ジャイアンツファンはクルーンとどう付き合っていけばよいのか…?
クルーンの制球難はいつものことながら、クルーンのリリーフが福田と聞いてどれだけのジャイアンツファンが期待を寄せただろうか? 実は敗戦処理。は九回裏をリアルタイムで映像で観ていない。しかし、既に先発の藤井秀悟の後に久保裕也、山口鉄也、越智大祐とつないでおいて、九回裏の頭から守護神・クルーンを投入したのなら四球を二つ続けただけで、今季ここまで一度もこういうシビアな場面で投げたことのないような投手に代えるというのはクルーン以上にジャイアンツベンチも制御不能に陥っていたとしか思えないのだが、当blogをお読みいただいているジャイアンツファンの皆さんはどうお思いだろうか? クルーン続投でも、結果は同じだったかもしれない。 守護神クルーンに心中してサヨナラ負けするのを選ぶか、成算はなくても、とりあえず他の投手に代えて、やっぱり通用せずサヨナラ負けするのを選ぶか? 4月29日の対ドラゴンズ戦のように、3対0とリードした九回裏に投入したクルーンが、二者連続三振で「あと1人」となってから三者連続四球で見るに見かねて久保裕也にスイッチ。久保は暴投1点を献上したものの打席の荒木雅博を投ゴロに仕留めて逃げ切るというケースもあった。久保はそれ以降も勝ちパターンの戦況でのリリーフ要員として定着している。しかし、守護神の後に別の投手がマウンドに上がると言うことは、そのこと自体が緊急事態なのである。4月29日の成功例はレアケースと考えた方が良いだろう。 そもそも、リードした最終回に出てくる投手が相手の攻撃を抑えてチームに勝利を導くことは当たり前のことなのだろうか? 大方のファンは、リードして最終回を迎え、そこにチームの守護神と呼ばれる投手が立っていれば、まず勝利を期待する。いや確信する。もちろん敗戦処理。も例外ではない。しかし、最終回に相手の反撃を抑え、チームに勝利を導く役割は誰にでも務まる訳ではない。それゆえに各チームとも、この男なら間違いないという男にその役割を託す。今季のマリーンズ、小林宏之のように先発ローテーションで年間を通して計算できる投手を配置転換して据えるケースすら少なくない。 ジャイアンツで言えば、2007年の上原浩治は絶対的守護神であった。 故障で出遅れて開幕に間に合わず、そろそろ一軍復帰という時に、抑えを予定していた豊田清が絶不調だったため苦肉の策でリリーフでの復帰となった上原が抑え役に見事にはまった。55試合に登板(先発はなし。すべてリリーフ)、4勝3敗32S、防御率は1.74。3敗はいずれも同点での登板から決勝点を奪われたもので、リードした状態で登板して逆転されることは一度もなかった。 この年の上原の抑えとしての活躍は近年のジャイアンツの抑え投手の中でもダントツの安定感であった。 しかし上原は「今年はチーム事情で抑えに回ったが、来年はもう一度先発で勝負したい。」とシーズン後に告白した。この年の暮れ、2008年の北京五輪進出を決めたアジア予選を終えた時、上原は再び語った。「もう二度と出来ない。こういう役目を毎年続けている豊田さんはすごい」実はこのフレーズ、上原の一年前、2006年に抑えに回った高橋尚成も同様に口にしている。要するにストッパー、クローザー、守護神…呼び方はどうでも良い。味方がリードした最終回にマウンドに上がり、当たり前のように抑えてチームに勝利を導く役割というのは誰にでも出来るものではないのだ。 別にクルーンを指している訳ではないが、敗戦処理。は抑え役の投手の特典として、何点取られても、結果的にチームが勝てばよいと思っている。3点リードなら、2点までは取られてもよい。よく終盤に相手の反撃を許すと、勝っても翌日の試合に悪影響だと非難する向きがあるが、明日は明日の風が吹く-だ。 ナインも、首脳陣も、ファンも、ある一人の男をこのチームの守護神と認めたら、その男に賭けるくらいの覚悟を決めた応援をしようではないか。 それにしても今日のサヨナラ負けは痛い。 「仏の顔も三度」というが、クルーンの度重なるハラハラドキドキぶりに業を煮やしてクルーンを降ろしたというのなら、もしもクルーンに見切りを付けたのなら、むしろあのまま続投させてクルーンに責任を取らせて、明確な結果の元に、クルーンに降格なりを告げればよいのだ。 ベンチに越智なり久保なりが残っていたならまだしも、よりによって福田に代え、それでも先述した4月29日のドラゴンズ戦のように勝てればよいが、福田が一死も取れずに逆転サヨナラ負けという結果ではクルーンが責任感の強い男であれば、余計に大きな傷を負うし、責任感以上にプライドの高い男だったとしても、プライドを傷つけられ、首脳陣との信頼関係に大きなひびが入る。どちらにしても、まだ一人の生還を許す前での慌てふためいての守護神降板は今後への不安をより一層大きくするだけの愚策だったように思えてならない。 試合後に原辰徳監督は「こういう試合もあります」と語ったそうだが、実際にはコメントと180度違うことを行ったのは監督自身だ。 そうは言ってもシーズンは続く。明日(22日)もゴールデンイーグルスと戦う。リードして終盤のイニングを迎えたら、原監督はどういう継投策をとるのか? 【参考エントリー】 指揮官が選手を信用しないようでは選手が真価を発揮しない。いつかきっと綻びが生じる。(2008年7月13日付)
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コメント
敗戦処理。です。
昨日の今日ではありますが、同点の九回に表の攻撃で長野に勝ち越し2ランが出てリードすると、昨日と同じ2点差で原監督はクルーンを投入しました。
> 今朝のスポーツ新聞を見たら原監督は「本人がギブアップしない限りはクローザーはクルーン」と言ってましたが考え直した方がいいと思います。。
クルーンはギブアップしなかったのですね。
おそらくはクルーンがマウンドで投げている間、ブルペンでは越智がいつでも行ける状態にスタンバイしてたのでしょうが…。
精神衛生上、問題はあるでしょうがこれからもクルーンと付き合っていきましょう。
今日はリードを守りきったクルーン以上に、何事もなかったかのようにクルーンを投入した原監督に「あっぱれ」を送りましょう。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年5月22日 (土) 21時35分
HARA88様、コメントをありがとうございました。
> 今朝のスポーツ新聞を見たら原監督は「本人がギブアップしない限りはクローザーはクルーン」と言ってましたが考え直した方がいいと思います。。
某幹事長の進退に関するトップのコメントなみに他人事のような発言ですね<苦笑>。
失敗は誰にでもあると思いますが、抑え投手の場合、頻度の高さだけでなく、衝撃度の大きさで非難の声が挙がるか挙がらないかが決まるようですね。だからこそ誰もが納得する人選になればいいのですが…。ファンも心中出来るくらいの人がいいのですけどね。
> まあ、途中見た時に4対0の時点で勝てると思ってしまったので
何気に山口の不振も継投策の目論見を狂わせたりしているはずなのですが、山口に批判の矛先が向くことが少ないのは山口が先発に回っていた時に「やっぱり山口がセットアッパーにいないと!」と叫んでいた人たちが沈黙しているからでしょうか?
投稿: 敗戦処理。 | 2010年5月22日 (土) 14時13分
にしたく様、コメントをありがとうございました。
> テレビの前でキレそうになりました。
みなさん思っていらっしゃる通り、中途半端でしたね。
心中お察しします。
> 僕は「いっそクルーンと心中」と思っていましたが、ランナーが溜まったところで福田に交代。
「今日は見切りが早いんだな」と思っていたら、同点に追いつかれても福田続投で、ドボン。
個人的には抑え投手を出した以上心中するのが筋で、心中出来ないような投手を抑えにするなと言いたいですし、ましてや福田投入ではというのがあります。
昨日の場合、クルーン投入の時点でベンチに残っていた投手は福田と、他には西村健、野間口、星野。同点で延長戦になればまた話は別ですが、九回裏はクルーンと心中するしか選択肢はなかったと思います。
福田は昨年、開幕から先発ローテーション入りし、6度の先発ですべて5イニング以上投げて2勝0敗、防御率3.25とまずまずだったのですが、交流戦に入って試合間隔が緩くなって先発投手の頭数が少なく済むようになったためにリリーフに回ってから調子を崩し、ついには二軍暮らしになりました。
使い方の難しい投手だと個人的には思っています。今後に影響しないか不安です。
> 結果論と言ってしまえばそれまでですし、まだ首位である以上ワガママは言ってられませんが、采配に一貫性がほしかったですね。昨日のは。
もちろん頑固となると、北京五輪の二の舞ですがね。
ただの一敗で済めばいいですが、今後に尾を引きそうな一敗なので気になります。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年5月22日 (土) 14時00分
うーん。昨日の負けは今季一番のショックでした。
今朝のスポーツ新聞を見たら原監督は「本人がギブアップしない限りはクローザーはクルーン」と言ってましたが考え直した方がいいと思います。。
まあ、途中見た時に4対0の時点で勝てると思ってしまったので改めて「野球は最後まで何が起こるかわからない」と痛感しました。
投稿: HARA88 | 2010年5月22日 (土) 13時26分
テレビの前でキレそうになりました。
みなさん思っていらっしゃる通り、中途半端でしたね。
僕は「いっそクルーンと心中」と思っていましたが、ランナーが溜まったところで福田に交代。
「今日は見切りが早いんだな」と思っていたら、同点に追いつかれても福田続投で、ドボン。
結果論と言ってしまえばそれまでですし、まだ首位である以上ワガママは言ってられませんが、采配に一貫性がほしかったですね。昨日のは。
もちろん頑固となると、北京五輪の二の舞ですがね。
投稿: にしたく | 2010年5月22日 (土) 11時40分
長緯様、コメントをありがとうございました。
> これに尽きます。
中途半端な、場つなぎ的な継投をするから、試合も負けるし、次の試合からの継投も考えがまとまらなくなるのです。
お腹立ちのところ、こんな遅い時間までお付き合いいただいて、恐縮です。
そもそもクルーンという投手の場合、セーブが記録された日でも、1イニングを三者凡退で終えるケースは少ないと思います(データを取っている訳ではありませんが)。
この試合でも福田が敗戦投手になっていることからもわかるように、クルーンはサヨナラの走者を出す前に代えられています。
信用できないなら、いっそのこと九回の最初から福田を出せばよい訳で、クルーンにも福田にも大きなダメージが残るこの継投は、本当にただの一敗ですまない一敗になるかもしれません。
そしてクルーンばかりが目立ちますが、調子が上がっているようで、まだ危なっかしい山口も困ったものです。
原監督自身が先発転向と決断した山口をすぐにリリーフに戻したあたりからどうも怪しいと思っていましたが、シーズンという長いスパンで思考する投手編成を考えて欲しいものです。
それではお休みなさい。
投稿: 敗戦処理。 | 2010年5月22日 (土) 01時55分
自分もリアルで見てません。が、あまりにもふざけた試合ですので、コメントさせてください。
>むしろあのまま続投させてクルーンに責任を取らせて、明確な結果の元に、クルーンに降格なりを告げればよいのだ。
これに尽きます。
中途半端な、場つなぎ的な継投をするから、試合も負けるし、次の試合からの継投も考えがまとまらなくなるのです。
まさに「虻蜂取らず」です。
しかし原監督の「こういう試合もあります」は、裏を返せば「こういう試合が連続することを覚悟せねばならない」とも読み取れますが・・・だったらなおさら中途半端な継投、采配は勘弁願いたいです。
投稿: 長緯 | 2010年5月22日 (土) 01時18分