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2010年2月10日 (水)

「江川問題」に続きジャイアンツがまた触れられたくない「過去」を蒸し返される。

先月のファイターズ・小林繁コーチ急死の際には「江川問題」が久々に語られたが、先日のバファローズ小瀬浩之選手死亡の件でもジャイアンツが触れられたくない「過去」を蒸し返される事態を招いたようだ。

既に一部のスポーツ紙でもさらっと触れられていたが、小瀬選手転落死を伝える記事の中で、過去のプロ野球選手のショッキングな死の事例が挙げられているものがあり、ジャイアンツの湯口敏彦元投手の変死のことが触れられている。「湯口敏彦」という聞き慣れない名前に、慌てて検索した野球ファンが少なくないようだ。

湯口敏彦。1970年秋のドラフト会議でジャイアンツがドラフト1位で獲得した期待の左投手だったが、今ひとつ気が弱い面があり、精神面にもろさが残る投手だった。1972年のシーズン終了後のファン感謝デーでの登板でめった打ちにあい、首脳陣から大目玉を食ったのをきっかけにノイローゼになり、入退院を繰り返したという。不審に思ったマスコミが憶測を立てたりする中、球団側も噂を一掃しようと、まだ精神状態が不安定なのに無理矢理報道陣の前で練習を再開させたりしたがそれが逆効果で奇行がエスカレートするようになる。ジャイアンツはこの青年投手をマスコミから雲隠れさせるように都内の某病院に入院させるが19733月、入院中で変死した。享年二十歳。急死の数時間前には見舞いに訪れた家族が回復は近いのではと期待するほどだったそうで、突然の変容に皆、驚いたという。

ジャイアンツ球団の徹底した秘密主義が謎を呼び、マスコミが調べれば調べるほど入院から死亡までの経緯に疑惑が増大していく中、当時の川上哲治監督の信じがたい談話が日刊スポーツに掲載された。

「巨人こそ大被害を被りましたよ。大金を投じ、年月をかけて愛情を注いだ選手。マイナス面になるかもしれません。せめてもの救いは、女を乗せて交通事故などという形ではなかった点です」

(1973年3月24日付 日刊スポーツ)

ちなみに小瀬選手の訃報を聞いたバファローズ岡田彰布監督のコメントは、

「最初聞いた時はもう訳もわからんかった何も浮かばへん。考えられない。能力があるとかないとか関係ない。きのうまで一緒にやっていたわけだから…」

「選手には前向いていこうなんて、よう言わん。そんな簡単なことじゃない。(チームの動揺を考慮し)明日、あさっては練習をそんなにせんと思う」

(2010年2月6日付 日刊スポーツ)

であった。個人的な感想だが、岡田監督のコメントは実に正直なコメントだと思う。

湯口敏彦元投手の件に関しては「巨人軍に葬られた男たち」(織田淳太郎・宝島SUGOI文庫)に詳しいので興味を持った方は一読をおすすめする。

ジャイアンツ七十余年の歴史の中で、最も触れられたくない出来事かもしれない。

ところで小瀬選手の件だが、このエントリーを書いている時点で球団または警察から死因に関する発表がない。今は悲痛にくれるバファローズナインやバファローズファンという構図で報じられているが、早晩マスコミの一部がいろいろと推理を始めるだろう。10日発売のいくつかの週刊誌でこの話題に触れているが、まだ情報不足なのか核心に触れたものはないようだが。

もしも自殺だということがはっきりしたら、死を選択するほど苦しんだ内容は野球に関することだったのか、プライベートに関するものだったのか?前者の場合、チームの管理、コミュニケーションの問題が浮上するであろうし、後者の場合、敢えて誤解を恐れずに言えば、春季キャンプ中に宿泊先のホテルで自殺すると言うことが球団にどれだけ迷惑がかかることなのか?ということをいずれ誰かが口にするだろう。「現役」時代のユニフォームを練習や試合中にベンチに飾るなどという話が出ているが、これは小林繁さんの例とは明らかに異なる事件であり、多くの人が感情移入出来るかという疑問がある。チームとしても(表向きはともかく)弔い合戦という気運が本当に高まるのだろうか…。

そういう意味では敗戦処理。はあくまでも転落は事故死であって欲しいと願っている。また、失礼な言い方になるが小瀬選手は野球ファン以外には特別知名度、話題性のある選手ではなかった。悪意と好奇心であることないこと書かれるほどのネームバリューが無いとも思える。悲劇のままフェードアウトとなれば、それが(これからのバファローズにとっては)一番かもしれない。

不謹慎かもしれないが敗戦処理。はそう思う。

追加のオマケ

湯口投手急死の報を聞いた川上監督のコメント

「k_about_death.PDF」をダウンロード

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