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2009年8月 1日 (土)

勝利の方程式が崩れる時

01 今日(1日)のファイターズはホークス戦で1対0とリードしながら「勝利の方程式」の一角を担う建山義紀が松中信彦に逆転本塁打を浴びてしまって敗れたそうだが、上尾市民球場でライオンズと対戦したファームも継投がうまくいかず逆転負けを喫してしまった。

(写真:試合後に小林繁、島崎毅コーチを中心にミーティングを行うファイターズのファームの投手陣)

 

一軍の場合は、普通はリードしている展開での継投と、そうでないビハインドの展開での継投の顔ぶれが別になっており、中には兼用で便利屋的に使われてしまう投手もいるが一応の役割分担がなされているのがほとんどだ。ただしファームはそうとは限らない。チームによって異なるだろうが、リリーフ要員は特定の投手に登板が偏らないよう配慮されながら起用される。ファイターズなら金森敬之、ジャイアンツなら藤田宗一といったようにストッパーが(一軍に上がるまで)固定されている球団も少なくない。しかし、敗戦処理。が今日観戦したライオンズ対ファイターズ戦では継投の難しさを痛感した。出てくる投手の出来不出来とは別に、先発投手が早く崩れた場合のやりくりだ。

ファイターズのファームはこの週末、金曜から日曜までライオンズと三連戦。昨日の初戦は西武第二球場で行われる予定だったが雨天中止となり、今日の上尾市民球場と明日の越谷市民球場との二連戦となった。イースタン・リーグに所属する球団数が奇数のため常に試合を組めないチームが出てしまうのだが、今週前半はファイターズだった。それでなくてもフレッシュオールスター、オールスター期間に実戦が無く、まる一週間公式戦が無い状態で(30日の対ジャイアンツ戦で再開したものの)昨日の中止は痛手だったろう。もちろん奇数という実態にただ手をこまねいているのではなく、ファイターズは26日の日曜日には社会人野球の新日本石油ENEOSと交流試合を、28日にはフューチャーズと試合を組んだ。そして木曜日の30日にジャイアンツ戦で約一週間ぶりの公式戦再開となったのだった。

試合はファイターズが須永英輝、ライオンズは許銘傑の先発で行われた。

試合はすぐに動いた。一回表、ファイターズのトップバッター、陽仲壽が許の初球をジャストミート。打球はあっという間にセンターバックスクリーン横に消えていった。敗戦処理。も油断していて撮影の準備が整う前の一発だった<苦笑>

01_2  

ファイターズはこの回、さらに佐藤吉宏のタイムリーで2点目を奪った。

二回表、二死一、二塁から中島卓也の一、二塁間のゴロに追いついた赤田将吾が一塁に悪送球。いわゆるワンヒットワンエラーとなり3点目。赤田と言えば入団当初は内野手(二塁手)だったがその後外野に転向して一軍でもポジションを奪った選手だが内野への再転向を試みているのか、この試合は「三番・二塁」で出場したがここでは足を引っ張ってしまった。ライオンズでは一回表にも、今浪隆博の一塁ゴロを一塁手の岳野竜也が緩慢な守備で内野安打にしており内野陣の締まりのなさが目立っていた。

三回表は中田翔今成亮太の二塁打でまた1点。これで4対0となり、ファイターズの一方的なリードとなった。許はこのイニングの途中で降板。

と・こ・ろ・が。

ファイターズ先発の須永は好調だった。一回、二回と打者7人に対し、被安打1本で無失点に切り抜けたが何故かその2イニングで降板。三回裏のマウンドに立ったのは吉川光夫だった。

須永に何があったのかはわからない。

ただ憶測だが、故障などのアクシデントでは無いと思う。根拠は二番手で登板した吉川もファームでは先発型で、「緊急登板」で出てくるタイプではない。昨日の試合が中止になったため、一試合に二人の先発投手を注ぎ込んだのではないかと思うからだ。実際冒頭の画像の試合後のミーティングにも須永は普通に参加しているから故障ではないだろう。ただそれにしても2イニングで降板は早すぎる気がする。

そしてファイターズはこの吉川が大誤算だった。

先頭打者への四球を皮切りに連打で無死満塁に。一死後に赤田に押し出しの四球、四番のヒラム・ボカチカにセンター前に弾き返され4対2と迫られると1イニング保たずに降板。坂元弥太郎が三番手で登板した。坂元も代わりっぱなに高山久に2点タイムリーを喫し、あっという間に4点のリードを吐き出し4対4の同点にされてしまった。しかし坂元はこの後も続いたピンチを切り抜け、逆転を許さなかった。

五回表、ライオンズが四番手の長田秀一郎を投入すると先頭の金子洋平が打った瞬間にわかる勝ち越しのソロ本塁打。一昨日の対ジャイアンツ戦でようやく今季第1号を放ったイースタン・リーグの2007年、2008年連続のホームラン・キングが二試合連発だ。

五回裏、続投する坂元が乱れる。二つの暴投で同点にされ、しかも塁上に走者がいなくなったにもかかわらず大島裕行、三浦貴、野田浩輔の三連打で5対6と勝ち越されてしまった。

ライオンズの小刻みな継投の前に残塁の山を築いていたファイターズ打線だったが、七回表に金子洋がライオンズ五番手の松永浩典から二打席連続の本塁打を放ち6対6の同点に。金子洋はイースタン・リーグ前人未踏の三年連続本塁打王に向けてこれでトップの中田に19本差と迫った。

この後、続く大平成一が左対左ながら綺麗に一、二塁間を破り、バントで送って一死二塁と一打勝ち越しのチャンスを作るが陽、中島が連続三振で同点止まりだった。

八回表、ライオンズは六番手に土肥義弘を投入。

01_3 かつてタフィ・ローズなど左の外国人キラーとして名をはせたものの本人の先発願望の強さが首脳陣批判ともとられベイスターズにトレード。ベイスターズでは念願叶って先発ローテーション入りを果たし「巨人キラー」として頭角を現す。しかしその後「巨人にだけ強い」投手ということが露呈し、次第に存在感が薄くなり、古巣に戻ってきた。

その土肥からファイターズは先頭の今浪が一、二塁間を破る。かつての「左殺し」の面影も薄くなり、ちょっとした感慨にふけっていたら中田が二塁ゴロ併殺打にきってとられた。中田の後に佐藤、今成と左打者が二人続くので土肥を代えづらい場面で中田にとっては大チャンスだと思っていたがベテランに軽く翻弄された感じだ。

 

「侮れないな…」と思ったら佐藤にまた一、二塁間を破られ、今成には四球。二打席連続本塁打の右の大砲・金子洋を迎えたところでライオンズはこれまた出戻りの谷中真二にスイッチ。金子洋とは勝負を避けた感じで四球で満塁となったが大平が打ち上げて遊飛で三者残塁。ファイターズは勝ち越しならず6対6のまま。

今日のファイターズの拙攻はこの回の中田の併殺打と大平の二死満塁からの力ないショートフライに尽きる感じだった。

既に三時間を超えており、これで延長戦になったらどうなるんだ!という雰囲気の八回裏。ファイターズ四番手の谷元圭介がつかまった。

先頭の斉藤彰吾が四球を選ぶと、続く松坂健太のライトフェンス際のファウルフライで判断良くタッチアップして二塁に進み、続く浅村栄斗のセンター前安打で勝ち越しのホームを踏んだ。7対6。ライオンズ、この試合二度目の勝ち越しだ。

九回表、ファイターズファンからの「おいおい、それはないだろう!」という罵声の中、八番手の岡本慎也が登板。ライオンズの八回裏と同じ九番打者からの打順であったが三者凡退に終わった。先頭の高口隆行はこの日のファイターズスタメン野手の中でただ一人無安打であったが代打を送るでも無し。八回までファイターズは毎回走者を出し、毎回走者を得点圏に進め(五回表、先頭金子洋に本塁打の後、三人凡退の回を含む)ていたが、九回表だけは三人であっさりと攻撃を終えた。一軍での不振で二軍落ちした岡本慎だが、その名前に名前負けしたのか…。個人的には高口に代打を送らなかった(送れなかった?)時点で褪めてしまったが…。

【1日・上尾市民球場】

F 211 010 100 =6

L 004 020 01× =7

F)須永、吉川、坂元、●谷元-今成

L)許、上原、宮田、長田、松永、土肥、○谷中、S岡本慎-野田

本塁打)陽12(許・1回)=初回先頭打者初球、金子洋2号(長田・5回)、3号(松永・7回)

敗戦処理。の仮説が合っていて、最初から須永と吉川を投入する予定だったとしよう。ファイターズベンチはこの二人で何イニングを見込んでいたのだろうか?その後に登板した坂元と谷元はともに3イニング目に力尽きた感じだった。登板間隔という点では坂元も谷元も先月20日の対シーレックス戦以来で中11日と空いてはいるが、試合が続く期間は1イニングから2イニングの間を投げるべく調整を続けている投手だ。須永と吉川が予定より早くマウンドから去った分をこの二人のロングリリーフでまかなおうとしたのが失敗した形となった。ライオンズも許の3回KOは誤算だったろうが多くの投手を注ぎ込むことでカバー出来た。

これはあくまで結果であって、先発投手が思わぬ早い回で降板した試合でのフォロー方法としてライオンズの方法論が正しいことを証明した訳ではない。投手を多く注ぎ込めば注ぎ込むほど、その中に不調の投手が含まれる確率が高くなるからだ。逆にファイターズのようにロングリリーフに頼ろうとすると替え時を誤りがちである。どちらにも一長一短はある。

これまた推測だが、ファイターズは七回表に同点とした後に勝ち越せなかったため、延長戦のことも視野に入れて谷元に3イニング目も行かせたのであろう。冒頭の画像のミーティングの様子から判断するに、榊原諒、山本一徳、金森敬之が残っていたのだろうが八回までは谷元でと判断したのだろう。

一方のライオンズも八回裏に勝ち越して九回表に岡本慎を投入するというのは理想的な展開だったろうが、逆に同点のまま推移していたら他にどんな投手が待機していたのか?

繰り返しになるが、この試合を例にとってもライオンズ式が正しいのか、ファイターズ式が正しいのかは結論づけ出来ないと思う。正しいとか正しくないではなく、勝ったか負けたかなだけだと思う。そう考えると、「勝利の方程式」なるフレーズに重みが無く思えてくる。

 

「勝利の方程式」というフレーズはおそらくかつてのジャイアンツの長嶋茂雄元監督の造語だろうが、当時ライオンズの監督を退任した森祇晶元監督が「『勝利の方程式』なんて存在しない」と長嶋監督独特の造語の世界観に対して真面目に否定していたのを思い出した。

それにしても今年の敗戦処理。の生観戦には「勝利の方程式」の思惑通りに進まない試合が多い<苦笑>

最後になるが、敗戦処理。は今日初めて上尾市民球場に足を運んだ。敗戦処理。にとってプロ野球の試合を生観戦した51個目の球場となる。明日2日には恒例の「敗戦処理。が生観戦した野球場」で取り上げようと思っている。

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コメント

えふひとすじ様、コメントをありがとうございました。

> こんにちは、ファイターズのファーム投手陣はピリッとしませんね。とくに中継ぎ、押さえが。
坂元、榊原、谷元、金森、山本・・・。とくに山本は出れば打たれる、最悪な状態。

まさしく。

特に江尻と宮本が上に行ってから締まらなくなりましたね。

谷元と榊原あたりは何か一つきっかけをつかめば変わるように思うのですが。

> 須永は、スウィーニーの代わりとして西武戦に先発準備だったんではと思っているんですが。

なるほど。そう考えれば辻褄が合いますね。昨日投げて中四日でライオンズ三連戦の最後。

ただ、ライオンズ戦に左の先発投手って相性が良くないのですよね…。

とにかく降板の理由が故障でないことを祈ります。

投稿: 敗戦処理。 | 2009年8月 2日 (日) 19時11分

こんにちは、ファイターズのファーム投手陣はピリッとしませんね。とくに中継ぎ、押さえが。
坂元、榊原、谷元、金森、山本・・・。とくに山本は出れば打たれる、最悪な状態。
須永は、スウィーニーの代わりとして西武戦に先発準備だったんではと思っているんですが。

投稿: えふひとすじ | 2009年8月 2日 (日) 17時20分

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