石渡茂、森脇浩司の二人がホークスに復職
昨年11月、時季外れなタイミングで突然解任されて波紋を起こしたホークスの石渡茂、森脇浩司両氏のホークス復帰が先月下旬から相次いで決まった。ともに編成アドバイザーの顧問契約という形だ。非道義的な対応だった球団のせめてもの配慮といったところか。
◆顧問契約 ソフトバンクは、石渡茂前チーム統括付シニアディレクター(61)と編成アドバイザーの顧問契約提携を結ぶことを発表した。
(2010年1月27日付 日刊スポーツ)
ソフト顧問で森脇氏復帰
ソフトバンクは8日、前1軍ヘッドコーチ兼内野守備・走塁コーチの森脇浩司氏(49)と、編成アドバイザーとして顧問契約を結んだと発表した。森脇氏は昨年11月25日、大石ヘッドコーチ就任の際、電撃的に退団を発表していた。王球団会長は森脇氏の復帰について「ユニホームは無理だけど、長年の視点がある。うちだけでなく、いろんなチームも知っているし、また一から(人材を探す)というのも難しい」と説明した。
(2010年2月9日付 日刊スポーツ)
11月の下旬というタイミングでの解雇は既に各球団とも翌年に向けてのコーチ、スタッフの編成が済んでいる時季故に就職活動がままならないという問題がある。王貞治球団会長も当時、「こういうことは今後あってはならない」と嘆いていた。相次ぐ信じがたいニュースに接した時にはダイエー体制にタイムスリップしたのかと一瞬思ったほどだ。
ところでこの二人、王会長とは浅からぬ因縁がある。
石渡はそもそも王会長の早稲田実業の後輩だが王会長がジャイアンツで助監督を務めていた時期にトレードで旧バファローズからジャイアンツにやってきた。遊撃手として守備範囲が広く、網にかかった打球を逃さないことから蟻地獄と評された旧バファローズ時代から比べるとやや翳りがあったが、長嶋茂雄監督時代からの正遊撃手だった河埜和正に衰えが見られ、若手はまだどんぐりの背比べだった時期に貴重な戦力として貢献した。ジャイアンツで現役を引退した後は古巣の旧バファローズのスカウトに就任。旧バファローズが吸収合併される直前には二軍監督を務めていたが、合併球団には残れず、ホークスに王監督付という立場で拾われ、二軍監督も務めた後、フロント入りしていた。
森脇は言わずとしれた、2006年の王監督の病気療養離脱の際の監督代行。監督の座を退いても球団に会長職で残った王が石渡、森脇を不遇に扱うとは考えにくい。旧ダイエー時代ならいざ知らず、考えられない人事だ。特に森脇の後任にはバファローズの監督を解任された大石大二郎が就任したことで余計に謎が残った。
今回のこの二人の編成アドバイザーの顧問契約というのはいかにも一時的な救済措置という感じがする。失礼ながらいわゆる閑職かもしれない。そして今シーズン終了後、今度は真っ当な時期に解雇するかもしれない。
選手会の要望により、選手に戦力外通告する時期に関してのルール化は定められたようだが、コーチやフロント、職員には適用されない。コーチや職員は労働法上の使用者には当たらない。むしろ労働者という点では選手達より立場は弱いだろう。一般論だがリストラは弱いところほどターゲットにされ易い。それは仕方がないことなのかもしれないが、せめて(同じ業界内で)就職活動がしやすいタイミングで行ってもらえないものだろうか。今回は王会長の鶴の一声があって救済措置が取られた感じが無きにしもあらずだが、他球団ではどうなのだろうか?
例えばドラフト時の「約束」などで選手としての引退後も適性云々は別に球団フロントに残れる選手がいる。そういう人にポストを与えれば誰かがあおりを食う。親会社に戻れる人はまだましな方だろう。
マスメディアには、不当解雇と大々的に取り上げた以上は復職決定ももう少し目立つように報じてもらいたいものだ。そして再発防止を球団に質すくらいのジャーナリズム魂を見せて欲しいものだ。
どこを見ても不況な世の中。一般の企業で正社員を解雇しづらいからまず派遣社員を整理していくという発想があるように、プロ野球界では選手を解雇しづらければ球団職員をまず減らそうという発想が起きかねない。そしてそれはある程度避けられないものだろう。重複するが、せめて再就職にトライする機会くらいは保証して欲しいものだ。
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