誰か、止めて下さい
実はゴールデンウイーク最終日の5月6日を最後にファイターズのファームの試合を生で観ていなかったので、今日(28日)は悪天候を覚悟の上、横須賀スタジアムまで駆けつけたのですが。ひどいものでした。雨の中、無理矢理試合開始。そして、誰もが予想したとおりの結末でした。
(写真:四回裏の守備で一塁ベースカバーに入る多田野数人。くれぐれもケガには気をつけて…)
あと一週間我慢すれば、本拠地鎌ヶ谷でファイターズのファームの試合があるのだが、実は次の週末も個人的な事情で行けるかどうかわからない。そこで追浜まで飛んでゴールデンウイーク以来の生観戦をと意気込んだが、どうも今日は天気がやばいことが分かった。
それでも、試合開始までもてば何とかなるだろうと家を出たのだが甘かった。川崎での乗り換えで一度外に出たらポツポツ来たのである。これはやばそうだ。
それでも現地に向かってしまうのが敗戦処理。の悲しい性で、追浜に着いて雨が結構激しくなっても、球場までは行ってしまうのである。そして球場まで行くと、雨宿りするために当日券を買って中に入るのである。
「ダメだこりゃ」
スタンドで雨をよけられるのはネット裏最上段の屋根の下だけで、当然そこは埋まっている。スタンドに出ずに奥の通路で雨宿りしていると、先発バッテリー発表のアナウンスが!
「やる気だ!」
先発はファイターズが多田野数人で、シーレックスがライアン・グリンだ!これはもう、観るしかない!しかもグリンとバッテリーを組むのは元ファイターズの野口寿浩だ。
しかしいっこうに雨足は弱まらない。シーレックスナビゲーターのケチャップ、吉岡さちこ両氏が例によってグラウンドに出てきてしゃべりまくっているなか、無理矢理試合開始の方向へ。
(写真:シーレックス先発のグリン。「シーレックス」でなく「ベイスターズ」のユニフォーム姿で観たいが…)
しかし、一回表ファイターズの攻撃が無得点に終わると、早くも試合中断。中田翔の打席を見せてから中断とは気が利くなと一瞬思ったが、そもそも試合を開始すること自体が無謀。
しばし中断の後、一回裏から試合再開。実は一回表のファイターズの攻撃を三塁側スタンドの最上段の通路で立って観戦していたら、ケチャップ氏がやって来てシーレックスファンの常連客<?>と話しているのが聞こえてきた。ケチャップ氏によると、シーレックス、ファイターズとも今日は無理矢理にでも試合を消化したい事情があるらしい。
だいたい見えてきた。試合が成立する五回までは何が何でもやるのだろう。
グリンも多田野も走者を出しながら要所を押さえて得点を許さない。もっともグリンは2イニングで降板。三回表のシーレックスのマウンドには二番手の藤江均が上がった。
雨はいっこうに止むどころか弱まる気配がしない。どちらのファンからも「いい加減にやめろ!」、「早く五回までやって終わりにしろ!」などのヤジが飛んでいる。そしてファイターズ側の三塁側スタンドには鎌ヶ谷で有名なあのK老人の姿もあり、いつもの口調でヤジを飛ばしている。こうなると試合の展開とは別にK老人が心配になってくる<苦笑>。
そして四回裏。シーレックスは一死から桑原義行がライト前に運び、一死一塁で斉藤秀光。斉藤秀の打球は一塁ゴロ、中田が二塁に送球し、返す球を多田野が一塁ベースカバーに入って併殺を狙うが冒頭の写真の様に打者走者が一瞬早くセーフ。一塁ベース付近もぐちゃぐちゃなコンディションで、多田野がケガをするのではないかとヒヤヒヤしたが、問題なかったようだ。ちなみにこの回まで来ると、マウンドもかなりぬかるんでいる。
多田野はこんなコンディションでも懸命のプレーを続ける。プロだから当たり前だと言われればそれまでだが感心だ。多田野は前の回の三回裏にも先頭打者に安打を許すが続く下窪陽介の送りバントにダッシュ良く反応し、一塁走者を二塁で刺すことに成功した。
多田野はファイターズ入団前に大リーグのインディアンスや、マイナーリーグでのプレー経験がある。想像だがマイナーリーグでは相当にコンディションの悪い環境下でのプレーも経験したのではないか。だからこそ文句を言わずに投げるのだろう。
と、多田野に感心する一方で同じアメリカ野球出身なのにやたらにグラウンドのせいにしたがる選手もいた。
四回裏を終わって0対0。五回に入ると、双方のスタンドから「最終回…」と決めつけたヤジが飛び出す。
その五回表のファイターズの攻撃も簡単に二死となり、0対0で恨みっこ無しで終わるお約束なのかなと思ったところに一番の陽仲壽がセンター前に弾き返して出塁。続く二番の今浪隆博との間でエンドランが決まり、二死一、三塁と初めてチャンスらしいチャンスを迎えた。ここで三番の鵜久森淳志が放った一、二塁間のゴロに二塁手の北川隼行が飛びつくもそのグラブを弾く先制タイムリーとなった。
しかも北川のグラブを弾いた打球がライトの前に転々とする間に鵜久森は二塁へ。二塁打となった。
ここで四番の中田が放った痛烈な三塁ゴロを斉藤秀が後逸。タイムリーエラーとなって二者生還。ファイターズは3対0とした。
こうなるとファイターズファンは早く五回裏を終わらせることしか頭にない。前の打席ではバッターボックスがグチャグチャなのにイライラしたそぶりを見せていた次打者のヒメネスも、今度は文句ひとつ言わずに打席に入る<笑>。
しかし今度はシーレックスのベテラン捕手、野口が時間稼ぎ。目に雨のしずくが入ったかのように目をこすったり、ユニフォームの袖をこすったり、なかなかマスクをかぶってしゃがまない<苦笑>。
ヒメネスも初球からあっさりと打ち上げれば良いものを<苦笑>、珍しく粘る。すると、一塁走者の中田が突如二盗を敢行。しかしバッテリーがノーマークで楽々二盗成功!!
いつまでもだらだらと攻撃を続けず、早く五回裏の守りに入ろうという中田なりの配慮だったのではないか。中田も大人になったものだ…。
そして、そんな中田の配慮を無にしたシーレックスバッテリーはヒメネスにもレフト前に運ばれる。ここでも中田はアウトのタイミングでもホームに突っ込む。しかし今度は野口が中田を刺そうとして落球。ホームインしてしまった。
♪おとなの階段上る 君はまだシンデレラさ
幸せは誰かがきっと 運んでくれると信じてるね
(「想い出がいっぱい」作詞:阿木燿子)
昨年、鎌ヶ谷の室内練習場で練習後に後片付けをしていた中田翔がこのフレーズを口ずさんだところ、居合わせた兄貴分のダルビッシュ有が一喝したという。
「お前が『おとなの階段』上れよ!」
中田は、おとなの階段を一歩上ったのだろうか?
それとも、そのダルビッシュが26日の登板でノーヒットノーランに手の届くところまでいっていたのに八回裏の先頭打者、サブローに安打を打たれて大偉業を逃したのは味方の攻撃が長過ぎてリズムを狂わせてしまったからではないかと一部で見られたから、気転を利かせたのか…。
この回九人目の打者となった、昨日は4打数4安打と大爆発した大平成一が三打席連続の三振を喫してようやく長いファイターズの攻撃が終了。多田野はこの時、小走りにマウンドに向かった。
シーレックス打線は集中力を欠いたのか、五回裏は多田野の前に簡単に三人で退けられた。これで試合成立。
通常の天候でも五回終了となればハーフタイム。チアガールが登場し、「Y.M.C.A.」を踊った後、マウンドとベース付近にシートをかぶせて再び中断。シーレックスの選手交代も告げられた。もう試合が成立しているのだから、とっとと試合をコールドゲームにすれば良いものを、結構長く中断し、引っ張るだけ引っ張ってコールドゲームとなった。
【28日・横須賀スタジアム】
F 000 04 =4
SS 000 00 =0
(五回裏終了降雨コールド)
F)○多田野-今成
SS)グリン、●藤江、高宮-野口、武山
本塁打)両軍ともなし
※ 高宮と武山は五回裏終了後に交代が告げられたが、その後試合が再開していないので実際にはプレーしていない。
コールドゲームであれば「試合」として成立するが、五回裏を待たずにノーゲームとしてしまうと、入場料を払い戻さなければならない。基本的に当日券がほとんどだろうから、今日、観客が払った入場料をそのまま戻すだけだとしても、500人近くの観客すべてに払い戻しをするのは膨大な手間だ。とにもかくにも試合を成立させ、そこから先は無理をしないというのはよくある手だ。ファイターズは今日は一軍も雨に振り回された様だが、通常試合開始までは主催者に決定権があり、試合が始まってからは審判団に決定権が移るが、球団と審判団の間で「あうんの呼吸」のようなものが存在するのかもしれない。また、ケチャップ氏がスタンドの観客に話していた、両チームの試合を消化したい事情とは何だったのかも気になるところだ。
もちろん敗戦処理。はケチャップ氏とは面識がある訳でなく、その事情とは何か?など問う術もない。というか、球団職員という立場でありながら「讀賣は嫌いな球団」などと公言するスタンスに対しては否定的に見ている。さすがに今日のような天候だと、ビジターチームのファンにも敬意を表していたが…。
個人的には今日は多田野に敬意を持った。
調子は決して良くなかったと思う。ただ丁寧に、丁寧に投げている印象。バント処理やベースカバーでグラウンドコンディションの悪さをハンディにしない動きにも感銘した。昨日ジャイアンツ球場で観たM.中村ともどもやはり一軍で投げるべき投手だと痛感した。
それにしても、大人の事情だろうが何だろうが、ファンの熱心さにつけ込んで、ファン心理を弄ぶかのように試合が成立するところまで引っ張ってコールドゲームにするという行為において、「ファン」という存在は主催者からどこかに忘れ去られているのではないかと思ってしまう。五回終了後、実際にコールドゲームと宣告されるまでの時間は何だったのか?
五回終了=試合成立=コールドゲーム
この間にタイムラグが生じなければ、わざとらしいとでも思い、時間稼ぎでもしたのか?
ファームの試合だからって、軽く考えないで欲しい。一軍が鎌ヶ谷に近い千葉マリンに来ているのにわざわざ遠い追浜まで来るファンや、たとえ一軍が浜スタで戦っていようとシーレックス優先で観戦日程を組むような人達がファームを支えているのである。こういう人達を欺く行為があったとしたら、いつか倍返しされるであろう。
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コメント
にしたく様、コメントをありがとうございました。
> 僕は、プロ野球の試合はヤフードーム(福岡ドーム)でしか観たことがなく、屋外球場での野球観戦は、炎天下の中で母校の高校野球の地区大会一回戦をチラッと観に行った程度です(野球が弱いわが母校はもちろん初戦敗退)。
コールドのドキドキ感を生で体感してみたいですね。
そうか。そういう環境の方もいる訳ですね。
個人的には今年は広島に行った時のように、雨による試合開始遅れの影響で、帰りの新幹線に間に合うかどうかと言うドキドキ感の方がしびれましたね。
またこの試合では試合そのものの動向もさることながら、自分も含め、観客は風邪を引いたり、体調を崩しかねないのです。(それでも観戦はやめられないのですが<苦笑>)
> 雁の巣球場(ホークス二軍本拠地)に交流戦なんかで巨人が来るようなことがあれば、是非とも足を運んで悪天候を期待してみます(笑)
有りそうですよね。
たまには二軍戦も面白いと思いますよ。
5対11なんて試合にめぐり合わなければの話ですが<苦笑>。
投稿: 敗戦処理。 | 2009年7月 1日 (水) 01時04分
悪天候の中、観戦お疲れさまでした。
僕は、プロ野球の試合はヤフードーム(福岡ドーム)でしか観たことがなく、屋外球場での野球観戦は、炎天下の中で母校の高校野球の地区大会一回戦をチラッと観に行った程度です(野球が弱いわが母校はもちろん初戦敗退)。
コールドのドキドキ感を生で体感してみたいですね。
雁の巣球場(ホークス二軍本拠地)に交流戦なんかで巨人が来るようなことがあれば、是非とも足を運んで悪天候を期待してみます(笑)
最後の案内パネルですが、読売の資金力をすれば、数人分のパネルを作っておいて、一軍メンバーが入れ替わる度に立て直したりできそうですがね。
さすがに、背番号68の鈴木ってのは、ちょっと古すぎますよね(笑)
投稿: にしたく | 2009年6月29日 (月) 13時41分