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2010年1月24日 (日)

少年法第五章第六十一条

Cdsc__2 少年法第五章第六十一条

家庭裁判所の審判に付された少年または少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

 

(写真:入団前に未成年飲酒騒動を起こした大嶺翔太の兄でマリーンズの先輩になる大嶺祐太 2007年7月撮影)

少年法のこの条文により、未成年者が犯罪を犯した場合には報道で本人を特定できないように配慮している。しかし著名人である未成年者が犯罪を犯した場合、その報道は得てして容易に本人を特定させてしまいがちである。

マリーンズから昨秋のドラフト会議で指名された高校生の飲酒事件もそうだ。

第一報を伝えた夕刊紙では本人の名前を挙げないものの、球団に兄がいることなど、見る人が見れば本人を特定できる報じ方をしていた。その後球団が三位指名の大嶺翔太であることを明かしたため、各メディアは免罪符が出来たとばかりに実名報道に走ったようだ。

法の精神からはたとえ著名人であっても実名報道は慎まれなければならないだろう。しかし今回の大嶺のようにそれが理由で入団契約も保留され、新入団発表にただ一人姿がなければ、遅かれ早かれ特定はされる。非常に難しいケースだろう。

 

よく比較されるダルビッシュ有の件は高校時代の喫煙を写真週刊誌が報じたときには完全に匿名にされていた。敗戦処理。の記憶では記事で「高校野球ファンなら誰でも知っている選手」といったような記載がされていた。ただし高野連からは厳重注意処分を受けた。プロ入団一年目のキャンプでの喫煙発覚には球団が両親と相談の上、公表に踏み切った。まだ卒業前だったため在籍高校からも停学扱いになり、クラスメートらと同時に卒業式を迎えることが出来なかった。

 

ダルビッシュと今回の大嶺翔の決定的な違いは発覚時の身分。大嶺翔の場合はドラフトで指名され、仮契約まで結んでいたと言うが、まだ高校に所属する身だ。ダルビッシュも厳密には高校在学中だが既にキャンプで就職予定先での行動であり、学校の監督下にあるとは言い難い状況だった。マリーンズ側も親や学校と協議の上で実名公表に踏み切ったのだろうが、高校側が処分を下している以上、球団は入団前の選手に具体的、物理的な制裁を課すのも変な話に思える(仮契約時より年俸を50万円カットされた)。とはいえマスメディアも大嶺翔を特定させないためにマリーンズの新入団選手発表の報道を控える訳にもいくまい。言葉は悪いが、これほど本音と建て前に苦慮するケースも珍しいのではないか。

 

せめてもの救いはこの不祥事が未成年飲酒という、本人以外に被害者が存在しない事案だったということだ。これが被害者が発生する事件だったら報道を控えるのか、生徒として、そしてプロ野球選手としてペナルティを受けるのかと言う問題がある。もちろんそのような事態を防ぐべく、学校、親、球団それぞれの指導体制を強化するのが肝要なのは言うまでもないが、もしもの場合、どうすべきなのか?

 

少年法自体、何かと旧態依然として批判の対象になりがちなのも承知だが、インターネットがこれだけ普及した時代に報道メディアだけが実名を伏せても効果があるのかという疑問も含め、大嶺問題には発覚時点から注目していた。どうやら正式に入団も決まったようなので感じたことをそのままに書いてみた。

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