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2009年11月10日 (火)

ジャイアンツの尾花高夫投手総合コーチがベイスターズ監督就任へ

Dsc_00001 日本シリーズの前からストーブリーグ情報として一部マスコミを賑わしていたが、ジャイアンツの尾花高夫投手総合コーチのベイスターズ監督就任が決定的になった。 尾花コーチはジャイアンツと複数年契約を結んでおり、来季までの契約であったがベイスターズ側が水面下で打診。尾花コーチがそのことをジャイアンツの球団幹部や原辰徳監督らに話さなかったことから一時は日本シリーズに尾花コーチをベンチ入りさせないなどというきな臭い話まで出かかった。 ベイスターズはジャイアンツの日本シリーズ終了を待って若林貴世志オーナーがジャイアンツの滝鼻卓雄オーナーに仁義を切り、正式交渉の運びとなった。

 

(写真:日本シリーズ第六戦、マウンドに上がる守護神・マーク・クルーンを迎える尾花高夫投手総合コーチ)

今年亡くなられた作家の海老沢泰久さんはかつてこんなことを書いていた。

「かつて他チームはジャイアンツがやっている最新の野球をとりいれるために争ってジャイアンツを引退した選手をコーチや監督に雇ったものだが、いまはどのチームも雇わない。すくなくとも、九連覇のあと、昭和五十年(1975)以降にジャイアンツに入団した選手が引退して他チームのコーチに雇われたという話はまったくといっていいほどきかない。これはジャイアンツ以外のチームにジャイアンツを引退した選手をコーチに雇っても何の役にも立たないといわれているのと同じことで、ジャイアンツのやっている野球がまったくとるにたりないものになってしまっていることを示すもっともはっきりした事例だ。」

これは雑誌Title20007月号(文藝春秋刊)に書かれた「ジャイアンツが抱える長嶋茂雄という矛盾」の中の一節で、著書「巨人がプロ野球をダメにした」(講談社+α文庫)にも収録されている。

たしかに、V9戦士以降の入団で、特にジャイアンツで現役を終えた選手に限定すると、ドラゴンズでコーチを務めた二宮至、タイガースでコーチを務め、来シーズンはマリーンズでコーチに就任する西本聖、ゴールデンイーグルスのヘッドコーチを一シーズン務めた松本匡史、生え抜きではないが加藤初が引退後にライオンズのコーチを務めたケースくらいしか思い浮かばない。

尾花コーチは選手としてはジャイアンツでプレーしていないが、投手コーチとしてはマリーンズ、古巣スワローズ、ホークスで手腕を発揮した後、2006年からジャイアンツで投手総合コーチを務めていた。奇しくも原監督の復帰と同時の就任だった。2007年からのジャイアンツV3に不可欠な原監督の片腕に二年連続最下位、四年連続Bクラスのベイスターズが白羽の矢を立てたということのようだ。

引き抜きにいたる経緯を別にすれば、このこと自体はジャイアンツにとって名誉なことと言えなくもないのではないか?

ちなみに尾花コーチを引き抜かれたジャイアンツは一軍は留任する香田勲男コーチと、斎藤雅樹コーチを二軍から昇格させて二人体制を維持し、ファームは小谷正勝コーチと、トレーニングコーチから配置転換となる木村龍治コーチの二人体制で臨む予定だそうだ。現在のジャイアンツのコーチング・スタッフは2002年に原監督が最初に就任した時のスタッフが2003年シーズン終了後に原監督の退任とともに内閣総辞職したのが2006年に復帰した際に返り咲いたのに加え、尾花コーチや伊原春樹ヘッドコーチというスペシャリストを招聘した形になっている。原監督を中心に一枚岩と見られていたが、今回の尾花コーチの騒動ではかなり不穏な空気が球団内に漂ったという。

しかしそもそも尾花コーチはジャイアンツに来る前に1999年から2005年まで所属していたホークスを退団する際に「単身赴任の生活が長くなって疲れた」と、王貞治監督らホークス首脳の慰留を断って退団。すぐにジャイアンツのラブコールに乗った形だった。

ちなみに尾花コーチがホークスのコーチに就任した1999年にはジャイアンツは新しい投手コーチとして当時評論家だった山田久志を招聘しようと目論んだが本人に断られた。その後ドラゴンズを「体調に自信が持てなくなった」として退団した宮田征典コーチを獲得した。宮田コーチを奪われたと感じたドラゴンズは当時の星野仙一監督自ら山田久志に就任を直談判、見事就任にこぎ着け、ジャイアンツの鼻を明かすことに成功し、その年のリーグ優勝を果たすとともに、長く安定した投手王国を築いた。

今回の尾花コーチの件でジャイアンツとベイスターズの間に確執が起きるとは思えないが、日刊スポーツの報道によると、既に日本シリーズ用に投手陣のクセの整備をする打ち合わせの席には尾花コーチ抜きで行われたというし、日本シリーズでは投手交代の際に尾花コーチでなく原監督がマウンドまで行くケースが敗戦処理。が確認しただけで二回もあった。

Dsc_00001_2 (写真:日本シリーズ第六戦で初回からの緊急登板の内海哲也から豊田清に継投する際に自らマウンドに上った原監督)

ジャイアンツは今年の日本一達成が七年ぶりだがその間の低迷を敗戦処理。は何度か「迷走」と表現した。この間にジャイアンツは栄養費問題でのフロント刷新などもあったが、尾花コーチや伊原ヘッドコーチのように他球団で著しい実績を挙げたコーチを招き入れたほか、外国人選手のスカウティングに問題ありとなるとスワローズで幾多の優良外国人助っ人を探し出してきたスカウトを引き抜いたり、他球団のデータ解析の達人を招き入れたりした。あらゆる部門でスペシャリストを集めることでチーム力の最強化を図った。堀内恒夫前監督が解任されそうだという時には後任の候補者にライバル球団の星野仙一シニアディレクターやニューヨーク・ヤンキースのジョー・トーリ監督の名前まで報じられていた。これらの動きは海老沢さんが指摘するようにかつての巨人軍では考えられない動きだ。古いジャイアンツファンには嘆かわしい情景かもしれない。しかしそのスペシャリスト集団がセ・リーグで三連覇を果たし、今年は念願の日本一も奪回した。

 

そして原監督の片腕が引き抜きに会うという事態まで起きた。かつて引き抜いた人物を引き抜かれたのは皮肉に映るが、ある意味因果応報とも言えなくもない。しかし、見方を変えればこれこそがジャイアンツのジャイアンツらしさを取り戻す第一歩なのかもしれないとも言えよう。そう感じているのは敗戦処理。だけだろうか。

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