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2010年2月20日 (土)

【漫画あぶさん】景浦景虎「今年は完投で2時間の試合が目標だ」-で思ったこと。

Dsc 現在発売中のビッグコミックオリジナル3月5日号(小学館)の「あぶさん」(水島新司作)第882「オレは景浦安武だ!!の中で主人公の景浦安武の息子でホークスの投手である景浦景虎が春季キャンプの投球練習中に「今年は完投で2時間の試合が目標だ」と語るシーンが出てくる。

そういえば昨年の今頃は投手の投球間隔の制限時間の話題で持ちきりだったが…。

(写真:主人公・景浦安武が現役を引退しても続いている「あぶさん」連載中のビッグコミックオリジナル3月5日号)

作品に関して誤解の無いように初めに断っておくが、本作品「オレは景浦安武だ!!」は景虎の試合時間短縮がテーマではないのでこれから読む方はご注意を。

作品の中で景虎は投球練習でバッテリーを組む田上秀則に上記の台詞を語る。そしてキャンプ中の紅白戦で早速実践するのだ。捕手に返球したらすぐにサインを出させ、自分もすぐに投球モーションに入る。漫画の中の世界だから可能なのだろうが、漫画の中の世界でも、紅白戦で相手の打者(もちろんホークスのチームメート)は打席でタイムをかけて景虎のペースを乱そうとしている。

おそらく、現実のプロ野球でこういう発想の投手が現れても、同じようにして相手のチームはペースを乱そうとするだろう。試合時間短縮を実践しようとする投手が現れても、相手チームはそれに合わせた上で攻略法を考えるのではなく、まずはその投手のペースにはまらないように攪乱するという対策に走るだろう。

そういえば昨年の今頃は15秒ルール」の話題で躍起だった。走者なしの時、投手は捕手から返球を受けたら15秒以内に投球動作に入らないとワンボールを加えられるというものだった。春季キャンプで紅白戦や練習試合が始まり出すと審判団が実践し初め、何をとち狂ったか、ゴールデンイーグルスの田中将大などは球審がホームベース上の埃を掃いているのを待っていたら秒数にカウントされ、「ボール」と宣告される珍プレーもあった(計測は二塁塁審が担当)。

記憶に誤りがなければ、公式戦で実際に適用されたのはジャイアンツのM.中村だけだったから、皆、何とか対応したのか、あるいは最初のうちしか厳密に取らなかったのだろうが、要はそこまで徹底しないと試合時間の短縮は実現しないとの考えなのだろう。

最近では投球間隔の短い投手といえば、ジャイアンツ時代の上原浩治が思い浮かぶ。投球間隔が短い上にコントロールが良いから無駄球が少なく、試合時間も短いというメリットがあった。2006年に行われたWBCの準決勝、対韓国戦では球数制限がありながら、上原は少ない投球数で韓国打線をきりきり舞いさせていったのは上原の真骨頂だったろう。

ジャイアンツのエースでいえば、江川卓も投球間隔が短く、試合時間も短かった。

江川の場合はそもそも球種がストレートとカーブしかなかったから、サインの交換も他の投手より短かった。コントロールも良かったが、絶妙のコントロールというより、球威が並外れていたからストライクゾーンのぎりぎりを突く必要もなく、打者が手が出ずに見逃したぎりぎりのコースの投球を「ボール」と判定されることもない。後年は「百球肩」などと揶揄されたが全盛期には少ない投球数で相手打線を抑え込んだ。リリーフ投手も不要で投手交代に要する時間も不要。江川先発で31とか、20あたりのスコアで勝つ試合は二時間少々で試合終了となり、20:54までの放送時間を思いっきり余らせることもしばしばだった。当時はジャイアンツ戦のテレビ視聴率が20%台後半もざらで、裏番組泣かせであったが、裏番組となる各局は江川先発と聞くと試合が早く終わることを期待していたという。

漫画の中の景虎はまさに「ちぎっては投げ」だ。上原も江川もこんなに早くはなかった。ではそこまで投球間隔が短い投手が現実にいたのかというと、敗戦処理。が子供の頃にはいた。

ドラゴンズの背番号21、サウスポーの松本幸行。

「まつもと ゆきつら」と読む。星野仙一がエースだった頃、左のエース、あるいはナンバー2の位置づけだった投手でドラゴンズがジャイアンツのV10を止めてリーグ優勝した1974年には20勝を挙げ大きく貢献。最多勝も獲得した投手だった。               

 

 

この松本という投手がとにかく投球間隔が短かった。言葉で表現するのは難しいが、主にバッテリーを組んでいた木俣達彦からの返球を受けると、すぐに投球モーションに入っていたような感じだった。捕手の木俣は返球するとすぐにサインを出していたそうで、松本は返球を受けている間にサインを確認していたという。そりゃぁ短いわけだ。また当時、同じセ・リーグのスワローズにやはり投球間隔が短い安田猛というサウスポーがいた。-こちらは漫画「がんばれ!!タブチくん!!」(いしいひさいち作)にも出ていた<!?>ので若いファンにも知名度があるかもしれない。-松本と安田が投げ合って1対0とか21で試合が終わったら1時間台の試合になるだろうなどと当時、敗戦処理。の周りでは野球好きの少年達が噂をしていた。実際にそういう試合展開があったかは知らないが…。

今ならさしずめダルビッシュ有あたりが「21世紀の松本幸行」になれないものだろうか。春季キャンプを報じるニュースを読むと、このところ昨年までのコンビの鶴岡一成ではなく、同じ年齢で球団期待の二年目、大野奨太とバッテリーを組んで練習をしており、18日には韓国のSKワイバーンズとの練習試合でもバッテリーを組んだが、息のあった鶴岡とのコンビなら1対020で勝って1時間台の試合を見せて欲しい。ダルビッシュ自身、2007年9月19日の対ゴールデンイーグルス戦(東京ドーム)で勝利投手になった試合後のヒーローインタビューで「僕としては2点あれば充分」と言い切ったほどだし。

試合時間短縮はNPBの大きな課題だが、実際問題、各球団が最優先で取り組んでいるとは到底思えない。さすがに遅延行為は少なくなってきたが優先順位としてはまだまだだろう。「21世紀の松本幸行」を目指す投手が現実に出てきても投手コーチあたりが「気持ちはわかるが、まず確実に相手を討ち取れる方法を考えろ。投球間隔を短くしても走者を出してばかりじゃ試合時間はかえって長くなる」と諭すのは目に見えている。だからこそある程度放任主義で自己流が球団に正式に認められているダルビッシュに期待したくなるのだが…。

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