佐貫洋が好結果を出している。
○木佐貫洋最近三試合登板結果
3日 対M 先発3回 自責2
17日 対SS 先発7回 自責0
24日 対モ 先発7回 自責0
三年前に鳴り物入りで入団して故障に泣いていた辻内崇伸も、徐々に結果を残している。
○辻内崇伸最近三試合登板結果
4日 対M 先発5回 自責2
14日 対F 先発6回 自責2
25日 対モ 先発8回 自責0
個人的には木佐貫が来週一軍でカープ戦に先発するのではと思っている。
ちなみに今一軍にいるウィルフィン・オビスポはリリーフというイメージが強いが一軍昇格直前の二度の登板はいずれも先発で今月1日のゴールデンイーグルス戦では5イニング投げて自責点1、10日のスワローズ戦では7イニングを自責点0に抑えていた。
0対4で迎えた五回表のライオンズの攻撃が始まるところで斎藤雅樹コーチがマウンドに出てきた。
二番手にはセットアッパーとして期待されてトレードで獲得したものの絶不調で二軍落ちしたMICHEALあらためM.中村が登板。
實松とバッテリーを組んだが、M.中村がファイターズ入りしたのが2005年。實松がファイターズからジャイアンツにトレードされたのが2006年のパ・リーグ開幕の約一週間前だったから、この二人のバッテリー実現は四年ぶりなのではないか?
M.中村は先頭の水田圭介にあわやセンター前という強いゴロの打球を打たれるが二塁を守る脇谷亮太のファインプレーに助けられた。これで波に乗ったか、後は清水、後藤と簡単に内野ゴロに打ち取って三者凡退。あまりに短かったのでもう一イニングくらい見たいなと思ったが、M.中村は1イニングでお役ご免だった。
こんなところで投げる投手では無い。実はジャイアンツ移籍後、敗戦処理。は初めて生で観たのだが、次は東京ドームで観たい。もう、よみうりランドで投げるところを観たくない。
ネバー・ランドだ!
六回と七回はアンダースローの会田有志(冒頭の写真:左上)が無失点に抑えた。イースタンでは登板が頻繁で、これが20試合目の登板になり、チーム最多登板だ。ただこの試合の前までの防御率が5.23。登板機会の割りに一軍昇格という声が挙がらない理由が分かるような気がする。今日も結果的に2イニングを無失点に抑えたが左打席に立った三人の打者にはすべて安打を打たれている。これでは首脳陣の評価も上がるまい。
一方、ライオンズ先発の長田秀一郎に抑えられてきたジャイアンツ打線が六回裏にようやく反撃。
一死から九番でスタメンに入っているルーキーの橋本到がレフトオーバーの二塁打。ライオンズの左翼手、後藤が目測を誤った感じもあったが記録は二塁打。この試合二打席連続の二塁打だ。ここで脇谷の当たりは投手正面のゴロ。なぜか橋本は飛び出してしまい、挟まれてしまう。橋本は前の打席で二塁打を放った直後も、脇谷の打席でリードが大きくて捕手からの牽制で刺された前科があり、二度目の走塁ミスかと思ったが挟殺プレーの際に三塁への送球がそれて橋本は幸運にもホームイン。しかもこの時、三塁側のファウルグラウンドに転がった送球をバックアップした投手の長田がホームに悪送球し、打者走者の脇谷まで生還。ジャイアンツは2対4と迫った。しかも悪いことに長田はこのプレーでどこかを負傷したらしく、治療でベンチに下がり、結局マウンドには戻ってこなかった。
ライオンズは急遽二番手に藤原良平を起用。ジャイアンツも工藤、中井大介と連打して一死一、三塁のチャンスを作った。特に中井の打席でのエンドランの打球が三遊間を破ると、レフト前の打球ながら一塁から一気に三塁を奪った工藤の走塁はさすが鎌ヶ谷仕込みの特筆ものだった。
長打が出れば同点という場面で四番の田中大二郎。その次には大田が控える。この試合最高のクライマックスを迎えるが藤原が踏ん張って遊ゴロ併殺打。反撃は2点止まりだった。
2対4で迎えた八回表。ジャイアンツは四番手のサウスポー歌藤達夫(冒頭の写真:右上)を起用。昨シーズン限りでファイターズから戦力外通告を受けて自由契約になったのをジャイアンツが獲得した。オープン戦の途中までは一軍で投げていたが、シーズンに入ってからはずっとファーム暮らしだ。
余談だがジャイアンツと言えばFA補強や、他球団と契約のこじれた大物外国人選手を獲得するイメージが強いが、近年他球団から戦力外通告を受けた選手を獲得するケースも目立っている。
2005年 西山秀二(前年にカープから戦力外通告)
2006年 大西崇之(前年にドラゴンズから戦力外通告)
2007年 大道典嘉(前年にホークスから戦力外通告)
2008年 藤田宗一(前年にマリーンズから戦力外通告)
2009年 歌藤達夫(前年にファイターズから戦力外通告)
D・ゴンザレス(前年にスワローズから戦力外通告)
西山と大西は一シーズンで引退してしまったがジャイアンツに残っている。それぞれ前所属球団でそれなりの実績を残している選手であったが、歌藤だけ若干見劣りがする。歌藤だけ一軍に上がれないのもそのせいか。
歌藤は会田と逆で、左打者は打ち取るが右打者に安打を浴びての二死一、二塁から右打者の岳野竜也に豪快にレフトオーバーのスリーランを浴びてしまう。2対7となり、絶望的な空気がジャイアンツファン主体の一塁側スタンドを覆った。
今日は各地で今年最高の気温を記録したというが、ジャイアンツ球場もそうだったのではないか。1,175人の観衆を集めたが、おそらくその半数以上はジャイアンツファン。このまま終わってはという感じのところで、ライオンズ三番手の谷中真二にジャイアンツ打線がつけいった。
先頭の橋本死球。脇谷の安打で無死一、三塁。工藤が東京ドームに向かったため途中出場の育成選手、山本和作の二塁ゴロが悪送球を招き1点を返してなお一、二塁。中井、田中と倒れ反撃もここまでかと思ったが、大田が東京ドームに向かったため途中出場の円谷英俊がライト前へ。この回からライトに入った斉藤彰吾が逸らす間に一塁走者の山本まで生還。5対7と迫った。
ここまで三打数無安打のエドガルド・アルフォンゾに代打、小田嶋正邦を送って勝負を賭けるがレフトフライ。ライオンズは敗戦処理。の集計では5失点中、4点までが投手の非自責点。守備がお粗末すぎる。
試合としても2点差で大事な最終回。ジャイアンツがマウンドに送ったのはイースタン公式戦初登板となる、高校卒ルーキー笠原将生(冒頭の写真:左下)を送った。お父さんがかつてオリオンズ、ホークスで投手を務めた投手ということでドラフトで話題になった投手だ。
ところが、初登板で緊張したのだろうか、先頭の九番打者、中田祥多に四球を与えると、赤田のバスターの打球がレフト前に転がって無死一、三塁とピンチ。ここで水田、清水と連続四球を与えてしまい押し出しで1点を献上。結局一死も奪えずにマウンドを降りるはめに。
六番手はこれまたイースタン公式戦初登板となる、高校卒ルーキーのサウスポー宮本武文(冒頭の写真:右下)。まだ3点差なので、何とか凌いで欲しいところだが、イースタン初登板の投手に無死満塁はきついかなという場面だったが斎藤、浅村栄斗と相手も同じ高校卒ルーキーだったのが幸いしたか二死までこぎつけた。しかし星秀和の打席で痛恨の暴投でもったいない1点を与えてしまう。
これで緊張の糸が切れたのか、星にセンターオーバーのとどめの二塁打を浴び、5対11となってしまった。
【27日・ジャイアンツ球場】
L 004 000 034 =11
G 000 002 030 =5
L)○長田、藤原、谷中、田中-中田
G)●福田、M.中村、会田、歌藤、笠原、宮本-實松、加藤
本塁打)赤田1号(福田・3回)、ボカチカ2号3ラン(福田・3回)、岳野2号3ラン(歌藤・8回)
最終回の笠原と宮本はともかく、会田、歌藤にはがっかりした。M.中村は無難に三人で抑えたが、一軍でセットアッパーを託すには今日の登板だけではまだ判断材料にならないだろう。このエントリーを書いている時点で今日の一軍のナイトゲームの状況を把握出来ていないが、今のジャイアンツのリリーフ陣はクローザーのマーク・クルーンを欠く状況で越智大祐と山口鉄也が本当に頑張っているが、この二人に豊田清を加えた三投手以外の投手が、まるで当てにならないのだ。即ち勝利の方程式用の投手とそれ以外に差がありすぎるのが実状だ。
劣勢の試合を凌ぎながら粘り、いずれ逆転するというパターンに持ち込む展開が出来ないのである。リリーフにこの三投手以外を注ぎ込むと、どんどん点差を広げられる可能性が大なのだ。せめて野間口貴彦と金刃には期待したいが、過去の例からすると、この二人も好調が長続きしないタイプだ。
ファームに救世主になり得る投手がいないかとジャイアンツ球場まで足を運んだが、残念ながら収穫はなかった。一試合観ただけで判断するのは早計だとわかっているが…。
大田も、3打数無安打。最後の七回裏の打席でのレフトフライはラインドライブがかかって打球に角度がつかなかったものの、長距離打者の卵らしい打球だったが…。
P.S.
今日のオマケ
九月完成に向けて着々と工事が進む、新室内練習場。完成すれば十二球団最大規模の室内練習場だそうだ。
同時にリニューアルが施されている、最寄り駅の京王よみうりランド駅前。「巨人への道」283段の階段に代わる新通路が出来るそうだ。
ついでにこちらもリニューアルして欲しい!
ジャイアンツ球場から京王よみうりランド駅までの無料シャトルバス乗り場を案内する鈴木尚広の立て看板。いまだに背番号が68のまま<苦笑>!!
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コメント
長緯様、コメントをありがとうございました。
> ファームの成績が悪いのは、1軍に好選手が昇格している証拠なのでそれで良いという論調も時折聞きますが、ジャイアンツのファームは1軍経験者が多いだけに、むしろ彼らが復調できないということで深刻なような感じですね。
開幕当初から、野手は入団三年目以内の若手、投手陣は一軍経験者の競争という感じでしたね。
敗戦処理。の印象ではこの試合のように投手が崩れて、打線が少々挽回しても追いつかないというパターンが多い様な…。
それと、例えばクルーンの代わりに上がったオビスポは昇格直前は先発に回っていました。何らかの意図があって先発の調整をしていたところに、外国人枠の関係もあるのでしょうが一軍でまたショートリリーフに回るというのも、何だかなぁ…という気がします。
* バーンサイドの名前を最近さっぱり聞きません。
> #最後の鈴木の写真には爆笑しました。
ファンをバカにしているのか!という感じですよね。
ジャイアンツ球場から這い上がった数少ない選手と言うことで鈴木を案内役にしているというのはわかりますけどね。
ちなみに京王よみうりランド駅前では「高橋由伸」がファンを出迎える形になっています。
以前なら、
「行っても由伸がいる訳じゃないのに!」
と、ツッコメたのですが、今は本当に本人がいるのでシャレになりません<苦笑>。
投稿: 敗戦処理。 | 2009年7月 1日 (水) 00時49分
公式HPを遥かに凌駕するイーズタン戦のレポート、素晴らしいです。
暑い中本当にお疲れさまでした。
ファームの成績が悪いのは、1軍に好選手が昇格している証拠なのでそれで良いという論調も時折聞きますが、ジャイアンツのファームは1軍経験者が多いだけに、むしろ彼らが復調できないということで深刻なような感じですね。
会田は一時1軍でも存在感を見せたのに、どうしてしまったのかという気がします。
歌藤は入団が決まった時には、セントラルには初所属ですし秘密兵器的な役割も期待したのですが・・・2軍でも出れば打たれている印象があり、残念です。
こういった苦労人の彼らが1軍で活躍する姿を見たいのですが。
#最後の鈴木の写真には爆笑しました。
投稿: 長緯 | 2009年6月28日 (日) 20時59分